夢の中の ” 外国 “|異国にいる設定

なぜか、何の関わりも無い海外に住んでいるという設定の夢。

もし、夢を見た人が海外に住んだ経験があり、かつて住んでいた場所が夢になったとしても、さほど奇妙なことではありません。それは、日常的な夢として解釈することが出来る。

しかし、そうではなく海外に住んだ経験も無く、特に旅行で訪れたこともない異国の地に、自分がいるという脈絡も無い設定の夢を見ることがあります。

ケースによっては自分は日本人ですらなく、現地人としてそこに住んでいるという設定もあるでしょう。

前世の記憶が夢の中で再現されたという説もありますが、背景が現代建築がだったりもする。

外国を舞台とした夢は、どのように解釈すればよいのでしょうか?

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混乱に乗じて

次は、とある男性の見た夢の一例。

どこかの貧しい国。

自分は首からカメラをぶら下げて、市街で暮らす人々を撮影している。

小屋の裏で、4、5人の男が集まり、ヒソヒソと話合っている。

クーデターの始まりだと気づく。

場面は変わり、市民と思われる何人もの男たちが、銃を持った兵士に襲い掛かっている。

自分は遠巻きに、カメラのシャッターを切り続ける。

この夢を見た男性は、日本の会社で働く、ごく一般的なサラリーマンでした。カメラマンやジャーナリストの経験があるわけでもなく、海外旅行の経験も無い。

また、夢の舞台となったのは、発展途上国のような場所で、アフリカ大陸のどこかという曖昧な設定。

ストーリーは市民たちが政権を転覆し、クーデターを起こすという、何か歴史上の出来事を思わせるような展開です。

彼は、その地に潜入し、異国の地で起こった歴史の転換点に立ち会うジャーナリストという立場で夢に参加している。

彼に尋ねたところ、ドキュメンタリーやニュースで海外の混乱した情勢を見たことはあるが、自分の生活とはかけ離れた世界なので、特に関心を持っていたというわけでは無いと言います。

彼の潜在意識は、なぜ、実生活とは全く無関係の職業、そして、遠く離れた異国の地で発生したクーデターという突拍子もない設定をチョイスしたのでしょう?

” 外国 ” でなければならない理由

こうした異国の地が夢の舞台となる理由の一つとして ” 外国が日常生活とは違った文化である ” ということが考えられます。

例えば、マンネリ化した日常生活から抜け出したいという気持ちから、違った文化に触れて、気分をリフレッシュしたいというときに、海外旅行のような形で外国の夢を見ることがあります。

また、文化の違いを演出として利用するケースでは、元々、他人とコミニュケーションを取るのが苦手だという人が、海外で言葉が通じなくて困っている夢を見たりする。

それは、周囲と上手く馴染めないのは、自身のコミュニケーション力が足りないからではなく、単に言葉や文化の違いによるものだと思わせるためです。

もし、そうならば、日本に帰りさえすれば問題は解決できる。

さて、今回の夢はどうでしょう?

筆者は彼に、日常生活に感じていることや、職場や友人との人間関係について尋ねました。

ただ、日常生活が退屈でマンネリ化しているわけでも、周囲の人との人間関係で悩んでいるわけでもないと答えます。

では、この夢は、
一体、何のために作られたのか?

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ファインダーの向こうに見えるもの

セッションの中で彼は、自身の日常生活について語ってくれました。それは、いつもと変わらない日々だと。少し前までは、それを退屈に感じる部分もあったが、今は、そうでもないと。

筆者は、尋ねます。

「なぜ、心境が変化したのですか?」

心境が変化し始めたきっかけは、多分、今、読んでいる一冊の本だと言います。人生について書かれたその本を読み、彼は感銘を受けた。自分の中の固定観念が打ち砕かれた感じがした。

「まだ、途中です。理解できない部分もあって、全部読んでみないと・・ 」

表面上、彼の日常は変化していませんが、心の中では ” 変革 ” が起こっていた。夢の中のクーデターは、彼の心の風景だったのです。

それならば、なぜ、心の変化というプライベートな出来事が、クーデターという大掛かりな設定として描かれたのでしょう?

しかも、異国の地の変革。

内政が不安定な途上国のニュースで見て、そのイメージを潜在意識が利用して、舞台として異国の地を選んだという見方も出来ますが、別の理由としては、遠く離れた地で起こることならば、その ” 変化 ” を客観視できる。

クーデターを起こす人々は、彼の中に持ち込まれた ” 新しい価値観 ” そして、打ち倒される兵士たちは、彼がこれまで持っていた ” 固定観念 ” を表しています。

ただ、彼自身はクーデターを起こす側にも、政権側にもついていない。あくまで第三者、外国人ジャーナリストという立場でその現場に立ち会っている。

彼は、入り込んできた ” 新しい価値観 ” が、本当に信じてもよいのかどうかを疑い、自分自身に起こっている変化を、一旦、遠い国で起こっている出来事に置き換え、それをカメラのファインダー越しに覗くことで観察しています。

” この新しい考えは、果たして本物だろうか? ”

” この変革の後に、何がある? ”

衝撃を受けながらも、変革の熱に浮かされることのない彼の中の冷静な一面が、この夢に描かれています。

意図されたシチュエーション

そもそも、夢は主観によって作られるものですから、与えられたインパクトが強いければ、彼の心の変化が大掛かりな設定として描かれるのは自然なことです。

表面的には日常に変化は無くとも、彼にとっては、この数日間は、まさに ” クーデター ” が勃発していた。その変化は彼にとっては、記録しておくべき ” 歴史的事件 ” だったのかもしれません。

そういった意味では、彼の潜在意識が ” ジャーナリスト ” という職業を選んだのは、必然だったのかもしれません。

さて、今回は、ジャーナリストとして海外にいるという少し特殊な設定の夢について見ていきましたが、夢によっては、他にも様々な設定が考えられるでしょう。

例えば、自分が現地に住んでいる外国人として登場するといった不可思議な設定もあります。

それが、前世の記憶かどうかは別として、この場合であっても、まず、なぜ自分がその土地に住む現地人になっているのかを考える必要があります。

例えば、人間関係に悩み、自分の居場所を見つけることが出来ない若者が、ドイツ人になり現地で暮らしている夢を見る。

ドイツはナチス時代のユダヤ人迫害を反省し、近年では紛争で逃れてきた多くの難民を受け入れている事実をその若者が知っているなら、その夢のおけるドイツは、” 行き場を失った人々の最後の砦 ” です。

潜在意識は、現実世界の常識やルールを守りながら夢を作ったりはしません。

必要であれば自分の職業や性別、人種、国籍、年齢など、あらゆるものをストーリーに合わせて自由に作り変える。そして、日常的ではないその設定をあえて選んだ理由が必ずある。

” なぜ、日本人ではいけなかったのか? ”

” なぜ、いつもの日常ではいけなかったのか? ”

” なぜ、この場所を選んだのか? ”

潜在意識の ” 真意 ” を知るためには、設定されたシチュエーションの意図を探る必要があるのです。

 

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