もし、恋人に裏切られたら|知っておいて欲しいこと

信じていた人に裏切られ、傷ついた
一人の女性がいます。

事実が明らかになって間もない時期、
彼女の中には、ネガティブな感情が
渦巻いている。

裏切者に対しての怒り、理想を打ち
砕かれた悲しみ、そして、喪失感・・

怒りは、衝動的で最もエネルギーを消費
します。故に、持続させることが出来ない。
通常、最初に消失していく感情です。

発作的に何かをきっかけに思い出すことは
ありますが、徐々に小さくなっていく。

次に消失していくのは、悲しみです。
怒りよりは、エネルギーの消費量は少なく、
持続性があります。

はやり、悲しみにも発作的な反芻が
ありますが、怒りよりはアップダウンが
緩やかで尾を引きやすいのが特徴。

では、最も彼女を苦しめるのは、何か?

それは、喪失感です。

広告

波の運動法則

喪失感の波は悲しみよりもさらに緩やかで
余韻が長い期間残り続ける。

そして、怒りや悲しみとは違い、石膏の
仮面を被ったように感情が表情や行動に
表れない。周りの人から見れば、ちょっと
元気が無い程度の認識しか持たれない。

しかし、メンタルは綱渡りをしている
ような緊迫感と微妙なバランスによって
辛うじて保たれている状態です。

衝動的な怒りを鎮めるのは、それほど
難しくはありません。車の中で大声で
怒鳴り散らすか、裏切者のスマホを地面に
投げつけて叩き壊せば、大抵、数分後には
おさまっている。

悲しみは、涙が枯れるまで泣き続ければ、
何となく気が済んだ感じがして、落ち着き
を取り戻すことが出来る。最初の波でも
持って24時間以内でしょう。

問題は、喪失感です。

深い霧に迷い込んでしまったような、
何をしていても虚しさが心を締め付ける。
希望を失い、ただ茫然と立ち尽くす。
それが永遠に続くような気さえしてくる。

怒りは、最初の波が最も高く、二度目に
訪れる波は最初の波よりは、必ず低く
なります。

それは、裏切られた記憶を思い出して
再び怒りが込み上げてくるわけですが、
その記憶に対して慣れることが理由です。
言い変えるなら ” 耐性 ” でしょうか。

二度目の波の方が大きくなるとしたら、
新しい事実を知ったか、気づいたから
でしょう。基本的には時間が経過する毎に
それは小さくなっていく。

悲しみについても、波の速度や持続性が
違うだけで、その運動法則は、ほとんど
同じです。

なぜ ” 耐性 ” がつくのか?

それは、身体がエネルギー消費を節約
するため、と筆者は考えています。

毎回、嫌な記憶を思い出す度に、同じ
エネルギー消費量で怒っていればメンタル
は疲弊してしいく一方。脳に忘れるという
機能が無ければ、人は詰め込まれていく
記憶に押し潰されてしまうでしょう。

だから、最も瞬間的なエネルギー消費量が
低い喪失感は、ちょっと過去を振り返る
だけで、十分なエネルギーを補充でき、
ローコストで維持できる。

過去を振り返る回数は、波を作るための
燃料を投下した回数です。

怒りは、それをすぐに消費できるので、
尾を引かない。しかし、喪失感は、
じわじわと消費するので、なかなか燃料を
使い切ることが出来ず、長く尾を引く。

ここから考えれば、喪失感に対する対処は
シンプルです。

燃料投下を止める。つまり、頭の中で
過去を振り返り続けない。

なぜ、燃料投下を止められないか?

さて、ここからが問題です。それは
頭の中ですから、振り返りたくなくても、
つい考えてしまう。何かをしている最中に、
ふと思い出してしまう。

むしろ、スマホで撮った昔の写真を眺めて、
自ら思い出そうとすることすらあります。

失恋の痛みを癒すのは、新しい恋だと言う
人もいますが、それは、ある意味、理に
叶ってはいる。新しい恋に躓かなければ。

別に恋でなくても、スポーツでも、
旅行でも、勉強でも何でもよいのです。
過去を振り返る時間さえ減らすことが
出来れば。

旅行に行ったが気が晴れなかったとしたら、
展望台で景色を眺めながら、頭の中で
別のことを考えていたのでしょう。

ただ、振り返らないというのは極めて
難しい。なぜなら、傷ついた人は
” 救い ” を求めるから。

彼女にとって ” 救い ” とは、恋人からの
謝罪であり、二人の間の誤解を解き、
和解することです。

もし、” 救い ” が必要ないとしたら、
もう、すでに問題は解決されています。
そこに諦めきれない心があるから、
苦しんでいるわけで。

” もしかしたら、二人はもう一度、
やり直せるかもしれない ”

という希望がある限り、彼女は、感情の
海に燃料を投下し続けることになる。
やり直すための糸口を探るために、
過去を振り返り、何が間違っていたのか、
何をすべきだったのかを見出そうとする。

彼女には、二つの選択肢が与えられて
います。

希望を取り戻すために過去を振り返るか、
苦しみから逃れるために過去を忘れるか、
彼女が前者を選択することは明白です。

だって、その方が、一番いいから。

後者を選択できるなら、すでに実行して
いるでしょうし、そもそも悩み苦しんで
はいない。

つまり、その僅かな希望が、彼女の苦しみ
を助長している。

広告

蜃気楼

彼女は、気持ちを整理し、動揺を抑える
ために次のように考える。

” 何か事情があったに違いない。
話し合えば、和解できるはずだ ”

無論、そこには ” 決裂 ” という二文字は
存在せず、” 和解 ” だけが唯一の着地点
という前提の話し合いです。

そして、愛し続けるための理由を
探そうとする。

” あんなことがあったけど、
私への愛は嘘じゃなかったはずだ。
あの人は、ちょっと間が差しただけ ”

この言葉は、
意外にも事実を言い当てている。

裏切者が彼女を愛していたのは事実
でしょう。そして、間が差したというのも
事実でしょう。ある意味。

世の中に絶対はありません。
100%完璧な裏切りもありませんし、
100%完璧な誠実さもない。

どんなに悪人でも、1mmぐらいの優しさは
当然ありますし、どんなに誠実な人でも
1mm 程度の狡さはある。

一度も間が差したことが無いというなら、
それは相手を傷つけないために嘘をついて
いるだけです。表立って行動したり、
言わないだけで、それは誰でも経験する。

だから彼女への愛が1mmだったとしても、
彼女を愛したことには変わりない。それが
1mmだろうと10cmだろうと、その部分は
” 真実の愛 ” と呼べる。

そもそも人の感情とは、数学や化学の
ように明確な基準がありません。つまり、
愛があったのか、無かったのかという
二者択一できっぱり別れるようなもの
ではない。

それは混じり合う気体のように、
境界が無いのです。

この感情の曖昧な特性が傷ついた彼女に
期待を抱かせ、希望を与えてしまう。
それは、砂漠に浮かび上がった蜃気楼
のようなものです。

例え、彼女が信じた愛が真実だった
としても、二人が和解し、理想の人生を
共に歩めるという保証にはならない。
お互いが愛し合っていたからといって
現実がそれを許すかどうかは別の話です。

裏切られ傷ついた彼女にも、その後の人生
がありますから、いつかは目覚めなければ
ならない。

ここで誤解してならないのは、
彼女に必要なのは、決定的な証拠を示して、
事実を突きつけることではありません。

裏切りの証拠をスマホで撮影し、それを
彼女に見せれば幻想が砂のように崩れさり
悪夢から目を覚ますことが出来るのか?

いいえ。それは一時的なショックを
与えるに過ぎない。

何度裏切られようと、皮肉にも希望を
見出すことは出来る。彼女が信じたいと
願う限り、可能性は必ず残るのです。 

永久に ” 0 ” にはならない。

深い霧の中で

裏切りを知った後、部屋に閉じこもって
頭の中で今までのことを思い返す。

あの時の態度の意味や、ちょっとした仕草、
何気ない一言、様々な場面が堂々巡り
しては、全ての謎が一本の線で繋がる
” 着地点 ” を見つけようとする。

しかし、” 着地点 ” など無いのです。

はっきりしているのは、永久に得られる
ことのない ” 答え ” を求めながら、
深い霧の中で今も苦しんでいるという
事実だけ。

その霧は、永久に晴れることはありません。

事実が明るみになったから目覚めるわけ
ではない。自分の意思で ” 目覚めたい ”
と思う時に、ようやく目覚めるのです。

彼女には、二つの選択肢が与えられている。

決断し、霧を抜け出すか、
霧の中で幻想を追い求め続けるか?

もし、あなたが愛した人から裏切られた
というなら、激しい怒りと悲しみ、
延々と続く喪失感に苦しんでいるはずです。

その感情は、あなたを破滅に導く。

あなたから時間を奪い、あなたから
集中力を奪い、あなたに訪れるはずの
新しい機会を奪う。

あなたがどれだけ傷ついたかを裏切者に
理解させる必要があるでしょうか?

報復は必要でしょうか? 

仮に、報復が成功し、その人があなたが
どれだけ苦しんでいたかを理解したとして、
それから、どうなるのでしょう?

現実は、何も変わらない。

あなたが、今、生きている人生は、
誰のための人生でしょう? 

あなたを傷つけた人が、どこかで誰かと
幸せに暮らしていたら・・などと、
頭の中でシュミレーションをする必要は
ありません。

それが、あなたがこれから築いていく
人生に何の関係があるのでしょう?

大切なのは、誰かの幸福度を確認する
ことではない。あなたがどうあるかです。

自分の両手を見てください。
その固く握った拳をゆっくりと開いて。

そうです。

そうすれば、新しい何をつかむことが
出来る。それで好きなものをつかめばいい。

 

関連記事


読む

読む

読む

広告

 

この記事をシェアする