身近な人に不幸が訪れる夢|それは予兆か?

家族や恋人など、大切な人が夢の中で
瀕死の重症を負ったり、または、
死に至るといった場合。

もし、そういったことが現実で起こる
とすれば、その日は人生最悪の日になる
でしょう。

夢とは自らの意思で作るものですから、
基本、大切な人に大怪我を負わせたり、
死なせたりするといった悲劇的設定にする
はずは無いのです。

しかし、そういった夢は実際にある。

そういった夢を見たとき、
” 深層心理では、あなたはその人の不幸を
願っている ”
などという軽はずみな分析を真に受ける
べきではありません。

潜在意識は、それほど単純ではないのです。

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設定の中の矛盾

次は、とある女性が見た夢の一例です。

建物に入っていくと、
喪服を着た親戚たちに会う。
 
誰の葬式か尋ねるが、
誰も目を背けて答えてくれない。
 
父がいないことに気づき、
居場所を尋ねると親戚の一人が
” もう会えない ” と答える。

彼女は親戚の一言で、これは父の葬式
だと悟り、頭が真っ白になったそうです。
そして、その衝撃から目を覚ました。

そのリアルな設定から、彼女は、これが
何か悪い出来事が起こる予兆ではないかと、
怖くなってしまったと言います。

彼女の潜在意識は、一体、なぜ、
このような夢を作ったのでしょう?

まず、筆者は、彼女に父親について
尋ねました。

” あなたにとってお父さんは
どういった存在ですか? ”

父親は躾に厳しく、子供の頃から、
よく叱られていたと言います。

コミュニケーションを取りづらく、
父と娘の間に理解しあうことが出来ない
溝のようなものがあると。

彼女にとって父は ” 理想の父親像 ” とは
程遠い存在だったのです。

このエピソードだけを聞くと、
彼女の深層心理に、父に居なくなってほしい
という願望があるという解釈も可能です。

そして、夢の内容も、一見すると辻褄が
合っているように見える。

ただ、現在、彼女は家族とは住んでおらず、
一人暮らしをしているということでした。

ある意味、父は、自分の生活圏内からは、
” 居なくなっている ” わけです。

すでに成就された願望を再度、夢で実現
する必要があるのか? という部分が
筆者に疑問を抱かせたのです。

そして、何より彼女自身が、この夢に
ショックを受けていることからも、いくら
理想の父親でなくとも、大切な家族を失う
というのは耐え難い痛みには違いない
ということが伺えます。

もう一つの疑問点

筆者が、変だと感じたもう一つの点は、
夢の中の設定では、彼女は、これが
父の葬儀だということを親戚から
聞かされ、初めて知るという部分です。

普通ならば、家族である彼女に、
葬儀を行うよりも前に訃報が届くはず。

夢の中で彼女は、全く誰の葬儀かも
分からないまま建物に入っていった。
その建物は見知らぬ場所で実家では
なかった。

無論、この夢を作ったのは彼女自身
ですから、本当は誰の葬儀なのかを
知っていますし、そもそも彼女が、
葬儀というシチュエーションを選択
しているわけです。

それなのに彼女は、親戚に誰の葬儀なのか
を尋ねている。

彼女は自ら、自分だけが何も知らない
という状況を作り出そうとしているのです。

遠い親戚よりも遅れて訃報を受け取り、
それも、はっきりとした形ではなく、
親戚は彼女の問いかけに ” 仲間外れ ” を
しているかのように目を逸らす。

よく知っている実家ではなく、
来たこともない見知らぬ場所で、
彼女抜きで行われようとしていた葬儀。

夢の中で彼女は、次のように思った。

” なぜ、私だけが知らないの?
なぜ、誰も教えてくれなかったの? ”

彼女は、自分が最も辛いシチュエーションを
あえて採用しているのです。

そして、彼女にとっては、その憤りを
ぶつける相手である父が ” もう会えない人 ”
になっている。

まるで、自分自身をいじめるかのような
数々の設定。

一体、彼女の潜在意識は
何を伝えようとしているのでしょう?

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罪と罰

彼女と父の間にある見えない溝。
筆者は、彼女に尋ねます。

” 溝の原因は何だと思われますか? ”

彼女は、父が子供の頃の自分に行った厳しい
躾が原因ではないと答えます。

それは、一つのきっかけかもしれないが、
溝の本当の原因は自分にあると、彼女は
重い口を開きました。

彼女は、お盆など実家に帰郷することが
ある時は父が不在のときに訪れ、
帰ってくる前に家を出るといった、
なるべく父と顔を合わせないよう避けている
ということでした。

社会人になり、実家を出てから、
特に理由もなく、ずっとそんな調子で父を
避け続けていたのです。

ただ、彼女は心の中で、自分の冷たい態度が
父をどれぐらい傷つけているのか、それを
思うと胸が痛むと言います。

それだけが、ずっと引っかかていると。

この夢は、彼女の父に対する罪悪感が
描かれているのです。

謝罪の意を表すことも出来ないまま、
長い時間が過ぎ去り、後戻りすることも
出来なくなってしまった。心の中に鬱積した
それが彼女を苦しめ続ける。

そこで、潜在意識は、
彼女に ” 最も重い罰 ” を与えたのです。

” 大切な人の死 ” と言う。

彼女から、
” ごめんなさい ” と言う機会を奪い、

勝手にいなくなってしまった父に憤りを
ぶつける機会を奪い、
父から娘を責める機会を奪い、

彼女だけを一人置き去りにして。

彼女がこれまで父に対して取ってきた
” 冷たい態度 ” を父に取らせているのです。

” 私のしてきたことは、
これぐらい酷いことなんだ ”

一通のメール

セッションが終わり、しばらくしてから、
彼女から一通のメールが届きました。

父と電話で短い話をしたそうです。

その時は、謝ることは出来なかったが、
父は最後に会った時と何も変わって
いなかった。

厳しく、諭すような物言い、
押しつけがましい助言、そして、
いつも娘の心配ばかりをしている父の声。

彼女は、少しだけ胸のつかえが
取れたような気がすると言いました。

さて、あなたの夢に家族や恋人など、
大切な人が夢に登場し、そこで何か悲劇が
起こったとしたら、すぐに悪い出来事の予兆
に結びつけるべきではありません。

仮にあなたの家族が何かの事故で怪我をする
未来が待っているとしても、潜在意識は
事故そのものを夢に描くことは無いのです。

なぜなら、それが未来の出来事に関する夢
であっても、それは夢を見ている本人に
よって作られるものですから、
都合の悪い事実は、都合良く脚色を加えた
形で作り直される。

例えば、階段から落ちて骨折するという
出来事ならば、階段が忽然と消えるとか、
その人の愛用している傘が壊れるといった、
一見すると無関係な夢として作られる。

即ち、事故がリアルに再現されるほど、
それは返って非現実的な夢なのです。

なので、家族が危機に瀕している夢を
見たとしても、まず、すべきことは、
夢の内容に矛盾した設定は無いか、
それを見つけることです。

今回の夢ならば、彼女だけが父の訃報を
受け取っていないという部分です。

そして、見つかったなら、
なぜ、潜在意識が、あえてその設定を
選んだのかを考えてみてください。

今回の夢のように心当たりが見つかる
場合もありますし、近い将来について
描かれている場合もある。

いずれにしても、夢は、あなた自身が
作ったものであることには
変わりないのです。

 

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