なぜ、人は夢を見るのか?|睡眠の阻害と副作用

人は、なぜ夢を見るのでしょう?

レム睡眠や記憶の整理といった脳科学の話
をしているわけではありません。単純に
人が夢を見る理由です。

例えば、空腹を感じながら眠っている時、
食事をしている夢を見ます。夢の中で
食事をして実際の空腹感を誤魔化そうと
している。

それ以外にも、よくあるケースとしては
トイレの夢などがあります。

眠りながら尿意を感じると、トイレに
行く夢を見ますよね。夢の中でトイレに
行くことで、起きるための動機が一時的に
薄れる。

夢とは、眠りを妨げる要因を排除しよう
とする働きがあります。

潜在意識は夢を作り、その中で様々な
欲求を処理しながら私たちを目覚めから
遠ざけようとする。

私たちは眠り続けることで身体や精神の
欲求を打ち消し、常に、心身のバランスを
取り戻そうとしている。

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眠り続けるための夢

次は、筆者自身が見た夢の一例です。

ベッドで眠っていると違和感がある。
 
起き上がってみると幽体離脱している。
 
自分の体はぐったりとして、
死んだように横たわっている。

これは、一見すると、いわゆる幽体離脱を
体験しているようにも見えます。実際は、
過労によって疲れた体から解放されたい
という気持ちが表現されたものです。

” ぐったりした体 ” を自分から切り離して
心地よく眠り続けるために夢の中で体と
心を分離しているのです。

と言っても実際に分離したわけでは
ないので、もちろん、体は疲れたまま
なのですが、” そんなような気がする ”
と言う程度の錯覚で眠り続けることが
出来れば、目的は達成できます。

そもそも、夢とは、
潜在意識が作り出した ” 錯覚 ” です。

次も、シンプルな夢の一例です。

兄のスマホの着信音が鳴っている。
また、スマホを忘れて出かけたらしい。
 
私は、着信音を無視して眠り続ける。

この夢を見た女性は、あまりに着信音が
うるさいので、結果、目覚めてしまいます。

それは、目覚まし時計の音だった。

夢の中で、目覚まし時計のベルを、兄の
スマホの着信音にすり替えて、やり過ご
そうとしています。

兄の携帯の着信音であれば、彼女がそれを
取る必要はなく、鳴り続けるそれを無視して
眠り続けること出来る。しかし、結局は
誤魔化しきれずに起きてしまう。

いずれにせよ、電話ならば放っておけば
いずれ切れるだろうという憶測を含めて、
潜在意識は、時計のベルを着信音に
すり替えている。

夢の中で夢を記録する

筆者自身の夢をもう一つ紹介
しましょう。

スマホアプリのボイスレコーダーを
起動する。
 
先ほど見た夢の内容を録音しようと
するが、なぜか録音出来ない。

夢から目覚め、再び眠りに落ちてしまった
ときの夢です。

夢の中では自分が起きていると思い込み、
ボイスレコーダーで声を録音しようと
するが、音が撮れずに何度かやり直して
いるという状況。

筆者には、見た夢をボイスレコーダーに
記録するという習慣がありますので、
常に枕元にスマホを置いています。

なので、” 夢を記録しなければ ” と思い
ながら二度寝してしまった時によく
こういった夢を見ます。

夢の中でさっき見た夢の内容を記録する
という奇妙な行為ですが、大抵は録音を
失敗して作業を繰り返すことになります。

この夢も、やはり、眠り続けるための
ものです。本来は起きてすべきことを
夢の中ですることで、少しでも眠り続け
ようとしている。

そして、上手く録音出来ないというのは、
意識をそこに留めて、時間を引き延ばす
ための策略です。

もし、無事に録音が終わってしまえば、
意識は別の何かに気づくでしょう。
例えば、これは夢の中であるとか。

潜在意識が目覚める動機を与えないよう
注意を反らしているのです。

このように、疲れ、空腹感、環境音など、
五感に伝わる単純な要因が眠りを妨げる
という場合もありますが、精神的な要因、
不安や願望などが眠りを妨げる要因となる
こともあります。

心配事があって夜眠れないといったことは
誰にでもあると思いますが、眠りに落ちた
後も、それらは眠りの邪魔をする。

人が日常感じているストレス、心に
引っかかっている心配事、将来への不安、
恋の悩みなど、様々な思いが夢になる。

身体的な要因に比べ精神的な要因から
作られる夢は、人の心の問題を扱って
いるので、より、複雑で難解になります。

では、精神的要因が睡眠を妨げる例を
見ていきましょう。
次は、とある男性が見た夢の一例です。

愛用していた腕時計を失くしたらしい。
家の中を探し回るが、どこにも無い。

筆者が腕時計について尋ねると、奇妙な
ことに、彼は日頃から腕時計をつけない
と言います。

ただ、家には一つだけ腕時計が置いてあり、
それは、勤続年数十年になるお祝いとして、
彼の勤める会社から贈呈されたものという
ことでした。

腕時計には、もう何年も触っていないはず
ですが、なぜか夢の中では、いつも着用
する愛用品ということになっていた。

この夢における ” 腕時計 ” は象徴的な
意味合いを持ちます。それは、彼にとって
仕事と深く繋がりのあるアイテム。

そこから、仕事に関する何らかの出来事が
この夢を作るきっかけになっていると推測
することが可能です。

実際、最近になって彼は仕事のことで、
不快な体験をしていました。それは、
とある契約社員に契約打ち切りの宣告を
しなければならなかったのです。

その社員とは、ずっと一緒に仕事をして
きた職場の仲間だった。

彼は仲間を裏切ったような気分になり、
これまでチームプレーを重んじてきた
自身の仕事に対する誇りが失われたように
感じた。

” 腕時計 ” は、これまで持ってきた彼の
仕事に対しての ” 誇り ” を表し、
潜在意識は、それが失われた状態を、
いつも身に着けていた愛用品を紛失した
という設定に置き換え、再現したのです。

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副作用としての睡眠阻害

常に身に着けているもの、という点で
” 誇り ” と ” 腕時計 ” には共通点があり、
それを潜在意識は利用したわけです。

彼に、失ったものは ” 誇り ” ではなく、
ただの腕時計だという錯覚を与えることで
夢を見ている間、彼は罪悪感から逃れる
ことが出来る。

こうした夢の性質を理解していないと、
” 誇り ” という精神的なものが ” 腕時計 ”
という物体に置き換えられていることに
気づかずに見過ごしてしまうでしょう。

罪悪感は、確実に彼の深い睡眠を妨げる
要因になります。そして、この夢は、
それを偽装によって回避している。

それが、身体的な要因であっても、
精神的な要因であっても、眠りを妨げる
ものであれば、潜在意識は夢を作って
回避しようとします。

誤魔化しながら眠り続けるよりは、起きて
対処した方がよいと思える時であっても、
この機能は維持される。

なぜなら、潜在意識は世界を創造できる。
起きて対処が必要であると判断すれば、
起きて対処をしている夢を作るでしょう。

対処するのに、助っ人が必要なら、
登場人物としてそれを付け加えるでしょう。
職場に問題があるというなら、職場を再現
するでしょう。

自分の思い通りにならない現実世界で
問題に取り組むよりも、ずっとスマートに
問題を解決できる。仮に、現実で目覚めた
からといって現実世界の問題を解決できる
保証はない。

そして、潜在意識が夢を作り続けても、
十分な睡眠が取れていれば、体が勝手に
目覚めるでしょう。裏を返せば、
潜在意識が夢で引き留めているうちは、
十分な睡眠が取れていないのです。

悪夢についてはどうでしょう?

悪夢にうなされて飛び起きたりすることが
あります。夢自体が睡眠を阻害している。
確かに、潜在意識の目的に反する状況です。

悪夢については、他の記事で詳しく説明
していますが、ここで簡単に説明する
ならば、それは過度な演出効果によって
出た薬の副作用のようなものです。

例えば、糖尿病の治療に使われる血糖値を
下げる薬が効き過ぎて、逆に低血糖状態に
なるといった状況と同じです。

本来は、不安を回避するために作られた
悪夢が、夢を見る本人に意図せぬ恐怖感を
与えてしまい、耐え切れず、夢の途中で
目覚めてしまうといったことです。

実際、夢には続きがあり、その恐怖を
克服し、再生に向かうストーリーであった
としても、結末を見ることなく途中で
目覚めてしまえば、それは単なる怖い夢です。

その悪夢が恐怖であるほど、いわゆる
” 荒治療 ” を行っているのです。つまり、
処理しなければならない心の問題が、
深刻な状態であることを示している。

荒治療の結果、目覚めてしまうという
ことなら、それは潜在意識の調整機能では
間に合わなかった。

つまり、現実世界で私たちが、問題と
向き合って行動する必要があるという
潜在意識からの ” シグナル ” と捉える
こともできます。

 

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