何かが消える夢|先入観に囚われないために

どこかに行ってしまった何かを探している、といった夢を見ることがあります。

例えば、夢の中でスマホを紛失する。もしくは、スマホの中にある撮影したはずの写真が消えていたり、アプリのデータが削除されているなど。

もう少し大掛かりな例では、駐車場に止めたはずの車が忽然と無くなっているとか、自宅や会社が建物ごと消え去り茫然とするといった設定もあります。

大抵、物が紛失する夢は、それが無くなって欲しいという心理の表れ、と解釈することが多いようです。

会社に行きたくない人であれば、突然、会社が移転してしまい、自分はそれを知らないという夢を作る。

では、” 紛失 ” する夢に関して、具体例を見ていくことにしましょう。

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消えた蜂の巣

次は、筆者が見た夢の一例です。

自宅の壁にあった蜂の巣が、いつの間にか無くなっている。

実際に、筆者の自宅の壁には蜂の巣があります。握り拳よりは、少し小さいぐらいでしょうか。

春先になると蜂の活動が活発になって、時折、窓を開けていると、部屋の中に迷い込んでくるのです。

取り除くということも出来ますが、せっかく蜂が作った生活拠点を天罰のごとく消し去ってしまうというのも、何だか可哀そうな気がして、また、対処しようと思えばいつでも出来るということから、長い間、放置しています。

夢の中では、それが跡形もなく無くなっていた。

壁を見上げながら、懸念していた問題が消えてさっぱりした気分と、それでいて何だか寂しくも感じた。

それから、数日経った頃、一冊の本を買うために書店に訪れた時のことです。

数日前までそこにあった目当ての本が無くなっていました。誰かが買ったのでしょう。

その後、ネットショップで同じものを探したところ、かなりマイナーな本だということが分かりました。そこには ” 入荷予定無し ” と記載があり、結局、買うのを諦めました。

その専門書はそれなりに高額で、読むとなれば結構な厚みもありましたので、筆者としてはここ数週間、ずっと買うかどうかを迷っていた本でした。

ただ、あそこの書店のあの棚にあるから、いつでも買えるものだと思っていた。

その時は、本が買われてしまったことで、ある意味、悩まなくてよくなったというホッとした気持ちと、希少なものを買い損ねたという損失感が入り混じった複雑な気分でした。

夢の中の蜂の巣は、この出来事を暗示していたのかもしれません。

では、なぜ、潜在意識は、買いそびれた本そのものを夢にせずに、わざわざ蜂の巣に置き換えたのでしょう?

蜂の巣ならば、消えて無くなったとしても、少し寂しいというだけで済む。

ところで ” 蜂の巣が無くなって欲しい ” という願望が筆者にはあったのか?

あったとも言えますが、その一方では、取らずにそのままにしておこうという意思もあった。

そして、夢が示していたのは ” 欲しかった物を手に入れる機会を失う ” という暗示だった。

何かを紛失する夢が、それが無くなって欲しい心理だと決めつけてしまうと、夢の真意を見逃してしまうかもしれません。

忽然と消えた自宅

次は、とある男性が見た夢の一例です。

帰宅すると、自宅が忽然と消えている。

彼の説明では、自宅が無くなったというより、最初から自分の家が存在しないかのように、整然と住宅が立ち並んでいたと言います。

それは、単に家が無くなり、空き地になっているというのではなく、まるで時空が捻じ曲げられ、自宅のある空間だけが切り取られ、省略されたような奇妙な認識だった。

筆者は、家に帰りたくない理由が無いか、彼に尋ねましたが、そのような理由は見当たらなかった。彼は既婚者でしたが、家庭には何も問題は無かったのです。

では、この夢は、何を意味しているのでしょう?

一週間ほど経った頃、彼の元に固定資産税納税通知書が届いた。

つまり、そういうことです。

彼は通知書の金額を見て、思ったことを夢の中で実行しているのです。

納税の時期が近付いていることを潜在意識が予め察知し、先手を打ったということなのかもしれません。

このケースは、まさに ” 固定資産 ” という不都合な事実を消し去ってしまいたいという心理が夢になっています。

ただ、税金を払いたくないという動機だけで住む場所を消し去るとしたら、余計に不都合な気もしますが、夢の中で彼が持った奇妙な認識。

自宅は無くなったのではなく、現実世界から見えないようにカモフラージュされている。

彼は、家を失ったわけではなく、時空の歪みに隠したのです。

偽装された記憶

最後に筆者が見た夢をもう一つ紹介しましょう。

自分の書いた記事の下書きが見つからない。
 
どこかにバックアップが無いか、パソコンの中を探し回っている。

ブログで公開予定の記事の下書きを紛失するというリアルな夢です。

筆者は、記事を書くときは、ブラウザのエディターに直接入力せずに、一旦、自分のパソコンで下書きを作成してから、何度か推敲をした後に公開します。

夢の中では、そのローカル環境に保存したはずの下書きが、どこかにいってしまうという状況です。

一つの記事を仕上げるのに数日かかることもあるので、下書きが紛失するというのは、筆者にとって結構なダメージになります。

ただ、この夢を見た時期、公開前の下書きをストックしてはいませんでした。つまり、夢の中で散々探していた下書きは、実際は存在しなかったのです。

下書きが初めから存在してないのなら、それが無くなった方が都合が良いという願望を持つことも無いわけですから、その線で解釈することは出来ません。

では、なぜ、この夢が作られたのか?

夢の設定では、筆者はパソコンのハードディスクの中を探し回っていますが、それは見せかけで、実際は頭の中を探し回っているのです。

その時期は記事のネタが尽きてしまい、全く筆が進まなかった。

本当に探しているのは記事の着想であって、それを夢の中で ” 下書きを探している ” という状況にすり替えている。

” あれ、何を探してたんだっけ? ああ、そうだ下書きを探してたんだ ”

潜在意識は ” それが頭の中にあるなら下書きは終わったようなもの ” という筆者の思い込みを利用して、” すでに書き終えたはず ” という偽の記憶を作った。

書き終えたのであれば、後は探すだけです。しかし、実際は存在しないものですから、どれだけ探しても見つからない。

ありもしないものを探すことで、気休めにしようとしているのです。

同じ夢が同じ意味とは限らない

さて、今回は三つの事例について説明しましたが、紛失する夢が、都合の悪い物を消し去りたい心理の表れ、とすぐに結論づけるべきではありません。

ケースバイケースで解釈していくことが大切です。

例えば、冒頭に挙げたスマホが紛失する夢について考えてみましょう。

スマホと言っても様々な用途があり、使う人によっては全く違った解釈になることもある。

交際中の恋人からメッセージが頻繁に届き、鬱陶しく感じているという人なら、束縛から逃れたい心理がスマホを失くす夢を作るかもしれません。

もしくは、恋人から届くのが短いメッセージばかりで、なかなか会って話せないという悩みを抱えている人なら、夢の中でスマホを失くして、直接会わなければ話すことが出来ないシチュエーションを作るかもしれない。

同じ、スマホを失くす夢であっても、夢を見る人の置かれた状況によっては、解釈は全く別のものになる可能性があります。

あなたが、何かを失くし、それを探している夢を見たなら、まずは、自分の現在置かれた状況を再確認してみましょう。

それは、解釈の模範例をインターネット検索で探し回るよりも重要です。

むしろ、模範例を知ってしまうことで、その視点でしか夢を観察しなくなるという ” 先入観 ” にもなるので注意が必要です。

そもそも、それはあなたの夢ですから、答えはあなたが知らない外側の世界ではなく、心の内にある。

ここで大切なのは、あなた自身が導き出す ” 答え ” なのです。

 

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