夢解釈で気をつけておきたいこと|主観と客観を意識する

夢を読み解く上で障害となることの一つに
” 願望 ” があります。

潜在意識が、あなたに何かメッセージを
伝えたとしても、それが自身の願望によって
歪められてしまう。

これは夢だけに限ったことではなく、
現実世界でもよく見られることです。
例えば、言葉の捉え方にそれは表れる。

あなたがSNSで何か発言したとして、
それに対し肯定的な受け止め方をする人も、
否定的に受け止める人もいます。

何気ないジョークのつもりが、性別や人種、
社会的立場、生きてきた環境によって
通じなかったり。

意見の相違が生まれたりした時、
相手のことを ” 何でそういう捉え方なの? ”
と思ってしまうことって、ありますよね。

相手は、別にあなたを困らせようとしている
わけではなく、それが正しい視点だと
思っている。

逆に、相手の方も、あなたについて、
” この人は、なぜこんな考え方なんだろう? ”
と思っている。

こういった現象が起こるのは、各々が
” 自分が望んだ世界 ” に基づいて情報収集し、
得たい知識を選択して、なりたい考えに
なるからです。

つまり、世の中の意見の相違、そこから
生まれる対立、誤った現状認識は、
人間の ” 願望 ” が引き起こしている。

では、夢の場合は、どのような形で
願望が正しい解釈を妨げるのでしょう?

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” 願望 ” が正しい解釈を妨げる

次は、とある受験生が見た夢の一例です。

第一志望の大学の学生から、
LINEグループに招待される。

この夢を見た彼は、第一志望の大学に
合格する暗示と解釈します。要するに、
晴れて合格した後に同じ大学に通う
学生の仲間入りを夢の中で果たしている。

ただ、彼は次のように言います。

” この解釈は都合が良過ぎますよね? ”

” どうして、そう思われるのですか? ”

彼いわく、勉強は思うように捗っていない
と言います。第一志望大学に合格する実力が
自分には、まだ、備わっていない気がすると。

” ストレート過ぎますよね? ”

” 確かに、別の解釈をすることも出来そう
ですね。あなたが自信を持てないと
言うのであれば、その気持ちの裏返し
として夢が作られているのかも・・ ”

彼は受験において、自分に実力が備わって
いないことを理解しています。
それと同じく、夢解釈が願望の影響を
受けていることに気がついています。

仮に、もし、彼に自己分析をする冷静な
判断力が無かったとしたら、
どうだったのでしょう?

多分、自分の実力がどれぐらいあるのか、
現時点で合格する可能性がどれぐらい
あるのか、見積もることは出来なかった
でしょう。

そして、夢の意味を ” 合格の暗示 ” だと
信じ続けてしまうかもしれません。

では、この夢は、実際、
何を意味しているのでしょう?

LINEグループに招待されるという設定は、
大学受験とは直接関りがあるわけではない。
多分、不合格であっても人脈さえあれば、
グループに入ることぐらいは出来るでしょう。

だから、期待の薄い大学を諦め、気休め
としてグループに入ったという解釈は
可能です。

とは言え、この解釈が必ずしも正解という
わけではなく、単に捉えうる解釈の一つに
過ぎません。

故に、厄介なのです。
都合の良い解釈を選択出来てしまうことが。

次は、とある女性が見た夢の一例です。

好きな男性からメッセージが届く。
薬指のサイズを尋ねる内容。

彼女はこの夢を見て、とっさに ” 結婚 ”
という二文字が浮かんだと言います。
そして、唐突に筆者に尋ねます。

” これは、結婚の暗示ですよね? ”

” ちょっと待ってください。まずは、
あなたとその方のご関係について
いくつかご質問させて頂いてもよいですか? ”

彼女の説明では、その男性とは、最近、
知り合ったばかりで、まだ、数回しか
会っていないと言います。

ただ、男性は会社を経営しており、
乗っている車も高級スポーツカーという
ことで経済面では、かなりの有望株。

” ルックスも悪くないですし、理想の相手
としては申し分ない人なんです! ”

その熱の入れようから、彼女の結婚に対する
強い思いが夢になっていると解釈することは
容易でした。

では、この夢は、
実際、何を意味しているのか?

” 実際に交際されているわけでは
ないんですね? ”

” ええ、まだ、数回しか会ってませんから ”

” つまり、結婚という話は、
まだ、具体的なものではない? ”

” そうですね・・
でも、薬指のサイズを聞くっていうのは、
そういうことですよね? ”

” それは夢の中での出来事ですよね。
それとも、実際に二人の間で、結婚に
ついての話があったということですか? ”

” いえ、でも、マッチングアプリに
登録しているということは
そういうことでしょう? ”

” ああ、なるほど、マッチングサービスで
出会われたんですね? ”

” ええ、地元で近くに住んでいるという
ことで会おうという話になりまして・・ ”

まず、この夢を作ったのは彼女自身なので、
彼女の願望がストレートに夢になったと
解釈することは出来ます。

それは彼女の夢ですから、極論、夢の中で
結婚式を挙げることも出来たでしょう。

ただ、今回の夢は、指のサイズを聞かれる
という控えめな設定。

彼女が結婚への焦りを持つ一方で、
まだ、そこまで望むことは出来ないという
冷静な一面がこの設定に表れています。

筆者がこの解釈を話すと彼女は、
少し残念そうに言いました。

” 暗示ではなくて、私の願望が
夢になっていたということですか? ”

” あくまで個人の一意見に過ぎませんが・・
どう捉えるかは、あなたが決めることです ”

それから、一週間ほどして彼女から
返信があります。

その男性とは、結局、交際には
発展しなかったということでした。

” 私が思っていたような人では
ありませんでした ”

付け加えて、彼女は夢の内容について、
次のように言います。

” 夢の中でサイズを聞かれたけど、
返信しなかったんです。どこかで
躊躇していた自分がいたのかも・・ ”

結婚への熱が冷めた時、彼女は改めて
自身の中にある別の一面に気づくことが
出来た。

夢の中の彼女の取った行動は、
現在の彼女の心境そのものだった・・
と解釈するならば、ある意味、
彼女が見たものは単なる願望夢ではなく、
” 暗示 ” だったのかもしれません。

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主観と客観の使い分け

自分で見た夢を自分で解釈するという
ことには、夢を都合良く捉えてしまう
という ” 落とし穴 ” があります。

先ほど紹介した夢のように、
強い結婚願望があれば、恋人や意中の人が
登場する夢を見れば、それがどんな内容
であったとしても ” 結婚の暗示 ” という
解釈になってしまう。

自身で夢を解釈してみて、

” これって、自分が都合良く解釈している
だけでは? ”

と頭に疑問が浮かぶとしたら、冷静な
判断が出来ている状態です。もし、真実が
見えなくなっているとしたら自分の考えに
疑問を感じることもありません。

夢解釈において、100%の確証を得ることは
永久にありません。

これが、答えだと思えるものに辿りついた
としても、あくまで ” 多分、これだろう ”
という程度の認識でしかないのです。

そこに腑に落ちる感覚があったとしても、
大抵は、若干の疑念が残る。むしろ、
少しの疑念は残しておくべきと思います。

もし、100%の確証があると言うなら、
それは、どこかに不備があるのです。

見たくないものに目を塞ぎ、
見たいものだけを見る。

それが、人です。

どんな人であれ、常に冷静に物事を観察
することは難しい。

度々、このブログでは、夢解釈には
” 主観 ” が重要だと説いています。
それは、夢がそれを見る人の主観によって
作られるからです。

ゆえに夢解釈は、主観と客観を使い分け
ならが行うことになる。厳密に言うなら、
” 主観を客観的に観察する ” ですが。

夢という心の中に作られた世界を主観と
客観を行ったり来たりしながら観察していく
という作業は一見すると難しく思えます。

筆者でも依頼された支離滅裂な夢の内容を
拝見して、どこから手をつけるべきか
分からないということはよくあります。

セッション中に
” もしかして、こういうことかも ”
と頭に浮んだ気づき。 こうした曖昧な
” 気づき ” から分析が始まることが多い
のです。

目覚めた直後のバイアス

人々は、この何事も不確かな
人生に不安を感じ、確証を求めたがる。

” 確証を得たい ” という願望が、不確かな
真実を遠ざけ、それっぽく作られた嘘を
信じ込ませる。

身近な例で言えば、ネット上でよく見る
” 口コミで話題の・・ ”
というお馴染みのフレーズ。

しかし、実際にその商品を使ってみて
首を傾げるということがあります。
疑り深い人なら、ネットの口コミは
当てにならないと思うでしょう。

ただ、多くの人がそのフレーズに
惹きつけられて商品を買う。

それは、販売実績として確かな数字に
なるわけです。そして、その数字が、
消費者への説得材料として公告に使われる。

これをサクラとか、ステルスマーケティング
の結果だと言う方もいるかもしれませんが、
筆者はもっと単純な話だと思います。

人々が ” 確証 ” を欲しがっただけ。

それがバイアスとなり、商品に対する
評価が歪められた。

少し話が逸れてしまいましたが、要するに
何かを導き出すときに、時として、
人の願望が邪魔になることがあると
言いたいのです。

夢解釈にもそれは当てはまる。

自身の見た夢に向き合った時、
その夢に期待していることはないか、
夢から目覚めて真っ先に頭に浮かんだ
ことはないか、そこに注意が必要です。

真っ先に浮んだことは、
大抵、その人が求めている解釈です。

例えば、自分が不幸な出来事に遭う夢
を見たとして、目覚めてからすぐに

” もしかして、
悪いことが起こるのだろうか? ”

と思ったのなら、その解釈は求められた
ものです。

それは、自分が不幸に遭遇することを
求めているのではなく、
常々心配している不安な気持ちから、
夢で見た不幸が実現するかどうかの
” 確証 ” を求めているのです。

もし、実現するならば対処する必要が
出てくる。

丁度、将来に不安を持っている人が
保険会社のCMに反応してしまう心理と
同じです。

なので、本当は目覚めた直後ではなく、
感情の高ぶりが静まった頃に、夢の内容を
思い返す方が客観的視点で夢と向き合う
ことが出来る。

夢とは、結局のところ
” 幻想 ” に過ぎないのです。

幻想に確証を求めるというのは、
神秘体験や心霊現象に確証を求めるに
等しい。

ビジネスや法律の世界では、
物事はもっと明確で論理的です。

私たちはそういったシステム化された
社会で働き、生活している。ゆえに
確証を求めることが問題を解決する
正攻法だと思ってしまう。

しかし、人の心はそうなってない。

曖昧で矛盾しており、常に不確かな
世界に存在している。

きっと現代社会で問題となっている
心の病は、社会システムと人との間にある
ギャップ、” 明確さ ” と ” 曖昧さ ” の
不均衡によって生まれるのでしょう。

文明社会がより高度に発展していく中で
人類が誕生してしてから ” 心 ” だけは
何も変わっていない。

これからも、変わることはないでしょう。

 

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