注目を浴びる夢|コンプレックスが夢になる時

夢の中で周りの人の注目を浴びてしまう。
様々なシチュエーションが考えられます。

会社の会議室でプレゼンを行ったり、
自宅の前で周りの住民からじろじろ
見られたり、ロックスターになって
ステージで演奏するというような設定も
あるでしょう。

自ら注目されることを望んでいる場合も
あれば、不本意に注目されて恥ずかしい
思いをするという場合もあります。

まず、理解しておくべきは
” 注目を集めた ” という部分のみで意味を
判断することは出来ないということです。

どの夢にも言えることですが、ストーリー
の全体を視野に入れる必要があります。

そして、その夢が作られた理由と自身の
私生活との関連性を見つけることが
夢を読み解くための近道です。

つまり、全てはケースバイケース。

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架空の講演会

次は、とある女性が見た夢の一例です。

講演会が開かれている。
壇上で講師がスピーチをしている。
 
舞台袖でそれを見ている自分。
 
誰かが背中を押したので舞台に
出てしまう。
慌ててカーテンの隙間に隠れる。

夢の中では、彼女は客席ではなく、
舞台袖から講演を聴いているという状況
から、運営スタッフのような立場として
ストーリーに参加しているようにも
伺えます。

” 講演会の運営スタッフとして働いた
経験などはありますか? ”

筆者が尋ねると、彼女は次のように
答えます。

会社の研修でそういった集まりに出席した
ことは何度かあるが、運営スタッフとして
働いた経験は一度も無いということでした。

また、今後の予定についても尋ねましたが、
特に講演会に参加する予定も、運営に参加
する予定も無いそうです。

彼女の回答を聞く限り、夢の中の講演会と
彼女の私生活とは何ら関わりが無い
ようにも思えます。

潜在意識は、なぜ、夢の舞台を講演会とし、
彼女をステージの袖に配置している
のでしょう?

この夢の作り手はあくまで彼女自身なので、
ステージを用意したのも、誰かに押され、
一瞬、人目に晒されてしまう演出も彼女自身
が仕組んだものです。

そう考えると、この夢は人々の注目を
集めるためのものであり、彼女の中の
” 目立ちたい ” という隠れた願望が
描かれているかに見える。

彼女の性格を知らなければ、筆者も
そのように解釈したかもしれません。

夢を読み解く上で、夢を見た人、つまり、
夢の作り手の性格を把握しておくことは
重要です。

夢はその人のプライベートの側面が表れる
ものとは言え、夢の内容だけで判断できる
ことには限界があります。

解釈する側の思い込みによって全く誤った
解釈を導くこともある。

セッションを進めていくうちに、彼女が
どういった人柄なのか段々と分かって
きました。彼女は、ある告白をします。

実は、人前で喋ることが全く出来ない
と言うのです。

それは大勢の前に限らず、1対1で話す
ときも、自分から発言したりしませんし、
意見を求められても自分の意見など
ありません。

そもそも、周りの誰も彼女に
意見を求めたりはしなかったのです。

ただ、彼女の中には、この性格を
どうにかしたいという切実な思いが
あるだけでした。

理想の影で

彼女の人見知りの強い性格を知ると、
別の解釈が見えてきます。

筆者は、夢の中で彼女が、なぜ、舞台袖に
立っていたのか尋ねてみました。

彼女は出番を待っているわけではなく、
運営スタッフとしてそこにいたという
認識もなかったと言います。

一体、そこで何をしていたのでしょう?

彼女は、既に
ステージ上に立っているのです。

正確には、彼女の ” 理想の自分 ” が
演台の前に立つ講師として再現されている。

演台の前に自分の理想の姿を描きながらも、
彼女自身は舞台袖で甘んじている。

そこは聴衆には見えない位置ですが、
一応、ステージの端には立っている
わけです。

そこを降りて、客席から話を聴くわけには
いかない。なぜなら、それは彼女のために
用意されたステージだから。

そして、後ろから何者かによって背中を
押された。

自らの口で意見を言わなければならない
という彼女の中の ” 意思 ” が、演台に
進めと言うかのように背中を押したのです。

彼女は、ステージに飛び出した後、
自分に注目する聴衆を見て、怖気づき、
隠れてしまう。

正確には舞台袖に戻ったのではなく、
ステージの中央に垂れ下がっていた
カーテンの隙間に隠れた。

位置関係として舞台袖に戻るには、
一度、カーテンから出て、聴衆の前を
横切らなければならなかったと言います。

しかし、彼女は、怖くて出ることが
出来なかった。

この夢は、彼女自身が作っているわけ
ですから、ステージの状態や位置関係
といった演出は、全てコントロール
出来るのです。

つまり、聴衆の前を横切らなければ、
舞台袖に戻ることが出来ないという状況も
あえて、仕組まれたもの。潜在意識は、
もう一度、聴衆の前に出るための機会を
彼女に与えているのです。

これら仕組まれた演出からも、彼女が、
どうにかしてコンプレックスを克服しよう
と葛藤している姿が見えてきます。

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彼女が見ている風景

さて、彼女は、なぜ、
このタイミングで夢を見たのでしょう?

先ほどの解釈でいけば、彼女には、今、
コンプレックスを克服しなければならない
差し迫った理由があるか、もしくは、今後、
そういった状況になるか、どちらかです。

筆者は、尋ねます。

” 最近、コンプレックスを克服しなければ
いけないと思ったことはありますか? ”

彼女は、一つの事柄に思い当たります。

現在、働いている職場に、来週、二人の
新入社員が入ってくるので案内役を
頼まれたと言います。それは他の社員が
忙しく自分だけが空いていたから、
という理由のようでした。

つまり、何も知らない新入社員が、
職場で最初に出会う人になるということが、
彼女にとっては大きなプレッシャーに
なっていた。

普通の人ならば取るに足らないことでも、
極度の人見知りである彼女には、
初対面の人に自分から話しかけなければ
いけないという状況が、途轍もない重責に
感じられたのでしょう。

彼女はコンプレックスを克服する必要に
迫られていたのです。

ただ、たった二人の新入生が相手です。

これが、どうして大勢の聴衆を前にしての
講演会という夢になったのでしょう?

夢の中の架空の講演会は、彼女の ” 主観 ”
を描いている。

つまり、普通の人なら何でもないことでも、
彼女にとってそれが一大イベントのように
感じられたのなら、夢はそのスケールで
描かれるのです。

例えば、十代の若者が失恋して、
世界が終わったと感じれば、潜在意識は、
巨大隕石が地球に衝突する夢を作ります。

それと同じで、彼女にとって初対面の人に
話しかけるというのは、大勢の聴衆の前で
スピーチをするぐらいのプレッシャーを
与えている。

” まるで、講演会でスピーチするぐらい
緊張すること ”

という彼女の感じている緊張感が
ストレートに映像化されています。

悪意の無い世界

人の悩み事は、いくつかのパターンに
類別出来る。仕事、恋愛、人間関係、
健康など、大抵の悩みはそのどれかに
当てはまる。

そして、それに合わせて、
用意される答えも予め決まっている。

筆者は、この考え方はナンセンスだと
思います。

統計の数字だけを目で追って ” 人 ” を
見ていない。これは、夢への理解を妨げる
要因の一つです。

夢は、その人の最も奥深くから生まれる
ものです。それは、繊細で外側からは
見えないものです。そのプライベートな
領域に踏み込まなければ、本当の理解は
得られない。

あなたが何か夢を見たとして、そこには
あなただけの ” 答え ” があるはずです。

そして、必ずと言っていいほど、
あなた自身の性格、人生観、思想、
コンプレックスといった普段は人前で
口に出さないコアな部分が反映されている。

” 人前で言うようなことじゃない ”

と思っていることを潜在意識は夢のテーマ
として扱うのです。夢の中で、それを
隠し続けて身を守る必要はありません。

なぜなら、潜在意識とあなたは一つ。
あなたが傷つけば、それは潜在意識に
とっての痛み。

そして、潜在意識が抱えているものは、
あなたが抱えているもの。

夢という世界に現実世界のような
” 悪意 ” は存在しない。全ては、
あなたのために創造された純粋な世界です。

 

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