見慣れた日常が夢になることがあります。
職場や自宅を舞台にした
何でもない日常を描く夢。
ただ、その中に、一点だけ
” あれ? ” と思うような演出。
他は見慣れている風景だけに
それだけがなぜか妙に浮いて見えたり、
不協和音となって、
その場の雰囲気をおかしくしている。
例えば、今までメガネなど
したことのない友達が、夢の中で
なぜかメガネをしているとか、
いつもは、薄化粧の同僚が、
なぜか厚化粧で登場しているとか、
机の上に見慣れない小物が置いてある。
寝室のドアが左右逆になっているなど。
日常の風景にそれとなしに
紛れ込んだ不可解な演出。
この見過ごしてしまいそうな
ちょっとした ” 違和感 ” には、
何か意味があるのでしょうか?
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真っ赤なドレスの女性
次は、筆者自身が見た夢の一例です。
いつものように仕事をしている。
なぜか、職場の一画に
真っ赤なドレスを着た美しい女性が立っている。
この夢は何年か前に見たものですが、
その当時、筆者が働いていた職場を
舞台にしています。
一見すると、いつも通りの職場ですが、
ある一角にドレスを着た女性が立っている。
もちろん、普通ならあり得ない状況です。
その存在が目立ち過ぎていて、
強烈な違和感がありました。
筆者はその女性を見て、
” あ、これはダメなやつだ ”
と直感的に感じ、夢の中で
その女性を追い払おうとします。
筆者が近づくと女性は走り出し、
建物から出ていきました。
そして、夢から目覚め、何か悪い出来事が
起こるのではないかと心配したのです。
カモフラージュとしての役割
このように、夢の中で
周りの雰囲気に馴染まない
” 異分子 ” を発見したとき、
何を感じたのかという ” 感覚 ” は重要です。
それが言葉として表現しにくい
微妙な感覚であっても明らかに違和感があれば、
そこには何らかの意味がある。
今回の夢では真っ赤なドレスを着た
美しい女性が登場している。
美しいわけですから、
お目にかかるだけでも得をした気分
になりそうですが、筆者はその女性の
意味をすでに理解していました。
人目を惹く派手なドレスとその美しさは、
何かから注意を反らすための
カモフラージュなのです。
*
では、その ” 何か ” とは何でしょう?
それはカモフラージュのインパクトの強さから、
推し量ることが出来ます。
今回の夢では、日常の風景に赤いドレスの女性
という全くミスマッチな存在を送り込んでいる。
確実に注意を惹くでしょう。
逆を言えば、
確実に注意を反らしておかなければ
ならないことです。
そのミスマッチな存在に感じた
非日常的な違和感は、
” 日常的ではない出来事 ” を表しています。
ただ、その時点で分かったのは
職場を舞台にしていることから、
仕事に関することで、何か
良くない出来事が待っている
ということぐらいでした。
それから、一週間ほど経った頃、
その ” 何か ” が明らかになります。
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午後の出来事
一週間後、筆者は、
夢のことをすっかり忘れており、
いつものように仕事をしていました。
ただ、その日は、
日頃の睡眠不足やストレスから、
朝から体調が悪く頭がぼやっとしていました。
午後の仕事が始まってから、しばらくして、
突然、気分が悪くなり足がふらついて、
その場に座り込んでしまったのです。
そこから一歩も動けなくなってしまった。
心配になって
同僚たちが集まってきました。
この時、筆者は、
辛うじて意識を保ちながらも、
夢のことを思い出しました。
夢の中でドレスの女性は、
自分が座り込んだ丁度、
この位置に立っていたのです。
*
潜在意識は、来るべき
悪い出来事を前もって察知し、
夢を作って対処しようとしています。
カモフラージュとして
注意を逸らすための美しい女性を
起用して、出来事が起こる
予定の場所に配置しています。
筆者の感じた ” 違和感 ” は、実際は、
これから起こるアクシデントに対するものですが、
そこに赤いドレスの女性が立っているため、
女性を見たことで違和感を感じたのだと
錯覚するのです。
これは、潜在意識がよく使う技法です。
” 原因の置き換え ” とでも言いましょうか。
何か言い知れぬ違和感や不吉な感覚を
持ったとき、心の動揺を抑えるために
全く別の原因を用意して、
本来の原因から注意を逸らすのです。
例えば、夢の中で、なぜか、
嫌いな人物が登場しているといった場合、
気まずい空気なのは、
嫌いな人物がいるからだと思わせるのです。
つまり、
その ” 気まずさ ” の原因は他にある。
些細な感覚
あなたが、もし日常的な夢を見たとします。
その中に一点だけ、妙に違和感のある人物、
アイテム、状況などがあった場合、それは、
夢の核心を伝えているのかもしれません。
ただ、” 違和感 ” と言っても、
感覚的なものなのですから、
今回の夢のように明らかに場の空気に
合っていないというケースでもない限り、
何を持って ” 変だ ” と感じるかは
個人差があるでしょう。
例えば、夢の中でメガネをしないはずの
友人がメガネをかけていても、
” ああ、この人普段はコンタクトしてたんだ ”
と思うぐらいで、取り立てて
変だとは思わない人もいるかもしれません。
しかし、その状況が普段とは
違っているのは確かですから、
メガネをしない友人がメガネをしている理由を
一応は考えてみる必要があります。
例えば、友人のとある行動に
あなたが ” 空気が読めない人 ” だと
感じて引いてしまったとしましょう。
その眼鏡は、友人に対する
” もっと周りをよく見て行動して! ”
というあなたの怒りの象徴なのかもしれません。
もしくは、元々顔立ちの良い友人が
自分よりも目立たないように
眼鏡をかけさせているのかもしれない。
考えられる解釈は無数にあります。
*
日常の風景の中でいつもとは違っている箇所が、
一つ二つだけならば比較的絞った解釈が可能ですが、
それが夢の至るところにあるといった場合、
( もはや、それは日常的な夢とは言えませんが )
やはり、奇妙だと感じられた
その一つ一つに着目して考えていく必要はあります。
地味な作業ではありますが、
夢の核心に近づくための鍵がそれだけ
多く用意されているというのも確かです。
*
夢を読み解く経験を重ねていくと、
夢を見ている最中に
” これは、多分こういった意味だろうな ”
と夢の中で分析する癖が
ついてしまうかもしれません。
いわゆる明晰夢ですが、今回の夢でも、
筆者はドレスの女性を不吉な存在として
追い払おうとしています。
この部分は、
これが夢だと知った上で取った行動なので、
メッセージの本質とは無関係です。
仮にあなたが見た夢が明晰夢ならば、
そういった部分を除外する必要があります。
いずれにせよ、
夢の中で感じたことが些細な感覚であっても、
それは夢を読み解く鍵になる。
もし、夢の中で妙だと感じたら、
そこには潜在意識の意図が隠されているのです。
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