夢の中の ” 傍観者 “|ただ見ているだけの自分

通常、夢の中ではストーリーの主人公は夢を見ている本人です。しかし、そうでない場合もある。” 傍観者 ” としてストーリーに参加しているパターンです。

例えば、夢の中でデレビを見ているというシチュエーションもある意味 ” 傍観 ” です。

家が火事になっているのを人だかりの中で眺めているのもそうです。誰かが車を運転し、自分は後ろの座席にただ座っているという設定も傍観者的な立場と見ることが出来ます。

このように何らかの出来事を主人公であるはずの自分が黙って見ているという状況は、ストーリーの中ではよくあることです。

そして、ストーリーにある程度の長さがあると、大抵は、途中から傍観者ではいられなくなるという展開が待っている。

自ら首を突っ込むか、
もしくは、巻き込まれるか。

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ファミレスのカップル

次は、とある男性が見た夢の一例です。

ファミレスでカップルが口論をしている。

通路を挟んだ反対側に座っていた自分は ” 迷惑な客だな ” と思っている。

どうやら、男が別れ話を始めたことで揉めているようだ。

理不尽過ぎる男の言い訳に、見かねたウェイターが男に食ってかかり、二人は言い合いになる。

嫌な気分になり席を立とうとするが、通路にウェイターが立っているので出ることが出来ない。

彼は、この夢を見る数日前に、実際に恋人に別れを告げたばかりだと言います。そして、心がすっきりしないまま、数日が過ぎ、この夢を見た。

確かに、どこかのカップルが別れ話で揉めているという夢の中の設定は、彼の数日前の状況に似ています。

そして、夢の中では、騒がしいテーブルの隣の席にあえて自分を配置している。

無論、夢の作り手は彼自身なので、隣の席で不快な出来事を再現しているのも、やはり、彼なのです。

なぜ、彼は、このような不快な夢を自ら作ったのでしょう?

筆者は彼に、恋人と別れた理由を尋ねると、とても身勝手で馬鹿げた理由なので、あまり、話したくないと言います。ただ、実際は、それを聞いた彼女は呆れ、口論にすらならなかったと。

彼は ” 一方的に自分の方が悪い ” と反省の言葉を口にしました。彼はここ数日間、恋人に対する罪悪感に苛まれていた。

修羅場に居合わせた不運な客

では、夢の内容を具体的に見ていきましょう。

ファミレスで見知らぬカップルが揉めている。数日前の自分たちを再現しているようにも見えます。

そして、自分は通路を挟んだ隣の席に座っている。夢の中で彼は、カップルの修羅場にたまたま居合わせた ” 不運な客 ” という立場になっています。

彼は自身の揉め事を見知らぬカップルに降りかかった災難に置き換え ” 他人事 ” にしようとしている。

しかし、彼が座っている場所が、なぜ、隣の席なのでしょう?

夢の作り手は彼自身ですから、それが不快な状況なら、遠くの席に座る設定にすることも出来た。

もっと言うなら、初めからこのような夢を作らなければよいのです。しかし、この夢は必要とされた。

そして、どうしても遠くではなく、カップルの会話内容を聞きとれるほど近くに身を置かなければならなかった。

なぜなら、この夢は、
彼の ” 罪悪感 ” を描いているから。

夢の中で女性は、別れを切り出した男性に向かって罵声を浴びせていた。恋人とは口論にすらならなかったという数日前の彼とは少し状況が違っています。

つまり、女性側に、あえて反論をする機会を与えているのです。

相手が反論をすれば、” 一方的 ” ではなくなるのでフェアな状態になる。このシチュエーションの違いも彼の罪悪感を軽減するための演出です。

では、ウェイターの存在は何を意味しているでしょう?

夢の中では、男の身勝手な言い訳に見かねたウェイターが男に説教を始める。

最初は、他のお客様の迷惑になるからという理由で仲裁に入ったが、途中から女性と二人で男性を攻撃し始めたと言います。

彼の ” 善意の心 ” が、ウェイターという姿を借りて登場している。

身勝手な男に対する二人の攻撃的な態度は、実際は彼自身へ向けられるはずのもの。そして、どこか自分のことのようにも思える耳の痛い中傷を聞きながら、彼は隣の席に座っている。

身勝手で愚かな男を ” 身代わり ” にして。

” あれは俺のことじゃない。隣の席のバカな男が責められているだけだ ”

彼の責任転嫁の心理が描かれています。

ただ、先ほども言ったように、都合が悪ければ夢を作る必要がありませんから、この夢は、彼の ” 自責の念 ” つまり、善意の心が作らせたのです。

そして、責めを受けるべきと感じながら、心のどこかで関わりたくないという気持ちもある。

葛藤する二つの感情の妥協線を取った形で設定されたものが、誰かを犠牲にして、自分が ” 傍観者 ” になるというシチュエーションです。

最後に彼は、状況に耐えきれず席を立とうとするが、通路にウェイターが立ち塞がっているので、その場から退避することが出来ない。

ウェイターは、
彼の中の ” 善意の象徴 ”

ウェイターが彼の前に立っているのは、なりゆき上ではなく、あえて逃げ道を塞ぐために配置されている。

” 自分は、この修羅場の一部始終を間近で聞いていなければならない ”

彼の自責の念が、そうさせているのです。

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次なるステップ

夢を見る人の心の中に何らかの葛藤があるという場合、今回の夢のように、二つの役を登場させて衝突させることがあります。

その時、自分が当事者としてどちらかの役になることもありますが、今回のように全く無関係な傍観者として参加することもある。

無論、その夢は本人が作っているわけですから、夢の中で起こりうる全ての出来事は本人に関係があるのは明白です。

本当に無関係ならば、夢にする理由がありません。

傍観者として夢に参加する時に ” 見物人を増やす ” という演出が施されることがあります。

今回の夢では彼一人でしたが、夢によっては自分の周りに数人の人間を配置して ” 見ているのは自分だけではない ” という状況を作るのです。

例えば、いじめっ子が誰かをイジメているのを傍観者として遠くから眺めているという夢を見たとしましょう。

夢を見ている本人は、それを止めることが出来ないことに責任を感じてしまう。

そこで、周りに人を置いて罪悪感を分散しようとする。” 助けに行かなかったのは自分だけじゃない ” という言い訳を作るために。

もし、あなたが夢の中で傍観者としてストーリーに参加していたなら、なぜ、自分が当事者ではないのか、それについて考えてみましょう。

そこには、もしかしたら不都合な事実が隠されているかもしれない。しかし、潜在意識は、あなたにそれを見つめて欲しくて夢を作ったのです。

潜在意識は知っている。

あなたがそれを克服し、次のステップに進めるだけの気概があることを。

 

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