現実だと思ってしまうほどリアルな夢。
大抵は、夢の内容にどこか矛盾する箇所が
あったり、ありえない設定だったりする
ため、目覚めてからも ” 単なる夢 ” として、
それほど気にならないものです。
しかし、リアルな夢は、登場人物や場所、
シチュエーションなどが現実の日常を
ベースに描かれるために、普通の夢と
違って、目覚めた後も鮮明に覚えている
ことがあります。
それ故に、何か特別なメッセージを
送っているようにも見える。まるで、
未来の出来事を暗示しているかのような。
この ” リアルな夢 ” は、
なぜ、作られるのでしょう?
そして、そうでない夢と
どんな違いがあるのでしょう?
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” リアル ” なのは現実に起こるから?
次は、とある男性が見た夢の一例。
恋人の家に今日も転がり込み、
ソファーに寝そべってテレビを見ている。
寝室で物音がする。
見知らぬ男がベランダから部屋に
侵入しようとしている。
男と取っ組み合いになり、その時、
恋人が仕事から帰ってくる。
恋人と目が合い ” 逃げろ! ” と叫ぶ。
この夢を見た男性は、とてもリアルな夢
だったので一人暮らしの恋人の身に
何か危険が迫っている警告夢ではないか
と心配します。
彼は半同棲のような形で恋人の家で
寝泊まりすることがよくあるということで、
” 今日も転がり込んでいる ”
と言うシチュエーションは、日常的な
風景を再現しているようにも見える。
そして、日常的風景であるゆえに、
そのストーリーが真実味をおび、
いわゆる ” リアルさ ” を演出しています。
リアルな夢を見た人の中には、
彼と同じように
” 凄くリアルだったから、もしかしたら
現実に起こることなのでは? ”
という不安を抱く事があるようです。
*
ここで、忘れてはならないのは、夢は、
その人の願望を映し出す性質があるという
ことです。
その性質は夢が未来を暗示する場合
であっても同じく働きます。
例えば、明日、会社でミスをして
怒られる未来が待っている場合、
前日に見る夢は、会社でミスをして
怒られる自分の姿そのものではなく、
” ミスをしたのは自分ではない ”
という形で作られます。
つまり、未来を知る由もない本人は、
脈絡もなく自分ではない他の誰かが
怒られている夢を見る。
そして、目覚めて次のように思う。
” なぜ、あいつが怒られていたんだろう? ”
こうして、未来の暗示を自分には無関係な
” 単なる夢 ” として片づけてしまう。
実際は、ストーリーにもう少し複雑な処理
が加えられますが、基本的に夢は、それが
未来の出来事であっても事実を都合よく
脚色するのです。
すなわち、現実に起こることを鏡に映す
かのように、そのまま夢にすることは無い。
夢とは、それが単なる願望夢であっても、
未来に関する予知であっても、その人の
” 主観 ” によって描かれていることを理解
しておく必要があります。
夢はそれを見ている本人が作っている。
つまり、夢の内容を自分の都合で自由に
書き換えることも出来る。
演出効果としての ” リアル “
では、今回のリアルな夢は、どう解釈
すべきでしょう?
この夢のポイントは ” 侵入者 ” ではなく、
彼とその恋人である女性 ” 二人の関係 ” です。
彼は恋人の自宅に半同棲という形で日常的に
世話になっており、日頃から恋人に対して、
” 世話になってばかりで悪いな ” と思っていた。
彼のその後ろめたい気持ちが
夢になったのです。
具体的には、彼女の自宅のベランダから
見知らぬ男が入ってくるという演出に
よって、自分が恋人を守る状況をあえて
作っています。
それを恋人に目撃させている。
” 俺だって少しは役に立つだろ ”
という彼の心の訴えが、この夢に描かれて
いるのです。そして、この夢はリアルで
なければならない。
なぜなら、明らかに夢だと分かるような
設定では ” 彼女を守っている ” ようには
見えない。
この夢は、自身の存在価値を証明するため
に作られたわけですから、彼にとって
” フィクション ” であってはならないのです。
この夢にとっての ” リアル ” とは、設定に
” 事実っぽさ ” を与えるための効果的演出
の一つです。
*
夢がリアルであったとしても、それが現実
に起こる可能性は、それ以外の夢と特に
違いはありません。
リアルでない夢が、実際に起こる出来事を
暗示している場合もある。
ただ、それが形を崩したメッセージなので、
リアルな夢に比べて、” 暗示 ” であることに
気づきにくいだけなのです。
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リアルでない夢
では、逆にリアルではない夢とは、
どんなものでしょう?
神話上の動物が登場したり、空を飛んだり、
全くありえない設定だったり、目覚めてから
絶対に実現することは無いと分かる夢。
しかし、潜在意識が、もし、夢を作る段階で
次のように意図したならば、どうでしょう?
” この現実を直視することは出来ない。
都合の悪い部分をファンタジーに変えて
しまおう ”
無論、その夢はファンタジーとして
描かれる。ありえない設定によってリアル
を隠蔽するのです。
なので、その夢が幻想的だったり、
ありえないシチュエーションだったと
しても、何らかの形で現実世界とリンク
している。
例えば、あなたが冒険家になって、
密林の部族に追われる夢を見たとします。
日常からかけ離れた設定ですから、
目覚めてからも、” 単なる夢 ” としか
思えないでしょう。
そして、その数日後、あなたは
とある場所で口を出すべきでないことに
口を出してしまい、周りの人のひんしゅく
を買う。
つまり、夢の中の部族は、
” 縄張りを侵された者の怒り ” を意味し、
冒険家のあなたは、” 縄張りを踏み越えて
しまった不注意なよそ者 ” です。
*
このように、日常の出来事がありえない
設定に作り変えられ、非現実的な夢になる。
夢に描かれることは、全てがその夢を見る
本人のために作られているわけですから、
本人に無関係な夢など存在しないのです。
ゆえに、それが、どんなに非現実的な設定
だったとしても、そこには必ず、現実的な
メッセージが託されている。
演出に込められた意図
もし、あなたの見た夢がリアルだった
として、まず、潜在意識が、なぜ、
その夢をリアルに描いたのか、一度、
考えてみましょう。
そして、自分が今置かれている状況や
抱えている悩みなどを振り返えってみる。
そこに、夢を読み解く ” 鍵 ” が
見つかるかもしれない。
*
夢に取り入れられている演出に偶然は
無いのです。
全ての演出は意図されたもの。そして、
その ” 意図 ” とは、あなたの意図なのです。
そもそも、夢とは、それを見た本人の内側
から生まれたものですから、本来は夢を
読み解くための特別な技術や新しい知識
など必要ないのです。
夢の作り手である自身の心に問いかけて
みてください。
なぜ、この夢を作ったのか?
なぜ、自分にそれを見せたのか?
ただし、潜在意識は、現実世界で私たちが
日常的に使っている ” 言葉 ” によって
メッセージを伝えてくることはありません。
イメージと感覚こそが潜在意識にとっての
” 言葉 ” なのです。なので、問いかけに
対し、セリフとして返ってくるわけではない。
例えば、今回の夢を見た彼が、夢の内容に
” 恋人に対する気まずさ ” を感じたとしたら、
その感覚こそがメッセージです。
自分が夢の中で何を感じたのか
思い出してみてください。
” 感覚 ” を深く、探っていくのです。
” 答え ” は、既に目の前に差し出されている。
後は、あなたが、
それに気づくかどうか、だけです。
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