身体に関する夢|あり得ない状況の意味

日常的な夢はそれほど気になりませんが、それがインパクトの強い夢なら、そこにどんなメッセージがあるのか気になってしまうでしょう。

取り分け、身体に異変が起こるといった夢は、映像によっては強い印象を受けることもあります。

体の一部が、普通ではあり得ない状況になっている。

例えば、男性が妊娠をしたり、女性に髭が生えるとか、全部の歯が抜けるとか、右手と左手の長さが違うとか・・

時には目を反らしたくなるほどグロテスクな描写になることも。

さて、こうした夢の中の身体に関する異常現象について、どう解釈していけばよいのでしょう?

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仮想的身体

そもそも、夢とは精神的な世界ですから、イメージしたことが、そのまま実現してしまう世界でもある。

例えば、映画 ” エクソシスト ” で悪魔に取りつかれた少女のように、ブリッジをして天井を歩き回ることも、首を180度回転させることも夢の世界では可能です。

アニメ ” トムとジェリー ” のように、ピアノの下敷きになって、薄っぺらいカーペットのようになることも出来る。

もし、リアルに人間が 1mm の薄さになったら・・ちょっと怖い映像ですよね。しかし、潜在意識は、それを夢の中であっさりとやってのける。

だから、夢の中で、自分の体についての異常が描かれたとしても、その体は、単なるイメージとしての ” 仮想的身体 ” に過ぎないということです。

次は、とある女性が見た夢の一例。

両足が手になっている。
 
私は少し歩き、スマホをつかんでみる。

なぜか、自分の両足が手のような形になっていたと言います。丁度、チンパンジーの足のように。そして、その足で器用に物をつかむことが出来た。

少し不気味にも思えますが、彼女は夢の中でその足を見て、” 前からこうだったような気もする ” という奇妙な認識を持った。

彼女は、なぜ、このような夢を見たのでしょう?

「私の足に何かあるんでしょうか? 歩けなくなる予兆とかじゃないですよね・・」

「足に何か問題でも?」

「いえ、今は何もありません。ただ、何となくそう思っただけです」

「夢の中で上半身の手は、いつもの手でしたか?」

「ええ、普通の手だったと思います」

筆者は、この時、足ではなく手に問題が起こる可能性を考えていました。

仮に、両手が使えない状態になれば、潜在意識は足を手の代用として使うために、このような演出を行ったのかもしれない。

ただ、一方では、この解釈は性急過ぎると感じました。

今後、彼女の両手に何か問題が生じて、一時的に使えない場面があったとしても、それが大きな怪我によるものであれば、まずは、怪我の回避が先決です。

しかし、この夢で彼女は、すでに足が手になってしまったことを受け入れ、物をつかむ練習までしています。

普通ならば受け入れる以前に、怪我を避ける為に、潜在意識は様々な試行錯誤をするものですが、それが、この夢には無い。

また、彼女のメンタルがショックを受けている描写も見られない。どちらかと言えば、この設定は怪我をした後、落ち着きを取り戻してから見る夢です。

彼女の抵抗

これは、未来の暗示ではなく、多分、何らかの状況を仮想的身体によって例えているのでは・・筆者は、そう思いました。

「この夢を見る前、もしくは、後でもよいのですが・・自分の身の回りで、環境の変化などはありましたか? 仕事か、プライベートか分かりませんが」

「身の回り・・ですか?

そう言えば、変化というか・・変化しそうだったのを止めたことはあるかも・・」

「それは、どういうことですか?」

彼女いわく、現在の会社に入って三年目になると言います。そして、段々と会社の内情が分かってきた。

彼女の勤める職場では、中間管理職の負担が大きく、残業代も出ない中、夜遅くまで仕事をしている姿を度々見ると言います。

「前の管理者が退職するらしく、次の後任を選んでいる最中です」

「定年退職で?」

「いえ、彼はまだ三十代です。仕事がきつくて辞めると言ってました。それで私に後任の話が・・」

「まだ、入社三年目ですよね?」

「ええ、誰もなりたがる人がいなくて」

「あなたが、次に勤続年数が長い、というわけでは無いんですよね?」

「はい。実は・・以前の職場でシステム開発に携わっていた経験があるんですが、それは周りには言ってないんです」

「なぜ?」

「周りから仕事を頼まれるので・・ 多分、前任者は私の履歴書を見たのかもしれません」

「つまり、あなたの能力が公になると仕事を押し付けられるので、それが嫌だということですか?」

「ええ・・昇進の話が来たときは、私には無理ですと伝えて、その時は、それで終わったんですが・・」

「話が完全に消えたわけではない・・」

「ええ、また、何か言ってくるかも」

「ところで、夢の中で、
両足を確認した場所はどこでしたか?」

「会社の更衣室です」

「周りには誰もいなかった・・」

「ええ、私一人でした」

彼女は特殊なスキルを持っていたが、それを公にすると職場での負荷が増大する懸念があった。だから、それを隠し続けた。

潜在意識は、履歴書に記載してしまったスキルを両足に置き換えて、この局面を乗り切ろうとしています。

彼女が両足を見て持った ” 前からそうだった気がする “ という奇妙な認識は、それが元々持っていた自身のスキルの ” 例え ” であることに、直感的に気づいたからなのでしょう。

夢の中の四本の手は、彼女が人の二倍の仕事ができることを意味し、手に置き換えられた両足は靴下で隠すことが出来る。

それによって彼女は、普通の社員の振りをし続けることが出来る。

ありえない設定を解体する

夢はイメージによって構築された世界。

そして、夢の中の登場人物や風景、そこで起こる様々な現象は、一見すると現実世界を模倣しているように見えます。しかし、実際は別の何かを表現している。

なので、その夢を見た目で解釈すると、導き出す答えを誤るかもしれない。

足に異変があったからといって、足にトラブルが起こる前兆と安易に決めつけることは出来ません。

それが、一般的にありえない設定ならば、その裏に何か別の意味が隠されているということです。

ありえない設定は、大抵が現実を模倣したイメージによって構成される。

今回の夢で言えば、夢の舞台となった会社の更衣室は ” リアル ” として描かれています。そして、体の一部が ” 手 ” という ” リアル ” に置き換えられている。

つまり、全ては ” リアル ” によって構成されている。ただ、組み合わせに不整合が紛れ込んでいるのです。

この不整合こそが、潜在意識が強引に捻じ込んだ痕跡であり、夢本来の目的を果たすために必要不可欠な要素。

ここで、冒頭で例に挙げた、男性が妊娠する夢について考えてみましょう。

男性は、” リアル ” です。そして、妊娠も ” リアル ”

この二つの要素が組み合わさると ” 男性が妊娠する ” となり、不整合が生まれる。

しかし、潜在意識は、組み合わせるべきではない二つの概念を無理やり組み合わせる必要があったわけです。

その場合、二つの概念のうちの片方は、何かが置き換えられた結果として表現されている、という推測が出来ます。

つまり、別の何かが置き換えられた結果が ” 男性 ” なのか、もしくは、” 妊娠 ” なのか、もしくは、その両方か・・

” 男性 ” が夢を見ている本人であるということなら、多分、そっちは ” リアル ” でしょう。ということは置き換えが行われているのは、もう一つの要素である ” 妊娠 ” です。

男性が身体に別の命を宿すという設定から考えらるのは、男性の中に新しい価値観や視点が生まれるとか、新たな責任が生ずるとか、守るべき大切な何かが出来るといった解釈でしょう。

後は、身の周りでそれに関連しそうな出来事を洗い出すという作業を行っていくだけです。

無論、未来への暗示という可能性もありますが、それはこのプロセスが終わった後に考えればよいことです。

 

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