夢の舞台として様々な建物が登場します。
自宅や学校、病院、高層ビル、廃墟など。
今回は、建物の外観ではなく、
” 間取り ” について見ていきましょう。
例えば、リビングの広さ、
トイレや浴槽の位置、窓の大きさや、
部屋数、階数、渡り廊下の長さなど、
間取りの状況が夢の意味を
解くヒントになることがあります。
夢の中で不自然な間取りがあった場合は、
そこに何らかの意味が隠されているのです。
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間取りとアプローチ
例えば、自宅が夢の舞台となる場合、
それは実在する建物ですから、通常ならば
見慣れた間取りが夢の中で再現されるはず。
しかし、大抵は違っているのです。
なぜか、あるはずの無い窓があったり、
部屋の位置が北側から南側に
入れ替わっていたり、部屋と部屋が
繋がって大きな部屋になっていたり、
また、全く間取りの違う別の家を
自宅だと思い込んでいる場合もあります。
*
こうした本来の間取りとは
食い違っている部分は、
潜在意識が意図的に仕組んだ演出です。
その意図とは、何か?
それをここで一つ一つ
説明するわけにはいかないのです。
例えば、夢の中で家族が使うリビングが
いつもより広く感じたなら、
家族との距離を置きたがっている心理と
読むことも出来ますし、
近々、客人を招く予定のある人なら、
リビングを少しだけ大きくして、
見栄を張ろうとしているのかもしれません。
夢の内容が同じ状況であっても、
各個人の事情に応じて意味は大きく変わる。
無論、夢占いで調べたところで、
上記のような解釈は載っていません。
これは、今、筆者が考えた解釈です。
*
つまり、解釈は自ら考え、
見つける必要があるのです。
そのためには、自分自身が置かれた状況を
よく理解しておかなければいけない。
そして、問いかけるのです。
あなたが家族に関する問題を
抱えているなら、
リビングの広さは何を意味するのか?
あなたに見栄っ張りな性格があるなら、
リビングの広さは何を意味するのか?
無論、リビングの面積によって
どう解釈するかという限定的な話を
しているわけではありません。
それがどういったストーリーであれ、
夢を読み解くために
どうアプローチするかという話です。
付け足された踊り場
次は、とある女性が見た夢の一例です。
二階に行くために階段を上がっている。
途中に広い踊り場がある。そこで
少し休憩しようと段差に腰かける。
二階から自分を呼ぶ母の声。
” いいから、ちょっと来て! ”
自宅の階段を舞台にした日常的な夢。
筆者は、彼女に次のように尋ねました。
” 二階に何の用事があったのですか? ”
彼女は ” 分からない ” と答えます。
付け加えて、
あまり行きたくない感じがして、
足取りは重かったと言います。
そして、嫌々、階段を上がる彼女に
追い打ちをかけるかのように
母親の声がした。
*
この夢の注目点は階段の中間地点に存在する
少し広めの ” 踊り場 ” です。
尋ねたところ、実際、自宅の階段には
踊り場など無く、それを設置するほどの
長さもないということです。
” 夢の中の階段の長さは
どれぐらいでしたか? ”
” 踊り場が付いたからなのか、
長く感じました。1.5倍ぐらいでしょうか ”
本来、彼女の自宅には存在しない
この ” 踊り場 ” は
一体、何を意味しているのでしょう?
*
このように見慣れた建物に、なぜか
不可解な演出が加えられている場合は、
潜在意識の意図が表れている部分です。
潜在意識は、夢を見ている私たちが
気づかないよう、あたかも最初から
そうだったかのように組み込みますが、
はやり、目覚めると、そこには
強引にねじ込んだ不自然な形跡が見つかる。
その ” 形跡 ” は、重要です。
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母と娘
階段の途中に設置された ” 架空の踊り場 ” は、
偶然、そこにあるわけではなく、
彼女自身がわざわざ用意したものです。
彼女は夢の中で踊り場を通り過ぎて
二階に行くことも出来るのですが、
” ちょっと休憩するだけ ”
という理由をつけて踊り場から
先に進もうとしていません。
なぜでしょう?
*
その理由は、二階から彼女を呼ぶ母の声
からも何となく察することが出来る。
何か彼女に用事があって、
呼びつけているといった感じで、
彼女はその声を聞いて少しイラっとした。
筆者は夢の内容から、彼女と母との関係を
理解しておく必要があると感じました。
” お母さんは、
どういったお人柄ですか? ”
筆者がそう尋ねると、
彼女は次のように言います。
” 母は何かにつけて周りを巻き込むタイプで、
度々、面倒な用事を私に言いつけてくる ”
そんな時、彼女はため息を
つきながらそれに従うそうです。
*
二人の関係を理解すると、
この夢が、その ” 面倒な言いつけ ” に
関するものだと分かります。
その言いつけが具体的にどういった
ものかは、この夢からは分かりませんが
” 今から、
面倒なことをしなければならない ”
という足取りの重い状況を
” 階段を上がる ” という日常的な動作
として描いている。
そして、階段を少しだけ長くし、
その途中に ” 架空の踊り場 ” を設置して、
そこに留まることで母親の束縛から
少しの間だけでも解放されたいという
彼女の心理が描かれています。
夢の中の ” 架空の踊り場 ” は、
彼女なりの母に対する反抗心の表れ
だったのかもしれません。
その作品は誰のものか?
階と階の間に設置された ” 階段 ” は、
様々な意味を与えることが出来る場所です。
例えば、一階を ” 現在の状態 ”
二階を ” 理想 ” や ” 目標 ” と
見立てるならば、階段を上がる行為は、
それに至るまでの労力や試練を表している
と考えることが出来ます。
途中で階段が無くなっていれば、
目標に到達するために何をすれば
よいのか分からなくなっている状態
と読むことも出来ますし、
荷物が置いてあって先に進めない
というなら、目標達成の前に
片づけなければならない仕事が
他にもあるということかもしれません。
例えば、二階から一階へ階段を降りている
というなら、積み上げたものを振り返って
確認しようとしている。
もしくは、基本に立ち返ろうとしている
ということかもしれません。
一階から、地下一階へ降りるなら、
表面的な部分から、さらに心の奥底に
” 答え ” を求めようとしていると
解釈することも出来ます。
*
さて、今 ” 階段 ” について、
いくつかの解釈を挙げましたが
やはり、どの解釈もあなたの夢とは
何ら関係が無い。
あくまで一つの見方に過ぎません。
筆者がここで伝えておきたいのは、
夢の解釈にはルールが無いということです。
ルールや方程式があれば、
それに当てはめるさえすれば、
” 答え ” が得られるのでしょう。
しかし、夢解釈ではそれが出来ない。
なぜなら、夢は、あなたの
最もプライベートな領域で生まれる
ものだからです。
あなたと全く同じ心を持った人が、
地球上に何人いるでしょう?
皆無です。
*
必要なのは、夢を見ている時に
自分が何を感じたのか、
その ” 感覚 ” をつかみ取ることです。
そして、今の自分の置かれている状況を
振り返って確認すること。
何よりも、あなたの見た夢は
あなた自身が作り手であるということを
忘れないでください。
例えば、彫刻家が
テーマを決めて作品を彫り出す。
そして、完成したそれに題名をつける。
つまり、その作品に意味を与えたのは
彫刻家です。
夢は、あなたの作品であり、その意味も
あなたが与えた。その夢を支配する
ルールはあなたが決めた。
後は、自分が与えた意味を思い出すだけです。
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