楽器を演奏する夢|夢の中の ” フィーリング “

例えば、夢の中でピアノを弾く
といった楽器を演奏する夢。

ピアノに縁の無い人が、
夢の中で脈絡もなくピアノを
弾いているとしたら、それは、
とても不自然なことです。

それに、なぜ、潜在意識は、
楽器の中で数ある楽器の中で
” ピアノ ” を選択したのでしょう?

*

では、ピアノを実際に弾く経験が
あるという人ならば、夢の中の
ピアノをどう解釈すべきでしょうか?

その人にとってピアノを弾くことが
日常的だと言うなら、それは、
単なる日常を描いた夢なのかもしれない。

もし、発表会に向けて練習中
だと言うなら、練習が足りていない
という不安から作られた ” 焦り ”
を描いた夢かもしれません。

ならば、今はピアノを弾けないが、
以前から憧れていて、いずれは
弾きたいと思っている人が、
ピアノの夢を見たらどうなるのでしょう?

他にも、夢を見る前日に見たドラマに
ピアノを弾くシーンがあったとしたら、
それは、どう解釈すべきでしょう?

夢とは現実世界と常にリンクしている。

まずは、夢の内容以前に
夢を見た本人と夢の中の楽器に、
何らかの ” 接点 ” があるのか、
それを、探る必要があります。

夢とは、個人個人の置かれた
状況によって、全く違った
意味が与えられることもあるのです。

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ピアノを弾く夢

次は、とある男性の見た夢の一例です。

ピアノを弾いている。
自分でも驚くほど素晴らしい演奏。

彼は、夢から目覚めて、
不思議に思ったそうです。

なぜなら、彼は、長い間、
エレキギターを趣味にしていて、
ピアノは全く弾いたことが無かったのです。

彼の音楽仲間にピアノを
弾く人もいましたが、
接点としてはそれぐらい。

なぜ、ギタリストが夢の中で
ピアノを弾いていたのでしょう?

*

筆者は、彼に尋ねます。

” 弾いていた曲は何でしたか? ”

彼は、次のように答えました。

” メロディーは覚えていないが
多分、ジャズだったかな ”

この点も、
彼に疑問を抱かせた部分の一つでした。

彼の好きなジャンルはロックで、
ジャズを聴くことはほとんどない
ということでした。

次に筆者は、
弾いていた場所を尋ねました。

場所は、見知らぬ建物の中、
広いリビングのような場所で
聴く人はいなかったと言います。

そして、部屋の様子は、自分の
生活感の漂う散らかった部屋とは違い、
整然として綺麗だった。

つまり、彼は見知らぬ家のリビングにて、
触ったこともないピアノで、
聴くことのなかったジャズを
弾いていたということになります。

これは、一体、
何を意味しているのでしょう?

テーマの置き換え

セッションの間、筆者はいくつかの質問をし、
彼がそれに答えるというやり取りが
何度か行われた後、彼が、

” もしかしたら
心当たりがあるかもしれない ”

と言いました。

そして、自分なりの解釈を話し始めます。

彼は、音楽とは関係なく、
仕事や人間関係の面で、最近、
ずっと自分の生き方に疑問を感じていた
と言います。

” 俺は、このまま
年をとっていくのだろうか? ”

彼は何か新しいことを始めたいという思いが、
夢になったのではないかと分析しました。

筆者も、その解釈を聞いて納得しました。

*

彼は自分の人生を変えたがっていた。

この夢は、彼の抱えていた
” 人生の疑問 ” という重たいテーマを
” 音楽 ” という彼にとって日常的な
テーマに置き換えています。

自分が弾いたことのない楽器で、
彼の得意なロックではなく、
ジャズという、あえて、
未経験のジャンルに挑戦している。

彼が望んでいる
” これまでの自分を変えること ”
” 新しい生き方を選ぶこと ” を
夢の中でピアノを弾くという行為によって、
分かりやすく描写しています。

演奏している場所が
いつもの散らかった部屋ではなく、
見知らぬ整然としたリビング
という部分にもそれが現れている。

そして、その演奏は、
自分で驚くほど素晴らしい出来栄えだった。

これは、新しいことにチャレンジ
したその先に彼が明るい理想を
描けているということです。

それは、あくまで理想であって、
確定された未来ではありませんが、
少なくとも、現在の彼の潜在意識には、
雲一つない青空が見えている
ということなのでしょう。

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形無きメッセージ

さて、今回は、
ギタリストがピアノを弾く夢を見るという
少々、変わったケースを紹介しました。

彼だからこそ、未経験のピアノに
” 新しい生き方 ” という意味を
重ねることが出来た。

夢の中のアイテムに意味を
与えることが出来るのは、
結局、夢を見た本人だけなのです。

どんな夢も、それなりの個人的な
事情を背景に作られるものです。

ですから、ここで、項目別に一般論
としての解釈を紹介したとしても、
あなたの見た夢を読み解くヒント
にはならない。

むしろ、あなたに限っては、
当てはまらないのに、それが ” 答え ”
だと誤解を与えてしまうかもしれない。

あなたの見た夢は、
” 典型的な夢 ” ではないということを
知っておいてほしいのです。

それは、一つ一つが、
唯一の意味を与えられている。

*

自分の夢を読み解くというのは、
知的な作業のように見えて、実は、
直感的な部分が大きく占めるのです。

今回のセッションでも、
彼は、ちょっとした ” 気づき ”
によって夢の意味を自ら導き出しました。

本来、夢解釈は誰かに押し付けられる
ものではないのです。

なので、他人の夢を解釈する場合は、
実際に夢を見たわけではありませんから、
直感的に解決するというアプローチを
取ることが出来ない。

例えば、あなたが、夢の中で
何らかの曲を弾いていたとして、
その曲調やそのときに感じた感覚は、
あなた以外、誰にも分からない。

曲の雰囲気を言葉で
伝えることは可能でしょう。

早いテンポでポップな感じだったとか、
ロマンチックなラブソングのようだったとか、
何とでも言い表すことが出来る。

しかし、その曲を実際に聴かないと
正確な印象は分からない。

重要なのは、言葉では伝わらない
自分だけの ” フィーリング ” です。

*

夢が伝えるメッセージが必ずしも、
言葉で言い表すことが出来るものばかり
とは限りません。

その ” フィーリング ” こそが、
潜在意識が、あなたに伝えたかった
メッセージそのものだったりするのです。

 

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