複数の夢で完成するメッセージ|夢を観察し続けて見えてくるもの

あなたが、もし、夢日記をつけているなら、
それはメンタルを観察する上で貴重な記録
と言うことも出来ます。

その日に見た夢だけを単体として解釈する
場合、それだけでも何らかのメッセージを
得ることは可能ですが、その夢は、その後
に続く長い物語の序章なのかもしれません。

極論を言えば、あなたの見た夢は、全て
繋がっています。一人の人間が生まれてから
死ぬまでに見た全ての夢は、結局、その人
の人生を映しているわけですから。

今回は、複数の夢を総合的視点で観察する
ことで、どういったことが見えてくるのか、
それについて見ていきましょう。

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関連し合う三つの夢

次は、筆者が見た夢の一例です。

水浸しの部屋に閉じ込められている。
水位が上がっていく。

密閉された部屋に閉じ込められて、水攻め
にされるという夢です。

こういった短い夢はストーリーがシンプル
なので直感的に理解しやすいという側面が
ありますが、その反面、判断材料が少ない
ために解釈が難しいという側面もあります。

この夢を見た時点では、何か心を抑圧する
ストレスが徐々に高まっていること、
そして、それに対して打つ手立てが無い
という解釈ぐらいしか思い浮かびません
でした。

また、水に関係すること、という憶測も
可能ですが、その時点では心当たりは
ありませんでした。

それから、数日後、次のような夢を見ます。

暴れる野良犬を必死で取り押さえる。
 
噛みつかれないように口を両手で
つかんだまま、離すことが出来ない。

筆者は、危機に対処しているという共通の
設定から、数日前の水攻めの夢と今回の夢
に関連があるのではないかと思いました。

二つの夢は内容としては全く違うシチュ
エーションですが、ベースでは同じテーマ
を扱っています。

水攻めの夢では、心を抑圧する ” 何か ” が、
部屋を満たしていく水として表されている。
その状況を筆者自身はどうすることも
出来ないというコントロール不可の状態。
そして、徐々に筆者を追い込んでいく。

野良犬の夢では、その ” 何か ” を ” 犬 ”
という個体によって表現しています。
押さえつけている両手を少しでも放せば、
危険な状態に逆戻りしてしまうという
緊迫した状態を表している。

ただ、全くコントロール出来ない状態から、
辛うじて抑制だけは出来る状態へと改善
していることが分かります。

そして数日後、もう一つの夢を見ます。

ホラー映画を観ている。
 
悪人たちが逃げまどいながら、暗闇の中、
何者かによって一人一人殺されていく。

何か、映画 ” 13日の金曜日 ” を思わせる
ようなストーリー。姿を見せない何者か
によって、悪人たちが次々に襲われていく
という夢です。

一見、悪夢のように見えますが、筆者は、
この映画を寝転がり、くつろぎながら
普通に観賞していました。

筆者の認識として、餌食になっていくのは
悪人という設定だったので、むしろ、
観ていて小気味が良かったのです。

野良犬の夢では、筆者を苦しめていた
” 何か ” を抑制するのに精一杯でしたが、
ホラー映画の夢では、その ” 何か ” を
逃げまどう悪人たちに例え、それを正体
不明の何者かによって駆逐しています。
ここで形勢逆転を描いている。

筆者は、三つの夢を全て見終えた段階で
一つのことに思い当たります。以前は心を
抑圧していたが、徐々にコントロールを
取り戻しつつあること。

それは、生活習慣です。

この一連の夢を見た時期、日常生活に
張り合いがなく、何をしていても無気力感
がつきまとっていた。集中力も無く、
夜更かしをすることが多くなり、食事も
摂ったり、摂らなかったりといった感じで
生活習慣が崩れていた。

体の調子もおかしくなっており、
メンタルよりも、まずは健康を取り戻す
ことが先決だと感じた筆者は、乱れた
生活習慣を見直すために、気持ちを奮い
立たせ、無気力と戦っている時期でした。

筆者が、立て直すためにしたことと言えば
就寝時間の見直しと、食事をしっかり摂る
という当たり前のことでしたが、それすら
当時の筆者には難しかった。しかし、
少しずつ改善していきました。

この三つの夢は、その一連の状況を描いて
います。

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俯瞰的メッセージ

さて、二番目の夢では、暴れる野良犬の
口を両手で抑えるという緊迫した状況が
描かれています。

この時期は、どうにかしなければと思い
つつ、就寝時間の見直しをしていましたが、
少しでも気を抜くと、元の夜更かし生活
に戻ってしまう。早くベッドに入ったから
と言って、すぐに眠れるわけではないので
調整に苦しんでいました。

以前の悪習慣に逆戻りしないために、
ギリギリのところでふんばっているといった
感じです。

三番目の夢では、暗闇で悪人を駆逐する
正体不明の人物が登場します。

それは、正義のヒーローというよりは、
どちからと言えばアンチヒーロー的な存在
という認識がありました。ただ、それは
最後まで姿を現すことが無かった。

そもそも、不摂生な生活は自分の蒔いた
種です。夢の中で、おこがましくも
正義のヒーローを名乗って、堂々と悪を
成敗することが出来なかった。

自分の身から出た錆を暗闇に紛れて、
誰にも知られることなく処理している
のです。しかも、テレビ画面の中の
フィクションにして ” 他人事 ” として
片づけようとしている。

全く無関係に見える三つの夢は、その時々
で最も適切なシチュエーションを選んで
作られています。そして、それら複数の夢
が一つの大きなストーリーを形成している。

夢を観察し続けていると時折、複数の夢
から別のストーリーが垣間見えるのです。
そこには、一つの夢だけで得られる簡潔な
メッセージとはまた違った俯瞰的視点の
メッセージが込められている。

今回の三つの夢を無関係のものとして、
それぞれ個別に解釈したならば、
どうだったのでしょう?

最初の夢はストレスが高まっていると解釈、
二番目の夢は、野良犬を危険人物と解釈し、
人間関係のトラブルを暗示している夢だと
思ったかもしれません。三番目の夢は、
最近見た映画の影響だと思うかもしれない。

そして、これら解釈が果たして正しかった
のか、誤りなのかを判別する基準など
どこにもありませんから ” 正解 ” を知る
ことは出来ない。

ただ、次のように言うことも出来る。

一つの夢だけを解釈したとき、その解釈に
自信がなければ、前後に見た他の夢を補足
として解釈することで、正解を知る手がかり
を得ることが出来るかもしれません。

夢と健康管理

健康状態が夢の内容に影響を与えると
いったことは、日常的にあります。例えば、
体の不調に関して、交感神経と副交感神経
については、よく挙がる話題です。

夜になっても交感神経の活動が沈静化する
ことなく、そのまま眠ってしまうと、
悪夢を見やすいといったことがあります。
だから眠る前には、リラックスをして、
副交感優位の状態を作っておく必要がある。

就寝時間前ギリギリ、決められた時間に
眠るため、バタバタと寝支度を始めると、
返って眠れなくなってしまうといった
ことは、筆者にも経験があります。

夜中に悪夢から目覚めるといったことが
続いているなら、その悪夢を観察して
みましょう。体調の傾向を夢の内容から
推測することも可能です。

次は、筆者が見た夢です。

深夜、外が煩い。
工事車両が家の前で工事をしている。

イライラしながら布団を頭から被って、
無理やり寝ようとしているという夢。
つまり、夢の中ではまだ起きているという
設定です。実際はすでに眠っている。

” ちゃんと眠れていない ” という感覚が
そのまま夢になっているわけですが、
これは交感神経が活動しているために
深い睡眠を妨げている状態です。

それから次の日の夜、少し早い時間から
寝支度を始め、ゆとりをもってベッドに
入ります。とは言え、すぐに眠れるわけも
なく、結局、昨日と同じ時間まで天井を
見つめることになります。

いつの間にか眠りに落ちたのでしょう。
次の夢を見ました。

車を運転している。
スピードを出して市街地を走っている。

何を急いでいるのか分かりませんが、
とにかく危険なスピードで市街地を走り
回っていました。目覚めると、やはり、
昨日と同じく深夜二時。筆者は、対策が
失敗したことを悟ります。

ただ、前回の夢と比較して、いくらか
状況は改善していると考えました。自分が
ハンドルを握って運転していますから、
ある意味、自分に状況をコントロールする
主導権が移っています。

次の日、昨晩と同じく早い時間にベッドに
入っても眠れないことは分かっていたので
すぐに横になるのではなく、瞑想を行い
副交感優位の状態を作ってから、ベッドに
入りました。

無論、簡単にスイッチが切り替えられた
わけではなく、心が静まったかな、と
思える状態になるまでに手間取りました。
結果的に寝る時間がいつもより遅くなった。
次はその夜に見た夢です。

工具箱の整理をしている。
レンチが一本無いので箱の中を探している。

やはり、深夜に起きてしまいました。
ただ、夢の内容から判断して、活動量は
明らかに抑えられ、これまで描かれていた
危機的状況が、単なる ” 気がかり ” という
レベルにまでスケールダウンしています。

また、工具箱を整理するという行為が
何かを修理するための準備と解釈するなら、
これまでの流れから行けば、修理される
対象は筆者自身。工具が一つ見つからない
という状況は、修理に取り掛かるには、
まだ、何かが足りないということなのでしょう。

筆者は、方向性は間違っていないと実感し、
その後、就寝時間を厳格に守るよりも、
とにかく就寝前にクールダウンすることを
心がけました。それが習慣になっていくと、
夢の内容も徐々にカジュアルな内容に
なっていき、やがて、深夜に目覚めること
も無くなりました。

最初に見た工事現場の夢について
振り返ってみます。

体が休息出来ていない状況を表現するなら、
別に工事現場でなくてもよかったのです。
誰かと口論をする夢でも、スポーツをして
いる夢でもよかった。しかし、あえて
工事現場をシチュエーションとして選んだ
ことには相応の理由があります。ただ、
ここでは詳細を省きましょう。

重要なのは、夢解釈に精通していなくても、
夢を観察し続けることで、よい方向に
向かっているのか、悪い方向に向かって
いるのか、といったある程度の大まかな
流れが分かるという点です。

無論、それは健康上の問題だけでなく、
心理的な問題でも同じです。

思いついた対処方法を試していき、夢の
内容がどのようにして変化していくのかを
観察しながら調整していくというのは、
一見すると難しくも思えますが、実際、
やっていることと言えば、運動選手が
自分の体調やフォームをチェックしながら、
練習メニューを考えたり、競技に挑んだり
するのと変わりません。

それはシンプルな ” 自己観察 ” でしかない。

” 夢 ” に関心を持つ人は少ない。それが
日常生活に直接影響を与えるわけでは
ないから。しかし、自己観察や省察は、
何らかのタイミングで必要になってくる
のです。

何をやっても上手く行かない時、
自信を失って落ち込んでいる時、
挫折した時、誰かに裏切られた時、
潜在意識は、そういった時に夢を作り、
あなたを支えようとする。

潜在意識があなたの心をしっかりと
サポートするためには、あなたの協力が
不可欠なのです。

それは、メッセージを送る側と受け取る側
によるキャッチボールのようなもの。
ボールを投げる相手を見ていなければ、
それを受け取ることは出来ない。

あなたと潜在意識は、
補完し合う一つの存在なのです。

 

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