日常生活というのは、大抵、似たようなパターンの繰り返しです。ドラマのような劇的展開は、まず、起こらない。
もし、あなたがトラブルを暗示する夢を見たとしても、お決まりの生活パターンに照らし合わせれば、そのトラブルが何か、ある程度は予測することが出来ます。
仕事のトラブルを暗示しているなら、トラブルに繋がりそうな事柄はおおよそリストアップ出来る。
営業担当があなたの仕事なら、顧客からクレームが入るか、ノルマを達成できずに上司に嫌味を言われるか、出先で交通事故に巻き込まれるか、起こりうる出来事は限定的です。
つまり、夢の内容だけでなく、実現しそうな未来を考えれば、夢の意味を絞ることも可能。
ただし、あなたの日常が ” いつもどおり ” だった場合の話ですが・・
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夢の中で届いた郵便物
次は、とある女性が見た夢の一例です。
ポストに封筒が入っている。
発送元は試験センター。
開封して中をのぞくと、そこにはさらに封筒が入っている。
取り出して中を開けようとするが、なかなか開けられず、少し苛々している。
この夢を見た女性は、パソコン技能に関する資格を取るために、先日、試験を受けてきたばかりでした。
夢の中で彼女は投函された封筒を見つけ、試験センターからの結果通知だと思い、合格か不合格かを確かめようとした・・
この内容を単純に捉えるなら、彼女の ” 試験結果を早く知りたい ” という気持ちが夢になったということかもしれません。
また、試験結果について予測される未来は、合格か、不合格か、という二つのパターンしかありません。
さて、夢の内容では、合格か、不合格なのかは、結局、分からないままです。結果を知りたい彼女から見ると、実にもどかしい状況の夢ですが、こういった場合は、どう解釈すべきでしょう?
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まず、気をつけておきたいのは、夢を解釈するときに、夢の内容だけを見て判断してしまいがちですが、それだけでは不十分です。
内容を解釈する前に、彼女が結果通知をどんな気持ちで待っているのかという点を整理しておく必要があります。彼女の心構えによっては、夢の内容もその解釈も変わってくるからです。
例えば、試験に手応えが無く、” ああ、多分、落ちているな ” と思っているなら、きっと不合格通知が来たとしても ” ああ、やっぱりか・・ ” という気分になるでしょう。
こういった場合、例えば、封筒を開けると次回の試験日のお知らせが入っている、といった夢が作られたりする。
不合格確定を知っている潜在意識が、一足先に次回の試験について、すでに意識を向けているわけです。
もしくは、不合格は分かり切ったこととして、別に気に留めることでもないと夢にすらならない可能性もあります。
則ち、試験に対する意気込みや、試験を受けたときの手応え、不合格だった時のショックの大きさなど、様々な要素が夢を読み解くためのヒントになるので、前もってリサーチしておく必要があるのです。
彼女については、今回の試験に対しての意気込みは、時間を費やした分、合格したいという気持ちは強く、手応えとしては半々ぐらいとのことでした。
試験の結果はどうだったのか?
夢の中では、結局、結果が分からないまま終わっています。筆者は、当初、次のように考えました。
彼女の中に試験結果を早く知りたいという気持ちと ” 不合格だったらどうしよう ” という結果を知りたくない不安が心の中で葛藤し合っていると。
そのじれったさが、今回の夢になった・・・
つまり、未来の出来事を暗示しているわけではなく、彼女の現在の心境が夢となった。
しかし、この解釈が誤りだったことが、後日、明らかになります。彼女から送られてきたメールには後日談が記されていました。以下。
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その夢を見てから数日後、実際、自宅に結果通知の封筒が届き、それを開いてみると ” 不合格 ” とあった。
彼女は必死に時間を割いて努力してきた結果、たった一問の差で合格に至らなかったことがとても悔しかったと言います。
それから、さらに数日後、試験センターから、もう一通封筒が届いた。
彼女は、次回の試験についてのお知らせか何かだろうと思い、中を開いてみると、試験問題にミスがあったことをお詫びする文面と、採点をやり直した結果が同封されていました。
ギリギリ不合格だった彼女は ” 合格 ” していたのです。
夢の中で描写されていた ” 封筒の中のもう一つの封筒 ” は、これを意味していたのです。
彼女の潜在意識は、合格と不合格の二つの通知を受け取るという混乱した状況を夢として描いていた。
自分が合格だと知った時、彼女はほっとしながらも、この紛らわしい展開に気持ちを振り回されたことが、少し腹立たしかった。
夢の中で感じた苛立ち。
それは、置き換えられた現実世界の出来事に対するもの・・だったのかもしれません。
1%のインパクト
今回、筆者は解釈を誤りました。
それは、” こういった夢は、大抵はこの解釈で片付くものだ ” という筆者の中の固定観念が原因だったと言えます。
冒頭では、日常はパターン化されているので、未来に起こる出来事を大方は予測出来ると言いましたが、必ずしも、その通りになるとは限らない。
確かに現実世界には、偶然や奇跡のような出来事が実際に起こることがあります。また、経験したことのない前例無き情勢についても、私たちにとって記憶に新しいところです。
それが、その人に深く影響することなら、無論、夢になるでしょう。
天気予報が90%晴れだったとしても、10%は雨が降る可能性があるわけです。そして、もし、10%が実際に起こるとしたら、潜在意識は、晴れの日になぜか傘をさしているという夢を作る。
つまり、雨が降ることを知っているわけですが、それは気象予報のように数学的確率によって割り出した推測と言うよりは、実際に未来の出来事を目にした反応と言った方がよいかもしれません。
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筆者を含め、私たちは常に固定観念に縛られています。でなければ日常生活をスムーズに送ることが出来ない。人は、あらゆることを既存の経験や知識をベースに推測しながら行動する生き物だから。
その中で知らず知らずに奇跡を否定し、それが、時に誤った見方を作る。
それが、99%正しく思える考えであっても、常に否定を受け入れるスペースは、残しておかなければならないのです。例え1%であっても、それが固定観念を覆すこともある。
一人の科学者の閃きによって、世界の常識が変わることがあります。逆を言えば、一人の君主の思い込みで国家が滅びることもある。
きっと、あなたの中にも 1%の例外はあるのでしょう。
それは、もしかすると、あなたの人生を変えるパラダイムシフトになるかもしれない。
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