夢の中に登場する人物が着ている服装。
または、自分がどんな格好をしていたか。
よほど意識を向けない限りは、
自分の着ていた服装など、
ほとんど覚えていないでしょう。
こうした夢の中の細部に注意を向けることは、
日々意識していれば習慣的に
出来るようになることがあります。
ただ、あまり、細部にこだわる必要は
ないのかもしれません。
むしろ、夢を見ている自覚のある
いわゆる明晰夢の状態で細部に注意を向けると
余計な憶測や認識が入り込んで
本来伝えるべきメッセージが
分かりにくくなってしまうこともある。
*
そういった要因を除けば、通常、夢に
不必要なものが描かれることはありません。
夢を見ている間、潜在意識は
私たちの ” 注意 ” をコントロールする。
潜在意識が注意を向けてほしいものに
私たちの意識は向かう。
別の言い方をするなら、
潜在意識は、夢の作り手であり、
” 注意を向ける意識 ” そのものです。
注意を向けたその場所に夢を作る。
結果、不必要なものが含まれない。
つまり、服装にまで注意が行かなかった
としたら、それは注意を向ける必要が無い
ということです。
では、目覚めてから、
夢の中で着ていた服装が妙に印象に
残ったとしたら、どうでしょう?
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服装が印象に残る理由
結局、潜在意識とあなたは同一人物ですから、
こう考えると分かりやすいかもしれません。
あなたがクローゼットの前に立って、
外出前の服装をチェックをしている。
ワンポイントとしてブローチを胸元につける。
情熱が欲しければ赤い薔薇のブローチを
優雅さが欲しいなら蝶のブローチをつける。
あなたがワンポイント ( その場所 ) に
意味を与えるのです。
それは、たった今、自分で付けたものですから、
無論、あなたはそれに注目する。
夢も同じです。
自分で意味を与えたワンポイントを作り、
それに自ら注目している状態。
夢の中で、目覚めてから
妙に服装が印象に残っているとしたら、
それは、あなたが自ら意味を与えた
ワンポイントブローチなのです。
そして、そこにはあなたの潜在意識が
組み込んだ重要なメッセージが隠されている。
では、夢の中で印象に残る服装について
具体例を見ていきましょう。
*
次は、とある女性が見た夢の一例です。
リビングに入ると、
母が色鮮やかなドレスを着て、
ドレッサーの前に座って化粧をしている。
私は鏡越しに母の顔を確認する。
とんでもなく厚化粧の母がこっちを見て聞く。
” どうかした? ”
この夢を見た数日後、彼女の母親は
職場で仕事の最中に眩暈を起こし、
倒れ込んでしまった。
慌てて職場の同僚が病院に連れて行った。
検査では特に悪いところは見つからず、
元々、貧血気味であったところに
疲労やストレスが重なったのではないか
と言うことでした。
夢は、彼女の母親に危機が迫っていることを
メッセージとして送っています。
*
この夢で最初に目を引くポイントは、
はやり ” 色鮮やかなドレス ” です。
それは、ピンクや黄色など、蛍光色の強い
明るい配色の奇抜なデザインだった。
無論、彼女の母はそのようなドレスを持っておらず、
そもそも、そのような服を着る人ではない。
さて、この奇抜なドレスが、なぜ、
不吉なメッセージとして解釈出来るのでしょう?
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潜在意識の意図
夢の中で、人目を惹く奇抜なドレスを
母に着せているのは、潜在意識が、
そこに彼女の注意を惹きつけたいからです。
ただ、この場合は、
ドレスを見て欲しいわけではなく、
他の ” 何か ” から注意をそらすための
カモフラージュとして派手なドレスを
利用しているのです。
ドレスは蛍光色の強い明るい色のデザイン。
彼女の潜在意識は、ドレスによって、
その場の雰囲気を明るく華やかに
しようとしています。
なぜなら、この夢はこれから起こる
不穏な出来事を描いているから。
*
そして、夢の中で最も明るい雰囲気
になってもらわなければいけない人物、
つまり、母にそのドレスを着せています。
絶対に着ることは無い奇抜なドレスを
着ている母を見て、彼女は、
強い ” 違和感 ” を感じた。
それは、見たこともない
ドレスを着ているから・・・ではありません。
母がこれから遭遇する出来事
に感じた不穏な空気を
” 奇抜なドレスを着ているからだ ”
と思わせるための演出なのです。
” お母さんの様子が変なのは、
おかしなドレスのせいだ ”
つまり、本当は、そうじゃない。
演出家の個性
そして、この夢でもう一つ、
目を惹くポイントが ” 厚化粧 ” です。
彼女は、当日、母の職場からの連絡を受け、
急いで病院に行くと母は点滴を終えて
帰り支度をしているところでした。
その時、付き添っていた職場の人に
倒れた時の状況を聞くと次のように言われた。
” 倒れる少し前に顔が真っ青だった ”
潜在意識は夢の中で、
過労によって倒れる予定の母の顔色の悪さを
厚化粧によって誤魔化そうとしていたのです。
*
さて、この夢の解説は以上ですが、
もしかすると誤解されている人も
いるかもしれません。
例えば、派手なドレスを着ている場合は、
全て不吉なメッセージだと解釈したり、
厚化粧は悪い出来事の暗示と考えるのは
誤りです。
あくまで、この夢の場合は、
そう解釈出来たというだけです。
夢の中で派手なドレスを着ていたからといって、
必ずしも、同じ意味にはならない
ということに留意してください。
例えば、自分に対する自信の表れとして、
派手なドレスを着る場合もあるでしょうし、
一つの変身願望の表れと考えることも出来ます。
また、出来事に対する感じ方は人それぞれ違う
ということも理解しておきましょう。
料理の最中に指を切ってしまい出血する
という出来事があったとして、
何でも大げさに捉えがちな人ならば、
夢の中で真っ赤な手袋をつけるかもしれませんが、
気にしない人であれば、夢にすらならない。
あなたが見る夢は、あなたが作ったものです。
あなたが、不穏な空気に蓋をするために、
派手なドレスを使うとは限らない。
自分なら、どんな風に演出するかを
考えてみてください。
夢にもその人のセンスが現れるのです。
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