夢の中の ” 道 ” が意味すること|人生の一コマ

しばしば、夢の中で ” 道 ” が、
人生の縮図として扱われることがあります。

ただ、それが背景として描かれる場合は、
夢の全体を視野に入れた解釈が
必要かもしれません。

例えば、駅が夢の舞台となった場合、
駅前にある通りは駅の一部として捉えるか、
もしくは、” 建物 ” と ” 道路 ”
という形で別々に捉えるか、というようなことです。

夢の内容によって正解は違います。

*

また、車を運転している夢ならば、
車内の様子に焦点が当たっている場合と、
走行中の道に焦点が当たっている場合とでは、
やはり、解釈も違ってくるでしょう。

車が走っているわけですから、
付随して ” 道路 ” が背景に組み込まれるのは、
自然の成り行きにも見えますが、
潜在意識が無意味な演出を施すことはありません。

” 道 ” が印象に残っているというなら、
それは潜在意識が意図的に印象に残る形で
夢を作っているのです。

もし、そうでなければ、
どこを走っていたか、よく覚えていない・・
といった曖昧な認識になる。

その認識はあなたの記憶力の問題ではなく、
潜在意識が印象に残す必要がないと
判断した結果なのです。

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一本道

次は、とある女性が見た夢の一例です。

どこかに向かって、
一本道を自転車で走っている。
 
人気もなく、
なだらかな田園地帯のような景色が続く。
 
かなり、進んだところで
道を間違えたことに気づく。
 
迂回ルートを探したが、
結局、来た道を戻るしかなくUターンする。
 
なぜか、帰り道が険しくなかなか戻れない。

女性の話では、一本道は、
架空の道だったということです。

夢に描かれたものが架空の道だった場合と、
実在する道の場合とでは、やはり、
解釈のアプローチは違ってきます。

架空の場合は冒頭で言ったように
象徴的な意味合いが強く、

実在する場合は、その特定の場所について
考えていく必要があります。

今回のケースでは架空の道ということなので、
何かを ” 道 ” という形に置き換えて
表現していると読むことが出来そうです。

*

まず、移動手段が ” 自転車 ” である
という点に注目してみましょう。

普段から自転車に乗る人ならば、
それは、いつものことなので、
取り立てて深い意味は無いかもしれません。

ただ、この夢を見た女性は
自転車は持っておらず、
主な移動手段は車ということです。

なぜ、わざわざ ” 自転車 ” なのか?
という点が気にかかります。

こういったいつもと違う状況が描かれる場合、
その部分に重要な意味が隠されていること
があります。

例えば、夢の中で乗っている車が
自分の車ではなかったり、携帯の着信音が、
いつもの音ではなかったというような
” 違い ” は、あえて仕組まれたものです。

移動手段としての自転車

では、移動手段から夢を見た本人が、
現在置かれた状況について考えてみましょう。

車ならば運転席に座り、
アクセルを踏めば前進します。
大きな労力を必要としません。

徒歩ならば、進む速度が遅く、
100%自力によって進まなければならない。

自転車は人力ではありますが、
ある程度の推進力があります。

夢の中では、
移動手段として自転車を選択している。

一つの方向に進んではいるが、
いくらかの労力が必要であり、
それほど安定した強い加速ではない
という状態が読み取れます。

*

筆者は彼女に尋ねました。

” 何か、目標に向かって、
努力されていることなどはありますか? ”

彼女は、絵を描くことが好きで、
将来はイラストレーターの仕事を
したいと言います。

現在、就いている仕事は
生計を立てるためのもので、
彼女の進みたい方向とは全く違っている。

そして、仕事をする傍ら
イラストレーターになるために
通信教育を受けながら、
勉強を続けているという状況でした。

*

彼女の説明を聞いて、筆者は、
潜在意識が普段は乗ることのない
” 自転車 ” を採用した理由を
見直す必要があると感じました。

彼女は、現在受講している通信教育について、
次のように言います。

” 今、通信教育を受けてはいるが、
これがイラストレーターの仕事に
繋がると思えなくなってきた ”

夢の中の自転車は、丁度、
彼女の言う通信教育の仕組みに似ています。

決められたスケジュールに沿って、
授業を受ける学校とは違って、
通信教育は仕事の隙間時間を利用する形で、
自分の意思でどこまで進めるかを
決められるのですが、サボれば、
その分遅れていくという仕組みです。

レールは敷かれているが
自動的に進むわけではない。

つまり、ある程度の推進力は持ちながら、
自分の足で漕がなければ止まってしまう
自転車は、” 通信教育 ” のことを指している。

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背景の意味するもの

夢の中で、道に沿って自転車を漕いでいる。

はっきりとした目的地に
向かっていたという感覚はなく、
何となく道に沿って進んでいたと言います。

イラストレーターになりたい
という夢を持ちながらも、
自分の努力が夢の実現に繋がっている
という実感がいまいち持てない
彼女の心理が表れている部分です。

” 本当にこっちの方で、いいのかな? ”

彼女は夢の中で
そんなふうに感じていたのかもしれません。

*

背景には、人気の無いなだらかな田園地帯が
延々と続いている。

彼女は、突然、自転車を止める。

どれだけ進んでも、
変わり映えの無い景色に気がつくのです。

この夢における延々と続く同じ景色は、
成果らしきものが、何一つ見えてこない
状態を意味しています。

” もしかして、自分のしている努力は、
無意味なのかもしれない ”

*

今、行っている努力に疑問を持った彼女は、
迂回ルートを探す。

もっと、夢を実現するための
確実なアプローチが他にあるのではないかと。

夢の中です。

夢の作り手は、彼女自身なので
迂回する別の道をそこに
出現させることも可能でしょう。

しかし、彼女は、
あえて迂回ルートを用意していません。

これには、二つの意味が読み取れます。

それ以外のアプローチが思い当たらないから。

そして、ここまで続けてきた
努力を棒に振ることが出来ないから。

彼女はUターンをして道を引き返そうとするが、
さっきまで走っていた道が、なぜか、
険しく変化していて引き返すことも出来ない。

これは、何を意味しているのでしょう?

一つ一つに意味がある

彼女の走行した距離。

その距離は、
これまで積み重ねてきた努力の総量です。

夢の中では、かなり、
進んでしまっているようなので
相当の時間と労力を投入したのでしょう。

帰り道が険しくなっているというのは、

” これまで積み重ねてきた
ものを捨てるべきではない ”

という彼女の抵抗する心理が、
引き返すことの出来ない状況を作っている。

*

” 道 ” は、夢の中で、切り取られた
” 人生の一コマ ” を象徴するものとして
描かれることがあります。

それは、様々な形として夢に登場する。

今回のケースでは、
引き返すことの出来ない一本道として、
彼女の心境を表現していました。

それ以外にも、人生の分岐点という意味で
一本の道が二手に分かれる様子を描いたり、

新しい可能性や方向性を
草むらで見つけた ” 別の道 ”
という形で表すこともあります。

また、いまだ解決されていない
人生の課題を路上に放置された荷物や
車として表現することもあります。

*

もし、あなたの夢の中で
” 道 ” が登場したなら、それは、
人生を省みるためのチェックポイント
なのかもしれません。

道の状態、幅、長さ、周辺の景色、
どのように進んでいたのか、
道の上で何をしていたのか、
何を考えていたのか、
よく、観察してみてください。

それら、一つ一つに意味があるのです。

 

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