働く人にとって、仕事に関する夢を見る
のは日常的でしょう。世の中には様々な
仕事がありますから、夢もそれに合わせて
様々な形で描かれる。
つまり、見る頻度が高い夢でありながら、
その多様性ゆえに、模範例のような解釈が
存在しないのも事実です。
夢占いでも仕事に関する項目は多くはなく、
日常生活の一部として扱われることが多い。
仕事の夢の解釈を困難にしているもう一つの
点は、人間関係や業務、会社の状況など、
多くの要素が関わってくるからという理由
があります。
プライベートや恋愛に関する夢よりも、
解釈する難易度は高いかもしれません。
いずれにせよ、ケースバイケースで観察して
いくしかありません。
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職場でのトラブル
次は、会社員の男性が見た夢の一例です。
データ保管室に向かうと、
ドアの前に何人かの社員が集まっている。
話を聞くと、ドアを開くカードリーダーが
故障して中に入れないらしい。
” 修理業者が来るまで無理だな ”
と誰かが言った。
この会社では仕事に必要なデータを保管室で
管理しており、セキュリティのために
管理職だけが持っているキーカードでしか
入室することが出来ないという仕組みに
なっていました。
もし、本当にカードリーダーが故障し
保管室に入れなくなると、多くの社員の
仕事がストップしてしまうと言います。
＊
忙しい時期、なるべくトラブルを
避けたかった彼は、夢を見た後、もしやと
思い、カードキーの点検を行ったが異常は
見当たらなかった。
それから数日経った頃、以前から交渉が
進められていた大きな受注が決まり、
社員は夜遅くまで残業を余儀なくされたが、
その間もカードリーダーは故障することなく
仕事は滞らなかったと言います。
結局、何も起こらなかったのです。
彼は、なぜ、このような夢を見た
のでしょう？
潜在意識の思惑
一見すると、社内で発生したトラブルを
暗示しているようにも見えますが、この夢は
彼の潜在意識によって作らたものです。
つまり、夢の中でカードリーダーを故障
させているのは彼自身です。
なぜ、トラブルを避けたがっていた彼が
そのような演出をわざわざ行ったのでしょう？
休む暇も無く仕事に追われていた
ここ最近の彼には、必要だったのです。
ひと時の休息が。
潜在意識は数日後にやってくる大型受注
を見越して、夢の中で仕事をせずに済む
言い訳としてカードリーダーを故障させて
います。
＊
ただ、この夢の場合、仕事に必要なデータ
全てが保管室に格納されているという彼の
勤める会社特有の事情が前提となっています。
保管室のカードリーダーさえ抑えて
しまえば、全ての仕事を止められるという
盲点を彼の潜在意識は利用したのです。
なので、この解釈は、この会社だけに
当てはまるもので、例えば、他の会社に
勤める人がカードリーダーが故障した夢を
見たとしても同じ解釈にはならない。
結局は、その会社、その職場の状況に
合わせて夢の意味を読み解いていくしか
ないのです。
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ダブルブッキング
では、仕事に関する夢をもう一つ、
紹介しましょう。
次は、とある女性が見た夢の一例です。
A社から来客がある。
B社の人と打ち合わせ中に来たので、
慌ててスケジュールを確認すると、
同じ時間に会う約束をしていた。
もちろん、そんな憶えは無い。
いわゆるダブルブッキングした状況が
夢の中に描かれています。
彼女は職場で外注業者を管理する立場
だったので、他の会社の営業担当者と
ミーティングをする機会も多く、
今回の夢はリアルな日常を描いている
ようにも見えます。
彼女いわく、スケジュール管理はしっかり
やっているので、ダブルブッキングに
なったことは一度も無いということでした。
では、なぜ彼女は、夢の中で一度も犯した
ことのないミスを犯したのでしょう？
＊
筆者は、夢の中に登場したＡ社とB社に
ついて尋ねました。
Ａ社は、かなり前から深い付き合いのある
会社で規模は小さいものの、小回りが
利いて、どんな些細な仕事にも柔軟に対応
してくれる優良な会社、
B社は、最近、取引を始めた会社で、
大型の受注を受けるキャパも十分にあり、
頼れる会社だと言います。
夢の中では、B社とのミーティングの最中に
A社が来てしまうという状況。
そして、A社は、彼女自身がその時刻に
呼んだということになっています。
” A社とB社との取引の状況は
どういった割合なのですか？ ”
筆者が質問すると、彼女は次のように
説明します。
” 今は、大きな仕事は中規模のB社に、
小さな仕事はこれまで通りA社にお願いする
という形で振り分けてます。ただ・・ ”
” ただ・・何でしょう？ ”
” 上層部の方でB社との取引を中心に
シフトしていこうという話が上がっている
らしく・・・もしかすると、A社との取引が
無くなるかもしれません ”
筆者は、尋ねます。
” あなたはそれについて、
どう思っているのですか？ ”
彼女は、次のように答えました。
” 私は、A社に何度も助けられました。
社長さんとも長い付き合いです。
A社で働く人全員を知ってます ”
彼女は、A社との付き合いが無くなって
しまうことに、やるせなさを感じている
ようでした。
こうして、彼女が抱えている今の心境を
知ると夢の意味が見えてきます。
夢の中で、B社とのミーティング中に
A社を割り込ませようとしているのは
彼女の意思です。
” A社との付き合いを忘れるべきではない ”
という彼女の中の戒めの気持ちが夢に
なったのです。
＊
この夢では、A社とＢ社との関係、そして
彼女の立場、会社方針といった様々な要素が
夢の前提として織り込まれています。
そういった前提を知らずに、夢解釈を行う
ことは、ほぼ不可能でしょう。
あなたが働く職場にも、特有のルールや
人間関係、社風といったものがあると
思います。
職場の夢を見たときは、そういった要素も
視野に入れて考えてみましょう。
例えば、大勢が会議に出席しても最終的に
社長の鶴の一声で全てが決まるというなら、
夢の中の会議は ” 形だけの民主主義 ”
の象徴なのかもしれませんし、
労働組合と会社との賃金交渉が上手くいって
いないという背景があるならば、夢の中で
やり残された仕事の山は ” 会社への反発 ” を
意味しているかもしれない。
毎年、配置換えで社員がすぐに異動する為、
顧客に顔を覚えてもらえないという会社
に勤めているなら、いつか、顧客の顔を
思い出せないという夢を見るかもしれない。
つまり、こちら側の記憶の問題に
置き換えるわけです。
仕事に関する夢を解釈する上で決まった
ルールはありません。それぞれの状況に
応じて解釈していくということが必要です。
あなたの勤める会社は、
どんな会社でしょう？
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