夢の中で登場人物に何かを尋ねたり、
問い詰めたりした時に、なぜか、
はぐらかされるといった場面があります。
的外れな回答で話を逸らしたり、
のらりくらりとした態度で
まともに取り合ってくれない
といったはっきりしない態度。
もしくは、答えてはいるが
声が小さく聞き取れなかったり、
曖昧な発音で何を言っているのか分からない。
周囲の騒音がうるさくて聞き取れないなど。
こういった登場人物が質問に応じない、
明確な回答が得られないという
奇妙なシチュエーションには、
どういった意味があるのでしょう?
広告
乗っ取られたLINEアプリ
次は、とある女性が見た夢の一例です。
スマホを見ていると、彼氏と見知らぬ女性が
メッセージのやり取りしている。
場面は切り替わり、
私が彼氏にメッセージのことを問い詰めている。
彼氏はあれこれ言い訳をして、
まともに取り合おうとしない。
証拠を見せようと、スマホを
操作するが履歴が見つからない。
夢の中で自分のLINEを見ていると、
なぜか、恋人と女性がメッセージを
送り合っている一部始終が閲覧出来たと言います。
そして、それが何となく
浮気を匂わせるような会話だった。
*
まず、この夢の奇妙な点として、
恋人と浮気相手のやり取りを
彼女が自分のスマホで見ているという部分です。
LINEでは複数の人とメッセージを
送り合うことも可能ですから、
現実、そういった状況も作ることが
出来ますが、浮気相手とのやり取り
ならば内密にするのが普通です。
” つまり、あなたは二人の会話に
招待されたということですか? ”
筆者がそう尋ねると、
” 少し違う ” と答えます。
彼女は、招待もしていないはずの二人が
勝手に自分のスマホに割り込んできて、
二人のやり取りに参加できず、
自分は黙って見ているだけという
不正プログラムで乗っ取られた感じだったと言います。
これは、一体、
何を意味しているのでしょう?
夢の中のサンドボックス
まず、この夢の作り手は彼女自身である
ということを理解しておく必要があります。
つまり、彼女は、
自らアプリのコントロールを放棄し、
恋人と浮気相手に使わせているのです。
なぜ、そのようなことを
する必要があるのでしょう?
筆者は、彼女と恋人の間に何らかの
問題があるのかもしれないと思い、
次の質問をしました。
” 現在、恋人に浮気の兆候のようなものが
見られますか? ”
彼女は、次のように答えます。
” 浮気の兆候はないが心配はしている ”
彼女いわく、つい最近、友人の恋人が浮気をしていた
という話をその友人から聞かされた。
そして、その友人の
” 男という生き物は必ず浮気をするものだ ”
という言葉がずっと引っかかっていた。
*
友人の生々しい浮気話を聞き、
” 男は必ず浮気をする ” という偏った考えが
彼女の頭の中を支配していく様子が
今回の夢となっています。
夢の中では、アプリが乗っ取られた
ということになっていますが、実際は彼女の思考が、
一つの考えに乗っ取られたのです。
そして、乗っ取られたアプリの中で、
自分の恋人が別の女性と浮気をしている。
夢の中で、彼女は浮気の確証を得るために
やり取りを観察し続けるが、決定的なものはなく、
曖昧なメッセージばかりが続いたと言います。
参加出来ないのではなく、あえて、
参加せずに二人を泳がせているのです。
言うなれば、この夢は、
アプリの中を実験場に見立てた
一種のシュミレーションです。
” 男は誰もが浮気をする ”
という仮説を立証するための。
広告
答え無き問い
しかし、結局、
メッセージのやり取りを観察していても、
確証を得ることは出来なかった。
そもそも夢の作り手である彼女自身が、
仮説が正しいのか間違っているのか、
その答えを知らないのですから。
このシュミレーションは、彼女の中の
単なる問いかけに過ぎないのです。
*
さて、夢の中では
彼女の答えの無い問いかけは、
アプリ内にとどまらず、
実際に恋人を問い詰めるという
ストーリーへと展開していきます。
メッセージだけでは確証を得ることが
出来なかった彼女が、直接、恋人を
登場させて真偽を確かめようとしますが、
結局、それも彼女が用意した演出に過ぎないので、
そこで答えが示されることはありません。
彼女の知りたい答えを
恋人から引き出せないのも、
やはり、その演出を手掛けた
彼女自身が答えを知らないからです。
しかし、彼女の中の
” 真偽をはっきりさせたい ”
という欲求に答え続けるには、
答えがそこにあるかのように
見せかけなければいけない。
ゆえに、恋人は、問い詰める彼女を
はぐらかしながら、浮気をしたとも、
していないとも、明確に答えないのです。
*
この夢における ” はぐらかし ” は、
答えようの無い問いかけをした結果
生まれたものであって、恋人が
浮気を誤魔化すためではありません。
そもそも、それらは全て、
本人が作り上げた仮想の演出に過ぎない。
目覚めの直前に入る演出
夢の最後の場面、彼女は
メッセージの履歴を恋人に見せようとするが、
履歴が消えてしまうという部分については、
どうでしょう?
問い詰めた結果、浮気発覚となれば、
それはそれで彼女にとって悪い結果なのです。
恋人を信用できなくなってしまう。
この夢は、単に答えを知らないから
示せないというだけではなく、
真偽をはっきりさせたいという思い、
そして、失望したくないという
相反する思いの妥協点として、答えを
あえて示さないという意図が含まれています。
*
さて、今回の夢では、答えの無い問いが、
登場人物のはぐらかす態度に現われるという現象、
そして、答えを求めながらも、その一方で
不都合な事実を受け入れたくない心理から、
明確な答えを得ることが出来ないという
演出が夢に組み込まれる例を紹介しました。
ただ、夢の中の登場人物の曖昧な態度が、
必ずしも、全てこの解釈に当てはまるとは限りません。
例えば、目覚める直前では、
こうした、登場人物のはぐらかす態度が
描かれることがよくあります。
それは、眠り続けようとする潜在意識が、
夢の中に留まろうとしているのです。
それが、登場人物に何か尋ねても、
曖昧な態度で誤魔化されたリ、
答えを引き延ばしたりして、
答えそのものをはっきりと示さない
シチュエーションになることがあります。
これは、登場人物の曖昧な態度だけではなく、
もっと違った形で描かれることもあります。
例えば、スマホ操作で目的の画面が出てこないとか、
探し物が見つからないとか、仕事が終わらない、
待ち人が来ないなど、時間稼ぎのような
シチューエションが延々と続くのです。
こういった夢は、待ち続けても、
永久に結果が示されることはありません。
最初から「答え」など無いということに、
あなたが気づかないように仕掛けられた
トラップなのです。
広告