体の不快感が夢になる時|夢のシンプルな役割 

なぜ、人は夢を見るのか?

多分、インターネットで調べれば、科学の
視点から説明してくれるウェブサイトが
見つかるでしょう。

ただ、こうした科学的視点は、人が恋愛を
する理由を遺伝子や脳内物質によって解説
された時のような ” はぐらかされた感覚 ”
が残るのです。

私たちは難しい科学の話を聞いて、
” ああ、そうなんですか “としか言えない
わけです。それが答えだと実感が出来ない。

ここでは科学ではなく、もう少しリアルな
視点から夢が作られる理由について考えて
みましょう。

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夢を見る理由

次は、筆者が見た夢の一例です。

暴走するタクシーに乗っている。
 
クラクションを鳴らしながら、
次々に車を追い抜いていく。
 
自分は後部座席で踏ん張って
耐えている。
シートベルトの締め付けがきつい。

この夢から目覚めたとき、お腹が痛い
ということに気づきました。夢の中では
シートベルトがお腹に食い込んで痛い
のだと思っていたのです。

最初に、人が夢を見る理由として、
” 眠り続けるため ” というのがあります。
睡眠の邪魔になる要因を心の中から排除
するために人は夢を見る。

シンプルな例として、眠っている最中に
尿意を感じるとトイレに行く夢を
見ますよね。身体が感じる ” 尿意 ” は、
眠り続けることを阻害する要因。

夢の中で用を足すことで
” 大丈夫、トイレには行ったから、
そのまま眠っていても問題は無い ”
と思わせようとしている。

ただ、大抵は、延々と用を足し続ける夢に
なる。夢を作って誤魔化そうとしても、
実際にはトイレに行っていないわけです
から、無論、その不快感を誤魔化し続ける
ために永久にそれは終わらない。

こういった夢が作られる仕組みは、体に
感じている不快感だけに限ったことでは
ありません。

それが、眠りを阻害する要因になるので
あれば、心に引っかかっている悩み、
願望など、精神的なことも夢を作る
きっかけとなる。

また、過去や現在だけなく、将来的な
不安や予感といった、まだ起こっていない
出来事に対する心の動揺も、睡眠阻害要因
として十分に夢を作るきっかけとなります。

潜在意識は眠り続けるために、あらゆる
方法を使って心の中のわだかまりを取り
除こうとする。

では、タクシーの夢に話を戻しましょう。

暴走タクシーに乗車してしまうという
恐ろしいシチュエーションですが、なぜ、
腹痛がそのような夢になったのでしょう?

それは、腹痛から気を逸らすため。

まず、タクシーに乗っているという設定
ついて考えてみましょう。夢の作り手は、
筆者自身ですから設定も自らによって
決められたものです。

タクシーに乗っている設定ならば、
自分は目的地に到着するまで何もせずに、
ただ、座っていればいいという状況を
作り出せる。

要するに潜在意識は、体が硬直している
のは危険運転と締め付けるシートベルト
のせいだと思わせようとしている。

自分が運転する車なら、途中で止まること
も可能ですから切迫感も無くなります。
意識を夢に引き付けておくことが出来なく
なれば、やがて、自身の体の異変に気づき、
眠りから目覚めてしまうでしょう。

あえて、タクシーに乗るという自分では
コントロール出来ないシチュエーションを
選択しているのです。

筆者は状況に耐えながら、夢の中で
” 到着するまでの辛抱だ ” と思っていた。

潜在意識が、苦しい状況に耐え続けられる
ように、筆者に ” 目標 ” を与えています。
しかし、それは幻想の目標。タクシーは
永久に目的地に到着することはない。
腹痛が治まるか、夢から覚めるまでは。

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物質化される感覚

もう一つ夢を紹介しましょう。
筆者の見た夢の一例。

布団の中にゴロゴロと何かが
転がっている。
 
寝ぼけながら、手足を使って、
異物をベッドから外に出そうとする。
 
何か粘土のような固形物が
ボタっと床に落ちる。
 
まだ、布団の中に残っているようだ。

何とも奇妙な夢です。ベッドの中に泥団子
のような異物が紛れ込んで寝られない
という設定。

これは、目覚めてから、すぐに意味を
悟りました。その時の筆者は、かなりの
疲労感を抱えていたのです。

本来はぐっすりと眠って体の疲れを取る
べきなのですが、体にこびりつくような
疲労が返って不快感となり睡眠を妨げていた。

潜在意識はユニークな方法によって、
その不快感を解消しようとしています。
体に溜まった ” 疲労感 ” を身体から
切り離すために物質化したのです。

粘土のような塊は物質化された ” 疲労感 ”
そのものを表し、それをベッドから
取り除くことで開放されようとしている。

しかし、実際に疲労感をそのような形で
取り去ることは出来るわけもなく、単なる
誤魔化しでしかないのですが、眠り続ける
ためにその場凌ぎの解決方法として
この夢は作られています。

もちろん、固形物はいくら出したところで
無くならない。身体の疲労感は、依然、
解消されていないのですから。

また、似たケースとして疲労感に関する
夢に幽体離脱などがあります。

快適な眠りを得るために疲れた身体を
自身から分離したいという実現不可能な
願望ですが、夢の中ではそれを幽体離脱
という形で実現するわけです。

眠っている間に幽体離脱したという話を
時折聞きますが、それはスピリチュアル
体験というよりは、実際は、単なる疲労感
から逃れたい気持ちが夢になっているだけ
なのかもしれません。

次も筆者の見た夢の一例です。

幽体離脱をしている。
 
ベッドに横たわった状態で
宙に浮いた自分の幽霊を見ている。

この夢は幽体離脱現象を描いていますが、
お気づきのとおり奇妙な部分があります。

普通、自身の体から抜け出した霊魂が
ベッドに横たわる身体を上から見下ろす
というのが一般的な幽体離脱のイメージ
だと思いますが、この夢の場合、下から、
つまり、抜け出した霊魂を身体側から
見上げるという少々、変わった演出に
なっています。

寝室の宙に浮かんだそれが霊体なら、
それを見上げている筆者は生きているの
でしょうか、
もしくは、死んでいるのでしょうか?

先ほどは身体の疲労感を切り離すために、
潜在意識が幽体離脱のイメージを利用する
ことがあると説明しました。

このケースでは身体側に視点がある。
なぜでしょう?

これは疲労感を誤魔化すための夢では
ないのです。そもそも、この夢を見た時、
筆者に疲労感はありませんでした。

そして、夢の中で筆者は、ゆっくりと
上昇していく霊体を見て、引き戻すために
慌てて起き上がり霊体の腕をつかんだ。
そこで目が覚めた。

宙に浮かぶ霊体はすやすやと眠り続けて
いました。

設定上、別に身体に残された自分は
生きているわけですから、離れていく
それをそのまま見送ってしまっても何の
問題も無いようにも思います。しかし、
必死になってそれを引き留めた。

霊体は、筆者の心です。それは、
失ってはならない、ある意味、魂。

この夢は、筆者の内にある魂、
言い換えるなら ” 精神性 ” を忘れかけて
いることに警鐘を鳴らしているのです。

まさに、” 霊魂 ” というイメージを
利用して。

その頃の筆者は、あれこれと悩むことが
多く、取り留めのない日々のせいで常に
イライラし、平穏な心を失っていました。

すやすやと眠っていた霊体の表情は、
眠っているわけではなく ” 平穏な心 ” の
象徴であり、筆者が求めている理想の
状態なのです。

心のわだかまりがきっかけになり、
眠りを妨げているという例です。

自浄作用

体の不快感が夢として描かれることは
よくあることです。

それは、比較的、シンプルなストーリーで
目覚めてから、すぐに気づくことですから
意味を解きやすい。

そして、このシンプルな夢に見られる
単純な仕組みは、複雑で難解な夢にも
共通して言えることです。

潜在意識は眠り続けるために、夢を作って
誤魔化そうとする。それが基本的な夢の
働きです。そこから様々な分析へと発展
していく。

どんなに、その夢が支離滅裂に見えたと
しても潜在意識のする仕事は同じです。
あなたの心のバランスを維持するために
常に働き続けている。

また、十分な休息を与えられたなら、
潜在意識は、睡眠阻害要因をより深い
レイヤーで処理しようとします。

浅い眠りのような覚醒が近い状態では、
時間稼ぎのような表面的処理を行います。
例えば、遅刻をする夢、トイレの夢、
電話が鳴っている夢といった完結な
ストーリーになる。

それが深い睡眠ならば、阻害要因の根本
原因に向かってアプローチが始まります。
例えば、電話ではなく、誰かと直接会う
というシチュエーションになり、そこで
より複雑なストーリーが展開される。

電話の相手が、喧嘩して昨日から一言も
会話をしていない夫ならば、直接会って
言いたいことをぶちまけることになる
でしょう。着信音を無視し続けるよりは、
心理的負担は解消される。

いずれにせよ、潜在意識の目的は、
” 心の安定 ” です。

巷では、あまり質のよい睡眠を取れて
いない時に夢を見やすいとも言われている。
しかし、筆者は次のように考えています。

質の悪い睡眠が夢を作るというよりは、
質の悪い睡眠になってしまったことで
乱れた体のリズムとバランスを取り戻す
ために夢が作られるのだと。

夢は質の悪い睡眠の副産物ではなく、
処方箋ではないのか。夢は私たちにとって
害ではなく ” 自浄作用 ” です。

また、夢は心そのものを描いているわけ
ですから、目覚めた後にそれを覚えている
というなら、そこから多くの示唆を得る
ことも出来る。

自分では何ともないと思っていても、
傷ついた心が悲鳴を上げているという
ことは実際にあります。悪夢を見た理由に
心当たりが無いとしたら、その状態に
陥っているのです。

あなたが見過ごしている ” 大切な何か ” を
潜在意識は認識している。

もし、何か夢を見たというなら、少しの
時間で構わないので考えてみてください。

それが家族の登場する夢なら家族について、
仕事関係の夢なら仕事について、
健康に関するものなら健康について、

全てを解明出来なかったとしても、
潜在意識が私たちに ” 大切な何か ” に
ついて考えるきっかけを与えているのです。

必要なタイミングで。

 

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