夢の中の ” 虫 “|実在しない生物を解釈するには

夢の中で ” 虫 ” が登場することがあります。

虫と言えば、蝶のように美しい存在
もあれば、蜂のように危険な存在、
ゴキブリのように不快な存在もいます。

また、見たこともない模様の虫や、
巨大な虫、何かと何かが合体したような
奇妙な虫など、現実には存在しない生物が
登場することもある。

それら実在しない昆虫は、
どのように解釈すべきでしょうか?

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奇妙な模様の蜘蛛

次は、筆者自身が見た夢の一例です。

朝、目を覚ますと、布団の上に
拳ほどの大きな蜘蛛がいて、自分の
右腕に糸を巻きつけようとしている。
 
それを必死に振り払う。
 
蜘蛛は黒と青色のストライプ柄の
奇妙な模様。

夢占いでは、” 蜘蛛 ” は不快な出来事の
訪れを暗示すると言われます。

また、シチュエーションによっては、
良い知らせの予兆とも言われている。

さて、良いか悪いかで言えば、
この夢は、悪い夢ということになります。

それは、夢占いの項目を調べて、
不吉な解釈が載っていたからではなく、
単に、この夢を見た筆者が不快に
感じたからです。

さて、個人的に不快に感じたから、
という浅はかな理由だけで
判断してしまってよいのでしょうか?

本来なら、しっかりとした根拠に基づき、
誰が解釈しても同じ答えを導き出せる
ことが適切な夢解釈だと。

確かに、個人の勝手な感想で
答えがコロコロ変わるとしたら、
何が正しいのかが分かりません。

しかし、残念なことに、実際は、
夢の意味は、人によってコロコロと
変わるのです。

例えば、朝に蜘蛛を見る夢は、夢占いでは
良い知らせが来る暗示とされていますが、

通勤時、どこからともなく小さな蜘蛛が
飛んできて、あなたの肩に着地する
という夢を見たとして、
それが朝の設定だったとしたら、

それは、
幸運の兆しと判断すべきでしょうか?

重要なのは、
あなたがその場面で何を感じたのか・・

その蜘蛛を見て、
” あら、かわいい ” と思ったのか、
もしくは、その瞬間、体をのけ反らせて
振り払ったのか、それによって
解釈が分かれるということです。

夢の作り手である潜在意識は、
自ら用意したその蜘蛛が
何を意味しているのかを知っています。

つまり、肩に着地したのが、蜘蛛に例えた
別の ” 何か ” であるということを
知っているのです。

そして、潜在意識とは、
あなた自身でもある。

これは蜘蛛の解釈に限った話ではなく、
夢解釈全般に言えることです。

夢を見た本人の ” 感覚 ” が、
それを読み解く鍵となる。

なぜなら、夢で描かれる全てが
” 感覚 ” によって構築された世界だから。

主観によって作られた世界

夢とは、
その人の中にあるイメージの集合体です。

そして、それは、
” 主観 ” によって作られたもの。

主観とは、
個人の感覚でとらえた認識そのものです。

簡単に説明すると、あなたは
庭先で一匹のチャバネセセリを見かける。

それは、セセリチョウ科に分類される
蝶の一種で全体が明るい茶色です。

しかし、昆虫に詳しくなかったあなたは、
それをてっきり蛾だと思い込んでいた。

その晩、夢にその蝶が登場したとしたら、
そのイメージは ” 蛾 ” として
登場しているのであって、
” 蝶 ” という扱いにはならない。

現実世界におけるあなたの誤認識は、
夢の世界では、事実です。

さて、” 蛾 ” が登場する夢は、
夢占いでは不吉な夢の代名詞のように
扱われていますが、もし、あなたが
夢の中に登場したそれを見て、
次のように感じたとしたら、どうでしょう?

” あ、これ見たことある。
こんな綺麗な茶色の蛾もいるんだ ”

それが、蝶であろうと、蛾であろうと、
あなたが、それを見て感じた感覚が
真実です。

潜在意識にとって、
それが何科に属するものなのかは、
どうでもよいのです。

ただ、あなたに
” 今まで見過ごしていた美しさ ” に
気づいもらいたかっただけ。

無論、美しさとは、チャバネセセリの
羽の色のことではありません。
それは、あくまで潜在意識が思いついた
” 例え ” です。

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早朝のホームで

では、話を蜘蛛の夢に戻しましょう。

まず、筆者は今回の夢を見て、
とても不快に感じました。
実際に夢の中でも、腕を振り払って
蜘蛛を遠ざけようとしています。

ここで気になるのは、
蜘蛛の黒と青の奇妙なストライプ模様。

もちろん、実際には存在しない蜘蛛で、
明らかに筆者が作り出した架空の生物だった。

ただ、夢を見た直後は、
なぜ、潜在意識が単なる蜘蛛ではなく、
奇妙な模様の蜘蛛をキャスティング
したのか、分からなかったのです。

その時は、気味が悪い
という印象しかありませんでした。

それから数日ほど経ち、用事があって
とある大きな駅を訪れた時のことです。

乗車予定の列車が来るまで、
少しばかり時間があったので、
ベンチに腰かけて待つことにしました。

早朝ということもあり、睡眠不足のせいか、
何度もあくびをしていた。

荷物を足元に置いて。

しばらくは、睡魔に耐えながら
意識を保っていたのですが、
ふと、右側に人気を感じ、視線を向けると、
いつの間にか背広を着た中年男性が
座っていた。

駅のホームに人気は無く、
他にも空いているベンチはあったのですが、
なぜかその男性は、筆者のすぐ隣、
ちょっと肘を動かせば触れる程度の
至近距離に座っているのです。

妙に不自然に感じました。
それから、彼の胸元に目が止まった。

ネクタイの柄を見て、
夢の中の蜘蛛を思い出したのです。

それは、全く、同じ模様では
ありませんでしたが、何となく、
あの蜘蛛の模様にも似た青と黒の柄。

筆者は静かに席を立つと、
その場を去りました。

” 思い過ごし ” という事実

結局、それらしい出来事は
何も起こらなかった。

あの男性が、
なぜ、筆者の隣に座っていたのか、
それは、今でも分かりません。

筆者の思い過ごしなのかもしれない。

実際、夢にまつわるエピソードには、
こういった出来事との関連性が
はっきりしないことは、よくあります。

先ほども言ったように、夢は、その人の
” 主観 ” を描いているだけなのです。

今回のケースでは、筆者が駅で出会った
男性に不信感を抱いたことには
間違いありませんし、
その感覚が発端となった。

実際に、手荷物を盗まれるというような
被害が起こらなかったとしても、
男性にそのような意思が初めから
無かったにしても、

結局、夢に描かれるのは、筆者が
どう受け止めたかという主観なのです。

それが、暗示として夢に表れた・・

夢とは、出来事そのものを描く
わけではなく、出来事に対する
個人の ” 感想 ” が描かれるのです。

今回の夢では、蜘蛛のストライプ柄と、
男性のネクタイの柄は似てはいましたが、
厳密には違っていました。

これも、結局は、
筆者の中のぼんやしした ” 印象 ” が
再現されているだけなのです。

もしくは、気味悪く感じた奇妙な模様は、
” 疑わしさ ” や ” 不信感 ” という
感覚を映像として表現した結果だった・・

そう解釈するならば、
この夢における蜘蛛は、筆者にとって、
” 疑わしき存在の象徴 ” だったのかもしれません。

さて、夢の中に
実在しない生物が登場した場合、
どう解釈すべきでしょうか?

今回のエピソードでは、
実在しない蜘蛛を取り上げたわけですが、
それが、蝶であれ、カタツムリであれ、
謎の生物であれ、

それらは、夢を作った本人の ” 主観 ”
によって再現された存在だということを
頭の隅に入れておく必要があります。

その生物に何を感じたのか、
まず、自分の感じた ” 感覚 ” を
もう一度振り返ってみてください。

それを見て ” 触ったら噛まれそう ” とか、
” 日の当たらない場所で生息していそう ”
” 捕まえたら高値がつきそう ” など、
何か感じることがあれば、そこから
分析を始めてみてもよいかもしれません。

そして、その虫は何らかの例えである
ということを踏まえながら、
自身に心当たりのありそうな願望や出来事を
洗い出していく。

また、架空の虫に対する印象は、
色彩に対する印象にも似ています。

例えば ” 赤 ” と言えば ” 情熱 ” と言った具合に
色から連想する言葉がありますが、
一体、なぜ ” 赤 ” が ” 情熱 ” なのか?
と聞かれても、
” 何となく ” としか答えようがありません。

そこに明確な根拠など無い。

しかし、そう感じてしまった以上、
その感覚に基づいて夢は作られる。

潜在意識は、私たちに理解出来るように、
論理的範囲、言葉で説明できる範囲で
夢を作ったりしてはくれない。

夢は頭で理解するために
作られるものではなく、
感じるために作られるのです。

 

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