夢の中の ” 不自然な色 “|なぜ、この色なのか?

夢の中で ” 色 ” が、私たちの注意を
引きつけることがあります。

着ている服の色や、髪の色、
家具や小物、空、顔色、アクセサリー

普通ならば、それほど気にすることでは
ないかもしれませんが、目覚めてから、

” なぜ、あの色だったんだろう? ”

と心に引っかかる夢。

もし、妙に色だけが印象に残ると言った場合、
潜在意識は、あえて、
それを配色しているのかもしれません。

なぜ、そこにその色が使われたのか、
その意図を探っていく必要があります。

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赤いスポーツカー

夢の中で色が強調される場合は、
夢を見た人個人が、その色に
どんなイメージを持っているかが
重要になってきます。

同じ色であっても、それを見る人によっては、
違ったイメージを持っていることがあります。

例えば、青ならば、海を連想する人もいれば、
空を思い浮かべる人もいます。

もしかしたら、好きなアーティストの
アルバムジャケットを思い出す人もいるかもしれません。

*

一方では、信号機のように
誰もが同じイメージを持つ場合もあります。

赤は止まれ、黄色は危険、
青は安全といった感じに。

赤いランプに警報が鳴っていれば、
誰もが緊急事態だと思うでしょう。

黄色と黒のストライプなら工事現場を思い出す。

白地の中央に赤い丸があれば、
国旗を思い浮かべるでしょう。

こうした一般的なイメージもあるので、
その色が夢に表れたときに比較的、
同じ解釈を当てはめやすいのも確かです。

*

では、具体例を交えながら、
夢の中の ” 色 ” について見ていきましょう。

次は、会社員の男性が見た夢の一例。

真っ赤なスポーツカーが会社の敷地内に入ってくる。
 
社員たちは、その美しい
高級車を見てざわついている。

彼は、夢の中で燃えるような赤色のポーツカーに
妙な違和感を持ったと言います。

それから数日経った頃、彼の働いているオフィスに
取引先からのクレームが入ります。

納品に手違いがあったようで、
先方は今後のスケジュールに影響が出てしまうことに、
かなり、苛立っているようでした。

その後、社員たちは通常業務を一時中断して
クレーム対応に追われた。

*

この夢の注目点は、はやり、
燃えるような赤色のスポーツカーでしょう。

彼の知っている範囲では、
そのような車に乗っている人は、
思い当たらないということでした。

この夢における ” 赤 ” は、
何を意味しているのでしょう?

” 赤 ” に対するイメージ

この夢における ” 赤 ” は、
取引先の ” 怒り ” を表している。

なぜ、” 赤 ” が ” 怒り ” なのでしょう?

それは、彼がそう感じたから・・・
としか言いようが無いのです。

そもそも、夢は個人の主観が描かれるものですから、
本人の感じたことが全ての
論理的な説明など意味を持たない世界です。

人によっては、
赤色から情熱をイメージするかもしれない。

もしくは、自分の乗っている車が同じ色なら、
特に珍しくも無いと気にも留めないかもしれません。

一般的な ” 赤 ” に対するイメージがどうであれ、
この夢を作ったのは彼です。

なので、夢の中の色を解釈するときには、
個人がその色にどんなイメージを持っているのかを
整理しておく必要があります。

*

筆者が ” 赤 ” のイメージについて尋ねると、
彼は次のように答えました。

” 怒りというイメージもありますが、
警告という意味もあるように思えます ”

無論、イメージは一つとは限りません。

確かに、これから起こる職場でのトラブルを
警告するという意味で、潜在意識が
” 赤 ” を効果的に取り入れたという見方も出来ます。

また、イメージは時と共に変転します。

例えば、彼が一週間後に、再び、
夢の中で赤いスポーツカーを見たとしても、
今回の夢と同じ解釈をするとは限らないわけです。

数日の間に ” 赤 ” に対するイメージが
変わっているかもしれない。

例えば、バンパイアの登場するホラー映画を
観た後ならば ” 赤 ” から ” 血 ” を
連想するようになるでしょう。

炎天下の野外で喉が渇いているなら、
コカ・コーラの赤い自動販売機を探すでしょう。

また、彼の場合は、今回の夢で
” 赤 = 怒り ” という公式が記憶に
インプットされてしまったわけですから、
潜在意識は今後、怒りを表現するために
赤色を避ける可能性もあります。

感情を色に置き換えたのは、
それが目を逸らしておきたい不都合な感情であり、
隠蔽する必要があったからです。

夢を見ている本人に、
すぐに気づかれるような演出では、
隠蔽したことにはならない。

いずれにせよ、個人の持つイメージは、
固定されているわけではなく、
そのときの状況によって、
コロコロと変わるというのが前提です。

また、色というのは抽象的なものですから、
それだけで意味を解釈するというのは、
難しいかもしれません。

それは、結局、夢の一要素に過ぎない。

実際は、色だけを参考に
夢を読み解くということはありません。

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置き換えられたストーリー

では、なぜ、会社でのクレーム騒ぎが、
今回のような夢になったのでしょう?

クレームの電話がかかってくる場面を
そのまま夢に描くことも出来た。

しかし、潜在意識は会社の敷地に
一台のスポーツカーが入ってくるという
全く無関係に見えるストーリーを作った。

それは、無関係に見えなければならない。

なぜなら、これはトラブルを
回避することが目的の夢だから。

*

彼の働くオフィスからは、
会社の敷地が一望出来るそうです。

関係車両が出入りする状況をオフィス内から、
逐一、確認することが出来る。

なので、日常では見慣れない
赤いスポーツカーが入ってくれば、とても目立つ。

夢の中では、赤いスポーツカーが、
突如、会社の敷地に侵入し、
見慣れた会社の日常風景に違和感を与えています。

潜在意識が描きたかったのは
見た目の風景というよりは、
この ” 脈絡も無く
日常的な雰囲気が壊れる感覚 ” なのです。

*

実際、職場の日常を一変させたのは、
取引先からの一本の電話。

潜在意識は、伝えるべきことを残して、
出来事の外観だけを別のものに
置き換えてカモフラージュしています。

夢の中で社員たちがざわついているのは、
見慣れないスポーツカーのせいではなく、
突然のクレーム対応に追われるから。

彼の潜在意識は、夢の中で
会社の不手際に怒る取引先を挑発的な
赤色のスポーツカーに置き換えることで、
” 単なる来客者 ” として片づけようとしているのです。

そして、来客者が挑発的に見えるのは、
” 乗っている車のせいだ ”
と彼に思わせようとしている。

潜在意識の取る回避行動が、
シチュエーションの置き換えという形で
表れています。

災難の後に生まれる願望

では、もう一つ、色に関する夢を紹介しましょう。
次は、とある女性が見た夢の一例。

どこかに行こうとして玄関を出る。
 
車の塗装がいつの間にか、
スカイブルーに塗り変えられている。
 
自分は、茫然とする。

もし、自分の車の色が、突然、
違う色になっていたら誰でも驚きますよね。

彼女も、同じく夢の中で、一体
何が起こったのか理解出来なかったと言います。

筆者はいくつかの質問をしました。

車は彼女個人の所有で、
仕事やプライベートなど、ごく一般的な
用途として使われているものでした。

彼女にスカイブルーという色のイメージを
尋ねると、次のように答えます。

” 空の色? 私の好きな色です ”

*

夢を見た翌日、彼女は気になって
実際に車を調べたそうです。

そこで、何か尖ったもので
引っかかれた跡を発見した。

助手席側、横一直線に30cmほどの
長さでうっすらとではあるが、
明らかに故意につけられた傷でした。

それが、いつからなのかは
定かではないと言います。

さて、この夢では ” スカイブルー ”
という色が使われています。

今回のケースでは愛車に傷をつけられ
彼女は怒っているわけですから、
車のボディカラーを
好きな色のスカイブルーではなく、
” 赤 ” にする方が怒りを表現するには、
マッチしているようにも思えます。

ただ、彼女は ” 怒り ” を表現するために
自分の車を赤色に塗りつぶす
わけにはいかなかった。

なぜなら、彼女の乗っている車は、
元々、赤色だったのです。

この場合、潜在意識は、車に関する
異変を描きたいわけですから、
赤色の車を登場させても、それは
単なる ” 私の愛車 ” に過ぎません。

だから、別の色にした。

では、なぜ、悪い出来事を暗示している夢に、
寄りによって自分の好きな色を
採用したのでしょう?

*

筆者は、尋ねました。

” 車を塗り替えるとしたら、何色にしますか? ”

彼女は答えます。

” スカイブルー ”

彼女の潜在意識は夢を作る段階で
愛車が傷物になってしまう事実を
既に知っています。

そして、傷を発見した彼女が、

” どうせ傷を修理するなら、
好きな色に再塗装したい ”

という願望を持つことも知っている。

潜在意識は、一足先に、
彼女の望みを叶えているのです。

黒の中にある黒

先ほども言いましたが、色に関する夢は、
個人がその色にどんなイメージを
持っているかということが重要になってきます。

色を順番に並べて、
赤ならこの解釈、青ならこの解釈と
解説出来れば分かりやすいのでしょうが、
それは無意味です。

その夢を作った本人の置かれた状況によって、
同じ赤でも別の解釈になることもありますし、
違う色であっても
同一解釈になる場合もあります。

その色が選択された理由について、
夢の内容だけではなく、自分の身の回り、
置かれた状況なども視野に入れて考えていく。

*

例えば、スマホのカバーケースが、
本来、黒であるはずが、夢の中では
なぜか白になっているという場合、
その違いは、何らかのメッセージ
であると考えるのが自然です。

きっと、それを手にとったあなたは
自分のスマホに違和感を感じるでしょう。

なぜ、白なのだ?と。

しかし、違和感の原因は、
カバーケースの色が突然変わったから
では無く、別にあるのです。

それは、不都合な連絡が入ることを
カモフラージュするための
” 白 ” なのかもしれません。

嫌いな上司が同じ色のカバーケースを
使っていることを後から知る
という意味なのかもしれない。

もしくは、携帯メーカーの
対応の悪さにうんざりし、
機種を変更したいが出来ないという状況で、
夢の中でせめてカバーだけを
変えているのかもしれない。

それは、その人の
置かれた状況によるのです。

*

また、背景との対比によって
色が選択されているという可能性も
考えられます。

暗闇の中の黒ならば、人目に晒されたくない
後ろめたさが、目立たない色を
選択しているのかもしれない。

逆に暗闇の中の一点の白ならば
” 希望 ” を表しているのかもしれません。

これは、あくまで、例えば
こう解釈することも可能だということです。

基本、全てのことに、
決まったルールは無いのです。

 

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