私がLINEを使わない理由|メッセージによる会話の難しさ

筆者は夢鑑定の依頼を受けた場合、
セッションの全てはメールによって行います。

今は、LINEを使っている人が殆どですので
LINEを活用した方が
利便性はあるのかもしれません。

メールでのやり取りである理由の一つは、
まず、筆者自身がLINEを使ったことが
無いということです。

” ありえない ”
と言われてしまいそうですが・・

正直に言いますと、LINEというもので
メッセージを送り合ったり、
通話することが出来るというのは
知っていますが細かな機能が分からない。

知らべれば済む話だとは思うのですが、
それ以前に必要性を感じない。

メールだけで機能的には十分だからです。
別に無くても困らない。

LINEは、どうしても必要なものなんでしょうか?

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押しつけられた利便性

フォロワーの数、いいねの数、
リアルタイムであること、常に発信し続けること、
同じ意見の人たちだけが集まること、
それ以外の価値観を排除すること・・

オンラインで常に誰かと繋がり続ける
ということが、実は、
私たちの負担になっているような気がします。

メッセージの頻度が高ければ、
それだけ言葉一つ一つについて
その意味を考えなくなっていく。

*

ネットでよく起こる誹謗中傷の問題は、
メッセージの送信に労力がかからない
ということが起因している。

Twitterで何かつぶやく時に
文章を何度も推敲することはないでしょう。

もし、手紙を書いたとして、
切手を貼ってポストに入れるとしたら
多分、文章を何度か読み直して、
間違いがないかチェックする。

極端な話、ツイートボタンを押してから
24時間立たなければ送信されないという仕様にすれば、
Twitterのタイムラインは感情的な言葉が減って
もっとすっきりすることでしょう。

ヘビーユーザーには、
不便で仕方ないかもしれませんが。

事実、Twitterのリツイート機能を
発案した開発者のクリス・ウェザレル氏は、
リツイートによって拡散する暴力的な発言が
人々を傷つけている現状に対し、

” 弾をこめた銃を4歳児に
持たせてしまったのかもしれない ”

と後悔の発言をしています。

Twitter社のCEOジャック・ドーシー氏も
人々が言葉の影響を考えず安易に拡散を
行っていることに懸念を示している。

これは、Twitterの話ですが、
本質的にはSNSが提供する ” 気軽さ ”
という利便性によって、私たちが問題に
直面していることは紛れもないことなのです。

*

果たして、気軽に自分の意見を
発信できるというのは利点なのでしょうか?

もしかすると、それが
私たちにとって利点であるかどうかは
正直どうでもよいのかもしれません。

SNSを運営する企業にとっては、
ユーザーがシステムに繋がり続け、発信し続け、
利用し続けることが至上命題なのですから。

筆者はSNSでの誹謗中傷問題に
企業側にも責任があると考えています。

*

LINEはメッセージアプリなので
Twitterとは違いますが、
気軽にメッセージを送り合うという点では、
SNSの投稿と同じく、発信するための敷居が低い。

心無い一言を簡単に送ることが出来る。

無論、メールでもそういった悪質な
メッセージを送ることは出来ますが
横の繋がりが無い。

LINEで問題になっている、グループ内で
集団で寄ってたかって誰かに誹謗中傷を浴びせる
という事態に発展することはありません。

これは、テクノロジー嫌いの古臭い人間の
戯言なのでしょうか?

” 炎上 ” は、なぜ起こる?

LINEは、メッセージが吹き出しのような
枠の中に表示されますよね。

それが、交互に並んで、
あたかも会話のように見える。

文字だけでは伝わりにくいということで、
” スタンプ ” と呼ばれるイラストが入ったりもする。

人が会話をしているように表示することで、
パッと見て話しの流れが分かる仕組みになっています。

この仕組みに従って、
利用者は会話をしているような文体で
メッセージを入力するようになる。

” 今、何してる? ”

” これから、ジムに行くとこ ”

” じゃあ、一緒に行こう ”

みたいな感じでしょうか。

つまり、日常会話に適したシステム。

*

筆者は、セッション中、
依頼者とメールのやり取りをする場合、
仕事の取引先にメールを送る時と同じように、
間違いはないか文面をチェックします。

それは、会話というよりは ” 手紙 ” に近い文体です。

読み方によって相手に誤解を与えないように、
正確に伝わるように精査する。

そこで、LINEのような会話形式に慣れてしまった人が、
使い慣れないメールで相手に何かを伝えようとした場合、
LINEの ” ノリ ” で
メッセージを送ってしまうわけです。

何となく会話のような短い一行を
送り合うイメージを想定してしまう。

それが、気心の知れた家族や友人が相手ならば
問題は発生しない。

*

ただ、SNS上の見知らぬ者同士だったり、
不特定多数に対して
会話のような短いメッセージを繰り返すことで、
言葉の少なさから誤解を生み出しやすい。

前置きも無しに、唐突に、
見知らぬ人たちに思いつきの発言をする。

友達に話しかけるように。

もちろん、悪意など無いのです。

それに対して、思わぬネガティブな反応が返ってくる。

いわゆる、ネット上の ” 炎上 ” は、
そういう言葉の少なさ、
受け止め方の多様さによって引き起こされる。

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新しい交流の形

友達の間でLINEを使って、
会話のようにメッセージを送り合う分には
何ら問題は無いでしょう。

ただ、筆者の場合、依頼者がどういった人なのか
文面でしか知ることが出来ないので、
ほぼ、赤の他人です。

見知らぬ人に対して会話形式で
気軽にセッションを進めるわけには行かない。

何も考えずに、入力した一文が、
画面の向こう側にいる人を傷つけてしまう
可能性は常にあるのですから。

*

LINEで友達に送った

” 今、何してる? ”

という短いメッセージには、
先週も一緒にジムに行って、その後、
銭湯に入りながら、他愛無い世間話をしたことや、
その時の友達の笑顔、お互いに抱えていること、
二人の関係性、それら全てが含まれている。

そういった長い前置きがあった上での
” 今、何してる? ” です。

メッセージを送る相手がしっかりとした
関係性が出来ていない人だった場合、
両者の間には、何の前置きもありませんから、
無論、ルールも違ってくる。

” 会話 ” と ” 手紙 ” は、同じ日本語であっても、
似ているようであって非なるもの。

人が実際に会って会話するのと、
顔の見えない状態で電話で話すのとでは、
違いがあるのも同じです。

家族と電話で話すときは、
声だけで、その時の表情が浮かぶ。

もし、見知らぬ人ならば全く浮かばない。

*

現在、テクノロジーの発展によって、
新しい交流のスタイルが生まれています。

ZOOMのような会議ツールを利用したコミュニケーション、
音声のみで不特定多数の人とリアルタイムで交流をする
音声SNS、同じ目標を持つ人たちが集まって
協力し合うオンラインゲーム・・

昔のように、会って話すか、電話で話すか、
手紙を出すかというシンプルなコミュニケーション
の形だけでは無くなってきている。

仕組みが違うのなら、それに伴って
言葉の使い方も見直していかなければ
ならないのかもしれない。

システムだけが進化していく時代、

私たちは、それを使いこなしているように見えて、
実際は、翻弄されているだけなのかもしれません。

 

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