願望夢と予知夢の見極め方|” 暗示 ” の仕組み

もし、あなたが夢を見て、それが単なる願望夢か、もしくは、未来の出来事を暗示する特別なメッセージなのか知りたいと思ったら、それをどうやって判別すればよいのでしょう?

まず一つ、知っておいてほしいのは、未来を暗示する夢は ” 特別なメッセージ ” では無いということです。

そして、未来を暗示する夢、ここでは便宜上 ” 予知夢 “ と呼ぶことにしますが、予知夢とは、願望夢です。

” 違う違う、願望夢は自分の願望が単に夢になっただけで、予知夢はそうではない神秘現象 ”

” あー、はいはい。スピリチュアリズム否定派の意見ね ”

もし、そう思うなら、それは少し誤解しています。予知夢は全て願望夢であり、願望夢の全てが予知夢とは言えない、というのが正しい認識です。

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スケジューリングされた願望

こう言い換えましょう。
予知夢とは、願望夢の一種である。

そうなると、予知夢でありながら願望夢でもある夢と、予知夢ではない単なる願望夢の2パターンがあるということになります。

その違いとは、
現在の願望を扱っているのか、
未来の願望を扱っているのか、
という違いに過ぎない。

ここで、誤解してほしくないのは、未来の願望とは、” 将来、こういう仕事に就きたい ” とか、” 明日はショッピングに行きたい ” と言う未来に対する希望のことではありません。

それは、現在あなたが未来に対して持っている願望、つまり、現在の願望です。

ここで言う未来の願望とは、” 未来に持つ予定の願望 ” のことを指します。

つまり、現在の段階では、まだ、心の中に生まれていない願望です。ただ、その時が来るとその願望を持つことになる。

例えば、昨日地震があり、その翌日、あなたはインターネットで災害保険について調べている。

” 災害に対する備えが必要だ ” というその願望は、地震以前には存在しなかったものです。しかし、潜在意識はその予定された願望を軸に夢を作ることがある。

地震が起こるよりも前に。

通常の願望夢の例

では、具体的例として、予知的な要素が含まれない純粋な願望夢について見ていきましょう。次は、建設業で働く男性の見た夢の一例です。

機械が故障して動かない。

修理業者を呼ぼうとするが、携帯電波が悪く連絡がつかない。

彼は工事現場で大型機械を扱う仕事をしていました。機械が故障すると仕事が止まってしまうので、もし、この夢が機械の故障を暗示しているなら問題です。

この夢が未来を予知したものか、現在の願望なのかを見極めるには、夢を見た背景を探っておく必要があります。

とりあえず仕事の夢ということで、男性に現在の仕事の状況を尋ねたところ、最近、忙しく休日出勤もしているという状況の中、この夢を見たということでした。

これらの事情を踏まえると、この夢が現在の願望によって作られているのが見えてきます。

彼は仕事に嫌気が差し、休息したいと願っています。要するに ” 機械が故障すれば、仕事をせずに済む ” という彼の願望が夢になっている。

夢の中では携帯電話の電波が届かず修理業者に連絡がつかない。

すぐに修理業者が来て復旧してしまうと、彼にとっては都合が悪い。あえて電波が届かない状況を演出しています。ただ、現場で働く作業員の責任として、夢の中で一応は、復旧するための努力をしている。

この解釈を聞き、彼は次のように言います。

「確かに、そうかもしれない。実は機械が故障して、実際に仕事が止まったことが以前あったので、その時の状況を夢で再現したのかもしれません」

通常の願望夢は、現在の状況を振り返ることで、辻褄の合う解釈が可能です。そして、感覚として納得できる ” 答え ” が得られる。

未来の願望夢

では、先ほど説明した、まだ持っていないが、” 将来、持つ予定の願望 ” について具体例を見ていきましょう。

次は、筆者が見た夢の一例。

ノートPCから煙が出ている。

慌てて水をかけるが、そのせいで完全に故障してしまった。

この夢を見た数日後、実際に自宅のPCが故障してしまったのです。

ただ、少々シチュエーションが違っており、熱暴走で煙が出たわけでなく、ブルースクリーンになって固まってしまったというソフトウェア上のトラブルでした。

潜在意識は、なぜ、事実をそのまま夢にせずに、妙な脚色をしたのでしょう?

その方が都合が良かったからです。

ブルースクリーンで固まっただけならば、最悪でもOSを初期化することで元に戻すことはできる。しかし、熱暴走による発火となれば修理ではなく全交換です。

潜在意識はPCが故障する未来を知って、多分、こう考えたのでしょう。

” どうせ故障するなら、新しいやつに買い替えたい ”

中途半端に故障されるよりも完全に故障してもらった方が、今使っている古いPCを捨てて新しいものに取り換えられる。

夢の中でも自ら水をかけて修復不可の状態を作っています。

未来の出来事をきっかけに生まれた ” PCを買い替えたいという願望 ” それは、故障以前、つまり、夢を見た時点では存在しなかった願望。

これが ” 未来に持つ予定の願望 ” です。

別の言い方をするなら、未来の出来事が起こってから、ようやく生まれる願望。

つまり、未来の出来事に対して、潜在意識が夢の中で私たちよりも先にリアクションを取っているのです。

すでに起こった事実かのように。

一足先のリアクション

願望とは、現実世界で何らかの出来事があって、その出来事に対する ” リアクション ” として生まれる。

例えば、魅力的な異性と出会って ” 恋人が欲しい ” という願望が生まれたり、仕事でリーダーとなり、チーム全体のスケジュールについて気にするようになったり、雨が降れば傘が必要だと思ったり、日常の出来事と願望は関連しあっています。

普通なら、何年も独り身の人が ” 結婚式の招待客に出す料理は何がいいか? ” というようなニーズを持つことはありません。まだ、異性と出会ってもいないわけですから。

しかし、その人が、ある夜、次のような夢を見たとします。

クローゼットを引っ繰り返したが、パーティに着ていけそうな服が見つからない。

通販サイトでパーティ用ドレスを検索している。掲載された色々なドレスに目移りしている。

どれも結構な値段がついている。

恋人がいないわけですから、夢の中で好きな芸能人とデートをしているというなら、それは単なる願望夢と解釈できます。

そもそも ” 夢 ” ですから、理想のデート相手もドレスも用意することは容易い。しかし、この夢では、着ていける服が無いことや出費について焦点が当たっています。

つまり、この夢は、何かに対して準備不足である状態を表しており、そのことで浮足立っている彼女の心理が描かれている。

彼女は、なぜ、そのような、いらぬ心配をしているのでしょう?

つまり、それは、これから彼女が抱える予定の心配事なのです。言い換えるならば、異性と出会う機会が訪れた後に生まれる心配事です。

要するに、この夢は、新しい異性との出会いを暗示している。

例えば、婚活パーティのような催しに出向く機会が今後訪れるのかもしれません。ただ、異性と出会う前の今の段階では、それが心当たりの無い心配事のように見える。

未来の出来事をきっかけに夢が作られているのです。

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心当たり無き ” 心当たり “

例えば、あなたが何か夢を見て、

” なぜ、動揺していたんだろう? ”
” なぜ、あんな行動を取ったのだろう? ”

というような心当たりの無いリアクションを取っている自分がいたとします。それは、あなたが未来の出来事を知らないからなのかもしれない。

つまり、夢の中のあなたの不可解な態度は、未来の出来事に対するリアクションかもしれないということです。

もし、そうだとすれば、先ほどのドレスを探す夢のように、夢の中のリアクションから逆算をして、何が起こるのかをある程度絞り込むことも出来るわけです。

ただ、夢とは、そう単純なものではないというのも確か。夢の中の態度だけでなく、それは、背景、ストーリー、登場人物、行動、セリフ、様々な要素が組み合わさり一つの作品になっている。

実際は、それら総合的な視点で読み解かなければ、安易に未来の暗示と決めつけることも出来ないでしょう。

例えば、夢の中で心当たりの無い設定に動揺するあなたがいたとして、それは、未来の暗示なのでしょうか?

もしかしたら、夢を作った潜在意識が都合の悪い事実を隠蔽した結果、あたかも自分とは無関係に見える設定をあえて選んでいるのかもしれません。

つまり、本当は心当たりがあるが、精巧なカモフラージュに騙されてそれに気づいていない状態。

次は、とある女性が見た夢の一例です。

交通事故を起こす。

慌てて電話をかけようとするが、指が震えて番号が押せない。

夢の内容から見れば、これから起こる事故を予知しているようにも見えます。実際、この夢を見た女性もそれを心配していました。

「事故の状況について詳しく教えて頂けますか?」

彼女の説明では、それは通勤に使う実在する道だと言います。夢の中では、会社に向かって車を走らせていた。そして、とある地点で人を跳ねた、と。

「突然、自転車が飛び出してきて、ぶつかって、人がボンネットの上に落ちてきました・・」

「自転車に乗っていたのは?」

「女子高生でした。血だらけで・・・
目が合ったんです!」

「 つまり、生きていた?」

「はい、瀕死でしたけど・・
ボンネットの上でこちらを見てました。
あの時の顔が脳裏に焼き付いて・・」

「先ほど、上から人が降ってきたと言いましたよね。
転がって乗りあげたとかではなく、降ってきたのですか?」

「ええ、上から降ってきました。
多分、ぶつかった衝撃で上に飛んで・・ 落ちてきた時、ドンと大きな音がして」

筆者は説明を聞きながら、少し違和感を持ちました。それは、夢の中で彼女にあえて恐怖感を与えるため、いくつかの演出が仕掛けられているように見えたからです。

「つまり、かなりのスピードで走っていたということですか?」

「そんなにスピードは出してなかったような・・・あそこは、確か、30キロ制限だったと思います」

「勢いで車の屋根まで乗り上げて、そこから滑り落ちた・・ということでは?」

「いや、空から降ってきました。
ボンネットが凹むぐらいの衝撃です」

仮に、これが事故の予知だったとしても、事故の状況を脚色して、少し大袈裟に ” 盛っている ” ようにも見えました。

普通なら、” 事故 ” という現実を受け入れられない心理が働き、映像による再現を拒絶するか、隠蔽するか、置き換えるといった消極的処理が行われるものです。

しかし、そうではない。彼女の潜在意識は、なぜ、そのような脚色をする必要があったのでしょう?

ピースを集める

「ところで、夢の中の事故現場は、自転車が飛び出してくるような危ない場所なんでしょうか?」

「いえ、全然。見渡しもいいですし、自転車が走ってたら遠くからでも確認できます。
事故が起こりそうな感じは無いと思いますが・・ 」

「夢の中でも見渡しは良かった?」

「さあ・・周りの景色は覚えてません。突然、横から突っ込んできたという感じでした」

「最近、通勤ルートを変えたとか、家を出る時間帯が変わったとか、車を変えたとか、そういった変化は?」

「そうですね・・・残業が続いていて、帰る時間は遅くなってます」

「お仕事が忙しくなった?」

「ええ、職場で一人辞めてしまったので、その分、仕事が増えてしまって・・
募集をかけてもなかなか来ないんです」

「大変ですね」

「出勤する時もメールのチェックとかを車内でしたり・・」

「車内でお仕事を?」

「ええ、出来るだけ早く帰りたいので信号待ちや渋滞の時にタブレットでメールをチェックして、走行中に文面を考えたり・・・
とにかく新しい人が入ってくるまでの辛抱だと思って」

「通勤時間は、どれぐらいですか?」

「曜日によって違いますけど、渋滞があれば40分ぐらいかかります」

これら彼女の近況から察して、この夢が一つの可能性として、潜在意識からの警告であると解釈することが出来ます。

彼女は仕事に追われ、ゆとりを失い、車の運転に集中することも出来ない状況。この状況が続けば、もしかすれば、運悪く何らかの事故やトラブルに巻き込まれるかもしれない。

そういった意味でこの夢は ” 予測可能な予知 ” と言うこともできますが、潜在意識がこの夢を作った理由は、もう少しシンプルな動機でしょう。

潜在意識は、現在の状況が続くことを懸念し、彼女に危機意識を持たせたかった。夢の中で人身事故を起こし、彼女の恐怖感を煽ることでそれを実現したのです。

” 運転中はタブレットを置きなさい!
こんなふうになってもいいの! ”

いつも使っている走り慣れた道、見晴らしがいい場所を事故現場に選んだのは、そこが彼女の注意力が散漫になる場所だから。

” 気の緩み ” によって事故は起こると示すためにも。最も油断している時に、血まみれの人が上から降ってくれば誰もが驚くでしょう。

今回は、彼女を驚かせる必要があった。

筆者がこの解釈を話すと、彼女は言いました。

「夢を見る前に、夫に言われました・・ 」

「何をですか?」

「運転中に仕事なんて危ないぞ、と・・
多分、私が家に帰ってからも落ち着きがないので、その様子を見て心配したんだと思います」

「しかし、なぜ、被害者が女学生だったのでしょう? そこだけが不明です」

「もしかしたら・・」

「何か思い当たることでも?」

「私、学生の頃、轢かれそうになったことが・・ 」

「え?」

「スマホを見ながら歩いていたら、目の前に車が横切って、鞄が接触して、鞄はダメになりましたけど・・」

「お怪我は?」

「大丈夫でした。
ただ、その時に車に乗っていた人が凄く動揺してて、私に病院で検査を受けてくれと・・見てたら、何だか可哀想で鞄のことは言いませんでした」

彼女は、その接触事故によって、被害者側だけでなく、加害者側も悲惨であることを目の当たりにした。

彼女の潜在意識は、学生時代の記憶からその思い出を取り出し、” 加害者 ” と ” 被害者 ” の立場を入れ替え、ストーリーに組み込んだ。

そう解釈するなら、現在、社会人となり、車を運転する側となった彼女に、潜在意識は伝えたかったのかもしれません。事故の加害者になることが、どれだけ重い罪になるかを。夢の中で彼女はそれを自覚し、動揺した。

” 私、とても危険なことをしていたんだ ”

さて、それが予知であるか、心理描写であるかを見極めるというのは、容易ではありません。

最初から心理描写である可能性を捨て、予知であると断定してしまう方が、夢解釈として分かりやすく、一見すると、辻褄があっているように見える。

今紹介した交通事故の夢でも、それが実際に通る道であり、そのリアルな設定から、事故に遭遇する予知だと考えてしまう方が楽です。

そこで、現場が事故の起こりにくい場所であることや、衝突の詳細については無視して、単に ” 人を轢いてしまった ” という部分だけで判断してしまう。

しかし、実際に紐解いてみると、夢の中で感じた彼女の動揺は根拠あるものだった。

大切なのは、心を落ち着け、拾い忘れたピースが無いかを確認することです。

全てのピースを拾い集めたら、テーブルの上に広げ、一つ一つはめ込んでみる。パズルと同じように。

なぜかピースが余ったり、残りの空白にはまらなかったら、その絵は、どこかがおかしいのです。

 

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