例えば、深夜、ふと目覚めると、
冷蔵庫の音が気になって
眠れないということがありませんか?
日常では特に気にならない音でも、
全てのボリュームが下がった深夜では
その些細な音が騒音に聞こえる。
これは、睡眠中にも起こる現象です。
日常では気づかなかった小さな体の不調が、
眠っている時により大きな不調として
感じられるというものです。
眠っている間、
意識が通常の生活から解放され、
内面の小さな変化に向けられやすくなっている。
この性質は、体の不調をいち早く知るための
手掛かりになるかもしれません。
広告
睡眠を維持するための細工
では、次は筆者が見た夢の一例です。
まずい、まずいと言いながら、
キャットフードを食べている。
まだ、山盛りになって残っている。
筆者は夜中に目が覚めると、
胸のあたりに妙な違和感を感じました。
そして、口の中に妙な苦み。
その原因は、
就寝直前にヨーグルトを食べたのです。
眠るときは、
これぐらいなら大丈夫だと思ったのですが、
寝ている間に逆流してしまったようです。
就寝直前の間食という悪習慣によって、
睡眠を妨げられました。
*
では、もう一つ夢を紹介します。
チェーンソーを使って大木を切っている。
アクセルをふかして切れ目を入れるが、
途中からなかなか進まない。
これも、筆者の夢ですが
筆者は林業に携わったこともありませんし、
チェーンソーを使ったこともありません。
ただ、目覚めると、少し歯が痛かったのです。
夢の中で、危険な作業に意識を集中させることで、
歯の痛みに気づかせないようにしているのです。
*
基本的に、睡眠中、体に不調があった場合、
潜在意識は睡眠を維持できるように夢を作り、
誤魔化そうとする性質があります。
そして、夢を見ている本人の意識を
夢に留めておくために、
大抵は ” 目標 ” を持たせる。
先ほどのキャットフードの夢では、
一皿食べ終わるまで、そして、
チェーンソーの夢では、木が切り終わるまで
という目標を持たせることで、
途中、意識が夢から離れてしまわないよう
細工をするのです。
メンタルを維持するための細工
次は、睡眠中に眩暈を起こした
と思われる女性の見た夢です。
ベッドがなぜか海に浮かんでいる。
波に煽られてベットが大きく揺れる。
自分は海に落ちないように、
必死にしがみついている。
大きな波が来て、ベッドはひっくり返り、
一回転して元に戻る。
彼女は日常でも、時々、眩暈を起こす
ということで、この夢から目覚めた時も、
眩暈が続いていて天井が回って見えたそうです。
*
眩暈は体に起きている異変なので、
ストレスや感情のように夢で処理する
ことはできません。
それでも、彼女の潜在意識は、
体の異変をベッドが揺れているという状況に
置き換えて対処しようとしています。
ベッドにしがみついてさえいれば、
問題は無いと意識に思わせることで
心の平静を保とうとしている。
夢が身体の病気を癒すことはありませんが、
病気によって弱っているメンタルを
フォローするための役割が与えられていることが、
この例からも分かります。
広告
無自覚の病気について
さて、ここまでは、本人に自覚のある
体の不調が夢になった例ですが、
無自覚の病気が夢になるということは
あるのでしょうか?
例えば、内臓の状態が悪いなど、
表面上、直接の痛みがあるわけではないが、
水面下で悪化しているといった場合です。
これら見えない症状は、夢になる可能性が
あるとも、無いとも言えます。
そもそも ” 無自覚 ” というのは、
どういった状況なのでしょう?
例えば、肥満になってしまう場合、
ある一定の体重を越えるまで、
自分はいつもどおりだと思いながら食生活を送ります。
しかし、体重に気をつかって
こまめにチェックしている人は、
一日毎の体重の変化に敏感です。
*
” 無自覚 ” と言っても、どれぐらい
健康管理に関心を持っているかによって、
その度合いは変わります。
健康に全く関心が無ければ、
生活習慣病のほとんどは無自覚と言えます。
逆に、常に体の調子をチェックしていれば、
夢を観察するまでもなく普通は分かることです。
また、常に病気についてあれこれ考えている
心配性の人にとっては、ちょっとした疲労感ですら、
不安を助長する格好の材料になります。
健康への執着と不安が悪夢を作り出す。
なので、100パーセント無自覚というならば、
それは夢にならないでしょう。
しかし、自覚があるとしても、それは、
不安が作り出した幻想なのかもしれない。
” こんな乱れた生活してたら、
いつかしっぺ返しがくるかも・・ ”
と、心のどこかで思っているだけで、
それは夢になるわけです。
*
次は、夢の一例です。
手術室で大掛かりなオペが行われている。
医師がメスで切り開かれた腹部から
黒い物質を取り出す。
この夢を見た女性は、
その時期、便秘に苦しんでいました。
ネットで便秘の解消法について調べていると、
関連する病気について書かれた記事を見つけ、
逆に怖くなってしまったと言います。
彼女いわく、夢の中で腹部から
取り出された黒い物質は、
コールタールのようなドロドロとしたもので、
それを取り除くのに医師が苦労していた。
一見すると、彼女が大病を患う暗示
のようにも見えますが、
この夢における黒い物質は、彼女の中の
” 病気への不安 ” が形状化したものです。
そして、医師が除去に手間取っていたというのは、
彼女の不安を完全に取り除くためには
時間がかかることを意味している。
数日後、彼女の便秘は、ようやく解消します。
何年も先は分からない
仮に彼女の健康状態が思った以上に
悪かったとして、
潜在意識がそれを知っていたとしたら、
そのような事実を真正面から描くでしょうか?
そのような受け入れがたい事実は、
潜在意識も受け入れようとはしません。
つまり、夢はカモフラージュされ、
病気から遠い別のものへと置き換えられる。
*
そもそも、夢とは病気そのものを暗示する以前に、
生活上の不摂生や悪習慣に警鐘を鳴らすのです。
例えば、ヘビースモーカーに
煙草のボヤ騒ぎを起こす夢を作ったり、
運動不足の人にジムで運動している夢を作る。
しかし、こうした日常的な耳の痛い夢は、
ある意味、私たちが知りたがっている
” 病気を暗示する夢 ”
と言うこともできるわけです。
悪習慣を続けていると、
明らかに病気リスクは高まるわけですから。
ただ、人々は潜在意識の
健康を気遣ったそのアドバイスを
” まだ、大丈夫でしょ?
病気じゃないなら、いいじゃん ”
と言いながら、無視し続けているだけなのです。
*
生きていれば病気になる可能性は
ゼロではないことぐらいは誰でも知っています。
つまり、その可能性を ” 自覚 ” している。
そういった意味で、そもそも、
100%無自覚の人などいないのでしょう。
健康に関する夢を見たとしても、
それは、日常では気づきにくい、
小さな体の変化を潜在意識が察知したということ。
そして、病気に対する恐れも、
やはり、夢になる。
もし、数日後に風邪になる未来が待っているならば、
すでに体の不調は始まっているはず。
それを自覚するか、しないかは、結局、
その人の健康に対する関心の度合いに依存します。
五年後、自分は何の病気になるのか、
という予知を夢に期待するなら、それは誤りです。
五年後に向けて、
あなたが今から何をするかによって、
その結果は変わるのですから。
関連記事 : 病気の兆候を示す夢|異物が体内に入る
広告