人は見たいものだけを見る。
例えば、誰かを好きになった時、
一度、好きになってしまうと、
その人が浮気性のプレイボーイだったとしても、
良い部分だけを見るようになります。
そして、騙されても、
なお信じ続けようとしてしまう。
” あの人は根は誠実な人だ ” と。
きっと誠実な部分も本当にあるのでしょう。
人は多面的ですから、
探せば、そういった部分は、
何かしら見つかるものです。
一方、” あいつの本性はずる賢い ” と、
否定的な目で見る人もいる。
面白いのは、それぞれが信じたいものを
その人物の ” 本性 ” と言っている点です。
一人の人物に向かって、
” 根は誠実だ ” と肯定する人、
” 本性はずる賢い ” と否定する人、
結局、どちらが
その人物の ” 本性 ” なのでしょう?
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目が覚める瞬間
双方は自分の信じたいものこそが、
本質だと思いたがっているのです。
裏を返すと、自分の信じないものを
” 嘘 ” にしたがっている。
つまり、その人物が
誠実なのか、不誠実なのかは、
どうでもよいことなのです。
その人物のイメージは、
粘土細工のように自由にそれぞれが
求める形に整形できるのですから。
ですが、実際には、
信じ続けたのにも関わらず、
裏切られてしまうことはあります。
事実を突きつけられて目が覚める瞬間。
認めたくない真実が明るみになったから、
目が覚めたのでしょうか?
*
信じ続ける人は事実を知った時に、
それを信じない理由を探そうとする。
” そんなはずはない ” と。
もし、浮気現場をその目で目撃したとしても、
” 恋人が浮気に走ったのは、
自分に何か足りないことがあったから ”
と自分に否があると考える。
その方が、楽です。
何を正せばよいのか
はっきりしていますから。
間違っても、
” 自分は、恋人の前に魅力的な異性が
現れるまでの腰かけに過ぎなかった ”
などという結論に達することはありません。
なぜなら、
そんな事実を信じたくないから。
希望は必ず見つかる
裏切られた人は、どこまでも
信じるための材料を探すのです。
そして、皮肉なことに
必ず、何かしらの ” 希望 ” が見つかる。
世の中に絶対は無いのです。
100%完璧な裏切りもありませんし、
100%完璧な誠実さもない。
どんなに悪人でも、
1ミリぐらいの優しさは当然ありますし、
どんなに誠実な人でも
1ミリ程度の狡さはあるのです。
そもそも、事実とは、
どのようにも捉えることが出来る。
事実が明るみになったから、
目覚めるのではありません。
自分の意思で ” 目覚めたい ” と思うから、
目覚めるのです。
恋人の裏切りは、事実でしょう。
そして、愛があったことも
また、事実でしょう。
何が事実だったかは重要ではないのです。
大切なのは何を決断できるのか。
晴れることのない霧
例えば、あなたが、もし、
恋人の浮気現場を目撃したとします。
信じていたならば、
衝撃を受けることでしょう。
先ほどは ” 事実は重要ではない ”
とは言いましたが、付け加えるならば、
” 最終的には・・” です。
もちろん、事実を確認することは必要です。
もしかしたら、ちょっとした
勘違いかもしれない。
無用な混乱は避けるべきです。
*
ただ、事実だと確認出来たとしても、
100%の確証など、どこまで調べても
得られることは無いのです。
必ず、多少の不確実性は残る。
恋人の裏切り、部屋に閉じこもって、
頭の中で今までのことを思い返すのです。
あの時の不信な態度の意味や、
ちょっとした仕草、何気ない一言、
様々な場面が堂々巡りしては、
全ての謎が一本の線で繋がる
” 着地点 ” を見つけようとする。
しかし、” 着地点 ” など無いのです。
はっきりしているのは、
永久に得られない ” 答え ” を求めながら、
深い霧の中で今も苦しんでいるという事実だけ。
その霧は、永久に晴れることはありません。
ただ、決断して、
自ら抜け出すことは出来る。
それとも、
霧の中に見た幻想を追い続けますか?
手放すべきこと
もし、恋人があなたを
裏切るようなことがあれば、
激しい怒りに駆られるかもしれません。
その ” 怒り ” はあなたを破滅に導く。
あなたから時間を奪い、
あなたから集中力を奪い、
あなたに訪れるはずの新しい機会を奪う。
怒りに囚われ続けることで、
あなたの人生を変えてしまうかもしれない。
あなたが、今、生きている人生は、
誰のための人生でしょう?
あなたを傷つけた人に
報復は必要でしょうか?
あなたがどれだけ傷ついたかを
理解させる必要があるでしょうか?
仮に、報復が成功し、その人が
あなたがどれだけ苦しんでいたかを
理解したとして、
それから、どうなるのでしょう?
その人は命ある限り、幸福を求める続け、
それを実現しようとする。
人は、誰しも、
幸せになりたがるものです。
そして、それを阻む権利は誰にも無い。
*
複雑なことを言っている
わけではありません。
とてもシンプルなことです。
あなたは、あなたで幸せになればいい。
あなたを傷つけた人が、
どこかで誰かと幸せに暮らしていたら・・
などと、頭の中でシュミレーションを
する必要はありません。
それが、あなたがこれから作る幸せと
何の関係があるのでしょう?
最も大切なのは、
あなたが幸せになるかどうかです。
誰かの幸福度を確認することではない。
*
自分の両手を眺めてください。
その固く握った拳をゆっくりと開いて。
そうです。
そうすれば、
新しい何をつかむことが出来る。
それで好きなものをつかめばいい。
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