” 夢占い ” であることへの違和感|個人的過ぎる世界

” 夢占い ” という分野は他の占いとは違って、
少々、特殊な事情を抱えています。

風水やタロットの場合、その道に精通した
エキスパートが依頼者の悩みに答えるという
アドバイザーと依頼者という関係があります。

それは、医師と患者の関係にも似ている。

つまり、アドバイスをする側と、される側に
立場の優劣があるのです。

*

夢占いには、エキスパートは存在しません。

筆者の知る限り、夢占いのみで生計を立てている
占い師というのを見たことはありません。

大抵はタロットや姓名判断の傍ら、
そういった相談も受けるという形になっています。

もしくは、夢占い辞典のような
書籍やウェブサイトがあるだけ。

なぜ、夢占いには
エキスパートが存在しないのでしょう?

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厳密には ” 占い ” ではない

筆者は、” 夢占い ” という単語は、
多くの人に誤解を与えている結果になっていると
考えます。

” それは、星占いや、誕生日占い、四柱推命や
タロットと同列のものだろう ” と。

しかし、実際は ” 占い ” と呼ぶには、
あまりに個人的過ぎるのです。

夢を読み解く作業は、厳密に言うと、
単なる ” 自己分析 ” です。

それを ” 占い ” というカテゴリーに収まるように
形を整えて体系化したのが、いわゆる ” 夢占い ”

そして、その過程で、
本来の趣旨から乖離してしまっている。

*

例えば、日記をつけながら、
自分のことを一日の終わりに思い返してみる
というのは一つの自己分析と言えます。

” あんなことを言わない方がよかった ”

” なぜ、自分は、
いつもこのパターンなんだろう? ”

” ここ一週間、レトルト食品ばかり食べているな ”

” 明日から気をつけよう ”

自分を見つめ直すことで
色々な ” 気づき ” があります。

夢を読み解くというのは、
テキストベースの日記とは違い、もっと直感的で
心の奥底を映したバーチャル体験を元に
自分を見つめ直すという個人的作業なのです。

自己分析を ” 占い ” と呼ぶのは、
少々、観点がズレている気がします。

*

本来の趣旨から離れてしまっているというのは、
その分野で、自分よりも多くの知識を持った
専門家や専門的なウェブサイトに
自分の求める ” 答え ” があると
思わせてしまっているということです。

専門家は、あなたのことを何も知らない。
会ったことも無いのですから。

夢とは、それを見た人の最もプライベートな
領域である心の奥底を映しているのです。

健康に関する情報ならば、
例えば、大豆にはイソフラボンが入っていて、
女性ホルモンと似た働きをするというような
有用な情報を得ることが出来る。

それは、誰にとっても価値のある情報です。

しかし、その夢は、
それを見たあなたにしか価値を持たない。

つまり、夢占いに載っている解釈は、
あなたとは無関係の誰かが見た夢に対する解釈です。

あなたにとって、必ずしも
価値のあるものだとは限らない。

自分を置き去りにして、
” 答え ” を得ることは出来ないのです。

夢のエキスパート

あなたの夢を最も深く理解している
エキスパートは夢を見たあなた自身です。

それ以外に誰がいると言うのでしょう?

実際にその映像を直接見て、
その世界を体験をしている人であり、
何よりもその夢はあなたが作ったものですから、
第一人者は、あなた自身です。

芸術家が自分の描いた抽象画の意味を
知っているのと同じです。

*

心理学の分野では、患者の夢を
分析することもありますが、
それは、治療の一環としての分析であって、
患者の精神状態や傾向を知るためのものです。

それによって、人生の指針を
アドバイスしてくれるわけではありませんし、
治療に無関係な部分を
細かく分け入ったりもしない。

とりわけ夢の持つスピリチュアルな側面には、
まず、メスは入らないでしょう。

つまり、夢を読み解く作業を
” 夢占い ” と言うのなら、

日記をつけるのも、アスリートが
自分のフォームを映像でチェックするのも、
画家が自画像を描くのも、
” 占い ” ということになってしまいます。

” 夢占い ” という単語には、
そういった誤解を招く部分があるのです。

*

ただ、お気づきの方もいると思いますが、
このブログのタイトルにも ” 夢占い ”
という単語が使われています。

そのキーワードでしか、
このブログにはたどり着けない。

もう、周知されてしまった単語なのです。

自分にとって未知のものを探したい時、
その呼び名を知らなければ検索することが
出来ない。

インターネット検索の性質上、
仕方無いのかもしれません。

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未来の自分を観察する

さて、ここまで来て、
何か見落としているように思いませんか?

そう、夢には、
スピリチュアルな側面がある。

例えば、正夢など未来を予知する現象。

単なる自己分析というなら、
確かに日記を書いたり、
自画像を描くのと同じなのかもしれない。

しかし、夢の場合、未来を暗示する
という特殊な側面を持ちます。

ゆえに ” 夢占い ” と呼ばれる。

これについては、
どう考えていけばよいのでしょう?

*

その夢が現在の自分を描いていたとしても、
それが未来の自分を描いていたとしても、
基本は変わりません。

その夢は自身を表現しているのです。

現在の自分を映した夢によって
自己分析するのと同じように、
未来の自分を映した夢を分析するだけです。

例えば、あなたは、
今から数日後に素敵な異性と
出会う予定があるとします。

あなたが、もし、素敵な異性と出会ったら、
どんなリアクションを取りますか?

恥ずかし過ぎて、
目線を合わすことが出来ない?

もしくは友達に協力を求め、
どうにかしてコンタクトを取ろうとする?

それとも、自分には高望みだと
言い聞かせて諦めてしまう?

*

まだ、現実になっていない出来事でも、
頭の中でシュミレーションをすれば、
自己分析は可能です。

もし、その異性が魅力的過ぎて、
自分とは釣り合わないと感じてしまうとしたら、
その考え方は、無論、夢にも表れる。

例えば、その数日前に、
それほど素敵でも無い平凡な異性と
会話をしている夢を作る。

つまり、数日後に出会う異性を
自分に釣り合うように調整し、
夢の中で平凡化しているのです。

このように潜在意識は、
未来の出来事そのものではなく、
未来の出来事に対するその人
特有の ” リアクション ” を描く。

夢は、その人の ” 主観 ” を
描いているのです。

*

なので、未来の予知に関する夢を
読み解くときにも、

自分なら、どんな
リアクションを取るだろうか?

と、自己分析していく必要が出てきます。

そして、自分のリアクションを見て、
そこから、どんな出来事が起こるのかを
逆をたどって推測するのです。

ただ、ここで留意しておきたいのは、
夢の作り手が、夢を見ている人の
潜在意識であるということです。

夢の世界の創造主は、
結局、あなた自身なのです。

創造主ですから、リアクションと言っても、
夢の中の自分の行動だけが、
リアクションではありません。

必要であれば海を二つに割ることも出来ますし、
天空からドラゴンを召喚することも出来る。

夢の世界で起こる全ての現象が、
あなたの ” リアクション ”

それを踏まえた上で夢を読み解かなければ、
未来を知ることが出来ない。

*

いずれにせよ、まず、自分の深い部分を
分析する必要があるのです。

それが、願望夢であっても、
予知夢であっても。

ゆえに、夢占いは雑誌の1ページに掲載される
” 今日の運勢 ” というような
商業的アプローチには向かないジャンル。

” 占い ” と呼ぶには、
あまりに個人的過ぎる世界なのです。

 

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