類似した存在、類似した状況の解釈|ネズミとハムスター

何か夢を見たとして、それを夢占いで調べたが当てはまる項目が見つからず、似た項目ならあるという場合。

例えば、夢の中ではシャチが登場していたが、シャチという項目は無く、イルカやサメなど類似した項目がある場合、その項目を参考にすべきでしょうか?

もしくは、夢の舞台が海の近くにあるサービスエリアだったという場合、ピンポイントな項目が見つからなかったら、” 海 ” と ” 休憩 ” の項目を合わせて応用解釈すればよいのでしょうか?

夢の意味をインターネットで調べる時に、度々遭遇するあの状況。

果たして、当てはまりそうな解釈が見当たらない時、類似した状況や物に対する解釈で、その夢の意味を推察できるのでしょうか?

今回は、類似的設定と夢解釈について見ていきましょう。

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手のひらの上に

次は、とある女性が見た夢の一例です。

ハムスターがソファーの隅っこで丸くなっているのを発見する。
 
手のひらに乗せてみると、具合が悪いのかじっとしている。

まず、最初に気をつけておきたいのは、ペットとしてハムスターを実際に飼っている場合と、ハムスターを飼っていない人が夢を見た場合では、意味が変わってくるという点です。

ペットとして飼っているハムスターが登場しているというなら、そこには ” 家族の一員 ” という側面が加わります。

また、飼ってはいるが、夢に登場したのは架空のハムスターだったという場合、なぜ、家族そのものではなく、架空の存在をキャスティングしたのかを考える必要があります。

それは、潜在意識が、あえてそうしているのです。

ハムスターをペットとして飼っておらず、” ハムスター ” という項目が夢占いに無かった場合、もしかすると、ハムスターに類似した ” 鼠 ” という項目を調べるかもしれません。

” 鼠 ” は、夢占いでは ” 縁起物 ” として扱われることが多いですが、夢の中の状況によって解釈は分かれます。

そこでハムスターを ” 鼠 ” に類似したものと判断し、” 鼠 ” の項目に書かれている解釈を応用すべきか?

その判断をする前に、一つの疑問。

それは、夢に登場したのが、なぜ、鼠ではなく、ハムスターだったのか?という点です。

つまり、” 鼠 ” で表現できる部分をわざわざハムスターにした理由は何でしょう?

ハムスターにまつわる思い出

一つ、考えられるのは、” 鼠 ” では都合が悪かった場合です。

例えば、鼠がソファーで丸くなっている。

鼠には不潔なイメージもありますから、鼠が嫌いな人は夢の中で幸運の使者として、鼠を登場させることに抵抗を感じ、それを避けた形でハムスターに代役をさせた。

そう考えるとハムスターを類似動物として、” 鼠 ” の項目を参考にすることは、あながち間違った判断ではないのかもしれません。

では、鼠に関して、取り立てて抵抗が無い場合はどうか?

その場合は、夢の中で ” 鼠 ” の登場を避ける必要がありませんから、ハムスターが登場した理由は別にあり、鼠とは別の解釈が必要だということです。

ただ、今回は、少し状況が違うようです。

この夢を見た女性は、ハムスターをソファーの隅で発見したとき、心の中で次のように思った。

” 昔、逃げ出したハムスターだ。ここにいだんだ ”

彼女は、実際にペットとしてハムスターを飼ったことはありませんでしたが、友人の家に行ったときに飼われていたハムスターを触らせてもらった経験がありました。

その時に、ハムスターが逃げ出し、友人の部屋を二人で探し回った思い出も。

ハムスターは見つからないまま、彼女は友人の家を後にし、その後、友人と話す機会が持てないまま、気まずさもあってハムスターのことを聞きそびれてしまったと言います。

このエピソードから推察すると、彼女にとって夢の中のハムスターは ” どこかに行ってしまい、見つからなくなってしまったもの ” を象徴していると解釈することも出来そうです。

さて、夢の中のハムスターは、具合が悪そうにしてじっとしている。これは、一体、何を意味しているのでしょうか?

どこかに消えてしまったもの

筆者は彼女に尋ねました。

「気まずかったというのは、どういう意味ですか?」

「ハムスターが逃亡したのは、私のせいかもしれないんです」

彼女の説明では、友人が少しの間、部屋を離れた時があり、自分はハムスターを手にのせて触っていたと言います。それから、ゲージに戻して扉を閉めた。

しかし、実際はロックがかかっておらず、友人が戻ってきた時には、扉は少しだけ開いていた。

「友人は、よく逃げ出すことがあるから心配しないでと言ってました。でも、私がロックをちゃんとしなかったから・・」

「その一件で、ご友人と疎遠に?」

「ええ・・どちらかと言えば、私が避けていたのかもしれません」

その友人は彼女にとって、学生時代の親友でした。ハムスターの一件から何となく距離が出来てしまい、そのまま時は過ぎていった。やがて、二人は社会人に。

「時間が経つごとに、何だか話しかけ辛くなってしまって」

夢の中のハムスターが弱っているのは、親友と自分を繋ぐ ” 絆 ” が、消えかかっていることを表しています。

ハムスターという動物は、鼠のように雑食性で生命力が強いわけではありません。か弱く、ほったらかしで世話をしないと、きっと、死んでしまうでしょう。

そういった意味で、人と人の絆にも似ている。

潜在意識は、一度は失われてしまった親友との絆の象徴として、彼女の思い出の中からハムスターのイメージを取り出し、それを登場させた。

セッションを終えてから、数日後、彼女からメールが届きます。

そこには数年振りに親友に連絡を取り、会う約束をしたとありました。

それから、逃亡したハムスターは、彼女が帰った後、空腹だったのか、いつの間にかゲージに戻っていたと言います。

潜在意識は、彼女の喉元に引っかかり続けていた学生時代の悔いを取り返すために、今回の夢を作った。それが、彼女の背中を押した。

それが選択された意味

先ほどは、鼠とハムスターという ” 似た存在 ” について解説しましたが、” 似た状況 ” についてはどうでしょう?

次は、とある男性が見た夢の一例。

自転車を押している。
目的地は近い。

道路脇で自転車に乗っているのではなく、押している状態だったと言います。

さて、乗っている場合と押している場合とでは、解釈に何か違いがあるのでしょうか?

状況がどうであれ ” 自転車に乗る ” という項目を調べるべきでしょうか? それとも ” 徒歩 ” という項目を調べるべきでしょうか?

筆者は、男性に尋ねました。

「なぜ、乗らなかったのですか? 目的地に早く着くには乗った方がいいように思えますが・・」

男性いわく、途中まで乗っていたが、目的地が近づいてくると降りてしまった。

筆者には、男性が目的地に着くことを拒んでいるようにも見えました。彼には何か果たすべき責務があるのかもしれない。

「今、何か計画されていることに心当たりは?」

彼は現在、結婚を予定しているということでした。しかし、ゴールを目前に一つの躊躇が生まれた。

” これで良かったのだろうか? まだ、身を固めるのは早いのでは? ”

夢の中で自転車を押しているのは、彼にとって、一応は目的地に向かっているというパフォーマンスなのです。

ゆえに、目的地付近で自転車を降り、到着を遅らせようとしている。とは言え、婚約者の手前、踵を返して後戻りすることも出来ない。

” 自転車を押す ” という行為と ” 歩く ” という行為は、それほど変わりないようにも思えます。

しかし、そこには夢を見た本人の心理を忠実に再現するための潜在意識の意図があります。

この夢では、結局、歩くというなら自転車は必要無いでしょう。しかし、それでは婚約者にこう言われてしまう。

” 何、その態度。私と結婚したくないの? ”

自転車が手元にあれば、婚約者のチェックが入った時にだけサドルをまたげばよいのです。そして、こう言う。

” 今、急いでそっちに向かってるから! ”

故に、歩くでも自転車に乗るでもなく、自転車を押すという形を取っている。

夢に登場した動物や人物、アイテム、景色などが調べても夢占いの項目に載っていないという場合、類似した項目を参考にすべきかどうかは状況によります。

今回の夢ように、夢を見た人のプライベートに深く関わっているケースもありますから、まずは、類似項目を調べるよりも、自身のプライベートについて整理しておくことが重要です。

そして、夢に登場したシチュエーションの細かな設定の違いにも着目していく。

例えば、夢の中で自分が乗っていたのが、ママチャリなのか、スポーツタイプなのか、もしくは、電動アシスト付き自転車なのか、という違いにも意味はあります。

潜在意識が、それをわざわざ選択した意図を探るのです。

 

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