有名な諺に
” 類は友を呼ぶ ” というのがあります。
同じ人生観、価値観を持った人たちが
引き寄せ合って集まる現象。
スピリチュアル関連の書籍などにも、
同じ波長の人間が引き寄せ合うということが
よく言われています。
いわゆる ” 宇宙の法則 ” とか
” 引き寄せの法則 ” と呼ばれている現象です。
*
筆者は、いわゆる ” スピリチュアリスト ”
ではありませんので、宇宙の法則とか、
波長という目で捉えることが出来ない
エネルギーが、そういった現象を
引き起こしているという主張が
真実かどうかを判断することが出来ません。
ここでは、この現象を筆者の視点から、
考えてみたいと思います。
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運命を支配する者
最初に、同じ波長の人どうしが引き寄せ合う
という現象について考えてみましょう。
人には ” 理解されたい ” という欲求がある。
そうなると、どうしても付き合う人は
自分の価値観を理解できる人、すなわち、
同じ価値観を持つ人になるわけです。
もし、野球好きの集団に、
野球に興味が無い人が入っていって、
コミュニケーションを取ろうとしても、
苦痛でしょうし、疲れてしまうでしょう。
そうなると、人は自然に気の置ける
仲間と集まるようになる。
つまり、各個人が人付き合いしていく中で、
” この人とは合わない ”
” この人とは通じるな ”
という取捨選択を繰り返しながら、
段々と同一価値観の人々が集まっていく
という仕組みになっています。
こうした同じ価値観の人が集まる現象は、
引き寄せ合っているというよりは、
” 集団的選択による仕分け ”
と言った方がよいかもしれません。
この現象は、社会生活をしていく上で
ストレスのかからない ” 疲れない生き方 ”
をそれぞれがしようとした結果なのです。
*
今はSNSがありますから、同じ価値観を
持った人が集まりやすい仕組みが、
すでにシステムとして完成している。
もはや、宇宙の法則ではなく、
大企業のコントロールするビッグデータと
システムの中で、人と人が結びつけられる
時代です。
出会いとは、運命というより、
実行されたプログラムの結果に過ぎない
と言うことも出来る。
もし、そうだとすれば、
ロマンチストや神秘主義者の
夢を壊してしまうかもしれませんが・・
波長
人と人が引き寄せ合う仕組みについては、
今、説明したとおりですが、人ではなく、
出来事を引き寄せるという現象については、
どうでしょう?
そういった現象は実際に
起こりうるのでしょうか?
この話を進める前に、潜在意識の能力
について、一つ説明しておかなければ
ならないことがあります。
それは、潜在意識が夢を作る過程で
未来の出来事を暗示する能力、
すなわち ” 予知 ” についてです。
潜在意識には未来の出来事を予知する
能力があり、それは特別な能力者だけのもの
ではなく、誰にでも備わっている。
これは、度々、このブログでも
主張していることですが、
それが事実かどうかの審議は別の記事で
説明するとして、ここでは、それを前提に
話を進めることにしましょう。
*
さて、その潜在意識の能力が、一体、
出来事を引き寄せる現象と何の関係が
あるのでしょう?
スピリチュアル関連の書籍には、
頭の中でイメージし続けると、その出来事が
引き寄せられるという主張がされています。
例えば、結婚についてポジティブな
イメージを持ち続けると、
それに見合った異性が現れるというような。
そして、願いが叶わない場合、
イメージに具体性が無い、もしくは、
憧れだけで実現した状態のイメージを
浮かべていないというような理由が
挙げられる。
頭の中でイメージしたそれは、目に見えない
” 波長 ” というエネルギー体に変換され、
それが出来事を引き寄せる、もしくは、
創造するための触手になるというのが
大方の主張です。
*
” 波長 ”
著書によっては ” 波動 ” とか、
” オーラ ” と呼ぶこともあるようですが、
ここでは、これら見えないエネルギー体を
” 波長 ” と呼ぶことにします。
それが、本当に存在するのか
どうかは筆者には分かりません。
ここでは、主張に従って、
” もし、存在するなら ”
という前提で話を進めましょう。
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” 宇宙の法則 ” に関する仮説
心の奥深くに潜在意識があるというのが、
一般的な認識です。
その潜在意識のさらに奥、
核たる部分には何があるのか?
そこに魂があるのか?
もしくは、小宇宙があるのか?
それは、分かりませんが、潜在意識の
予知能力の源泉が ” 心の核 ” にある
というのであれば、スピリチュアリスト
の主張する ” 波長 ” というものに
次のような仮説を立てることも出来ます。
起こった出来事は、波長によって
引き寄せられたのではないと。
つまり、最初から確定した未来があり、
波長はそれに従って動いている。
要するに、波長はこれから起こる出来事
に対する単なる ” リアクション ” でしか
ないということです。
ただ、私たちにとっては、それは、
まだ起っていない ” 未来 ” なので、
私たちよりも先にリアクションを取る波長が、
あたかも未来の出来事を引き寄せている、
もしくは、創造しているように見える。
つまり、実際は、
出来事を ” 予知 ” しているに過ぎない。
*
この波長と未来の出来事の関係性を
分かりやすく説明するならば、
次のようなことだと思います。
地震の夢を見た後に実際に地震が起こった時、
夢を見たことで地震が引き寄せられたのだと。
しかし、その見方は誤りで、実際は、
地震が起こることは確定済みの未来であり、
それを予知した潜在意識が予知夢を作った
というのが正しい見方です。
つまり、波長が出来事を引き寄せた
のではなく、出来事を予知し
先回りして動いているだけで、
そこに出来事をコントロールする力は無い。
*
予知夢は眠っている時の話ですが、
結局、起きている時であっても、
潜在意識は活動していますから、
夢ではなく ” 直感 ” という形で
似たような状況を作ることが出来ます。
例えば、行く先々で雨が降る人のことを
” 雨男 ” とか ” 雨女 ” と呼ぶことがあります。
彼らは雨を引き寄せているのではなく、
直感的に雨の降る日時を選んでいる、
と考えることも出来る。
つまり、数日後、夕暮れ時に
雨が降るという確定した未来があり、
そこに向かって雨男が数日間の
様々な行動を選択していくわけです。
その数々の選択が、雨が降る当日に
外出しなければならない方向へと彼を導く。
雨男だけの話ではなく、運のいい人や、
人との出会いにも似たような現象が
起こるのではないでしょうか。
未来を知っている直感が、
その人の選択にバイアスをかける。
そうして、出来事に遭遇するための
下地が作られていく。
結果、出来事に遭遇し、あたかも、
それが引き寄せられたかに見える。
あくまで、これらはそういった見方も出来る
という単なる ” 仮説 ” に過ぎない。
無論、立証することも出来ません。
パルプフィクション
1994年公開のアメリカ映画、
” パルプフィクション ” では、
次のような場面があります。
ギャングの帝王マーセルスに雇われた
二人の殺し屋、ビンセントとジュールスが、
盗まれた帝王の金塊を取り戻しに
とあるアパートに訪れます。
部屋には、無防備な三人の若者が
朝食を取っている最中でした。
金塊の回収は、
全く問題なく終わるはずだった・・
突然、トイレの扉が開くと
大きなピストルを構えたもう一人の若者が、
帰り際の二人を狙い撃ちしたのです。
装填された弾丸は、
全て発射されたはずが、なぜか、
二人には、一つも当たらなかった。
その後、若者は二人に反撃を受け、
あっけなく絶命する。
*
ジュールスはこの体験を
” 奇跡が起こった ” と感銘し、
” 神の声が聞こえた。俺は、
今日からギャングをやめる ” と言い出す。
ビンセントは、それを聞いて、
馬鹿げていると反論します。
” 神が天から降りてきて、
弾を止めてくれたって言うのか? ”
しかし、その後、別の仕事で
ビンセントは撃たれて命尽きるのです。
もしかすると、ジュールスが
ギャングを続けていたら、
彼が犠牲になっていたのかもしれません。
*
果たして、ジュールスは、撃たれずにすむ
人生を引き寄せたのでしょうか?
筆者は、こう思います。
彼は、今の仕事を続けることが、
将来、何をもたらすのか、
それを直感で感じ取った。
彼が聞いたのは、神の声ではなく、
心の奥底から聞こえた潜在意識の声だった。
つまり、彼は、未来を感じとった
自身の声に従い、自ら運命を選択したのだと。
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