その夢は、本当にあの世からのメッセージなのか?

夢の中に故人が登場すると、
” あの世からのメッセージではないか? ”
と思うかもしれません。

確かに故人が亡き後、お別れをするために
家族や親しかった人の夢枕に立つという
話を聞くことがあります。

筆者自身も体験していますし、相談者の
体験談からも、故人が夢に現われ、
別れを告げるということは、実際にある
のかもしれません。

ただ、そういったスピリチュアルな体験
とも思える夢は、全てが霊魂からの
メッセージなのでしょうか?

潜在意識とストレスの関係

一つ、理解しておかなければならないのは、
潜在意識には、傷ついた心を治癒する働きが
あるということです。

そして、夢とは潜在意識が作り出す映像。

日常の願望やストレス、心に引っかかって
いる悩みが夢という形で表れ、心のケアを
するのです。

つまり、強い願望やストレスを抱えて
いる時、潜在意識は心の負担を少しでも
減らすためにそれに応じた夢を作ります。

夢から目覚めて、少し心が軽くなった気が
するというのも、その治癒力によって
ストレスが軽減されているということ
なのでしょう。

大切な人を失うという悲劇は、
大きなストレスです。

潜在意識はそのストレスを取り除くために
様々な技法を用いて夢のストーリーを作る。
せめて眠っている間だけでも心が保たれる
必要があるからです。

睡眠中、潜在意識は大切な人と会って話す
夢を作ったり、亡き後も元気にしている
姿を映像にして、心が少しでも安心できる
ように働きかけます。

それによって夢を見ている間、眠り続ける
ことができ、体と心の疲れを癒す。

ただ、故人との離別からそれほど時間が
経っていない時期、夢の中でもいいから
再開をしたいと強く願っても、なかなか
故人が登場する夢を見ることはありません。

それは、潜在意識が心にこれ以上負荷を
与えないために、あえて故人のイメージを
避けるからです。

もし、悲しみが癒えていない状態で、
故人が夢に登場することになれば、
それをきっかけに、失ったことへの悲しみが
再びその人を苦しめることになる。

逆に言えば、故人が夢に登場している
ということは、その時期は過ぎ去り、
落ち着きを取り戻しつつあると言うことも
出来ます。

祖父の夢

次は、とある男性が見た夢の一例です。

祖父に説教をされる。
 
自分は正座をして
うつむきならが聞いている。

この夢を見た男性に話を伺うと、祖父は
すでに十年前に他界されていたという
ことでした。そして、祖父の人柄は温和で、
もちろん怒られたことなど一度も無かった。

滅多に怒らない祖父に夢の中で説教された
ということで、彼は自分の身に何か起こる
のではないかと心配しているようでした。

夢は、それを見ている本人が作るもの
ですから、この夢は自分が説教をされる
シチュエーションを自ら設定している
ことになります。

つまり、彼は、
” 自分は説教を受ける必要がある ” と
感じている。

筆者は尋ねます。

” 何か後ろめたいことに心当たりは
ありませんか? ”

” 後ろめたいこと・・ですか? ”

” ええ、多分、お爺様に関すること
だと思うのですが・・ ”

” ああ、そうだ。あのことかな・・ ”

彼は、毎年、お盆には家族を連れて帰郷し、
必ずお墓参りをしていたと言います。
ただ、今現在、仕事の都合で帰郷できずに
三年が過ぎてしまったとのこと。

そして、お盆の季節が近づくこの時期、
今回の夢を見た。

” そう言えば、もうそんな季節ですね・・
すっかり忘れていました。
今年行かなければ四年になります ”

彼自身はそれほど気にしている様子は
ありませんでしたが、彼の潜在意識は
そうではなかったようです。そこで
潜在意識は、温和な祖父のイメージを
借りて夢を作った。

滅多に怒らない人が怒るほど、そして、
それが故人であれば尚更、効果的な
メッセージになることを潜在意識は
知っています。

そして、潜在意識が伝えたかった
メッセージとは、多分、これでしょう。

” そろそろ、墓参りに行きなさい! ”

この夢は、彼の罪悪感が描かれています。

それは日常生活では意識しないほど、
些細な感情だった。しかし、彼の中で
喉元に引っかかる小さな骨のように
慢性的なストレスとして少しずつ、
心に負荷をかけ続けていたのでしょう。

” お墓は、実家の方に? ”

” ええ、田舎の山奥です ”

” 実家には、誰かいらっしゃるのですか? ”

” いえ、祖父母ともに亡くなってからは
空き家になってます ”

” すると・・お墓が心配ですね ”

” ええ、一応、近くの親戚がたまに訪れて、
掃除をしたりしているようですが・・”

彼は、話の途中、何かを思い出した
ようでした。

” 子供の頃、祖父とよく実家の周りを
散歩した思い出があります。
あの家が寂れていくのは・・
俺は、それを見たくなかったのかも・・ ”

彼が帰郷しなかった理由が仕事の都合
だったのか、それとも、別に理由が
あったのか、今となっては分かりません。

ただ、彼がメッセージを受け取ったのは
確かです。

メッセージが届かない時

もし、故人が登場する夢がスピリチュアル
メッセージでなかったとしても、
故人の魂を否定するわけではありません。

全ての夢がそうとは限らないと
言いましたが、つまり、その中には、
心理分析の観点から解明できないものも
確かにあるのです。

憂慮するべきは故人が登場する夢を見て、
考え込んでしまい、返ってストレスに
なることです。それが新たな夢を作る。

そうなってくると、何がスピリチュアル
メッセージで何がそうでないかが
分からなくなっていきます。

考えてみてください。もし、大切な人に
重要なメッセージを送るとしたら、
目覚めた後に忘れてしまうかもしれない
夢に、それを託すでしょうか?

故人からのメッセージが、” 夢 ” という
形である必要はないのです。

世の中には偶然や奇跡というものがある。
それは、日常の小さくて何気ないサイン。
普通では見過ごしてしまう。

しかし、大切な人をよく知る人には、
分かるのではないでしょうか。

そして、大切な人をよく知っているなら、
あなたが、もし、悩んだり苦しんでいる
時に、どんな言葉をかけてくれるのか、
サインなどなくても分かるはずです。

故人からのメッセージが届かないとすれば、
それは、あなたの中に既に ” 答え ” があり、
あなたがいずれは、それに気づくことを
知っているからではないでしょうか。

届かないのではなく、届ける必要が無い。

これもまた、
メッセージなのかもしれません。

 

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