夢の中の ” 霊能者 “|神秘的な人物の役割

夢の中に霊能者や占い師、祈祷師といった
スピリチュアル系の人物が登場した場合。

” スピリチュアル ” と ” 夢 ” という
組み合わせに神秘的で意味深な繋がりを
思わせます。

その人物が何を言ったのか?
どんな行動を取っていたのか?

それらが奇妙で不可解であるほど、
夢を見た人に不安を与え、
次のような憶測を生む。

” 何か、悪い知らせでは? ”

さて、こういった夢は、他の夢とは違う
特別な意味が隠されているのでしょうか?

それとも、単なる夢に過ぎないのか・・

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半分が架空の設定

次は、とある女性が見た夢の一例です。

友人に連れられてビルに入っていく。
 
エレベーターに乗っている。
先ほどまで一緒にいた友人が
いなくなっている。
 
場面が変わり、部屋に入ると、
ソファに座った老紳士が
すでに霊視を始めている。
 
霊能者は側に立っていたアシスタント
に向かって首を横に振りながら、
何やらジェスチャーをしている。

” そのビルは実在する建物ですか? ”

” 半分は架空なんですが、
半分は違うと言いますか・・ ”

” どういうことでしょう? ”

” 場所は実際にありますが、
ビル自体は存在しないんです ”

彼女の説明では、ビルの建っていた場所は
現実に存在する住所だと言います。
ただ、そこにビルは建っていない。

” そこにビルが無いということは、
空き地か何かですか? ”

” いや、あの、私の勤め先がありまして・・ ”

” つまり、あなたの職場が
架空のビルに置き換わっていた? ”

” はい ”

” ビルの一室で霊能者と会ったという
ことですが、実際にそういった方に
診てもらったというご経験は? ”

” 占い師に何度か
診てもらったことはあります ”

” それはビルの中? ”

” ええ、占いの館みたいな感じで
建物の2階にあるのですが、
何度か行ったことはあります ”

” 夢に出てきたのは、そこではない? ”

” はい。夢の中の建物は、何と言うか・・
何のビルか分からない・・
雑居ビルと言うんでしょうか? ”

” ああ、複数のテナントが入った
ごちゃまぜのビルですね ”

” そうそう、
ゴチャゴチャした印象でした ”

” ご友人は、今、お勤めになっている
職場の仕事仲間? ”

” そうです。占いの館も
友人に連れられて行ったのが最初です ”

” ご友人とはプライベートでも
お付き合いが? ”

” ええ、いつも私が世話ばかりかけて、
私にとって姉のような存在ですね ”

” 占いの館には、
その後にお一人でも訪れた? ”

” はい。選択に迷った時とか、
悩んだ時に行くという感じで、
最初は友人にも付き合ってもらって
いたんですが、あまり、
頼ってもいけないと思いまして ”

” 最近、そちらに行ったことは? ”

” ここしばらくは行ってないですね・・ ”

” しばらくとは、どれぐらい? ”

” 最後に行ったのは一年ぐらい前ですか ”

” 行かなくなったのは、なぜ? ”

” 仕事が決まって忙しくなったからですね。
あの時は進路で悩んでいた時期だったので、
行く必要が無くなった・・
ということだと思います ”

人が ” 占い ” に関心を持つ時

まず、筆者が気になったのは、
なぜ、彼女の潜在意識は、
職場を架空のビルに置き換えたのか?
ということでした。

架空のビルを配置する場所が
架空の場所ではいけなかったのでしょうか?

つまり、潜在意識は意図的に
” 職場のある場所 ” に架空のビルを
配置したということになります。

そう考えると、この夢は、
彼女の職場に関することを
描いているのかもしれません。

” お仕事について、どういった職種なのか、
お尋ねしてもいいですか? ”

” 学習塾です。夢に登場した友人が
営んでいる塾なんですが、
そこで講師をしています ”

” 共同経営ということですか? ”

” いや、そういう訳じゃないんですが、
元々付き合いのあった友人から
塾を開業したから来てくれと誘われまして・・”

” 出来たばかりの塾なんですね? ”

” 1年半ぐらいですか。
同僚も念願の塾経営を始めたばかりで
助け舟が欲しいと言って私に連絡を ”

彼女は塾講師として働く傍ら、
教員免許を取得するために、日夜、
試験勉強に励んているということでした。

” そろそろ試験も近いので・・ ”

” それは、大変ですね ”

” エレベーターの場面では、
友人はいなかったとありますが、
どういう状況だったのでしょう? ”

” エレベーターに乗り遅れたと思ったんです。
それで、一度、引き返そうとしたんですが、
そのまま、地下に・・ ”

” 地下に行かれたんですか? ”

” そうですね。その時は
地下に降りるという認識でした ”

” 霊能者は、どういった印象でしたか? ”

” スーツを着た品のある高齢男性、
大柄でソファーに深く腰掛けて
落ち着いた様子でした ”

” あなたが入室した時に、
すでに霊視が始まっていた?”

” ええ ”

” それは、あなたについての霊視ですか?”

” 私だと思います。霊能者なので、
ああ、もう来ることを知っていたんだな
と思いました ”

” その後、彼は首を横に振った ”

” そうです。
霊視が上手くいかなかったのか、
私の未来に悪い相が出ているのか、
あまり良い表情ではないと感じました ”

” 霊能者は、あなたに
何か話しかけられましたか? ”

” いや、何も聞かないまま、
アシスタントがドアを開けたので
私は立ち上がって・・そこで目覚めました ”

さて、” 塾 ” という場所は、受験生たちが
目標に向かって努力をする場所であり、
そこで講師をする彼女は生徒を導き、
サポートする立場です。

そして、彼女自身が目標に向かって
努力している。

さて、人が占いに関心を持つのは、
どういった時でしょう?

それは、心に迷いが生まれた時です。

普通、ちょっとした問題ならば、
インターネットで検索すれば解決します。
誰もお金を払ってまで、
他人のアドバイスを聞こうとは思わない。

しかし、生きていれば、答えが
分からない問題、何をすべきか
分からない時が必ず出てきます。

そういった時、人は ” 占い ” という
神秘的なものに関心を寄せる。

丁度、一年前の彼女のように。

彼女の勤め先である ” 塾 ” が、
目標に向かって努力する場所ならば、
架空のビルの一室にあった霊能者の
オフィスは、進むべき道を
見失った人たちが訪れる場所。

それが、夢の中で
置き換わってしまっている。

一体、なぜでしょう?

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彼女の中の迷い

” 試験勉強の方は、順調ですか? ”

セッション中、筆者が何気なく尋ねた質問
でしたが、彼女は動揺した様子で
次のように言いました。

” なぜ、それを聞くんですか?
もしかして悪い結果なんでしょうか? ”

彼女はこれから受ける試験の結果が
今回の夢と関係があるのでは
と考えているようでした。

” この夢が気になったのも、
それが理由ですか? ”

” まあ、そうですね。
夢に霊能者が登場したことが、
これまで一度も無かったので
何か意味があるのかと思いまして ”

” 勉強の方は、あまり捗っていない? ”

” 実は、勉強していても手応えが無くて、
どうすればいいか分からなくなっている
と言いますか・・ ”

” 手応え? ”

” 私の場合、勉強を始める時に
ある程度、計画を立てるんですが、
段々と行き当たりばったり
という感じになってしまって、
私には教員資格は無理なんでしょうか? ”

彼女は試験勉強が思うように
捗っていない状況を説明した後、
先日、塾で生徒に言われたことが
気になっていると言います。

” 何を言われたんですか? ”

” 先生の顔が暗い・・と ”

” 暗い・・ ”

” 自分に自信が持てないのに
生徒を引っ張っていけるのかなって、
こんな講師が
子供たちに何を教えられるんだろう。
不安しか与えてないと思って・・ ”

” 塾をしばらくお休みするということは
無理なんですか? ”

” これまで私についてきてくれた子たちを
見離すことは出来ません。それに、
目標に向かって勉強している時の
子供たちの目がキラキラして、私の方が
勇気を貰っているぐらいですから・・ ”

” あなたが塾講師になったきっかけは、
ご友人の誘いということですが、
その時のことを教えて頂けますか? ”

” 友人は一年前、
私に仕事を与えてくれました。
教員試験を目指すきっかけにもなった。
子供たちに教えることに充実感を
感じたんです ”

” ああ、それがきっかけだったんですね ”

” はい。塾講師になる前はやりたいことも
見つからず、ずっと、
私、何やってるんだろう? と思ってました。
でも、教員試験という目標を持ってからは
頭がスッキリしたんです。私は一つのことに
没頭しないとダメなんですね。きっと ”

友人は以前から塾開業を目指し、
現在、実際に塾を経営しています。

そして、彼女を導いた。

つまり、この夢における友人は、
” 目標を達成した人 ” であり、
” 目標を与えた人 ” でもある。

夢の中では、その友人に連れられて、
いくつかのテナントが入った
架空のビルを訪れています。

そのビルは ” ゴチャゴチャ ” した印象だった。

丁度、方向が定まらなかった一年前の
彼女の状態を一貫したコンセプトの無い
” 雑居ビル ” という形で再現しています。

友人に導かれ、架空のビルに訪れるという
シチュエーションは、ある意味、一年前、
彼女に訪れた ” 人生の転換点 ” を描いている。

この場面で友人に与えられた役割は、
その ” 転換点 ” に彼女を引き戻すことです。

では、なぜ、彼女は、
今になって過去の転換点に訪れなければ
ならなかったのでしょう?

今、彼女は目標を見失いかけ、
自信を失っています。

そして、一年前、
すべきことが分からなかった時期に
人生の目標を見つけたあの場所。

彼女は、もう一度、自信を取り戻すために
そこへ戻ったのです。

行くべき場所

では、エレベーターの場面について
考えてみましょう。

この時点で友人の姿はありません。
彼女が消したのです。

ここで理解しておくべきは、友人は
ナビゲーターとして登場していますが、
実際は彼女の潜在意識が
キャスティングした ” 役者 ” です。

無論、彼女が必要無いと判断すれば、
その場面には登場しない。

夢の冒頭でナビゲーターを投入した理由は、
自信を取り戻すまでの ” 助け舟 ”
と言ったところでしょうか。

彼女の潜在意識は理解しています。

助け舟に乗り続けていては
本当の意味で自信には繋がらない。
” ここからは、一人で大丈夫 ”
という彼女の意思の表れ。

ただ、夢の中では友人が乗り遅れ、
一旦、引き返そうと思った。

自分の力で問題を解決しようとする一方で、
心のどこかで心細さを感じたのかもしれません。

彼女の中で
意思が揺らいでいるという描写です。

エレベーターは地下へ降りていく。

” 答え ” を得るために彼女は
自らの心の奥底へと向かいます。

さて、ここで ” 塾 ” と ” 架空のビル ” を
置き換えた理由について振り返ってみましょう。

ビル自体は架空だが、
建っている場所は実在の住所であり、
そこには彼女の生活の基盤とメンタルを
支える拠点、すなわち ” 塾 ” があります。

また、そこは、
彼女の転機となった場所でもある。

つまり、今回の夢は、この
” 人生の拠点 ” を中心に描かれている。

そして、今、その ” 拠点 ” が揺らいでいる。

だから、そこに架空のビルを出現させ、
先にこの問題を処理しておく必要があった。
教え子たちの待つ ” 塾 ” に戻る前に。

” 塾 ” と ” 架空のビル ” は置き換えられた
と言うより、潜在意識は
彼女が塾に行けない状況をあえて作り、
それ以前に行くべき場所を与えた
と言った方がいいかもしれません。

霊能者は何者か?

それは、大柄で落ち着いた様子の
スーツを着た老紳士だった。

遥かに年上で、特殊な能力によって
彼女が来ることを予め知っていた。

多分、彼女が何を尋ねたいのかも
全て知っているのでしょう。

この夢における霊能者は、
何事にも動じない平静な心の持ち主、
” 全てを見通す者 ” です。

そして、全てを見通している彼は、
自信を見失ってしまった彼女が
理想とする状態。

つまり、彼女が地下に降り、
霊能者のオフィスに訪れる場面は、
自身の心の奥底にある ” 理想像 ” と
対面する場面です。

では、霊能者のジェスチャーには、
どんな意味があるのでしょう?

老紳士は彼女には何も言わず、
アシスタントに向かって首を横に振った。

筆者は言いました。

” もしかすると、アドバイスが無かった
というのは、あなたの潜在意識が
それを与えるべきではないと考えたから
なのかも・・霊能者をキャスティング
したのはあなた自身なので ”

” 与えるべきではない理由とは何でしょう? 
私的には何か言ってほしかったのですが・・ ”

本来、夢に登場している霊能者は
彼女の中で生まれた人物なので
彼女が答えられない問いに答えることは
出来ないのです。

もし、答えることが出来るなら、
彼女は ” 答え ” を知っていることになる。

” そうですね・・
例えば、あなたの潜在意識が次のように
考えていたとしたらどうでしょう。
それは、誰かに尋ねることではないと ”

” あ、それって・・ ”

” 何か? ”

” 私が塾でそう教えてるんです ”

” 教えているとは? ”

” 元々は友人に言われたことなんですが、
子供たちに答えを押し付けてはいけない、
自分で導き出すことが大切だって・・
つまり、首を横に振ったのは、
自分で見つけなさいってことですか? ”

彼女はすでに霊能者からアドバイスを
貰っていたのです。

ジェスチャーという形で。

自信の生まれる場所

人の自信とは、どこから生まれるのか?

少なくとも彼女の潜在意識は、
理想像を ” 全てを見通す者 ” として描いた。

セッション終盤、彼女は言いました。

” 私は合格出来る自信が欲しかったんですが、
振り返ってみて分かりました ”

” 何をですか? ”

” 今回の試験は、多分、落ちます。
自分の今の実力では合格出来ない。でも、
そう思ったら気分がスッキリしました ”

” おや、そうですか? ”

” これもある意味、自信ですよね。
来年の試験は頑張りたいと思います ”

彼女は目標を再設定し、
それに向かって走り始めた。

進むべき道がはっきりと分かっている時、
そこに迷いはありません。
それが、彼女が求めていたものです。

さて、夢の中に ” 霊能者 ” が登場したとき、
どう解釈していけばよいのか?

今回の夢では、彼女の中の
不安を解消するためのアドバイザー
として霊能者は登場しています。

これは、彼女のケースでしかないので、
あなたの見た夢に当てはめることは
できないかもしれません。

あなたの夢には、
あなたのストーリーが描かれている。

ストーリーとは、夢の内容について
だけではありません。

あなたがどういった日常を送っているか、
どんな人生を送っているか、という
現実世界でのリアルストーリーにも
視野を広げる必要があります。

なので、夢に対する正しい問いかけは、
” 霊能者は何を意味するか? ” ではなく、
” ストーリーの中で霊能者は、
どういった役割なのか? ” です。

ストーリーと登場人物を切り離して
考えるべきではありません。

現実世界の出来事は、
夢の中の登場人物とリンクしており、
夢の中の出来事は、
現実世界の人物とリンクしている。

夢は現実の延長線上に作られるのです。

 

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