夢の中の ” 返し忘れたもの “|TUTAYAの夢

例えば、夢の中で借りたお金の返済日が
今日だったと突然気づくとか、
数か月前に図書館で借りた本を
まだ返却していないことに気づく。

何かを借りっぱなしで、
返し忘れていたことに後から気づいて
慌てるという夢。

返し忘れたものが物だとは限りません。

夢の中で、友人と待ち合わせを
していたことを思い出し、時計を見ると、
すでに三時間過ぎているとか、

休日だと思って布団に潜り込んでいたら、
途中で今日が平日だったことを思い出し、
慌てて会社に行く夢など、

約束や仕事やスケジュール上の
勘違いなども、ある意味、
” 返し忘れたもの ” と言えるかもしれません。

もし、それが現実なら大変な事態
でしょうから、夢から覚めて
胸を撫で下ろすという経験をした人も
いるでしょう。

さて、こういった夢の中の
” 返し忘れ ” や ” 忘れられた約束 ” は、
どのように解釈すべきでしょう?

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返し忘れ過ぎたもの

次は、とある社会人男性が見た夢の一例です。

リビングのテーブルに何気なく
TUTAYAの袋が置いてある。
 
はっと思い、中を開くと、
自分が以前借りたと思われる
懐かしい音楽CDが何枚か入っている。
 
焦って返却予定日を確認すると、
すでに五年以上前になっている。

男性は夢の中で、延滞料が
莫大な額になることに気づき、
慌てふためいた。

そして、夢から目覚めて胸を撫で下ろす。

一体、彼は、なぜ、
このような夢を見たのでしょう?

筆者は、男性に次のように尋ねました。

” 現在は、TUTAYAから、
何かお借りになってますか? ”

男性は、もう、ここ何年も
TUTAYAで音楽CDを借りたことはない
と答えます。

以前は、よく音楽や映画、漫画などを
借りていた時期があったそうですが、
最近ではオンラインの音楽配信サービスや、
電子書籍などを利用して、音楽や漫画を
” 物 ” として借りるということが
無くなったと言います。

また、いつでも好きな音楽を聴けるという
利便性とは裏腹に、以前に比べて、
音楽をあまり聞かなくなったそうです。

” 音楽を聴かなくなったというのは、
何か理由があるのでしょうか? ”

男性は答えます。

” 何でしょう? 自分でもよく分かりません。
年をとったからなのか、
仕事が忙しくなったからなのか・・
昔はよく聞いたんですけどね。今は、
あまり音楽を聴く生活をしてません”

彼の話を聞く限り、この夢は
現在の日常を描写しているわけでは
なさそうです。

では、彼の潜在意識は、なぜ、何年も前に
行かなくなってしまったレンタルショップを
今更、夢の中で取り上げたのか?

もう少し身近な日常を背景に夢を作る
わけにはいかなかったのでしょうか?

例えば、
会社で忘れ物をすると言ったような。

潜在意識は、あえて、
このシチュエーションを選択している
ようにも見えます。

” 何年も前に行かなくなった ”
という点が、筆者には引っかかりました。

一通のメール

男性とのセッションは数日間に
及びましたが、結局、その時は、
明確な答えと言えるようなものは
見つかりませんでした。

筆者と男性は夢解釈を断念し、
セッションを閉じることにしたのです。

それから、一週間が過ぎた頃、
男性から一通のメールが届きます。

彼はセッションの後、夢の意味について、
ずっと考えていたようで、一つ思い当たる
ことがあると連絡をくれたのです。

彼が言うには、袋の中に入っていた
数枚のCDは、以前、よく聴いていた
ロックバンドのものでした。

そして、昨晩、夢のことを考えながら、
音楽について検索しているうちに
ネット通販で手頃な価格のエレキギターを
見つけたと言います。

その時、彼は、もう何年も前に
忘れてしまっていた
” エレキギターを弾けるようになりたい ”
という夢を思い出した。

彼は言います。

” 昔、友達の家でエレキギターを
触らせてもらったのがきっかけで
どうしても欲しくなったのですが、
当時は学生だったので
お金も無くて手が届かなかった。
今なら、買おうと思えば買えるな
と思って・・・ ”

ずっと前に置きっ放しになったまま、
果たされなかった夢。

もしかすると、夢の中で五年前に
借りたまま返し忘れていた数枚のCDとは、
彼が昔の自分に貸したまま
返すことが出来なかった
” 夢 ” の象徴だったのかもしれません。

潜在意識は、彼が、近々、
自分が昔持っていた夢を思い出し、
約束を果たすべく
ギターを購入することを知っていた。

そして、眠っている彼に
過去を清算する時期が近づいている
ことを夢という形で知らせています。

潜在意識は、あえて何年も前に
行かなくなったTUTAYAに返し忘れた
CDを返すというストーリーを作り、
彼に ” あの頃の自分 ” を思い出して
欲しかったのかもしれません。

好きな音楽を聴きまくっていたあの頃、
果たし忘れた ” 約束 ” が
置きっ放しになったあの頃を。

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夢の性質

さて、今回は、夢の中の
” 返し忘れ ” について解説しました。

” 返し忘れ ” と言っても、物やお金
といった目に見えるものばかりが
対象とは限りません。

今回紹介したケースのように、
過去に果たされなかった夢や、
誰かに親切にしてもらって、
そのお礼がまだ言えていないとか、
別れ際の恋人に、
ちゃんとさよならが言えなかったなど。

自分の中で、今も引っかかり続けている
果たせなかった責任や約束などが
” 返し忘れの夢 ” として描かれる
場合があります。

また、夢の設定が ” 返し忘れ ” ではなく、
その逆の ” 返してもらっていない ”
という設定の場合は、

例えば、誰かに親切にしたのに、
お返しがまだ来ないとか、
会社でよい結果を出したのに、
上司が認めてくれないとか、
恋人と電話で話していて、
一方的に電話を切られたなど。

実際に、何かを貸したわけでも、
約束したわけでもないが、
本来は自分に戻ってくるはずのものが
戻ってきていないという認識であれば、
それは、夢の中で
” 貸したままになった何か ” という
シチュエーションを作るかもしれません。

夢は、事実に基づいてではなく、
” 主観 ” によって作られます。

夢を見ている本人が感じたことが、
そのまま映像化されるのです。

ですから ” 貸した ” ” 借りた ” という事実が
現実に無くとも、本人がそう感じるなら、
夢の中では貸し借りの設定が作られる。

この性質は夢全般に言えることです。

潜在意識にとって、現実世界は、
あなたの主観に影響を与えている
” 環境 ” に過ぎないのです。

つまり、主観に影響を与えない限り、
現実世界でどんな出来事があったとしても、
それは夢に反映されない。

例えば、あなたが、地球の裏側で
紛争から逃れて苦しい状況に陥っている
多くの難民について考えると
心苦しいと言うなら、それは夢になります。

逆に、あなたの隣人が引っ越しをして、
いつの間にか新しい入居者が入っていた
としても、あなたに関心が無ければ、
それは夢にはならない。

しかし、その入居者が素敵な異性
だった場合は、きっと夢になるでしょう。

夢とは、そういうものです。

 

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