夢の中の ” 怪物 “|姿から考える存在意義

怪物が登場する夢。

一言で ” 怪物 ” と言っても色々あると思います。

ゴジラのように巨大なもの、
エイリアンのように鋭い爪と牙、
毛むくじゃらの猛獣、
魔界から召喚された悪魔、
言葉で表現出来ないような
グロテスクなモンスターたち。

架空の存在である ” 怪物 ” は
その形態も多種多様のなので、
夢占いではイメージの詳細には触れず、
怪物を不安や恐れの表れという
大まかな意味で解釈していることが多いようです。

では、心の中の不安や恐れが、
なぜ ” 怪物 ” となるのでしょう?

その姿は、夢のテーマに全く無関係の
単なる空想に過ぎないのでしょうか?

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形の無い不安

現実世界での不安や恐れというのは、
大抵、解決したくても、
簡単にはいかないものです。

例えば、将来への不安や、経済的不安、
職場での人間関係、恋愛、年齢、病気など。

現実では容易に解決出来ないために、
その不安が解消されないまま蓄積される。

そして、それがある時点で夢になる。

潜在意識は蓄積されたそれを
どうにかして、解消し、心のバランスを
取り戻すために夢を作るのです。

*

ある意味、現実世界で私たちは、
将来への不安や人間関係という
” 形の無きもの ” に心を煩わされているわけです。

潜在意識は夢の中で、その形の無いものに
形を与えることで対処しようとする。

つまり、” 怪物 ” という姿で。

それが形のある存在ならば、
対処のしようがあります。

なるべく遠くに逃げる。

戦って殺すなど、物理的な方法で解決できる。

” 将来への不安 ” という漠然とした
ものが相手ではそうはいきません。

潜在意識はつかみどころの無い問題を
” 怪物 ” という対処しやすい存在に置き換えて、
対処の道筋を与え、
不安を軽減しようとしている。

では、夢に怪物が登場したら、
必ず ” 形無き不安の象徴 ”
と解釈すべきなのでしょうか?

怪物に感じる ” 共感 “

次は、とある男性が見た夢の一例です。

人混みをかき分けていく。
 
真ん中で怪物が人の集団に囲まれて、
石を投げつけられている。
 
自分はやめるように叫ぶ。
 
怪物は何も言わないが、
悲しみだけが伝わってくる。
 
大きな怪物を背負って歩き始めると、
人々が後ずさりをして道を開ける。

この夢に登場する怪物は、
凶暴でも、残忍でもありません。

むしろ、弱い立場として、
人々にリンチを受けています。

この場合の怪物は、
何を意味しているのでしょう?

*

この夢を見た男性に、
怪物がどんな姿をしていたのか尋ねると、
次のように説明しました。

” 大きな岩の塊のようで、
頭部を隠しているのか、目や口は無く、
例えるなら、
丸くなったアルマジロのような物体だった ”

それは石を投げつけられて出血しており、
かなりのダメージを受けていることは
すぐに分かったと言います。

そして、物体に近づくと、
それが、とても悲しんでいる感情が
痛いほど伝わってきた。

夢の世界ではこうした登場する存在に対して、
共感する現象がしばしば起こります。

彼が夢の中で感じた怪物に対する ” 共感 ” は、
鏡に映っている自分の姿を見ているのです。

鏡の向こうの自分が泣いていれば、
その理由を知っているのと同じ状況です。

*

怪物は体を鎧に包み、
投げられる石から身を守ろうとしています。

それは、彼自身が何かに耐えながら、
必死で自分を守ろうとしている姿そのものです。

怪物のまとう鎧は、厳しい状態を
生き続けるために身に着けた
傷つかないための ” 心の鎧 ” を表しています。

例えば、自分の本心は人に話さないとか、
無表情で動揺を見せない。人に関心を持たない。
自分の意見は主張しない。

リスクを回避しながら狭い世界で生きる。

*

筆者が ” 何か悩んでいることはないか ”
と尋ねると、彼が職場の人間関係について、
問題を抱えていることが分かりました。

まだ若く、社会経験の浅い彼は、
仕事の失敗が続き、周りに
迷惑をかけている自分を卑下していたのです。

人間関係の悪化もそれが原因だと。

彼の置かれた状況から察するに、
怪物に石を投げつける集団は、
彼から見た ” 人間関係 ” という
怪物を描いていたのかもしれません。

つまり、この夢には、
二つの ” 怪物 ” が登場しているのです。

救う者、救われる者

もし、石を投げられる怪物が彼自身ならば、
もう一人の彼は、
なぜ、集団の外から入ってきたのでしょう?

それは、彼の中に
苦しい状況に立ち向かおうとする気持ちが
まだ、残っていることを示しています。

彼は、石を投げる人々を蹴散らし、
怪物を集団の中から救い出そうとしている。

” まだ、俺は、終わってない ”

彼のそんな気迫に押されたのか、
集団が後ずさって、道を開けていく。

彼は、傷ついた自身を
自分の手で救おうとしているのです。

潜在意識は夢の中で、
” 救われる側 ” と ” 救う側 ” の
二つの立場で自身を分割したのです。

*

夢には、傷ついた心を修復するための
” 自助力 ” があります。

現実世界では、傷つく心と
修復しようとする心は一つです。

そのために、心の中の対話は
実際に目で見ることは出来ない。

夢の世界で、それらを分離し、
別々の存在として登場させることで、
心の中の複雑な問題をシンプルな物語にして
解決しようとしているのです。

” 自分を救い出す ” としても、
まず、何をすればよいのか分かりませんが、
それを傷ついた存在を助け出すという状況に
置き換えれば、すべきことは明白になる。

それは、救出であり、手当であり、慰めです。

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鉄の扉

では、もう一つ夢を紹介しましょう。

次は、とある男性が見た夢の一例です。

施設のような場所の施錠された重い鉄扉。
 
中から凄まじい鳴き声で
何かが暴れているのが聞こえる。
 
施設員が中の様子を伺うために
扉の鍵を開けてしまう。
 
自分は扉に背を向けて逃げ出す。
後ろから男性の悲鳴が聞こえる。
 
突然、施設全ての照明が落ちる。

何か映画 ” バイオハザード ” を
彷彿とさせる夢です。

この夢では、怪物の姿は最後まで
登場しておらず、凄まじい
野獣の雄たけびが恐怖を演出しています。

この夢を見た男性は、
施設員が扉を開けた瞬間に、まずいと思い、
その場から全力で走り出したそうです。

背後で怪物に襲われた男性の末路を
見ることもなく必死で走り続けた。

もし、振り向いたら追いつかれて、
確実に命はなかっただろうと言います。

*

この夢に登場する ” 怪物 ” は、
一体、何を意味しているのでしょう?

彼いわく、このような悪夢を見ことは
ほとんど無かったのですが、つい最近になり、
似たような悪夢を何度が見るようになった。

筆者は ” つい最近 ” という点が引っかかり、
彼に次のように尋ねました。

” 最近、生活に、
何か変化はありませんでしたか? ”

彼は一年ほど前からやめていたギャンブルを、
ここ最近になって、
また、始めてしまったと答えます。

一時期はギャンブルにはまり、
危うく人生を壊しかけたという反省から、
この一年、そういった場所から、
なるべく距離を置いていたと言います。

筆者の質問に答えながら、
彼は夢の意味に気づいたようでした。

夢の中の鉄扉の鍵は、
一年前に彼自身がかけたものです。

そして、扉の向こう側に、これまで
押さえつけてきたギャンブルに対する
” 執着心 ” が暴れ回っている。

*

夢の中で慌てた施設員が、
中の様子を確認するために鍵を開けてしまう。

怪物は出口を見つけて、
とうとう解放されてしまう。

一見すると、愚かにも思える
施設員の危険な行動。

あくまで ” 自分ではない誰か ” が、
状況を確認することを口実に扉を開けて
しまうということになっていますが、
実際、鍵を外したのは彼自身です。

衝動的な彼が、怪物を解放し、再び、
不健全なギャンブル生活に戻ろうとている。

そして、彼の理性が不健全な生活に
戻るまいと全速力で逃げている。

最後に施設の照明が落ちたのは、
彼が解き放たれた怪物から暗闇に身を隠すためです。

こうして、夢の作られた背景を知ると、
夢の舞台も何となく依存症克服のための
治療施設という感じがします。

*

” 身を亡ぼす怪物が再び目覚めたぞ。注意しろ! ”

彼が、最近になって、
立て続けに悪夢を見ていたのは、
昔の生活に戻ってしまうことに対する
潜在意識からの警告だったのかもしれません。

夢の中では、結果、
怪物は解放されてしまいます。

せめてもの救いは、彼自身が
まだ食われていないということです。

照明が落ちた暗闇の中で、彼は
怪物を倒すための武器を探そうと思った。

果たして、呼び覚ましてしまった
自身の中のギャンブルに対する衝動を
再び、封じ込めることが出来るのか、
それが彼にとって、今後の課題になるのでしょう。

怪物の意味

” 怪物 ” が不安や恐れの象徴として
登場することは、実際にあります。

ただ、それだけに限定されるわけではありません。

紹介した二つ目の夢では、
ギャンブル依存の男性の中に眠っていた
衝動に対する ” 恐れ ” が描かれていた。

この場合の怪物は ” 恐れ ” というよりは、
厳密には ” 衝動 ” そのものです。

そして、男性は怪物の姿を見ていない。

もし、彼が振り向いたとしたら、
そこには魅惑的な姿をした美女が
立っていたかもしれません。

まさに、” 誘惑 ” の象徴です。

もしくは、グロテスクな悪魔のような姿
だったかもしれない。

そして、施設員という
” 衝動に負けた自分 ” を取り込み、
辛うじて逃れた ” 理性的な自分 ” を
抹殺しようと迫る。

もし、捕まったとしたら、
彼自身が怪物へと変貌するのでしょう。

いずれにせよ、その姿は
彼が目を背けておきたい存在には違いないのです。

*

もし、あなたの夢に怪物が登場したなら、
そして、怪物の姿を目撃することが出来たとしたら、
その風貌について考察してみましょう。

それが説明出来ない不可解な姿であったとしても、
どこかで見た映画のモンスターに似ていたとしても、
何らかの意味はあるのです。

なぜ、毛むくじゃらだったのか、
なぜ、角が生えていたのか、

例えば、毛むくじゃらである理由は、
体温を冷やさないためであるとか、
顔を隠すためであるとか、

角が生えているとしたら、
その角は威嚇のためについているだけの
イミテーションなのか、
取りたくても取ることが出来ない
頭部についている ” 邪魔な異物 ” なのか、
様々な解釈をすることが可能です。

そこから、自分自身について振り返ってみて、
心当たりがある出来事や感情について、
掘り下げてみてください。

それを単なる ” 不安 ” や ” 恐れ ” といった
ありきたりな言葉で終わらせるのではなく、
不安ならば、どういった不安なのか、
なぜ、不安なのか、といった問いかけが必要です。

ただ、あなたが今メンタル不調で
余計なストレスをかけたくないといった場合は、
夢に深入りすることは、あまりお勧めできません。

そういった場合は、忘れましょう。

そのテーマが、あなたにとって重要な事柄であれば、
潜在意識は夢を別の形で作り変えて、
再び、あなたに提示する。

その怪物は別の姿となって、
あなたの前に現れるでしょう。

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