” 感謝すること ” の本当の意味|” 幸せ ” を遠ざける心理

” 不足していることに注目するのではなく、
今ある幸せに感謝する。それによって
幸せが引き寄せられる ”

スピリチュアル系の書籍などで、
よく目にするセリフです。

要するに ” 幸せな気分 ” が
” 幸せ ” を引き寄せ、現実化するのだと。

多分、スピリチュアル界隈について
あまり知らない人の頭の中には、
次の疑問が浮かぶでしょう?

なぜ、” 気分 ” が幸せを引き寄せるのか?

そして、この問いに本の著者の多くは、
” 宇宙の法則 ” や ” オーラ ” といった
スピリチュアルな概念を取り上げて
説明します。

もはや、” 神秘の力 ” を持ち込まれると、
私たちのような普通の人間は、
ただ、それを信じるか信じないか、
という選択しか残されていないわけです。

もう少し、この ” 感謝 ” について、
私たちにも分かる説明というのは
無いのでしょうか?

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そのかさぶたは誰が作った?

少年たちが公園で走り回って、
鬼ごっこをしている。

一人の少年が勢い余って転んでしまう。
膝を擦りむき、出血する。

一日経つと少年の膝には見事なかさぶた
が出来ている。細菌の侵入を防ぐために
血液が凝固し、傷口を守る。

当たり前のことですが、
人の体は極めてよく出来ている。

自然の摂理です。

人間を設計し創造したのが ” 神 ” ならば、
少年の膝にかさぶたを作ったのも
” 神の力 ” ということになります。

しかし、かさぶたが作られるメカニズムは、
現在ではインターネットで調べれば、
すぐに出てきますよね。

つまり、神や宇宙など、大袈裟なものを
持ち出さなくても、私たちは一般的知識で、
それを十分理解出来るわけです。

” 感謝が幸せをもたらす ” という
言説について、それを説明するのに
” 神 ” は必要ないかもしれません。

” 幸せになりたい ” という強い気持ちが
返って、その人の足かせになることが
あります。

気持ちが強い分、
その人が求める ” 理想 ” のイメージは、
より具体的ではっきりしたものになる。

つまり、自分にとって何が幸せなのか
明確なイメージがある状態。

そして、それが、
” こうじゃないと自分は幸せになれない ”
という考えを形成する。

” 自分の求める幸せ ” を明確にするほど、
それ以外の選択肢を
受け付けられなくなっていく。

本当は他にも解決法はあったのかも
しれない。他に、もっと良い出会いが
あったのかもしれない。

” 具体的理想 ” にこだわってしまった
ばかりに、それら他の選択肢を無意識に
除外している。

ゴール地点へ至るルートが複数あっても
それに気づかず、一つのみを選択し、
結果的にゴールから遠ざかってしまう。

さて、このことが
” 感謝 ” と何の関係があるのでしょう?

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ロック解除

そもそも ” 理想 ” とは何でしょう?

それは、願望です。

つまり、まだ実現していない未来に
焦点を当てている状態。

その ” 理想 ” が具体的であるほど、
未来に執着しているということです。

しかも、限定された特定の未来にだけ、
スポットライトを当てている。

ちょっとライトの角度をずらせば、
別の選択肢が視界に入るかもしれない。
でも、ライトは固定されており、
強い光を一点に絞って当て続けている。

そのライトを固定しているネジが
” 執着 ” です。

ガチガチに締め付けられたネジは
簡単には緩まない。

もし、それを少しだけ緩めることが
出来れば、” 可能性の扉 ” を開く
鍵が落ちているのを発見できるかもしれない。

そこで、ようやく ” 感謝 ” の出番です。

” 感謝 ” をするためには、
すでに手元にあるもの、すなわち
” 現在 ” に焦点を当てなければならない。

現在に意識を向けることで、
未来に対する強い執着を一時的に
解除することが出来る。

つまり、ネジを緩めて、
ライトの向きを自由に動かせる状態に
戻すということ。

感謝することが幸せを引き寄せる
わけではなく、 今だ叶わぬ
” 限定的理想 ” に執着することを
セーブするために ” 感謝 ” という
名目のロック解除を行うのです。

” 幸せ ” を引き寄せるのは、柔軟な視点、
それによって発見する新たな可能性です。

これを言い換えるならば、
” 幸せの再定義 ” でしょうか。

つまり、引き寄せるのではなく、
自ら発見していくのです。

現実には存在しない ” 理想 ” を
追いかけ続けるよりも、最初から
埋まっている金鉱を掘り当てる方が、
当然、実現可能性は高い。

金を掘り当てたとして、それが
あなたの求めるものではなかったとしても、
宇宙の神秘を信じる人々にとっては、
あたかも、あなたがそれを引き寄せたか
のように見える。

実際は、あなたが視点をずらしたことで、
元々あった ” 幸運 ” を
見つけたに過ぎないのですが。

執着をバランスよく手放す

ならば、理想への執着は、私たちが
幸せになるための妨げになるのでしょうか?

人は将来に向かって、
理想を実現していく生き物です。

願望を全く持っていないとしたら、
それは ” 生きるための意思 ” を
持っていないようなもの。

今を見つめて感謝しているだけでは、
何かを創造することも出来ない。

理想への執着、何かが不足している現状に
不満を持つことが悪いのではなく、
これは、バランスの問題です。

遠くばかりを照らし続ける人にとっては、
感謝によって今を見つめなおすことは、
意義のあることでしょう。

しかし、足元ばかりを照らし続けている
人にとっては、チャレンジすることや
夢を持つことは必要です。

感謝さえしておけば全てOKというほど、
世の中は単純ではない。

柔軟な視点によって可能性を発見した
として、その後に行動が伴わなければ、
結局、何も変わらない。

幸せを得るためには、ある程度の ” 理想 ” が
必要であり、その理想を実現するためには
” 執着 ” が必要なのです。

つまり、私たちは、執着の度合いを
その都度、調整しながら生きていく
という面倒なことをしなければならない。

人は本来、複雑なことを単純に
捉えたがるものです。その方が楽だから。

どちらか一方のみを選択することで
欲しいものが手に入ると考えるのは
合理主義です。

そして、その偏重が、
私たちから ” 幸せ ” を遠ざける。

しかし、調整と言っても、
何を基準に調整すればよいのでしょう?

故に自身のメンタルの状態を振り返って、
日頃から把握しておく必要があるのです。

それによってあなたのプラスには
なっても、マイナスにはならない。

 

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