” 凄くリアルな夢だった ”
” いつもの夢とは違っていた ”
現実的な悪夢から目覚めて、そう感じる
ことがあります。それが、あまりにも
リアルであるがゆえに恐怖感が増し、
” もしかして、悪い事が起こる前兆
なのでは? ”
と思ってしまうかもしれません。
そして、ネットでその意味を調べる。
インターネットには ” フィルターバブル ”
という現象があります。
要するに、キーワード検索する時に無意識に
見たくない情報を遮断し、見たい情報だけを
選択するという現象です。
ネガティブな気持ちで検索を続けると、
不安を煽るようなキーワードに引き寄せ
られて、よりネガティブな情報へと誘導
されてしまう。
まずは、気持ちを落ち着けましょう。
それから、時間を空けてから夢について、
もう一度振り返ってみる。夢解釈には
冷静な観察力が必要なのです。
果たして、リアルな悪夢は、本当に不吉な
出来事を暗示しているのでしょうか?
広告
” リアル ” である理由
その夢がリアルであると感じる理由は、
ストーリーの辻褄があっている。実在の人物
だけが登場する。実在の場所でストーリーが
展開するなどがあります。
通常、夢は、目覚めた後にストーリーの
矛盾点に気づくものです。空を飛ぶとか、
怪物が登場するといった明らかに非現実的な
内容によって、すぐに夢だと分かる。
それだけに、現実世界を再現するリアルな
夢は、特別なもののように思えるのかも
しれません。
と言っても、リアルではない夢が重要では
ないというわけではありません。時には、
リアルな交通事故の夢より、一匹の蝶が
何気に飛んでいる夢の方が警告度が高い
場合もある。
” リアルさ ” は、メッセージの重要度と
関係が無いのです。
では、なぜ、リアルな夢を見るのでしょう?
理由の一つとして、その夢に ” リアルさ ” が
必要だったから、というのがあります。
潜在意識は必要とあれば夢にリアルな演出を
施し、リアルであることが不都合なら、
それを崩した形で夢を作ります。それが、
幻想的なストーリーや支離滅裂で理解不能な
夢となる。
*
眠りが浅く覚醒状態に近いから、覚醒時の
認識力によって夢がリアルになるという話も
ありますが、筆者の考えは少し違います。
眠っている時間が長ければ、潜在意識に
とって夢を大いに脚色する ” ゆとり ” が
あるわけです。つまり、都合の良い形へと
気が済むまで作り変えることが出来る。
しかし、眠りが浅く、いつ起きてしまうか
分からない時、潜在意識は職人技のような
巧妙なストーリーを展開することが出来ない。
夢を作りかけている途中で目覚めてしまう
かもしれないからです。
なので、いつ起きても問題が無いように
周りくどい演出ではなく、もっと直接的な
表現を選ぶようになる。
例えば、なかなか眠れない時、ベッドの
上ですでに寝落ちしているのに、
” ああ、もうこんな時間だ ” と言って
慌てて布団に入るという夢を見る。
眠れていないという感覚によって、
眠りながらも、その中でさらに眠るという
奇妙なことをしているわけですが、
これは直接的表現です。
もし、夢を作り込む時間があるなら、
なぜ、寝つきが悪いのか?
毎日、熟睡出来ていないのは、なぜか?
仕事に関するストレスなのか、人間関係
なのか、経済的な問題なのか、夢は
問題の根に向かって深堀りしていきます。
そして、それら簡単には解決できない
根深い問題に対処するために複雑な夢を作る。
覚醒状態に近い意識だからリアルな夢になる
というよりは、眠りが浅い時に直接表現を
した方がよいと潜在意識が判断した結果、
夢がリアルに描かれているだけです。
潜在意識がその時に何を選択するか、
その采配によって ” リアル度 ” の調整が
行われる。
覚醒状態の意識がリアルな夢を作るという
のは結果論であり実際は潜在意識次第です。
ゆえに、目覚めの直前の夢全てがリアルな夢
というわけではないのです。
全てが実在のシチュエーション
次は、とある女性が見た夢の一例です。
恋人とデパートで買い物をしている。
恋人がトイレに行く。
どこからともなく元彼が現れ、
私の口を塞いで連れ去ろうとする。
彼女は、この夢から目覚めて怖くなった
と言います。夢の舞台となったデパートは
実在の場所で恋人とも、何度か一緒に
買い物をしたことがあるということでした。
数日後、そこで会う約束もしていた。
そして、夢に登場した元彼も実在の人物。
彼女の話では、彼は嫉妬深く束縛が
激しいので、別れ話を切り出すときにも、
かなり揉めたという経緯がありました。
なので、夢の中で元彼が現れた時に、
恐れていたことが起きてしまったと
動揺した。
彼女は言いました。
” 元彼は、まだ、この街に住んでいるので、
どこかでバッタリ会うのが怖い ”
そして、この夢が、それが実際に起こる
前兆なのではないかと恐れていた。
*
筆者は彼女の話を聞きながら、もし、
これが実際に起こることなら、夢の描写が
ストレート過ぎると感じました。
なぜなら、通常の夢は、夢を見ている本人
によって都合良く書き換えられる性質が
あるからです。
仮に、元彼に拉致される未来が予定されて
いるとするなら、潜在意識がその出来事を
そのまま描写するとは考えにくい。
筆者は、もう少し、彼女から話を聞く必要が
あると感じました。
広告
演出効果としての ” リアル “
セッションを続けていくうちに、
ある事情が見えてきました。
彼女は現在の恋人と出会ってから、二人の
関係はぎこちないままで、彼の本心が
分からないという悩みを抱えていたのです。
*
” 元彼に拉致されそうになっていた時、
今の恋人はトイレから戻ってきましたか? ”
筆者は尋ねます。
夢の中で彼女は襲われながらも、戻って
こない恋人に状況が伝わるように自分の
携帯を通話中にしたと言います。
この部分はとても重要です。
なぜなら、この夢は、現在の恋人に心配を
させることが目的で作られたものだからです。
彼女は夢の中で、あえて自身をすぐに
助けることが出来ない危機的状況に
置いている。
仮に、恋人と元彼が鉢合わせになったら、
元彼が彼女を放り出して逃げてしまうか、
恋人が警察に電話するか、
どちらかが手を出して勢いで喧嘩になるか、
いずれにしても検証にならない。
彼女としては、恋人が本気で心配をするのか
どうかを確認できさえすればよいので、
ある程度の時間が必要なのです。
本心を知りたいと願う彼女の思いが、恋人を
試すようなシチュエーションを用意した。
過去に別れ話でもめた元彼に拉致される
という実際にありそうなストーリーならば、
恋人は本気で心配してくれるでしょう。
この夢の ” リアルさ ” は、説得力を得る
ために必要な演出として取り入れられています。
*
ただ、これは、あくまで彼女の夢の中で
起こっていることですから、当然、
現実世界の恋人のリアクションを確かめ
られるわけではありません。
要するに、この夢は、
” もし、私がこうなったら、
一体、彼はどうするだろう? ”
という彼女が想定し、再現した
シミュレーションなのです。
つまり、不確かな事実を確かめたいという
彼女の強い気持ちが、より正確な
シミュレーションを行おうとした結果、
必要とされた ” リアルな演出 ” です。
ファンタジーにも意味はある
さて、悪夢といっても様々なものが
ありますが、巨大な怪獣が登場してビルを
破壊したからといって、
” リアルじゃないから、ただの夢 ”
と簡単に片づけるべきではありません。
どんなに馬鹿げた夢であっても、それは、
潜在意識があなたのために作った
” 今必要なこと ” が映像化されているのです。
夢の中の怪獣は、あなたの
フラストレーションが爆発しかけている
ことを伝えているのかもしれない。
もしくは、
” これから遭遇することは単なる
ファンタジーさ ”
という未来の悪い出来事に対する現実逃避
の心理が描かれているのかも知れません。
それが、リアルでも、ファンタジーでも、
どんな夢もあなたにとっては
大切なメッセージには違いないのです。
もし、あなたがリアルな夢を見たなら、
潜在意識が、なぜ、わざわざ、それを
リアルに仕上げたのか考えてみてください。
あなたは、その答えを知っているはず。
その夢を作ったのは、あなた自身なのだから。
広告