夢日記で気をつけておきたいこと|リアルタイムと時間経過

夢を記録することに、どんな意味がある
のでしょうか? それが、後から何かの
役に立つのでしょう?

例えば、日記をつけることによる効果は、
色々と紹介されています。

頭の中の考えを文章にすることで、
客観的視点を得られる、情報整理により、
気分が落ち着くといった効果。

それ以外にも履歴データとして、
事実確認や行動分析などに使えるかも
しれません。

一方、夢を記録するとしても、記録される
のは夢の内容ですから、事実確認のための
履歴としては役に立ちません。

頭の中のゴチャゴチャした問題を整理する
ためのツールとしても、あまり意味を
持たない。

そもそも、夢のストーリー自体が支離滅裂
ですし、現実の問題とは全く無関係です。

文章として記録することで気分が落ち着く
といったリラックス効果は、一定あるとは
思いますが、どうせなら普通の日記を
つける方がいいような気もします。

果たして、夢を記録することで
そこから何かを得ることは出来るのか?

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夢の鮮度

筆者は、ボイスレコーダーによる音声
として夢を記録しています。

筆者の場合は、夢を研究するという目的が
ありますので記録されたデータはその為に
活用します。

では、一般的な人が夢を記録することに
意味があるのか? ここで一つ、重要な
概念を説明しなければなりません。

それは、” 夢の鮮度 ” です。

野菜や魚みたいですが、簡単に言えば、
夢にも鮮度があります。

夢の内容を音声か文章で記録保存した
として、データ自体が変化することは
ありませんが、データの利用価値が
無くなっていくという意味で腐敗する
ことはあります。

例えば、WindowsXP について詳しく解説
したウェブサイトがあったとしても、
もはやサポートが切れたOSの情報など
必要ないでしょう。ある意味、その情報は
腐敗して価値を失ったものです。

夢も時間が経つほど価値を失っていく。

潜在意識は、その時のあなたに最も必要な
夢を作る。

今日、夢を見たとしたら、それは現在の
あなたに必要なものだから作られた。
そして、明日も夢を見るでしょう。それは、
明日のあなたに必要だから作られる。

必要なものは、日々、更新されていく。

ソフトウェアで例えるなら、昨日見た夢は、
旧バージョン。そして、今日見た夢は最新
のバージョンです。

最新バージョンが登場した時点で
旧バージョンには価値が無くなるので
旧バージョンをストックしておく必要は
ありません。

つまり、過ぎ去った過去に関する夢を記録
として残すことは、筆者のように特別な
事情がない限り、あまり、意味を持たない。

では、夢日記を書くことは、全くの無意味
であるかと言えばそうとは言い切れません。

複数の夢から、現在置かれた自身の状況に
ついて俯瞰的視点で大きな流れを捉える
こともある。

最近、見ている複数の夢を思い返してみて、
一見すると全く無関係に見える一つ一つの
物語が、共通する一つのテーマを描いて
いることを発見するといったことは実際に
あります。

それは、日常的なテーマというより、
ある意味、あなたの日常の奥深くに横たわる
大きな問題を扱っている。

長期スパンで自分の心境を理解するという
面では、記録することに意味があると
言えます。

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忘れ去られる ” 鍵 “

日付が変わったら、昨日の夢に全く価値が
無くなるというわけではありません。
実際は、情報の鮮度はある程度保たれる。

要は、どれぐらいの期間を目安に保存するか
ということです。

それがパソコンのOS情報ならば、サポートが
切れるまでですが、夢の場合は夢を見た人の
心境の変化が一つの目安になる。

例えば、あなたが一年前に失恋をしたと
しましょう。現在のあなたは、それを
乗り越えてポジティブな元の自分を取り戻した。

一年前に見た失恋に関する夢は、一年前の
傷ついたあなたには必要だったのかもしれ
ませんが、現在のあなたには必要の無い
ものです。

もし、その失恋がニ週間前の出来事で、
今でもその余波に苦しんでいるというなら、
二週間前に見た夢は、まだ、あなたにとって
必要な何かを伝えているのかもしれない。

と言っても、やはり、昨日見た夢よりは、
二週間前の夢は時間の経過分だけ
リアルタイム性を失っているわけですから、
その分、必要とするメッセージに ” ズレ ” が
生じます。

二週間前のメッセージを受け取ったとしても
その問題を認識しており、既に解決に
向けて行動を起こしているかもしれません。

また、夢になる事柄は、仕事に関する事や
家族や恋愛に関する事など、普通は
いくつかのテーマに別れます。

今日見た夢が仕事に関するものならば、
昨日見たプライベートに関する夢を上書き
しているわけではないので、どちらの夢も、
あなたにとっては直近のメッセージとして
扱うことが出来る。

さて、夢を記録することが役に立たない
というのは、メッセージの必要性という
意味で、保存された記録が現在の状況と
ズレていくからという理由とは別に、

もう一つ、古くなった記録は夢を解釈する
上で必要なリアルタイムな情報が欠落する
という理由があります。

要するに、夢を見た当日の自身の精神状態、
その時期にあった出来事など夢に関連する
付属情報です。

夢の内容を文章にせよ、音声にせよ、
残したとしても、それだけでは夢解釈は
行えない。つまり、夢の内容だけを記録
しても意味が無いということです。

これは、夢を記録する習慣を持つ人の
多くが誤解している点です。

筆者に夢解釈の依頼をされる方の中には、
何年も前に見た夢を持ち込まれるケースが
ありますが、ほとんどの人はその夢を見た
前日にあった出来事までは覚えていません。

記録されたのは夢の内容だけですから、
その夢を見るきっかけとなった出来事を
思い出すことが出来なければ、一つの
重要な ” 鍵 ” を落としたことになります。

出来事だけではありません。その時期に
抱えていた悩み、どんな事を考えていたか、
どんな願望を持っていたか、そういった
当時のメンタルの状態、思考、気分という
細かな情報のほとんどが時間の経過と共に
忘れ去られていくのです。

そして、夢の内容自体にもリアルタイムな
情報が含まれています。例えば、あなたが
夢の中で見知らぬ人物と見たとしましょう。

その人物から受けた印象、その人に感じた
雰囲気、夢の中で感じた感覚を
思い出せるのは、いつまででしょう?

感覚は、時が経つほど薄れていく。そして、
その ” 感覚 ” は、答えを導き出すための
鍵です。

夢の中の特定の場面で何を感じたのか、
どんな認識を持っていたのか、どうしようと
していたのか、そういったその瞬間に感じた
ことや思ったことを取り出していきながら
夢解釈は行われます。

夢の内容を記録したとしても、刹那的感覚、
思考の全てを網羅するこは困難です。

もし、夢が未来を予知するとしたら、夢を
記録することに意味があるかもしれません。

夢と起こった出来事との関連性を検証する
ために、保存されたデータは利用価値が
ありそうです。

筆者も実際に記録されたデータベースから、
起こった出来事と夢の関連性を探すことが
あります。

関連性を発見することもありますし、
見つけられないこともある。しかし、
それ自体には大した価値はない。

果たして、夢を記録することに
意味はあるのか?

この問いに答えるとしたら、それが夢の
内容だけであり、当時のことを忘れて
しまうほど何カ月も前のものならば、
記録保存することに意味は無いのかも
しれません。

夢から得られる ” 恩恵 ” を最大に生かす
には、本来は、その時に見た夢をその時に
解釈していくというリアルタイムな対応が
望ましい。

では、夢から得られる ” 恩恵 ” とは、
具体的には、どういったことでしょう?

未来に起こる悪い出来事を予知して、
それを回避することでしょうか?
それは、副次的効果に過ぎない。

潜在意識は、私たちに警告を促すために
夢を作っているわけではありません。

メッセージよりも大切なこと。

筆者は、夢を通して自分自身を理解する
というプロセスこそが、本当の意味での
” 恩恵 ” なのではないかと思います。

” 自分を知る ”

とても地味で、鮮烈さの無い恩恵です。
即効性も無く、形として効果を目で確認
することも出来ない。

これといった際立ったものは何一つ無い。
ただ、自分を客観的に見つめるもう一つの
視点を持つということが、私たちの人生に
何をもたらすのか?

それは、一時的な効果でも、
限られた範囲の効果でもありません。

あなたが生きている限り開かれ続ける
別の世界を見せてくれる
もう一つの ” 窓 ” のようなものです。

 

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