時に、近い将来起こる出来事が夢になる
ことがあります。
ただ、それは未来そのものを映すわけ
ではなく、謎めいた分かりにくい
メッセージとして描かれるのです。
いわゆる、夢占いで言われる ” 暗示 ”
ゆえに、私たちは、それが未来の出来事を
指し示していることを見過ごし ” 単なる夢 ”
として片づけてしまう。
なぜ、夢は ” 暗示 ” という間接的な方法で
未来を伝えるのでしょう?
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病院で診察を受ける夢
次は、筆者が見た夢の一例です。
病院の診察室で医師と話している。
医師から健康管理について
アドバイスを受けている。
帰りに薬を貰う。
この夢を見た時期、筆者は病気にかかって
いたわけでもなく、特に健康に問題を
抱えていたわけではありませんでした。
至って、何事もない平凡な日常を過ごして
いた矢先にこの夢を見たのです。
体の状態に不調があったわけでもないのに、
脈絡もなく、病院で診察を受ける夢を見た
ということで、
” もしかしたら、今後、病院に行く必要が
あるのだろうか? ”
とも思いましたが、これといった解釈を
することなく、そのまま放置していました。
*
数日後。
保険契約の更新手続きのために保険会社
から担当者が自宅にやってきました。
一通りの手続きを終えると、彼と二人で
しばらく雑談をしていたのですが、はやり、
彼も保険会社のセールスマンですから、
保険の必要性や、将来の病気リスクの話
になると熱く語り出すのです。
彼は病気にならないための生活習慣や
病気リスクの具体的な統計データなどが、
全て頭に入っているようで、若い方なのに
医療や健康について、相当、勉強をされて
いる印象を受けました。
筆者は、ただ、それを関心しながら
聞いているだけでした。そして話の途中、
ふと先日見た夢について思い出した。
” 置き換え ” という技法
夢の中で筆者は、病院で医師の診察を
受けていました。
しかし、現実では筆者の目の前で健康に
関するアドバイスをしているのは、医師
ではなく、保険会社のセールスマンです。
そして、場所は病院ではなく、
自宅のリビング。
潜在意識は、一体、なぜ、
このような変化球を投げたのでしょう?
どうせなら、夢にセールスマンそのものを
登場させれば済んだ話ではないのか。
これは、夢によく見られる ” 置き換え ”
という現象の一つです。実際の出来事を
別の出来事として、置き換えて表現する。
なぜ、このような現象が起こるのか?
置き換えが起こるのは、潜在意識が
意図的に演出を加えているのですが、
この夢の場合は、次のようなことだと
思います。
*
保険のセールスマンに病気リスクに
関する統計データを聞かされた筆者は
怖くなった。
それまで一年で何人ぐらいが、どの病気に
かかり、どれぐらいの生存率があるとか、
知りたくもない事実を知らされ、内心
ショックを受けていた。
そして、潜在意識は、その不安を少しでも
和らげるために今回の夢を作った。
つまり、自分の健康状態が心配になった
筆者は、夢の中で病院に行き、診察を
受けているのです。
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夢と出来事の時系列
夢の中の筆者は、医師が生活習慣の
アドバイスをしている最中に
こう思いました。
” ああ、今から気を付ければ大丈夫だ ”
予防のために専門家のアドバイスを聞いて、
安堵感を得ようとしています。無論、
医師に話をさせているのも、夢の作り手
である筆者の脚本なのですが。
そして、どこも悪くないのに、帰りに
薬を貰っています。自分自身を安心させる
ために材料が欲しかったのでしょう。
*
セールスマンに怖い病気の話を聞いて、
不安になり、病気でもないのに病院に行く
夢を作ったという恥ずかしいエピソード
ですが、ここで、” おや? ” と思われた
かもしれません。
この夢を見たのは、セールスマンが
自宅を訪問する数日前。セールスマンに
病気の話を聞いたのはその後です。
夢は、あたかも話を聞いたことが発端
になり、作られたという内容になっている。
この時系列であっているのです。
この夢は、セールスマンの話を聞いた後に
作られている。しかし、その夢を見たのは、
話を聞く数日前です。
いわゆる、予知です。
ここで誤解して欲しくないのは、筆者が
特別な能力者というわけではなく、
誰もが夢を見る際にこういった現象が
起こっているということです。
もちろん、あなたも既にそれを見ている。
しかし、未来の出来事そのものが映像に
なるわけではなく、今回の夢のように、
事実を歪曲するために、それが、
予知であることに気づきにくいのです。
厳密言うならば歪曲ではなく、事実に
対する ” リアクション ” が夢に描かれる。
今回の夢では、病院で診察を受けている
という設定ですが、これが病気の話を
聞いて不安になった筆者のリアクション
そのものということになります。
心の証明
さて、今回は、予知に関する夢を紹介
しましたが、
いわゆる、夢占いの ” 暗示 “とは、
将来、起こるであろう出来事が潜在意識
によって、夢の中で別の形に変換されて
しまうことで事実をそのまま映さない
状態を指します。
そして、事実が変換されてしまう理由は、
先ほど解説したように潜在意識の意図
によって起こる。
夢占いでは、単なる ” 暗示 ” という言葉で、
このプロセスを片づけてしまうのですが、
実際は人間の心理を読み解けば理解できる
ことです。
*
さて、ここまで読んで次のように思う人も
いるかもしれません。
” それは、未来を予知したわけじゃなく、
単なるこじつけですよね? ”
筆者は、そういった批判に対して、
” こじつけではありません! ”
と否定することはできないのです。
なぜなら、これを科学的に証明することは
誰にも出来ないから。この状態を簡単な
例で説明するなら、次のようなことでしょう。
あなたが心に痛みを抱えている。それを
誰かに伝えたいと思った時、
どう伝えますか?
不可能です。
” 痛みの度数を10段階で言えば、
今どれぐらいですか? ” という心療内科医
の質問に対し、あなたが ” 7 ” と答える。
でも、その ” 7 ” は、あなたの主観でしか
ないわけです。医師の思う ” 7 ” とは、
違うのかもしれない。
” 私の7は、その7じゃありません! ”
と言ったところで医師はぽかんと口を
開けているだけでしょう。
あなたの心の痛みがどれぐらい痛いのか
私たちに証明することは出来ない。
*
夢とは ” 人の心 ” そのものです。
心を証明できなければ、夢を証明する
ことも出来ない。無論、こじつけである
ことを証明することも出来ません。
夢によって ” 暗示 ” が示された。
それは、未来の出来事をきっかけにして
作られた。それは、ある思考プロセスに
よって関連づけることが可能だった・・
それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、次のようなことは言えます。
あなたが何か夢を見て、未来の出来事との
間に ” 繋がり ” を発見したというなら、
あなたの中では ” 事実 ” になる。
それが、他人から見れば単なるこじつけ
に見えたとしても。
確証を得るには、夢を理解し、
” 繋がり ” を発見し続けるしかありません。
そして、それを誰かに証明する必要は無い。
自分だけが知っていればよいのです。
そもそも、夢はあなた一人のために
作られるものですから。
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