夢の中の ” 奇妙な生物 “|曖昧な存在の意味

夢の中に現実には存在しない生き物が登場
することがあります。

それは何かと何かが融合したような奇妙な
動物であったり、見たこともない実をつける
植物であったり、新種の虫であったり。

ファンタジックな神話的存在やグロテスクな
怪物として登場する場合もある。

現実では、ありえない生物がイメージが
支配する夢の世界では生息することが
出来るのです。

さて、こういった謎の生物たちは、
一体、なぜ、夢に登場するのでしょう?

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曖昧な認識

次は、とある女性が見た夢の一例です。

自宅の裏庭で奇妙な植物が繁殖している。
 
家に帰ったら、それをどうにか
しなければいけないと思いながら、
私は仕事を切り上げる。

この夢で、やはり気になるのが、
” 奇妙な植物 ” です。

筆者は夢を見た彼女に、どこが奇妙なのか
を尋ねました。

説明によると、それはレプリカのようにも
見えるプラスチック製の造花や観葉植物が
実際に生命を持ったような感じと答えます。

そして、その形状は、一見すると、植物の
ようにも見えるが、イソギンチャクのような
無脊椎動物のようでもあるという認識。

このような曖昧な説明を聞いていると、
それが生物なのか植物なのか、細かく
尋ねてしまいそうになりますが、
こうした ” 曖昧な認識 ” は、夢の世界では、
よくある現象です。

例えば夢の中で、隣に誰か立っていた気が
するが、それが男だったか、女だったか
分からない、部屋には何人かいたが、何人
だったか分からないという場合、

普通ならば、事実関係をはっきりさせる
ために、性別や人数など、状況を思い出せる
限り明確にしたくなるかもしれません。

しかし、夢の世界では、そういった追求は
あまり意味を持たない。

つまり、隣に立っていたのは男でも女でも
なく、その両方かもしれないと思うなら、
夢の世界ではそれが ” 事実 ” です。

人数で言えば、部屋にいたのは3人か、
5人かのどちらかではなく、
” 3~5人だったような気がする ” という
捉え方が正解であり一つの独立した認識です。

夢の世界とは、そもそも曖昧な認識の
集合体であって、性別や数など現実的な
区切りは存在しないのです。

奇妙な植物の正体

さて、夢の中では ” 奇妙な植物 ” が彼女の
自宅の裏庭で繁殖している。

筆者は尋ねます。

” つまり、雑草のように生えてきた
ということですか? ”

彼女は夢の中で見たことを思い出しながら
次のように説明をします。

” それは勝手に繁殖したというより、
家庭菜園のように一列に並んで植えられ、
それが、いつの間にか育ってきている
という感じ ”

彼女は仕事を切り上げて家に戻り、
それを、どうにかしようとしています。
どうしようと思ったのか尋ねてみると、

” 裏庭をスッキリさせたいとは思ったが、
完全に処分するかどうかは、迷っていた ”
と答えます。

ここまで、話を聞いたところで筆者は、
この得体のしれない ” 奇妙な植物 ” が、
彼女が現在抱えている
” 片づけなければならない問題 ” を
表しているのではないかと思いました。

ただ、分からないのは、なぜ、それを
奇妙な存在に置き換えたのかという点
でした。

一体、彼女は何を抱えているのでしょう?

明かされた秘密

” プライベートで、以前から時間を
費やしていることに心当たりは? ”

彼女に尋ねます。

もし、夢の中の奇妙な植物が、彼女自身が
栽培したものならば、彼女が抱えている
問題も、自ら始めたことが発端になって
いる可能性があるからです。

” 趣味ということでしょうか? 
それなら、アクセサリー作り・・・
かもしれません ”

彼女曰く、ハンドメイドでアクセサリーを
作ってはいるが、人に見せられるような
レベルのものではなく、それを身に付けて
外出することもなく、一人でこっそり
作っているということでした。

数人の親しい友人に見せたことはあったが、
優しい友人たちは作品を褒めてくれるが、
彼女にはおせいじに聞こえて、いまいち
自信を持つことが出来ないでいた。

この事情を知ると、一見、意味不明に
思えた夢に一つの道筋が見えてきます。

夢の中の裏庭で繁殖している奇妙な植物は、
彼女がこれまで時間を費やし培ってきた
” アクセサリー作り ” という趣味を表している。

ただ、なぜ、それが得体の知れない存在へと
置き換わってしまったのでしょう?

レプリカのようでもあり、生きた植物の
ようでもあり、無脊椎動物のようでもある
という何と呼べばよいのか分からない存在。

彼女は、自分の趣味に何となく、
疑問を感じたのではないでしょうか。

” 身に着けることもなく、人に見せるため
でもない。私の作っているものって、
一体、何なんだろう・・? ”

アクセサリーでありながら、アクセサリー
とは呼べないそれらを植物にも見える得体の
知れない ” 何か ” に置き換えたのです。

また、苦労して作った作品を処分するには
抵抗がありますが、庭先に植わった
無意味な植物ならば取り除くことも容易。

しかし、この夢を作った彼女自身、それを
取り除くという選択が何を意味するのかを
知っているために迷っている。

彼女は、趣味をやめようとしているのです。

描かれなかった場面

さて、今回の夢では、彼女の趣味に対する
思いが映像化されています。

それは、彼女がプライベートで密かに
抱えていた悩み。

彼女の潜在意識は、それを忠実に夢の中で
再現しているだけで ” 趣味をやめるべきだ ”
というメッセージを送っているわけでは
ありません。

だた、困ったことにセッションの最後に、
彼女は筆者にこう尋ねます。

” 続けるべきでしょうか? ”

筆者は、次のように答えました。

” 今回は、まだ迷っている状態で夢が
終わってます。もし、本当にやめようと
思う時が来るなら、その時、また夢を
見るでしょう。でも、それは今じゃない ”

潜在意識が、なぜ、今回、植物を除去する
場面を付け加えなかったのか? それは、
そのタイミングではないからです。

特定の場面を作らないというのも、
潜在意識からのメッセージの一つだという
ことを忘れてはいけません。

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奇妙な鳥

では、次に現実世界に存在しない ” 動物 ”
に関する夢について見ていきましょう。

次は筆者自身が見た夢の一例。

サンルームに鳥が入り込んでいる。
 
捕まえようとするが、
なかなか捕まえることが出来ない。
 
間近で観察すると奇妙な鳥だ。

洗濯物を干すためのサンルームに一羽の鳥
が外から迷い込んでしまうという夢。

そして、その鳥は奇妙な姿だった。

具体的には、鳩ほどの大きさで色は全体的
に焦げ茶色、そして、奇妙だったのは
両耳の位置に白いフワフワとした綿毛が
生えていた。

それが、丁度、スキー場で耳につける
防寒具のようにも見えました。

一体、このヘンテコな鳥は、
なぜ、夢に登場しているのでしょう?

筆者は目覚めた後、この奇妙な鳥が何を
意味しているのかを考えてみました。

見たことの無い奇妙な存在、それが
家の中に入ってくるという状況から、
自身の私生活に乱入してきた
胸をざわつかせる出来事を表している
のかもしれない・・

そして、焦げ茶色の体に白い綿毛という
コントラストから、潜在意識は、よほど
頭部の ” 綿毛 ” に注目させたかったのでしょう。

それは、丁度、両耳の位置にあるという
ことから、耳を疑うような知らせが、
外から舞い込んでくるという暗示では
ないかと解釈します。

フワフワした柔らかい綿毛の感じから、
やってくる知らせは、多分、
インパクトのあるアクシデント、つまり、
綿毛は衝撃を和らげるための緩衝材です。

ただ、気になったのは綿毛が、なぜか
自分の耳ではなく、鳥の耳を保護している
ことです。

衝撃から身を守るならば、舞い込んでくる
” 知らせ ” に耳当てをつけるより、自身に
つけるべきだろうと。

この解釈は、誤りかもしれない・・
そう考えた筆者は、途中でその夢について
考えるのをやめました。

数日後・・

それから数日経った頃、SNSを閲覧中に
とあるコメントを見つけます。

それは ” 相互フォローなんて社交辞令だよ ”
という誰かの発言に対する返信でした。

“人間関係のほとんどは、社交辞令から
始まるもんでしょ”

それが筆者にとっては、とても腑に落ちた
コメントでした。というもの当時の筆者は、
SNSでの繋がりが上辺だけの薄っぺらい
関係に思えていたのです。

考えてみると元々、SNSが無かった時代、
人々は名刺という小さな紙切れを渡し合って
関係を作っていた。

それは、まさに ” 社交辞令 ” ですが、
ある時、用事が出来て名刺に書いてある
番号に電話をかける機会が訪れる。
そうやって、より深い関係が築かれていく。

このコメントを見て筆者の中のSNSに対する
モヤモヤした思いが消えた気がした。
薄っすらとかかっていた霧が晴れたように。

奇妙な鳥の頭部についていた綿毛、それは
” 本来ついているべきではない不必要なもの ”
だったのかもしれません。

そして、その白い綿毛は耳を塞ぎ、
音をクリアに聞き取ることを阻害している。
( 最初はフワフワと表現しましたが、確かに
モヤモヤと言えないこともない )

サンルームに閉じ込められてバサバサと
飛び回っていた焦げ茶色の鳥は、当時、
何をすればよいのか、どこへ行くべきか、
SNSとの関わり方が分からなくなっていた
筆者の思い。

それを ” 見知らぬ鳥 ” という存在として自身
から分離し、客観視しようとしています。
そして、それを救い出そうとしている。

閉じ込められた場所がサンルームである
というのは、サンルームが家の中でもあり、
外でもあるという中間的な場所だから。

家は ” 自分自身 ” を表し、
外は ” 人間社会 ” です。

サンルームはその間にある ” 接点 ” という
ことかもしれません。

その鳥は、外から舞い込んできたのではなく
最初からそこにいたのです。

モヤモヤしたものを抱えたまま。

今回の夢を作った潜在意識は、すでに自覚
していたのでしょう。一見、何の支障も無く
日常生活を送っていながら、頭の片隅に
住み続けるモヤモヤ鳥の存在を。

明確さを求めて遠ざかる

もし、あなたの夢に見たことも無い動物や
植物、昆虫といった不可思議な存在が登場
したなら、どう解釈していけば良いでしょう?

それは、言葉で説明するのは難しい奇妙な
姿をしているかもしれません。

そもそも、言い表すことができないので
その意味をキーワード検索で探すことも
出来ない。

ここで大切なのは、急がず、時間をかけて
夢と向き合っていくということです。

鳥の夢では、筆者は最初の解釈に自信が
持てなかった。そして、しばらくして、
ちょっとした出来事がきっかけでもう一度、
夢について考える機会を与えらえた。

最初の解釈が正しかったのか、もしくは、
後の方だったのか、それは、さほど重要
ではないのです。

重要なのは、別の見方を試みたということ。

また、しばらくしたら、別の解釈が見つかる
かもしれません。そして、そのどれもが
正解であり、不正解でもある。

曖昧であることを許せないというなら、
それは、ある種の強迫観念です。

正解を求め過ぎないように。

それ以前に自身について静かに省察する
時間こそが何よりも貴重なのです。

 

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