リアルな悪夢は、悪いことが起こる前兆?

” 凄くリアルな夢だった ” ” いつもの夢とは違っていた ” 現実的な悪夢から目覚めて、そう感じることがあります。

それが、あまりにもリアルであるがゆえ、恐怖感に襲われ、” もしかして、悪い出来事の前兆では? ” と思ってしまうかもしれません。そして、ネットでその意味を調べる。

インターネットには ” フィルターバブル ” という現象があります。要するに、キーワード検索する時に無意識に見たくない情報を遮断し、見たい情報だけを選択するという現象です。

ネガティブな気持ちで検索を続けると、不安を煽るようなキーワードに引き寄せられて、よりネガティブな情報へと誘導されてしまう。

まずは、気持ちを落ち着けましょう。そして時間を空けて、夢についてもう一度振り返ってみる。夢解釈には冷静な観察力が必要なのです。

果たして、リアルな悪夢は、本当に不吉な出来事を暗示しているのでしょうか?

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” リアル ” である理由

その夢がリアルであると感じる理由は、ストーリーの辻褄があっている。実在の人物だけが登場する。実在の場所でストーリーが展開するなどがあります。

通常、夢は、目覚めた後にストーリーの矛盾点に気づくものです。空を飛ぶとか、怪物が登場するといった明らかに非現実的な内容によって、すぐに夢だと分かる。

それだけに、現実世界を再現するリアルな夢は、特別なもののように思えるのかもしれません。

と言っても、リアルではない夢が重要ではないというわけではありません。時にはリアルな交通事故の夢より、一匹の蝶が何気に飛んでいる夢の方が警告度が高い場合もある。

” リアルさ ” は、メッセージの重要度と関係が無いのです。

では、なぜ、リアルな夢を見るのでしょう?

理由の一つとして、その夢に ” リアルさ ” が必要だったから、というのがあります。

潜在意識は必要とあれば夢にリアルな演出を施し、リアルであることが不都合なら、それを崩した形で夢を作ります。それが幻想的なストーリーや支離滅裂で理解不能な夢となる。

眠りが浅く覚醒状態に近いから、覚醒時の認識力によって夢がリアルになるという話もありますが、筆者の考えは少し違います。

眠っている時間が長ければ、潜在意識にとって夢を大いに脚色する ” ゆとり ” があるわけです。つまり、都合の良い形へと気が済むまで作り変えることが出来る。

しかし、眠りが浅く、いつ起きてしまうか分からない時、潜在意識は職人技のような巧妙なストーリーを展開することが出来ない。

夢を作りかけている途中で目覚めてしまうかもしれないからです。

なので、いつ起きても問題が無いように周りくどい演出ではなく、もっと直接的な表現を選ぶようになる。

例えば、なかなか眠れない時、ベッドの上ですでに寝落ちしているのに、” ああ、もうこんな時間だ ” と言って慌てて布団に入るという夢を見る。

眠れていないという感覚によって、眠りながらも、その中でさらに眠るという奇妙なことをしているわけですが、これは直接的表現です。

もし、夢を作り込む時間があるなら、なぜ、寝つきが悪いのか? 毎日、熟睡出来ていないのは、なぜか? 仕事に関するストレスなのか、人間関係なのか、経済的な問題なのか、夢は問題の根に向かって深堀りしていきます。

そして、それら簡単には解決できない根深い問題に対処するために複雑な夢を作る。

覚醒状態に近い意識だからリアルな夢になるというよりは、眠りが浅い時に直接表現をした方がよいと潜在意識が判断した結果、夢がリアルに描かれているだけです。

潜在意識がその時に何を選択するか、その采配によって ” リアル度 ” の調整が行われる。

覚醒状態の意識がリアルな夢を作るというのは結果論であり、実際は潜在意識次第です。ゆえに、目覚めの直前の夢全てがリアルな夢というわけではないのです。

全てが実在のシチュエーション

次は、とある女性が見た夢の一例です。

恋人とデパートで買い物をしている。
 
恋人がトイレに行く。
 
どこからともなく元彼が現れ、私の口を塞いで連れ去ろうとする。

彼女は夢から目覚めて怖くなったと言います。夢の舞台となったデパートは実在の場所で恋人とも、何度か一緒に買い物をしたことがあるということでした。数日後、そこで会う約束もしていた。

そして、夢に登場した元彼も実在の人物。

彼女の話では、彼は嫉妬深く束縛が激しいので、別れ話を切り出すときにも、かなり揉めたという経緯がありました。

なので、夢の中で元彼が現れた時に、恐れていたことが起きてしまったと動揺した。

彼女は言いました。

「元彼は、まだ、この街に住んでいるので、どこかでバッタリ会うのが怖いんです」

そして、この夢が、それが実際に起こる前兆なのではないかと恐れていた。

筆者は彼女の話を聞きながら、もし、これが実際に起こることなら、夢の描写がストレート過ぎると感じました。

なぜなら、通常の夢は、夢を見ている本人によって都合良く書き換えられる性質があるからです。

仮に、元彼に拉致される未来が予定されているとするなら、潜在意識がその出来事をそのまま描写するとは考えにくい。

筆者は、もう少し、彼女から話を聞く必要があると感じました。

演出効果としての ” リアル “

セッションを続けていくうちに、ある事情が見えてきました。

彼女は現在の恋人と出会ってから、二人の関係はぎこちないままで、彼の本心が分からないという悩みを抱えていたのです。

「元彼に拉致されそうになっていた時、今の恋人はトイレから戻ってきましたか?」

筆者は尋ねます。

夢の中で彼女は襲われながらも、戻ってこない恋人に状況が伝わるように、自分の携帯を通話中にしたと言います。

この部分はとても重要です。

なぜなら、この夢は、現在の恋人に心配をさせることが目的で作られたものだからです。

彼女は夢の中で、あえて自身をすぐに助けることが出来ない危機的状況に置いている。

仮に、恋人と元彼が鉢合わせになったら、元彼が彼女を手放して逃げてしまうか、恋人が警察に電話するか、血の気の多い男同士喧嘩になるか、いずれにしても検証にならない。

彼女としては、恋人が本気で心配をするのかどうかを確認できさえすればよいので、ある程度の時間が必要なのです。

本心を知りたいと願う彼女の思いが、恋人を試すようなシチュエーションを用意した。

過去に別れ話でもめた元彼に拉致されるという実際にありそうなストーリーならば、恋人は本気で心配してくれるでしょう。

この夢の ” リアルさ ” は、説得力を得るために必要な演出として取り入れられています。

ただ、これは、あくまで彼女の夢の中で起こっていることですから、当然、現実世界の恋人のリアクションを確かめられるわけではありません。

要するに、この夢は、” もし、私がこうなったら、一体、彼はどうするだろう? ” という彼女が想定し、再現したシミュレーションなのです。

つまり、不確かな事実を確かめたいという彼女の強い気持ちが、より正確なシミュレーションを行おうとした結果、必要とされた ” リアルな演出 ” です。

ファンタジーにも意味はある

さて、悪夢といっても様々なものがありますが、巨大な怪獣が登場してビルを破壊したからといって、” リアルじゃないから、ただの夢 ” と簡単に片づけるべきではありません。

どんなに馬鹿げた夢であっても、それは潜在意識があなたのために作った ” 今必要なこと ” が映像化されているのです。

夢の中の怪獣は、あなたのフラストレーションが爆発しかけていることを伝えているのかもしれない。

もしくは、” これから遭遇することは単なるファンタジーだから ” という未来の悪い出来事に対する現実逃避の心理が描かれているのかも知れません。

それが、リアルでも、ファンタジーでも、どんな夢もあなたにとっては大切なメッセージには違いないのです。

もし、あなたがリアルな夢を見たなら、潜在意識が、なぜ、わざわざ、それをリアルに仕上げたのか考えてみてください。

あなたは、その答えを知っているはず。その夢を作ったのは、あなた自身なのだから。

 

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