夢の中の ” 背景 “|その景色が意味すること

夢の背景に何があったか、思い出せますか?

森林だったとか、水辺だったとか、
住宅地や学校、見知らぬ場所・・
もしくは、ファンタジックな幻想世界が
背景として描かれることもある。

ただ、背景を覚えていないこともあります。
もしくは、背景が存在しないという場合も。

現実世界をカメラで撮影する時、被写体の
後ろには必然的に背景が映り込みます。

街並みや部屋の壁など。

もし、背景だけを取り除くとしたら、
画像編集ソフトなら可能でしょう。
ただし、それは映り込んでしまった
ものを塗りつぶしているだけです。

夢の世界の背景は、少し意味合いが違います。

絵画のように、背景の無い構図を用意する
ことが可能です。それは、現実を修正する
ことでそう見せるわけではなく、最初から、
そういった設定なのです。

これが、一体、夢を読み解くことと、
どう関係してくるのでしょう?

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光の中へ

次は、とある女性が見た夢の一例。

明るすぎるのか、
周りの景色が白く見える。
 
辛うじて、街並み、建物の陰影が
何となく認識できる程度で遠近感も無い。
 
怖くなり、白くない場所を探し回るが、
見つからない。

かなり、奇妙な夢です。

この夢を見た女性は限りなく白い世界から、
ただ、ひたすら抜け出そうとしていた
と言います。

人らしき存在もいたかもしれないが、
ほとんど眩し過ぎて確認出来なかった。

そして、その非現実的な空間に
一種の恐怖を感じた。

例えば、背景を白くする場合のケース
として雪景色があります。

夢占いでは、雪景色は見たくないものを
覆い隠すという意味で、良くない出来事の
暗示とされています。

筆者が、” 雪景色 ” について話すと、
彼女は ” それとはちょっと違う ” と言います。

雪でもなく建物の壁が白いわけでもなく、
背景を光で飛ばすというか、
例えば、映画撮影などで強い照明を当て
白くみせるという技法がありますが、それが
かなり広範囲に及んだ状態に似ていると。

その説明を聞き、筆者には、
一つだけ心当たりがありました。

筆者は彼女に、最近、何かショックを
受ける出来事は無かったか尋ねました。

頭が真っ白になるような。

実は、彼女は、この夢を見る数日前に
失恋をしていたのです。

ホワイトアウト

話によると、数日前に交際していた男性から
突然、別れたいという内容のメッセージが
入り、全く予期しないことだったので、
彼女は茫然とした。

どうにか会って話すことは出来たが、男性に
理由を問いただすと仕事の都合で遠方に行く
ことになったからということでした。

最後に ” 遠距離恋愛は出来ない ”
と言われたそうです。

全く、突然のことで面食らってしまった
彼女は、この数日間、悲しいとか怒りを
通り越して、何も考えられなくなった
状態だった。

仕事もほとんど手につかず、
ただ、ぼんやりしていた。

そして、眠れない日が続き、つい先日、
ベッドの上でようやく意識を失うことが
出来たと言います。

その時に今回の夢を見た。

筆者も、ショックを受けた出来事の後に
夢の景色が ” ホワイトアウト ” する現象を
経験していたので、彼女から ” 白い世界 ”
について聞いた時、似ていると感じたのです。

( ホワイトアウトとは、雪や雲などで視界が
白一色になり景色を識別出来なくなる現象 )

筆者が見た夢に比べ、彼女の夢は、かなり
広範囲が白くなっていたということなので、
彼女の受けた衝撃は計り知れないもの
だったのでしょう。

さて、背景が強い光の反射によって色彩を
失ってしまうこの現象は、夢の中で
どういった意味を持つのでしょうか?

まず、言えることは、背景は光の反射に
よって見えづらくなっているわけではない
ということです。

例えば、現実世界の夏、日差しの強い日中に
車を運転するときは、眩しくて視界が
悪いことがありますよね。

通常ならサンバイザーを下ろしたり、
サングラスをかけたりします。
そうすることでアスファルトの白線が
よく見える。

夢の世界では、
最初から白線は描かれていないのです。

どのみちホワイトアウトしたように
見せるのだから、アスファルトの上に
白線を描く必要が無い。

この夢における白い世界は、ホワイトアウト
現象の結果としてそう見えるのではなく、
錯覚を利用した単なる ” だまし絵 ” の
ようなものです。

実際に、光が当たって白く見えている
わけではく、光が当たって白く見えている
という設定の背景なのです。

厳密に言えば、
その背景は彼女のイメージの産物。

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夢の中の太陽

彼女はまさに、突然、訪れた別れによって
何も考えられなくなり、何も感じなくなってしまった。

何も描かれていない真っ白なキャンバスの
ごとく、この夢は、彼女の ” 心の空白 ” を
描いているのです。

かすかに街並みらしきものが確認できるが
遠近感が無い。

そもそも、潜在意識は、街並みなど
描くつもりが無いのです。

あるのは、ただ、精神的衝撃のみ。

この状況からどうにかして抜け出すために
ホワイトアウトを偽装した景色を再現し、
真っ白になっているのは自分ではなく、
景色の方だと思わせようとしています。

再現された景色は、光の反射によって
白いのではなく、衝撃に打ちのめされて、
現実を描くだけの気力が残っていないから。

そして、彼女は夢の中で真っ白な世界から
日常の色彩を求めて探し回る。

平常心を取り戻そうとしているのです。

さて、ここまで解説しましたが、
夢の背景は、先ほども言ったように
” だまし絵 ” に近いのです。

例えば、一本の木があり、東から太陽が
照り付ければ、その影は西側に出来る。
これは、現実世界では常識です。

しかし、夢の世界では光源が東に
あったとしても、必ず影が西に出来るとは
限らない。

必要であれば、北でも南でも影を作る
ことは出来ますし、影自体を作らない
という設定も可能です。

そもそも、
夢の中の太陽は光源ではありません。

背景の全てはイメージなのです。

どのようにも描けますし、今回の夢のように
描くことを放棄することも出来る。

まず、夢の世界が何によって作られている
のかを理解しておく必要があります。

あなたの夢の背景に何が描かれていたのか、
潜在意識は、なぜ、その背景を選んだのか、
そういった問いかけは夢を解く上では重要です。

もし、あなたが森の中にいる夢を
見たとしたら、思い返してみてください。

それは、実際の森では無く、
森に対するあなたのイメージです。

 

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