現実だと思ってしまうほどリアルな夢。
大抵は、夢の内容にどこか矛盾する箇所があったり、ありえない設定だったりするため、目覚めてからも ” 単なる夢 ” として、それほど気にならないものです。
しかし、リアルな夢は、登場人物や場所、シチュエーションなどが現実の日常をベースに描かれるために、普通の夢と違って、目覚めた後も鮮明に覚えていることがあります。
それ故に、何か特別なメッセージを送っているようにも見える。まるで、未来の出来事を暗示しているかのような。
この ” リアルな夢 ” は、なぜ、作られるのでしょう?
そして、そうでない夢と、どんな違いがあるのでしょう?
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” リアル ” なのは現実に起こるから?
次は、とある男性が見た夢の一例。
恋人の家に今日も転がり込み、ソファーに寝そべってテレビを見ている。
寝室で物音がする。
見知らぬ男が、ベランダから部屋に侵入しようとしている。
男と取っ組み合いになり、その時、恋人が仕事から帰ってくる。
恋人と目が合い ” 逃げろ! ” と叫ぶ。
この夢を見た男性は、とてもリアルな夢だったので、一人暮らしの恋人の身に何か危険が迫っている警告夢ではないかと心配します。
彼は半同棲のような形で恋人の家で寝泊まりすることがよくあるということで ” 今日も転がり込んでいる ” と言うシチュエーションは、日常的な風景を再現しているようにも見える。
そして、日常的風景であるゆえに、そのストーリーが真実味をおび、いわゆる ” リアルさ ” を演出しています。
リアルな夢を見た人の中には、彼と同じように ” 凄くリアルだったから、もしかしたら現実に起こることなのでは? ” という不安を抱く事があるようです。
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ここで、忘れてはならないのは、夢は、その人の願望を映し出す性質があるということです。その性質は、夢が未来を暗示する場合であっても同じく働きます。
例えば、明日、会社でミスをして怒られる未来が待っている場合、前日に見る夢は、会社でミスをして怒られる自分の姿そのものではなく ” ミスをしたのは自分ではない ” という形で作られます。
つまり、未来を知る由もない本人は、脈絡もなく自分ではない他の誰かが怒られている夢を見る。
そして、目覚めて次のように思う。
” なぜ、あいつが怒られていたんだろう? ”
こうして、未来の暗示を自分には無関係な ” 単なる夢 ” として片づけてしまう。
実際は、ストーリーにもう少し複雑な処理が加えられますが、基本的に夢は、それが未来の出来事であっても事実を都合よく脚色するのです。
すなわち、現実に起こることを鏡に映すかのように、そのまま夢にすることは無い。
夢とは、それが単なる願望夢であっても、未来に関する予知であっても、その人の ” 主観 ” によって描かれていることを理解しておく必要があります。
夢はそれを見ている本人が作っている。つまり、夢の内容を自分の都合で、自由に書き換えることも出来る。
演出効果としての ” リアル “
では、今回のリアルな夢は、どう解釈すべきでしょう?
この夢のポイントは ” 侵入者 ” ではなく、彼とその恋人である女性 ” 二人の関係 ” です。
彼は恋人の自宅に半同棲という形で日常的に世話になっており、日頃から恋人に対して ” 世話になってばかりで悪いな ” と思っていた。
彼のその後ろめたい気持ちが、夢になったのです。
具体的には、彼女の自宅のベランダから見知らぬ男が入ってくるという演出によって、自分が恋人を守る状況をあえて作っています。
それを恋人に目撃させている。
” 俺だって少しは役に立つだろ ”
という彼の心の訴えが、この夢に描かれているのです。そして、この夢はリアルでなければならない。
なぜなら、明らかに夢だと分かるような設定では ” 彼女を守っている ” ようには見えない。
この夢は、自身の存在価値を証明するために作られたわけですから、彼にとって ” フィクション ” であってはならないのです。
この夢にとっての ” リアル ” とは、設定に ” 事実っぽさ ” を与えるための効果的演出の一つです。
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夢がリアルであったとしても、それが現実に起こる可能性は、それ以外の夢と特に違いはありません。
リアルでない夢が、実際に起こる出来事を暗示している場合もある。
ただ、それが形を崩したメッセージなので、リアルな夢に比べて、” 暗示 ” であることに気づきにくいだけなのです。
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リアルでない夢
では、逆にリアルではない夢とは、どんなものでしょう?
神話上の動物が登場したり、空を飛んだり、全くありえない設定だったり、目覚めてから絶対に実現することは無いと分かる夢。
しかし、潜在意識が、もし、夢を作る段階で次のように意図したならば、どうでしょう?
” この現実を直視することは出来ない。都合の悪い部分をファンタジーに変えてしまおう ”
無論、その夢はファンタジーとして描かれる。ありえない設定によってリアルを隠蔽するのです。
なので、その夢が幻想的だったり、ありえないシチュエーションだったとしても、何らかの形で現実世界とリンクしている。
例えば、あなたが冒険家になって、密林の部族に追われる夢を見たとします。
日常からかけ離れた設定ですから、目覚めてからも、” 単なる夢 ” としか思えないでしょう。
そして、その数日後、あなたはとある場所で、口を出すべきでないことに口を出してしまい、周りの人のひんしゅくを買う。
つまり、夢の中の部族は ” 縄張りを侵された者の怒り “ を意味し、冒険家のあなたは ” 縄張りを踏み越えてしまった不注意なよそ者 ” です。
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このように、日常の出来事がありえない設定に作り変えられ、非現実的な夢になる。
夢に描かれることは、全てがその夢を見る本人のために作られているわけですから、本人に無関係な夢など存在しないのです。
ゆえに、それが、どんなに非現実的な設定だったとしても、そこには必ず、現実的なメッセージが託されている。
演出に込められた意図
もし、あなたの見た夢がリアルだったとして、まず、潜在意識が、なぜ、その夢をリアルに描いたのか、一度、考えてみましょう。
そして、自分が今置かれている状況や、抱えている悩みなどを振り返えってみる。
そこに、夢を読み解く ” 鍵 ” が見つかるかもしれない。
夢に取り入れられている演出に偶然は無いのです。
全ての演出は意図されたもの。そして、その ” 意図 ” とは、あなたの意図なのです。
そもそも、夢とは、それを見た本人の内側から生まれたものですから、本来は夢を読み解くための特別な技術や新しい知識など必要ないのです。
夢の作り手である自身の心に、問いかけてみてください。
なぜ、この夢を作ったのか?
なぜ、自分にそれを見せたのか?
ただし、潜在意識が、現実世界で私たちが日常的に使っている ” 言葉 ” によって、メッセージを伝えてくることはありません。
イメージと感覚こそが潜在意識にとっての ” 言葉 ” なのです。なので、問いかけに対し、セリフとして返ってくるわけではない。
例えば、今回の夢を見た彼が、夢の内容に ” 恋人に対する気まずさ ” を感じたとしたら、その感覚こそがメッセージです。
自分が夢の中で何を感じたのか思い出してみてください。” 感覚 ” を深く、探っていくのです。
後は、差し出されたその ” 答え ” に、あなたが気づくか、どうかだけです。
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