タロット占いにはエキスパートが
存在します。タロットリーディングの
学校や資格もある。しかし、” 夢占い ”
という分野ではエキスパートも学校も
ありません。
その違いは、知識を体系化することが
出来るか、出来ないかです。
夢の解釈方法をノウハウとして蓄積する
ことは出来ないのです。なぜなら、
夢とは心の底から湧き上がる個人的創造物
であり、万人に当てはめることが出来る
表面的な共通点は、夢解釈にとって、
それほど重要ではない。
簡単に言えば、万人向けの解釈は漠然と
し過ぎて実用性に乏しい。
故にノウハウやエキスパートが存在しない。
いや、存在出来ないと言った方がいいのかも
しれません。
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” 夢占い ” の抱えるジレンマ
例えば、心理学には夢分析という分野が
ありますが、そういった意味では
精神分析医やセラピストがエキスパートと
言えるのかもしれません。
と言っても、日常で見た夢の意味を
知るために、わざわざ高いお金を払って
セラピーを受けるわけにもいきませんし、
そもそも、彼らの本職は夢分析そのもの
ではありません。
なので、私たちが夢を見たとして、
その意味を知るために出来ることと言えば、
インターネット検索ぐらいしかないわけです。
” 夢占い ” というジャンルは万人に向けて
作られたものです。万人に向けたもの
でなければジャンルとして成立しませんし、
ノウハウのような知識の集積が出来ない。
しかし、万人向けにしようとすれば、
夢の本質から離れてしまう。
つまり、” 夢占い ” とは、こうしたジレンマ
を抱えながら、妥協によって作り出された
カテゴリーなのです。
*
では、もう少し具体的な話をしましょう。
何か夢を見て、その意味を夢占いで調べる
としたら、夢の内容からキーワードを
抜き出すという作業から始まります。
例えば、幽霊に追いかけられる夢ならば、
” 夢占い 幽霊 追われる ”
というように関連キーワードを連結して
検索することになるでしょう。
ただ、実際、夢の内容は、もっと複雑に
なることがほとんどです。単に幽霊に
追われるだけでなく、それ以外にも、
階段を上るが途中で途切れているとか、
逃げ込んだ建物がなぜかガラス張りだった、
誰かに助けを求めようとするが、なぜか
誰もいないとか、不可思議な演出の数々。
それらの意味を調べるためにキーワードを
変えながら、何度か検索を繰り返すことに
なります。
” 夢占い 階段 ”
” 夢占い 建物 ガラス ”
” 夢占い 誰もいない ” など。
そして、どうにかして探し当てた
似たような状況の解釈を組み合わせて、
全体として判断をする。
もはや、意味不明でしょう。
万人向けの解釈の寄せ集めで出来上がる
継ぎ接ぎの ” 答え ” では、ストーリーは
見えてこない。
漠然と正確さの狭間で
ただ、夢占いには漠然とした解釈に対する
ある程度の救済措置が取られています。
例えば、” 太陽 ” が登場する夢については、
解釈は一つではなく、いくつか用意されている。
男性ならば成功の暗示、
女性ならば恋愛や結婚の暗示。
太陽が昇る夢ならば、運気上昇、
沈む夢ならば運気低迷を表す。
といった具合に、その時のシチュエーション
によって複数の解釈が用意されています。
こうして解釈を大まかにパターン化すること
である程度、答えに近づくことが出来る。
*
しかし、夢の内容が、常にそれら大まかな
パターンに当てはまるわけではありません。
例えば、深夜2時の夜空に太陽が昇る夢を
見た場合は、どう考えればよいのでしょう?
” 白夜 ” というキーワードなら、夢占いの
どこかに解釈が載っているかもしれない。
しかし、白夜は太陽が沈まない現象
であって、深夜に太陽が昇るというのとは
少し違います。
もし、この夢を見た人が深夜2時に起床し、
朝方まで書斎で仕事をするという
ライフスタイルの持ち主ならば、
深夜に昇る太陽は、彼にとっては
” 一日のスタート ” を意味するのかも
しれません。
夢占いは、こういった個人の習慣までを
フォローしているわけではない。
パターンを細かく分割していけば、必然的に
各パターンの統計を取るための母集団は
減っていきます。そして、統計データは
精度を失っていく。
そもそも夢占いとは統計データですから、
正確さを求めてパターンの細分化を
進めれば、自滅していく運命なのです。
ゆえに、夢占いは適度に誰にでも
当てはまりそうな漠然とした解釈を示す
ことは出来ても、それ以上の正確さを
求めることが出来ない。
それを求めれば ” 夢占い ” の根底が
崩れてしまう。
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応用解釈をする意味
では、” 応用解釈 ” について考えてみます。
夢占いを調べると、一つの項目には、
状況に合わせたいくつかの解釈が
載っています。
そして、そこでも当てはまる項目が
無かった場合、載っていた解釈を参考に
応用解釈をする場合があります。
例えば、とある若者が朝日が昇る夢を見た
としましょう。
” 太陽 ” の項目には、運気上昇、仕事の成功
の暗示という解釈が載っている。
しかし、夢を見た彼は学生で、会社に
勤めているわけではないので、仕事で成功
するという可能性は無いわけです。
そこで応用解釈をする。
” 仕事の成功 ” を ” 学業の成功 ” に
読み替えるのです。
これならば、太陽が成功の象徴という
夢占いのベースにある考えから外れて
いないので、一見、正しい答えのように
思えます。
しかし、彼が夢を見た背景が次のような状況
ならどうでしょう?
彼は受験生で、試験直前になって必死で
勉強をしていた。時には徹夜をして部屋の
窓から朝日を眺めることもあった。
そして、彼の見た夢は試験当日の
夜明けです。
つまり、彼にとって夢の中の日の出は、
準備不足のまま試験を受けなければならない
” 審判の日 ” を知らせる合図なのです。
彼は、夢の中で朝日を見て、
次のように思う。
” とうとう来てしまった。時間切れだ・・ ”
太陽が ” タイムリミット ” であるという
解釈は、古来から伝わる太陽の解釈とは
全く無関係です。運気上昇でも
ありませんし、成功の暗示でもない。
必ずしも、夢占いの解釈をベースに
応用解釈する必要は無いのです。
そもそも、潜在意識は夢占いの解釈に
合わせて夢を作ったりはしません。
その時に必要なものを必要な形で作る
だけです。
自分だけのゴール
さて、エキスパートが存在しない状態で、
唯一、答えを見つけるための足掛かりとして
” 夢占い ” があるわけですが、それが、
真実の答え得るための方法になりえない
としたら、夢の意味を知りたい時に、一体、
私たちは何を参考にすべきでしょう?
参考にすべきものなど無いのです。
世界のどこにも。学校もありませんし、
テキストブックもありません。
そもそも、その夢を作ったのは、それを
見ている本人ですから、ある意味、
その夢の第一人者は本人です。
ならば、本人に聞くしかありません。
つまり、あなたが夢を見たとしたら、
あなたが自身の心に問いかけるしかない。
*
このブログでは多くの夢解釈の例が
載っていますが、そのどれもが誰かの見た夢
に過ぎない。
あなたのではない。
多分、初めてこのブログに来られた方は、
何か夢を見てその意味を知るために、
似ているシチュエーションの夢を解説する
ウェブサイトを探しに来たのでしょう。
そして、似ているから参考になるかと
思ったが、誰かの見た個人的な夢が紹介
されていることにがっかりする。
” そんな個人的な話を聞きたいわけじゃない。
もっと自分にも当てはまることを教えてくれ ”
そう思う人もいるかもしれません。
そう、全ての夢は ” 個人的な話 ” なのです。
あなたの見た夢は個人的なものであり、
どこかの誰かが見た夢とは違う。無論、
万人に共通する典型的なものでもない。
ゆえに、夢を解釈するためには、自身の心
の奥深くに焦点を当てなければならない。
このブログは、それを伝えるための
アーカイブなのです。
あなたの見た夢の ” 答え ” を誰かの答えに
合わせる必要はありません。
それは、世界に一つしかない。
そして、それを自ら導き出すことが
大切なのです。
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