” 単なる夢 ” に隠されたメッセージ|見過ごされた暗示

時折、夢は未来の出来事を映し出す。

潜在意識が、私たちより一足先に
それを察知し、夢にするのです。

ただ、映し出されたそれは、
一般世間で言われている
いわゆる ” 予知夢 ” ではない。

私たちが思っているような
分かりやすい形ではなく、
もっと複雑なストーリーとして描かれる。

ゆえに、それが未来を指し示していても
” 単なる夢 ” として見過ごしてしまう。

そして、私たちが、
それに後から気づくことは無い。

通り過ぎて行った ” 単なる夢 ” を
誰も覚えてはいないでしょうから。

では、その見過ごされてしまう夢とは、
具体的にはどういったものなのでしょう?

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” 単なる夢 ” として片づけられる夢

次は、とある会社員男性が見た夢の一例です。

ボートを漕いでいると水面に渦巻きを発見する。
 
それは、少しずつ大きくなっている。
 
慌てて進路変更をしようとするが、
ボートが思うようにコントロール出来ない。

この夢を見た数日後、彼の勤める会社で
とある問題が持ち上がるのです。

それは、設計に関する問題で
営業職として働いていた彼には、
あまり関係の無い話でした。

会社は問題を解決するために調査チームを作って、
原因究明に乗り出したのですが、
関連する各部署の言い分が
バラバラで話がまとまらなかった。

責任を被りたくない各部署は、
問題の原因は他にあると主張するのです。

そして、その火の粉は彼の所属する
営業部にも飛び火し始めた。

” そもそも、事が大きくなったのは、
顧客に対する
営業側の説明が不足だったからでは? ”

*

ここで、夢の内容を振り返ってみましょう。

池の水面に発生した渦巻は、
彼がこれから巻き込まれるであろう
会社のゴタゴタを表しています。

夢の中で彼はボートの進路を変更して
それを回避しようとするが、
上手くコントロール出来ない。

会社の調査を彼にコントロールする
権限などありませんから、
彼の出来る対応は限られます。

後は事態を見守るしかない。

さて、この夢は、本当に彼が体験した
会社の騒動を暗示していたのでしょうか?

夢の内容は、池でボートを漕いでいるという
会社とは全く無関係なものです。

唯一、共通しているように思えるのは、
大きくなっていく渦巻が、
会社の騒動を何となく想起させるだけで、
それ以外の部分に関しては、共通点
らしきものは見当たりません。

” 無理矢理、夢と結び付けているだけだ ”

と言って、
” ただの夢 ” として片づけることも出来る。

薄々知っているという状態

大抵、” ただの夢 ” として
片づけられてしまう夢は、
因果関係が分かりにくいのです。

解釈の仕方によっては、
暗示しているようにも見え、

また、本来は無関係な夢と出来事を、
理屈を並べて無理矢理こじつけていると
言うことも出来る。

潜在意識はこの曖昧な領域に好んで
夢を作るのです。

その理由は、いくつかありますが、
この夢に関しては潜在意識に
直接描写する動機が無いということです。

動機が無いというのは、どういうことか?

例えば、潜在意識が会社のゴタゴタを
直接描写して、どうしようと言うのでしょう?

そこにメリットがありません。

夢は彼のストレスを軽減するために
作られるのです。

そして、夢の作り手である潜在意識は、
夢の内容を自由に書き換えることができる。

自由にコントロールできる権限があるなら、
無論、事実を都合良く書き換えるでしょう。

書き換えていけない理由など潜在意識にはなく、
事実を事実として伝えるジャーナリズムも
潜在意識には関係ありません。

*

出来事を直接描写しない理由のもう一つは、
抽象的な表現に置き換えることで
問題に対処しやすくするためです。

この夢で言うなら、
会社のゴタゴタの一部始終を描くのも大変ですが、
複雑な会社組織の悪しき体質を
短時間で都合良く書き換えるというのも
分かりずらく困難です。

ならば、問題を渦巻に例えて、
彼をボートに乗せて池に浮かべれば、
状況がつかみやすく、対処も
シンプルなものになるでしょう。

実際に、彼は夢の中で
ボートの方向転換を試みています。

ボートを方向転換するだけなら、
調査チームの質問攻めをかわすより容易でしょう。

また、いざとなれば、引きずり込まれる
ボートを捨てて池にダイブしてもいい。

現実の職場から逃走するのは難しいですが。

*

ただ、彼は、
ボートを最後までコントロール出来ていません。

これには、どういった意味があるのでしょう?

夢の作り手は、彼自身なので、会社の騒動を
抽象化して描いている夢だということを
すでに知っているのです。

つまり、ボートの方向転換が、
実際は、何を意味するのかを薄々分かっている。

それが、そう簡単には行かないことも理解している。

ゆえに、回避に手間取っているのです。

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状況の抽象的再現

次は、とある女性が見た夢の一例。

油まみれの手を洗おうとするが、
水道から水が出ない。

とてもシンプルな夢ですが、
夢の中ではかなり困った状況だった。

両手が何かの油でベタベタで何も触れない。
何も出来ないという状況だったそうです。

一週間ほどして、
スマホが故障してしまった。

生活に必要なもの全てがスマホに入っていたので
メーカーから修理品が戻るまで
何も出来なかったと言います。

なぜ、彼女の潜在意識は、
油まみれの手という奇妙な夢を作ったのでしょう?

この場合、潜在意識が描きたかったのは、
” 何も手がつけられない ” という状況です。

夢の中でスマホの故障を
” 油まみれの手 ” に置き換えた理由は、
トラブルの対処が容易になるからです。

” 私がスマホに触れないのは、
故障したからじゃなくて手がベトベトだから ”

最悪、水洗いを諦めて、
タオルやティッシュで拭くことも出来たでしょう。

スマホをメーカー修理に出すよりは、
ずっと簡単な対処で済む。

つまり、トラブルを都合の良い
シチュエーションに置き換えた結果、
” 油が手についただけ ” という演出になった。

*

さて、今回は、未来を暗示する夢が、
事実を直接描写しないために、
メッセージが見過ごされてしまう
ということについて例を挙げて解説しましたが、

実際、この解説は本当に正しいのでしょうか?

単なる夢に理屈をつけて
もっともらしく解説しているだけなのかもしれない。

残念ながら、この解説が正しいということを
証明する方法は無いのです。

どこかに教科書があって、
答え合わせが出来るというならよいのですが、
そのような都合の良いものは現実には存在しません。

誰かが見た夢を
他人に証明することは不可能なのです。

もし、この解説の真偽を確かめるとしたら
自分の夢を観察し続けるしかない。

*

筆者から言えることは、夢は偶然の産物ではなく、
明確な意思によって作られているということです。

そして、作られるそれは ” 主観 ” による創造物。

夢は特別な事情を除いては現実を忠実に再現しない。

特別な事情とは、忠実に再現することが
夢を見ている本人にとってメリットになる場合です。

例えば ” これが現実であってほしい ”
という願望があるなら、
それは、現実として描かれる。

逆に “こんな現実受け入れられない” と思うなら、
潜在意識はリアリティを本人が納得できる
レベルに調整するのです。

それは抽象化され、一見すると現実とは
何の関係も無いかけ離れた内容へと書き換えられる。

私たちは目覚めてから、こう思う。

” ああ、今見たものは、単なる夢だ。
気にすることじゃない ”

多分、朝食を取り終わるころには
忘れているでしょう。

ましてや、一週間後にとある出来事があったとして、
それが夢と関連していることに気づく人は、
誰もいないでしょう。

 

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