どこにでも ” 嫌な奴 ”
というのはいるものです。
それが、通りすがりの赤の他人ならよいのですが、
どうしてもそういった人たちと
付き合っていかなければならない現実。
” 嫌な奴 ” と一言で言っても
色々なタイプの人がいます。
人の上げ足を取るのが上手い人。
勝ち負けにこだわり、何かと張り合ってくる人。
粘着質で許す心の無い人。
何を言われても皮肉としか捉えない
ネガティブ思考の人。
周りを振り回して迷惑をかけ続ける人。
出来るなら、なるべく関わりたくない人たち。
しばしばそういった個性の強い
キャラクターが夢に登場することがある。
夢は、それを見ている本人が
作っているものですから、自分の夢に
嫌いな人物を登場させることは、
一見、矛盾しているように思えます。
なぜ、こうした人物が夢に登場するのでしょう?
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架空のレストラン
次は、とある女性が見た夢の一例です。
高級レストランに入ろうとするが、
入り口で店員に止められる。
自分は予約も取ったし、
ドレスも着ているから入れるはずだと言い返しても、
店員は見下した目つきで薄笑いをしているだけ。
言っても無駄だと思い、
店を後にして帰ろうとする。
” 待て! ”
声がする方を振り返ると、
元彼がやってきて、私の腕をつかみ
店に向かって歩き始める。
” いいから、ちょっと来い!”
どこからともなくゴングの音が鳴り響く。
元彼は店員に捲くし立てる。
” 上司を呼んで来い。下っ端! ”
予約を取ったはずのレストランで
門前払いされるという夢です。
少し背景を説明しますと、
この夢を見た女性は、一年程前に
とある男性と交際していましたが、
その男性は、まさに絵に描いたような
” 嫌な奴 ” だったのです。
自己中心的で、態度が横柄で、
口喧嘩になると論理武装と言葉の銃弾を
マシンガンのごとく浴びせて相手に何も言わせない。
彼女は、何度とやりこめられ、
悔しい思いをした。
どうにか別れることは出来がのですが、
それ以来、男性不信になってしまった。
*
” レストランで入店を
断られた経験はありますか? ”
筆者の質問に彼女は ” 無い ” と答えます。
そもそも、
そういった高級な場所に行くことは無く、
外食するときは、気軽に行ける大衆的な場所が、
ほとんどだと言います。
この夢における高級レストラン
というシチュエーションは、何が別のことを
置き換えた結果なのかもしれません。
敵の敵は味方
セッションを進めていくと、彼女には、
一つの悩みがあることが分かりました。
彼女は、とある美容室で働いており、
美容師の資格も持っていましたが、
お店では雑用ばかりをやらされて、
なかなかカットをさせてもらえないと言うのです。
カットをさせてもらえない限り、
お客がつかない。
お客がつかない限り、
ご指名が入らないというジレンマに陥っていた。
彼女は言います。
” 店長には従業員を育てるという考えが無い ”
*
夢の中で彼女は、入れるはずのレストランに
入ることが出来ず店員に食い下がる。
彼女を門前払いする店員の見下した視線は、
彼女が常に職場で感じている雑用係に向けられた視線。
自分のカット技術が他の従業員と比べて遜色は無い
という彼女の自信が、ちゃんと ” 予約 ” を入れてある
という部分から垣間見えます。
自分は、入店するための手続きを
しっかり踏んでいる。
つまり、カットするための技術をすでに持っている。
彼女は、現在の仕事が、
自分の望んでいるものでは無いことに
不満を持っています。
多分、夢の中でレストランに入店することは、
彼女にとって本来するべき仕事を得る
ということなのでしょう。
*
門前払いを食らって、帰ろうとする彼女を
突然、現れた元彼が引き戻す。
潜在意識は、口喧嘩にめっぽう強かった元彼を
ストーリーに投入して、不利だった形勢を
挽回しようとしています。
敵にすると厄介な人物を味方にしたのです。
潜在意識は、必要とあれば嫌いな人物や、宿敵、
幽霊、神、悪魔でさえ利用します。
今回の夢では、自分を散々苦しめてきた
元彼という癖のあるキャラクターを起用して、
彼女の願望を叶えようとしている。
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人生で出会う宿敵
ただ、夢の中ですから、登場人物の全ては
彼女自身が作り出したものと言えます。
なので、ストーリー上、
元彼に力を借りているようにも見えますが、
実際は、彼女自身の闘争心が元彼の姿を借りて
登場していると言った方がいいのかもしれません。
*
彼女は、言いました。
” 昔の自分なら何か言われたらすぐ泣いていたけど、
元彼と喧嘩ばかりしているうちに精神的に
強くなった気がする ”
彼女にとって、元彼との数カ月間は、
最悪の思い出だったのでしょう。
しかし、その中で彼の人を黙らせる方法や、
責任を回避しながら攻撃に転じる方法、
勝つためには手段を選ばないあざとさ、
それを間近で体験していたことも事実です。
彼女は、その数カ月で知らず知らずのうちに
戦うための精神的強さを身に着けていたのです。
夢の中でどこからともなく
鳴り響いたゴングは戦闘開始の合図です。
潜在意識が彼女に ” 戦え ” と言っているのです。
*
さて、生きていれば
あなたのことを苦しめる ” 宿敵 ” とも言える人物と
出会うことになるでしょう。
学校の先生やクラスのいじめっ子、会社の上司、
注文の多いクレーマー、近所の住人、
SNSでアンチコメントばかりを書いてくる人・・
人と人が出会う場所には、
一人や二人そういった人物は必ずいるのです。
もしくは、うちの旦那が
それだと言う人もいるかもしれません。
確かに関わりたくはない人物たちです。
ただ、やもえず関わってしまった彼らは、
ある意味、反面教師と言うことも出来る。
もし、宿敵のいない世界があるとしたら、
そこは平穏でしょう。
そして、平穏な日常に何も感じなくなる。
人が、皆、同じ価値観を持っていると思い込む。
そうして、心の狭いヤワな人間になっていく。
もしかすると、彼らは、
” 必要悪 ” なのかもしれません。
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