夢の中で、ヒヤッとするような危険な
シチュエーションが描かれることがあります。
例えば、崖っぷちの細い山道を歩いていたり、
深夜、自宅に何者かが侵入したり、鳴り響く
踏切の上で車が故障してしまったり、
事故や事件そのものは発生していないが、
その瀬戸際という緊迫した状態を描く夢。
こういった夢を見ると何かの警告メッセージ
ではないかと不安になるかもしれません。
果たして潜在意識は、
危機的状況を描く夢によって、
一体、何を伝えようとしているのでしょう?
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後付けされたシチュエーション
次は、筆者が見た夢の一例です。
凍り付いた道路の上を
スピードを出して車を運転している。
大きな危険物輸送車が
地響きを立てながら
すぐ真横を追い抜いていく。
このすぐ先は急カーブになっている。
あのスピードと重量を考えると
輸送車は曲がり切れないだろう。
前方を走っていた輸送車が急カーブに
さしかかり、曲がり切れず片輪が大きく
浮きあがった瞬間、筆者は目覚めます。
まさに、大事故直前と言ったところでした。
場所は広い荒野のハイウェイといった
感じで、家も無く、ただ、凍てついた雪景色
が延々と続く、日本ではあまり見られない景色。
それは明らかに架空の場所だったので
筆者は夢に描かれた危機的状況は、
何らかの ” 例え ” なのだろうと思いました。
*
では、夢の内容を詳しく見ていきましょう。
凍り付いた道路の上をスピードを出して
車を運転している。
この時点で、既に奇妙です。
なぜ、そのような場所をスピードを出して
運転する必要があるのでしょう?
ゆっくり走れば済む話です。
何か急ぎの用事があったのか?
ですが、夢の中の筆者には目的があって
走っているという認識はありませんでした。
つまり、こういうことです。
筆者には、
何かに対する危機感、焦りがあった。
それを凍結した路面の上を運転している
せいにして、誤魔化そうとしている。
” 自分の気持ちがソワソワしているのは、
危険運転をしているからだ ”
潜在意識は筆者にそう思わせようと、
このシチュエーションを仕組んだ。
この危険な状況は、筆者が元々感じていた
危機感に対して後付けされた演出です。
置き換えられた事故
では、筆者は、何に
危機感を感じていたのでしょう?
夢の中では、
危険物を積んだ大型タンクローリーが、
地響きを立てながら凄いスピードで
真横を抜き去っていった。
無論、登場しているタンクローリーも、
筆者自身による演出の一つなのですが、
ここでも潜在意識が、あえて危険な状況を
作り込もうとしている意図が感じられます。
無論、目の前に用意されたカーブも
演出の一つです。
凍結路面の上をカーブに向かって
猛進していくタンクローリーが、
その後どうなるか想像に難くありません。
潜在意識が、それを必要としているのです。
*
夢全体が、この結末を描くために
構成されたストーリーのようにも見えます。
ドラマで例えるなら、
最初にラストシーンのみが決まっていて、
そこに至るまでのストーリーが
それに合わせて作り込まれているような感じです。
そして、この夢の結末は、実際の事故を
描いているわけではなく、筆者の主観
によって描かれているということに
留意する必要があります。
つまり、何か別の事柄を
タンクローリーの横転事故に例えている。
この時点で、筆者には
一つの心当たりがありました。
それは、このところ、連日、報道されている
国際ニュースです。
丁度、挑発し合う北朝鮮とアメリカの動向に
世界が注目している時期でした。
それは、誰もが知っているとおり、
一食触発といった様相を呈し、テレビでは
軍事評論家やコメンテーターが、いわゆる
” Xデー ” ついて話題にしている時期でした。
無論、筆者もニュースを見ていましたし、
インターネットでは、過激なタイトルの
関連記事や動画があちこちで投稿されて
いるのを知っていました。
あまり、そういった情報に
振り回されたくないとは思いつつ、
さすがに心の底では動揺していたのです。
それから、一週間ほど経った頃、
アメリカの航空母艦の一団が進路を日本海
に向けて航行しているというニュースが流れます。
まさに、いよいよかという事態に、
日本中が戦々恐々としたことでしょう。
おそらく、ニュースに触発され、
筆者の中に生まれた
国際情勢がさらに不安定になり、やがて、
本当にXデーが来てしまうのではないか
という危機感が今回の夢を作るきっかけに
なった・・ということかもしれません。
つまり、夢の中で ” Xデー ” を
タンクローリーの横転事故に置き換えた。
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設定が置き換えられた理由
さて、今回の夢に描かれていたのは、
国際情勢に関する筆者の不安と危機感
だったわけですが、それが、なぜ、
このような夢になったのでしょう?
夢の中で、分かりやすく戦闘機や
ミサイルを描いても危機感は表現出来たはず。
まず、直接表現を使わなかった理由の
一つは、それを直視したくなかったからです。
戦争など、それが夢の中であったとしても、
誰も体験したいとは思わないでしょう。
それが、実際に起こるかもしれない
リアルな問題なら、なおさらです。
*
だから、心の奥底にある危機感を別の形で
処理する必要があった。
” これはハイウェイで起こった大事故に
過ぎない ”
というストーリーに置き換えて、
気休めにしようとしているのです。
そして、その事故は
大きくなければいけない。
なぜなら、夢の作り手である潜在意識は
タンクローリーの事故が、本当は
何を例えているかを知っているからです。
それが、曲がり角で車と車が衝突する
といった日常的な事故では
インパクトが弱く、心の底で感じている
危機感とは釣り合いが取れない。
不自然でない程度に誤魔化すためには
それなりのスケールが必要だった。
*
潜在意識は夢の舞台を凍てついた
荒野に走る一本のハイウェイに設定し、
危険物を積んだ大型輸送車を配置しています。
真横スレスレを地響きを立てながら、
走り去っていく大きな輸送車は、
” 自分にはコントロール出来ない
暴走する大きな力 ” を象徴しています。
シュミレーションとしての夢
さて、今回の夢では大事故が起こる直前に
筆者は目覚めています。
つまり、結末を明確に見たわけではない。
多分、目覚めなければタンクローリーは
間違いなく横転したでしょう。
危険物を運搬していたという設定なので
爆発炎上したかもしれません。
ただ、夢の中で、もし、
そういった結末であったとしても、それは、
未来を暗示しているとは言えないのです。
実際、現時点の北の情勢を見ても
何も起こっていませんし、
多分、これからも起こらないでしょう。
夢は、あくまで
” 主観 ” によって描かれる。
まさに、今回の夢は、筆者の主観が
描かれていたわけですが、仮に
タンクローリーが横転し爆発したとしても、
それも、結局、筆者の中の
” もし、こんなふうに大惨事に
なったらどうしよう・・ ”
が描かれているだけなのです。
例えば、心配症の人なら、Jアラートが
誤作動を起こしたというニュースを
見ただけで、自宅にミサイルが
飛んでくる夢を見るかもしれません。
” もし、それが誤作動ではなく、
本当だったら・・ ”
とニュースに過剰に反応した潜在意識が、
その勢いで夢を作ったのです。
*
夢が、こうした ” 恐れている事態 ”
を映像化するのは、私たちが
災害保険に加入する理由に似ています。
本来ならば起こって欲しくない出来事を
わざわざ想定し、それに備えて
私たちは保険に入る。
実際、それを一度も使う機会が
訪れなかったとしても。
つまり、夢に描かれる惨事は
備えるための ” 想定 ” なのです。
言い換えるなら、
” シミュレーション ” でしょうか。
ゆえに、大抵の夢の結末で
自分が死ぬことはありません。
*
もし、あなたが、ヒヤっとする
危機的状況を描いた夢を見たならば、
まず、落ち着いて自分の現在の状態を
振り返ってみてください。
それが、未来に関することでなければ、
今の精神的に不安定な状態が、
夢になったと考えることも出来ます。
仮に、それが未来の暗示であったとしても、
結局、その夢は、あなたの主観によって
描かれてるということを忘れてはいけません。
夢に描かれるのは出来事そのものではなく、
あくまで出来事に直面したときの
” 個人的感想 ” なのです。
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