” 災害 ” に関する夢|その時、本当に聞くべき声

地震や洪水といった災害、天変地異に関する夢。

その光景がリアルだったりすると、” もしかして予知夢ではないか? ” と心配になるかもしれません。

ただ、こうした災害の夢が、仮に予知であるとすれば、状況によっては人命に関わることです。また、こうしたインパクトのある情報は、時としてネット上でデマとして拡散することがある。

東北の震災のすぐ後にも、SNSでは ” 次は、何月何日に大きな地震がある ” というような書き込み、デマが度々見られました。

それだけに、災害の夢は通常の夢に比べて、扱いに慎重さが必要なものの一つです。

さて、実際に災害に関する夢を見た場合、私たちは、それをどのように受け止めればよいのでしょう?

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夢の性質

まず、最初にお伝えしたいのは、地震の夢を見たとして、それが予知であるかどうかを判断するためには、夢の性質をよく理解しておく必要があるということです。

例えば、あなたが以前、地震の夢を見た後、実際にそれが起こったという体験をしたとします。

つまり、一度は的中させたという実績があるわけです。

では、今、同じく地震の夢を見たとしたら、地震の予知だと考えるべきでしょうか?

答えは、” NO ” です。

一度目の夢で地震を予知し的中させた体験は、記憶に刷り込まれる。その記憶を潜在意識が利用しないという保証はどこにもありません。

つまり、こういうことです。

潜在意識が夢の中にそれが必要と判断すれば、いつでも ” 地震 ” を演出に組み込むでしょう。

例えば、予知体験によって、その能力を誰かに証明したいという願望が芽生えたなら、地震に関連するワードや情報を目にする度に、地震の夢を乱発するようになる。

この場合、夢の中で起こる災害は、能力を証明したくて自ら作り上げた虚構です。それは、一般的な願望夢を見るのと同じ原理です。

実際、筆者自身が、東北震災後、地震の夢を頻繁に見続ける時期がありました。

地震関連のニュースをテレビやネットで見る度に、不安によって過剰に反応してしまうのです。気象予報が波の高さ1mと報じれば、それを夢の中で100mにして描く。

夢は、” 主観 ” によって作られる。

夢とは、それを見る人のその時の心の状態に大きく影響を受けながら作られる実に不安定な創作物なのです。無論、これは、夢の性質のほんの一部分に過ぎません。

要するに、夢の性質を理解しないまま夢解釈を行えば判断を誤る可能性がある。

別に、いいんです。

それが日常的なレベルの夢ならば、” あの解釈は間違いだった ” ということで済む話ですから。

それが、人命に関わるような重大なことなら、安易にSNSに ” 拡散希望 ” などと書き込むべきではない。

誰にも見向きされないうちはよいのですが、大きな被害が出ている状況下では、人々はそういった根拠の乏しい情報でも過剰に反応するようになる。

また、悪意ある情報発信者は、そういった群衆の性質を利用してバズを起こそうと画策します。

それは、やがて ” デマ ” となっていく。

災害の夢が抱える問題

地震を予知する夢が、必ずしも地震として描かれるとは限らないのです。

それが一匹の蝶であったり、倒れた木というような、全く無関係に見える夢として象徴的に描かれる場合もある。

逆を言えば、全く無関係の出来事を地震の夢として描く可能性もあるのです。

例えば、心の動揺を抑えるために作られた夢ならば、揺れているのは心ではなく、地面が揺れているからだと思わせるための演出かもしれない。

二段ベッドの下で眠っている子供が寝返りを打ち、ベッドが揺れば、上に寝ている子は地震の夢を見るかもしれません。

潜在意識は必要であれば、巨大隕石でも、核兵器でも、神でも、何でも利用するのです。

ここで、一つの具体例を紹介しましょう。次は、筆者自身が見た夢の一例です。

止むことの無い激しい雨。
 
家々や車が水に浸かっている。
 
会社の同僚と高台の建物の中から、その光景を眺めている。

豪雨による洪水が発生し、避難しているという夢です。これは、洪水発生の予知なのでしょうか?

この夢を見たのは随分前の話ですが、当時、日本各地でゲリラ豪雨が発生し、水害に関するニュースが、度々報じられていました。

そのせいもあって、筆者の頭の中にイメージが定着していたのかもしれません。それが、夢になったとしても何ら不思議ではなかった。

二度、三度続いたことですから、洪水の夢を見た後に日本のどこかで規模はどうであれ、再び水害が発生することは十分考えられることです。

地震に関しても同じです。

長い期間で見れば、どこかで発生するものですから、夢を見た後に地震があっても、それを果たして” 予知 ” と呼べるのかという問題があります。

演出としての自然災害

では、この夢はどう解釈すべきでしょう?

正直に言いますと、当時の筆者は仕事を休みたかったのです。もし、職場が水浸しになれば、仕事をせずに済むという浅はかな考えが頭のどこかにあったのでしょう。

発想としては、” 台風で学校が休みになればいい ” という小学生のような考えですが、潜在意識はその願望を夢の中で映像化しています。

日々、ニュースで流れていた水害の模様が、筆者の中で不謹慎な発想を持つきっかけになったのかもしれません。

では、もう一つ、とある男性の見た災害に関する夢の一例。

窓の外を見ている。
 
遠くに渦巻く気流のようなものがあり、それが段々とこちらに近づいてくる。
 
” 竜巻だ! ”
 
自分は叫びながら、妻と子供たちを地下室に避難させる。

なぜ、この夢は作られたのでしょう?

それは、この夢を見た男性から、二つの経緯を聞くことで理解できます。

その一つは、前日に災害に関する映画を観たということ。そして、もう一つは、彼が現在、家庭の事情を抱えているということ。

彼は二児の父親でしたが、子供が成長し、反抗期に差しかかっていたのです。そして、父親としての威厳が失われつつあることに憂いを感じていた。

要するに、この夢は ” 父の威厳 ” を取り戻すために作られたわけです。

父親として家族を格好よく守るために、夢の中に竜巻を再現し、自宅に直撃するというシナリオを作った。映画がきっかけとなって、この発想が生まれたのでしょう。

この夢は、目的を達成するための効果的演出の一つとして、あえて自然災害を組み込んでいます。

効果的アプローチ

さて、今、紹介した二つの夢は、いずれも実際の災害とは無関係な夢でした。

とは言え、実際に災害を予知した夢というのも事実あります。しかし、筆者はそれをここで話すべきではないと考えています。

とりわけ大きな災害に関するものは。

その理由は、このブログに初めて来た人に、安易なことを言って誤解を与えたり、不安を煽る結果になることを避けるためです。

そして、何よりも実際に現場で被災されて、大切なものを失った多くの被災者について考えると、こうした公の場で安易なことを口にすべきでないと思うからです。

もしかしたら、次のような意見があるかもしれません。

” もし、災害の夢が本当に起こるとしたら? ”

” 情報拡散によって逃げ遅れずに済む人がいるなら、そうすべきでは? ”

筆者は、こう思います。

夢に人の命を託すこと自体がナンセンスだと。夢を見たから気をつけるというのではなく、防災意識は常日頃から持っておくべきことです。

その夢が災害を予知しているのかどうかを気にする前に地域ごとの防災計画やハザードマップを確認するべきです。

インターネットで予言者の予言を調べる前に、自宅に十分な非常食が用意されているかを確認するべきです。

それが夢に時間と労力を費やすよりも、ずっと効果的なアプローチだと思います。当たり前のことですが、” 予言が無いから防災対策はしなくてもいい ” という考えは本末転倒でしょう。

時折、” 虫の知らせ ” で命拾いしたというエピソードがテレビなどで紹介されることがあります。インターネットで探せば、多分、多くの奇跡体験を見つけることが出来るでしょう。

もし、それを夢に期待しているというなら、夢の本質を誤解しているのです。

潜在意識は、あなたに危機が迫っていることを知らせるために夢を作っているわけではなく、すでに危機に対処している姿を私たちが ” 夢 ” という形で目撃しているだけなのです。

この辺りを解説しはじめると話が長くなってしまうので他の記事に任せるとして、多くの人は夢の本質を誤解したまま、夢に神秘的な力を求めている。

夢は神秘ではありません。時々、未来を暗示することがあっても、あくまで現実のものです。

情報よりも大切なこと

例えば、ネット上で地震予知に関する書き込みがあったとします。

書き込んだ本人は、本当に地震の夢を見たのかもしれない。と言っても、その人が自分の見た夢を正確に解釈出来ているかは、また別の話です。

仮に、もし、夢の性質を知っているならば、夢で見たことをそのままSNSで拡散させようとは思わないでしょう。

ネット上の顔も見えない人の発言や有名な予言者の言葉を信じるよりも、あなた自身がどう判断するかが大切です。

現代のネット社会には様々な情報がある。情報があり過ぎて何を信じてよいのか分からなくなっている時代。

拡散されたデマや扇動的な情報に不安を煽られて振り回されてしまうと、自分自身の ” 心の声 ” が聞こえなくなってしまう。

夢は、映像として捉えることが出来る。それゆえに私たちに強いインパクトを与えるのです。

しかし、心の声は目には見えず、自ら聞き取りに行かなければ、聞くことの出来ない小さな声です。

その声は、あなたにとって今必要なことを伝えている。あなたにとって無用なことは伝えたりしません。それは、心の奥底にあるあなた自身の声なのですから。

もし、あなたに本当に危機が迫っているとしたら、もし、あなたの人生を左右する出来事が起ころうとしてるならば、

聞かなければいけない声とは、何でしょう? それが、他人の声ではないことは確かです。

誤った情報に扇動された群衆の中で、あなただけは立ち止まって、冷静な視点で自身に問いかけてください。

” 自分 ” は、どう思うか。

 

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