地震や洪水といった災害、天変地異に
関する夢。
その光景がリアルだったりすると、
” もしかして予知夢ではないか? ”
と心配になるかもしれません。
ただ、こうした災害の夢が、仮に予知である
とすれば、状況によっては人命に関わることです。
そして、こうしたインパクトのある情報は、
時としてネット上でデマとして拡散する
ことがある。
東北の震災のすぐ後にも、SNSやネット
掲示板などで、
” 次は、何月何日に大きな地震がある ”
というような書き込み、デマが度々見られた。
それだけに、災害の夢は通常の夢に比べて、
扱いに慎重さが必要なものの一つです。
さて、実際に災害に関する夢を見た場合、
私たちは、それをどのように受け止めれば
よいのでしょう?
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夢の性質
まず、最初にお伝えしたいのは、地震の夢
を見たとして、それが予知であるかどうか
を判断するためには、夢の性質をよく理解
しておく必要があるということです。
例えば、あなたが以前、地震の夢を見た後、
実際にそれが起こったという体験をしたとします。
つまり、一度は的中させたという実績が
あるわけです。
では、今、同じく地震の夢を見たとしたら、
地震の予知だと考えるべきでしょうか?
答えは、” NO ” です。
*
一度目の夢で地震を予知し的中させた
体験は、記憶に刷り込まれたわけです。
その記憶を潜在意識が利用しないという
保証はどこにも無い。
つまり、こういうことです。
潜在意識が夢の中にそれが必要と判断
すれば、いつでも ” 地震 ” を演出に
組み込むでしょう。
例えば、予知体験によって、その能力を
誰かに証明したいという願望が芽生えた
なら、地震に関連するワードや情報を
目にする度に、地震の夢を乱発するわけです。
*
実際、筆者自身が、東北震災後、地震の夢
を頻繁に見続ける時期がありました。
地震関連のニュースをテレビやネットで
見る度に、不安によって過剰に反応して
しまうのです。
気象予報が波の高さ1mと報じれば、それを
夢の中で100mにして描く。
夢は、” 主観 ” によって作られる。
夢とは、それを見る人のその時の心の状態
に大きく影響を受けながら作られる実に
不安定な創作物なのです。
無論、これは、夢の性質のほんの一部分に
過ぎません。
*
要するに、夢の性質を理解しないまま
夢解釈を行えば判断を誤る可能性がある。
別に、いいんです。
それが日常的なレベルの夢ならば、
” あの解釈は間違いだった ”
ということで済む話ですから。
それが、人命に関わるような重大なこと
なら、安易にSNSに ” 拡散希望 ” などと
書き込むべきではない。
誰にも見向きされないうちは、まだ、
よいのです。
それが、大きな被害が出ている状況下では、
人々はそういった根拠の乏しい情報でも、
過剰に反応するようになる。
それは、やがて ” デマ ” となっていく。
災害の夢が抱える問題
地震を予知する夢が、必ずしも地震として
描かれるとは限らないのです。
それが、一匹の蝶であったり、倒れた木
というような、全く無関係に見える夢
として象徴的に描かれる場合もある。
逆を言えば、全く無関係の出来事を
地震の夢として描く可能性もあるのです。
例えば、心の動揺を抑えるために作られた
夢ならば、揺れているのは心ではなく、
地面が揺れているからだと思わせるための
演出かもしれない。
二段ベッドの下で眠っている子供が寝返り
を打ち、ベッドが揺れば、上に寝ている子
は地震の夢を見るかもしれません。
潜在意識は必要であれば、巨大隕石でも、
核兵器でも、神でも、何でも利用するのです。
*
ここで、一つの具体例を紹介しましょう。
次は、筆者自身が見た夢の一例です。
止むことの無い激しい雨。
家々や車が水に浸かっている。
会社の同僚と高台の建物の中から、
その光景を眺めている。
豪雨による洪水が発生し、避難している
という夢です。
これは、洪水発生の予知なのでしょうか?
*
この夢を見たのは随分前の話ですが、当時、
日本各地でゲリラ豪雨が発生し、水害に
関するニュースが、度々報じられていました。
そのせいもあって、筆者の頭の中に
そういったイメージが定着していたのかも
しれません。それが、夢になったとしても
何ら不思議ではなかった。
二度、三度続いたことですから、洪水の夢を
見た後に日本のどこかで規模はどうであれ、
再び水害が発生することは十分考えられる
ことです。
地震に関しても同じです。
長い期間で見れば、どこかで発生するもの
ですから、夢を見た後に地震があっても、
それを果たして” 予知 ” と呼べるのかという
問題があります。
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演出としての自然現象
では、この夢はどう解釈すべきでしょう?
正直に言いますと、当時の筆者は仕事を
休みたかったのです。
もし、職場が水浸しになれば、仕事をせずに
済むという浅はかな考えが頭のどこかに
あったのでしょう。
発想としては、
” 台風で学校が休みになればいい ” という
小学生のような考えですが、潜在意識は、
その願望を夢の中で映像化しています。
日々、ニュースで流れていた水害の模様が、
筆者の中で不謹慎な発想を持つきっかけに
なったのかもしれません。
*
では、もう一つ、とある男性の見た
災害に関する夢の一例。
窓の外を見ている。
遠くに渦巻く気流のようなものがあり、
それが段々とこちらに違づいてくる。
” 竜巻だ! ”
自分は叫びながら、妻と子供たちを
地下室に避難させる。
なぜ、この夢は作られたのでしょう?
それは、この夢を見た男性から、
二つの経緯を聞くことで理解できます。
*
その一つは、前日に竜巻に関する映画を
観たということ。そして、もう一つは、
彼が現在、とある家庭の事情を抱えている
ということ。
彼は二児の父親でしたが、子供が成長し、
反抗期に差しかかっていたのです。そして、
父親としての威厳が失われつつあることに
彼は憂いを感じていた。
この夢は、” 父の威厳 ” を取り戻すために
作られたのです。
父親として家族を格好よく守るために
夢の中に竜巻を再現し、自宅に直撃する
というシナリオを作った。
映画がきっかけとなって、この発想が
生まれたのでしょう。
この夢は、効果的演出の一つとして、あえて
自然現象を組み込んでいます。
効果的アプローチ
さて、今、紹介した二つの夢は、いずれも、
実際の災害とは無関係な夢でした。
とは言え、実際に災害を予知した夢という
のも事実あります。しかし、筆者はそれを
ここで話すべきではないと考えています。
とりわけ大きな災害に関するものは。
その理由は、このブログに初めて来た人に、
安易なことを言って誤解を与えたり、不安を
煽る結果になることを避けるためです。
そして、何よりも実際に現場で被災されて、
大切なものを失った多くの被災者について
考えると、こうした公の場で安易なことを
口にすべきでないと思うからです。
*
もしかしたら、次のような意見があるかも
しれません。
” もし、災害の夢を見て、それが本当に
起こるとしたら? ”
” 情報拡散によって逃げ遅れずに済む人が
いるならそうすべきでは? ”
筆者は、こう思います。
夢に人の命を託すこと自体が
ナンセンスだと。
夢を見たから気をつけるというのではなく、
防災意識は常日頃から持っておくべきことです。
その夢が災害を予知しているのかどうかを
気にする前に地域ごとの防災計画や
ハザードマップを確認するべきです。
インターネットで予言者の予言を調べる
前に、自宅に十分な非常食が用意されて
いるかを確認するべきです。
当たり前のことですが、それが夢に時間と
労力を費やすよりも、ずっと効果的な
アプローチだと思います。
*
時折、” 虫の知らせ ” で命拾いしたという
エピソードがテレビなどで紹介されることが
あります。
インターネットで探せば、多分、多くの
奇跡体験を見つけることが出来るでしょう。
もし、それを夢に期待しているというなら、
夢の本質を誤解しているのです。
潜在意識は、あなたに危機が迫っている
ことを知らせるために夢を作っているわけ
ではなく、すでに危機に対処している姿を
私たちが ” 夢 ” という形で目撃している
だけなのです。
この辺りを解説しはじめると話が長くなって
しまうので他の記事に任せるとして、
多くの人は夢の本質を誤解したまま、夢に
神秘的な力を求めている。
夢は神秘ではありません。時々、未来を暗示
することがあっても、あくまで現実のものです。
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情報よりも大切なこと
例えば、ネット上で地震予知に関する
書き込みがあったとします。
書き込んだ本人は、本当に地震の夢を見た
のかもしれない。と言っても、その人が
自分の見た夢を正確に解釈出来ているかは、
また別の話です。
仮に、もし、夢の性質を知っているならば、
夢で見たことをそのままSNSで拡散させよう
とは思わないでしょう。
ネット上の顔も見えない人の発言や有名な
予言者の言葉を信じるよりも、あなた自身
の判断、そして、あなたが感じた感覚を
しっかりと見つめることの方が大切です。
現代のネット社会には様々な情報がある。
情報があり過ぎて何を信じてよいのか、
見えづらくなっている時代。
拡散されたデマや扇動的な情報に不安を
煽られて振り回されてしまうと、自分自身の
” 心の声 ” が聞こえなくなってしまう。
*
夢は、映像として捉えることが出来る。
それゆえに私たちに強いインパクトを
与えるのです。
しかし、心の声は目には見えない。
自ら聞き取りに行かなければ、聞くことの
出来ない小さな声です。( この内面観察は、
夢解釈に必要なものでもあるのですが )
その声は、あなたにとって今必要なことを
伝えている。あなたにとって無用なことは
伝えたりしません。
それは、心の奥底にいるあなた自身の声
なのですから。
もし、あなたに本当に危機が迫っている
としたら、もし、あなたの人生を左右する
出来事が起ころうとしてるならば、
聞かなければいけない声とは、何でしょう?
それが、他人の声ではないことは確かです。
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