” 変えられなかった現実 ” が変化するとき

” 現実を変えたい ”

誰しも、一度は思うことです。

しかし、実際には、なかなか変わらない。

それは、なぜか?

筆者は、ここに、ちょっとした ” 誤解 ” が
生じているのではないかと思います。

その誤解とは、一体、何か?

また、現実を変えるための方法は、
果たしてあるのでしょうか?

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現実逃避のマイナスイメージ

” 現実に不満を持って生きるのは不幸だ ”

” 気持ち次第で豊かな人生が送れる ”

” 現状に感謝すること ”

自己啓発の本やスピリチュアル系の本でも
よく見受けられるセリフです。

こういった言葉を聞いて、
こう思う人もいるかもしれません。

” それでは、結局、現実を変えられないじゃないか ”

” それって、ただの現実逃避じゃないの? ”

確かに、その通りです。

とは言え、自己啓発やスピリチュアリストの
主張を批判しているわけではありません。

無論、感謝する気持ちは大切ですし、
気に入らないことばかりをクローズアップして、
不満を持ち続けるのは誰が見ても
健康的とは思えないでしょう。

*

また、” 現実逃避 ” と言うと、
悪いことのように聞こえますが、
それは決して悪いことではないと思います。

例えば、嫌な気分を変えるために音楽を聞く、
映画を観るといったことも一種の現実逃避ですし、

人々が日々、眠っているときに夢を見ることも、
まさに、それなのですから。

ただ、少し努力すれば現実を変えることが
出来るのに、それについては何もせず、
感謝しているだけというのも何だか妙な話です。

現実が変化したことに感謝することだって出来る。

結局、感謝は、
いつでも、どの時点でも出来るのです。

本当に必要なもの

現実逃避が悪いことでは無いにせよ、
人には、実際、生きていかなければならない
日常生活があります。

それは、
” 変えたくても変えられない現実 ”
として、私たちの人生に根を下ろしている。

育児や家のローンや、健康、人間関係、
家庭問題、仕事、生活のために必要なお金、
様々な生きていく上での課題。

さて、この
” 変えられない現実 ” に対して、

” 現状の不満ではなく、
良いところを見つけてそれに感謝すべきだ ”

というアドバイスは、本当に
その人に必要なものなのでしょうか?

例えば、パワハラで
鬱病になってしまった人に

” 世の中、仕事に就けない人もいるんだ。
仕事が出来ることを有り難く思いなさい ”

と言って、
会社に送り出すのでしょうか?

その人に、本当に必要なのは、
しかるべき治療を受けることです。

例えば、学校でイジメにあっている子に

” 不満を持つな
学校に行けることに感謝しろ ”

などと、筆者にはとても言えません。

この子に必要なのは帰ることが出来る ” 心の家 ” です。

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人間関係は絶えず変化してる

では、
” 変えたくても変えられない現実 ” とは、
具体的にはどういったことでしょう?

最初に ” 現実 ” と一言で言っても
実際はもっと複雑です。

あなたを取り巻く現実とは、
複数の要素によって成り立っている。

職場での人間関係について悩んでいる
というケースを見てみましょう。

人間関係は、様々な要素が
組み合わさって出来ています。

それが上司と部下という関係ならば、
上司は立場として強く部下は弱いということから、
それに従った形の人間関係が作られるでしょう。

つまり、” 役職 ” という要素が、
二人の人間関係に大きな影響を与えています。

また、上司が若く、部下が年輩
という構図なら ” 年齢 ” や ” 経験 ”
という要素が影響します。

*

忙しいのに部下であるあなたに
仕事を押し付けて、早く
帰ってしまう上司がいたとします。

もし、上司の帰宅理由が、
拗れた夫婦関係を修復するため、ならば、
その夫婦関係もあなたと上司の関係に
影響を与える要素の一つと言えます。

他にも ” 人格 ” や ” 能力 ”
” 考え方 ” ” 過去の経験 ”
” 昨日誰かに言われた一言 ” など、
あらゆる要素が影響を与え合い、
人間関係を形作っていきます。

そして、作られた人間関係は、
時と共に変化していく。

*

結婚し、子供が生まれたことで、
今まで付き合いのあった友達と
疎遠になってしまうとか、
グループから中心的な人が抜けてしまって、
自然に解散してしまったとか、
新しい人が入ってきて、
変な派閥が生まれてしまったとか、

時間が経つと、それぞれの人の
置かれた立場や状況が変わっていきます。

それによって人間関係が清算されたり、
新しく構築されたり、複雑な過程を
たどって変化していくのです。

” 変わらない現実 ” という幻想

” 変えられない現実 ” に話を戻しましょう。

” 現実 ” とは、ダイヤモンドのように
永遠のものではない。

日々、複雑に絡み合った数ある要素のうち、
どれかが変化しています。

つまり、変えたくても変えられないはずの現実は、
絶えず変化し続けている。

ただ、現時点で、あなたの思い通りに
変化していないというだけです。

*

一人の男が大きな岩を東に向かって運ぼうとしている。

しかし、岩は重たくて、
1ミリも動かすことが出来ない。

いえ・・ちょっと待ってください。

本当は、東に向かって途轍もない距離を動いている。

地球の自転によって。

ただ、空にある太陽以外は、
全てが同じ方向に動いているので、
動いていないように見える。

あなたの前に立ちはだかるその ” 現実 ” は、
本当に1㎜も動いていないんでしょうか?

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現実を変えるために何が必要か?

” 北風と太陽 ” という童話は、
多分、ほとんどの人が知っているでしょう。

旅人のコートを脱がすために
太陽と北風が競い合うという話です。

北風はコートを脱がすために
強風を当てますが、旅人は、
コートをしっかり握りしめてしまい、
かえって逆効果。

一方、太陽は旅人を照らします。

暖かくなったことで旅人はコートを自分から脱ぐ。

力ずくでは、人は反発し思ったとおりに
動いてくれない。というのが、
この童話が伝えていることだと思います。

人間関係の一つの教訓と考えることも出来る。

*

さて、少し見方を変えて、
この童話について考えてみましょう。

先ほどは、” 現実 ” は、絶えず
変化していると言いましたが、
それでも ” 現実が変えられない ”
と感じるのは、
変化の流れに逆らった方向に
変えようとしているから、
ということだと思います。

旅人が、” 現実 ” だとするなら、
北風のように、それを力ずくで
変えようとすることは、
” 流れに逆らった方法 ”

そして、太陽の取った方法と言えば、

” コートは寒い時に着るもの ”
” 暖かければ必要ないもの ”

という、ありきたりで
当たり前のことを踏まえた上で、
ちょっとだけ手を加える。

この流れに逆らわずに
” ちょっとだけ手を加える ”
というのが現実を変えるための
シンプルで堅実な方法なのだと思います。

*

” 北風と太陽 ” という童話が伝える
” 何かを変えるための方法 ” とは、
誰も思いつかなかった逆転の発想などではなく、
日常的に誰もが当たり前のものとして
受け入れている常識に沿ったちょっとした
” 機転 ” なのではないでしょうか。

そして、現実を変えていくということは、
一つ一つの積み重ねが、やがて、
目に見える形になっていくのであって、
あるきっかけを境に理想の世界になる
という劇的な変化として訪れるわけではない。

それは、夜空の星座が季節によって
移り変わっていくように、
静かに、そして、目立つことなく動き、
振り返ったときに初めて、

” そう言えば、随分、変わったな ”

という省みる感覚が、いわゆる
” 現実を変えた ” ということではないでしょうか。

 

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