夢の中の ” 勘違い “|心当たりの無い記憶

夢の中で、勘違い、思い込みをしていること
があります。

例えば、すでに辞めたはずの会社に遅刻して
慌てる夢や、犯してもいない罪を犯したこと
になっていて警察に追われる夢や、
見知らぬ家なのに、ずっと前からそこに
住んでいるという設定など。

夢の中では、当然のようにそう思い込んで
いるが、目覚めてみると全く心当たりがない
という不可思議な現象。

これは、単なる ” 記憶違い ” ということ
なのでしょうか? 
それとも、何か意味があるのでしょうか?

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記憶の捏造

次は、とある女性が見た夢の一例です。

オフィスの一画で同僚と雑談をしている。
 
” 今、付き合ってる人と結婚するみたいよ ”
と突然、同僚が言う。
 
” 誰が? ” と聞き返すと、同僚はAさんに
視線を向ける。
 
Aさんは素知らぬ顔でいつもどおり
仕事をしている。

一見、職場の日常を描いているように見える
この夢には妙な点が一つだけあります。

この夢を見た彼女の話では、夢に登場した
Aさんは、そもそも恋人はおらず、
職場の中では ” 最も結婚しなさそうな人 ”
と言われている人物でした。

そのAさんが、夢の中では、
なぜか、恋人がいるという設定だった。

彼女自身も結婚の噂を聞いた時に
” そうなんだ。
結局、結婚することになったんだ ”
とその設定を何の疑いも無く受け入れていた
と言います。

このありもしない事実を夢の中で、
あたかも前からそうだったかのように
自然に受け入れている状態、
” 記憶の捏造 ” は、しばしば起こる現象です。

なぜ、そのようなことが起こるのでしょう?

類似した例として、全く見知らぬ家を
自宅だと思い込んでいる場合について
考えてみましょう。

例えば、あなたが見知らぬ家を自分の家だと
夢の中で思い込んでいたとして、簡単に説明
するならば、どの家も ” 自宅 ” なのです。

すなわち、夢の中に登場する全ての家は、
あなたの心の中に建っているわけですから、
” 昔からずっと住んでいる場所 ” には違いない
わけです。

仮に、夢の中で再現された家が現実世界で
住んでいる家と間取りが違っていた
としても、そこは、常に ” 心の中 ” なので、
あなたにとっては ” 住み慣れた場所 ” として
認識される。

要は ” あなた ” という家の中に建てられた
家なのです。

見知らぬ人を自分の親戚や友人だと
思い込んでいるという場合も同じです。

それは、あなたの中から生まれた ” 分身 ”
なのです。

逆に、夢の中であっても見知らぬ場所にいる
という感覚を持つことがあります。それは、
潜在意識が、あえて ” 見知らぬ場所 ” という
認識を与えているのです。

厳密には、それは ” 場所 ” ではない。

例えば、交際中の恋人に今まで見せなかった
別の一面があることを発見した人が、
見知らぬ場所で迷子になるという夢を見る。

恋人の新たな一面を見つけた戸惑いが、
” 場所 ” に置き換えられた結果です。

恋人との関係を今後どうしていくかと言う
問題は簡単ではありませんが、それが、
見知らぬ場所ならば来た道を引き返せば
済む。

では、今回の夢の中の彼女の思い違いは、
どのように解釈すべきでしょう?

対局の存在

” あなた自身、現在、
お付き合いされている人はいますか? ”

筆者が尋ねると、彼女は ” いない ” と
答えます。

彼女の仕事は拘束時間が長く、また、
男性との出会いが、ほとんどないという
職種だったので、なかなか良い出会いに
恵まれず苦労しているということでした。

ただ、夢の中に登場していた同僚だけは、
女性ばかりの職場で唯一、交際中の恋人が
いるということで、最も結婚に近い存在
だと言われていたのです。

つまり、この夢には ” 最も結婚に近い人 ” と
” 最も結婚に遠い人 ” という対極にある二人が
登場していることになります。

潜在意識は、この二人を利用して、夢の中で
ちょっとした ” 置き換え ” を行っている。

最も結婚に近いと言われる同僚に、
Aさんの結婚について噂話をさせるという
紛らわしい演出によって、Aさんと同僚の
立場を入れ替えている。

彼女は同僚の結婚の話が、誰について言って
いるのか最初は分からなかったと言います。

この紛らわしい演出によって、結婚するのは
Aさんだと思い込んでしまう。

実際、夢の中では、同僚はAさんに視線を
向けているだけで個人を特定する発言を
していません。

さて、潜在意識は、なぜ、そのような
曖昧な演出を行ったのでしょう?

” 最も結婚に遠い人 ” が結婚をするという
設定によって救われるのは誰か?

それは、異性との出会いに苦労している
彼女自身です。

Aさんに出来るなら、自分にも可能性はある
はずだという希望を与えるためにこの夢は
作られたのです。

Aさんは素知らぬ顔をして、
いつものように仕事をしている。

結婚を予定している感じには見えないが、
どうやらそうらしいという曖昧な認識が
最後の場面に表れています。

” まやかし ” による処理

潜在意識はしばしば、紛らわしい演出
によって、私たちに錯覚を与えようと
します。無論、その方が都合が良いから
なのですが。

例えば、妻との関係が上手くいかず、
夫婦間がすっかり冷え切ってしまっている
男性がいたとしましょう。

彼は、開きっ放しの窓から寝室に冷たい
風が入ってくる夢を見る。

まさに、妻との関係を寝室の気温に
置き換えているのですが、
彼はそれに気づかず、こう思い込む。

” 自分が感じている寒さは
窓が開いているからだ ”

窓が開いているだけなら、それを閉じれば
解決出来る。潜在意識は、彼の錯覚を利用
して、問題を処理しようとしているのです。

無論、彼が夢の中で寝室の窓を閉じても、
心に感じている寒さは消えません。
彼が感じているのは、本当は夫婦関係の
冷却による孤独感なのですから。

夢の中で行っている処理は、結局は
” まやかし ” なのです。現実の問題を
解決するわけではない。

もし、あなたが何か夢を見て、そこに
” まやかし ” を見つけたとしたら、
潜在意識はこう言っているのです。

” 夢の中で出来ることはした。
後は、あなた次第だ ”

 

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