夢と現実がリンクする時|夢の中の ” 空港 “

夢は支離滅裂で現実世界とは、一見すると、
何の関わりも無いように見える。

しかし、現実世界と全く関わりの無い夢
など存在しないのです。なぜなら、
関わりが無ければ、夢を作る必要も無い
からです。

例えば、何を意味しているのか容易に
理解できる夢。

身近な例で言えば、トイレに行く夢は
尿意を感じた潜在意識が夢の中でトイレを
再現し、そこで用を足すことで気休めに
しようとしている。

現実とリンクしているのは明らかです。

意味不明に思える多くの夢も結局は、
現実世界の延長線上にある。それが、
解読不能なほど複雑に見えるとしたら、
現実世界の常識を持ち込んで夢を理解
しようとしているから。

潜在意識は、あなたに秘密の暗号を
解いて欲しいわけではない。
あなたが受け取ったメッセージに、
ただ、気づいてほしいだけなのです。

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空港でチケットを失くす夢

次は、とある会社員男性が見た夢の一例。

彼には昇進の話があり、今週末そのことで
上司と面談をする予定がありました。
面談を控えた週の途中に次のような夢を
見ます。

空港のロビーのベンチに座っている。
 
ビジネスクラスのチケットが無いことに
気づき、カバンの中を引っ繰り返して
探している。
 
飛行機の出発時刻が近づいている。

” 最近、飛行機に乗ったことは? ”

” ありません。二年ほど前に空港に
行ったことはありましたが ”

” 空港に行ったが、
飛行機には乗らなかった? ”

” はい、家族を迎えに行っただけで ”

” では、飛行機に乗ったことは
人生で一度も無い? ”

” 無いです ”

” 夢の中の空港は
その時に訪れた空港では? ”

” 違うと思います。
夢の中ではもっと大きな空港でした。
多分、架空の場所です ”

” 今後、飛行機に乗る予定は? ”

” 今のところそういった予定はありません ”

” 具体的な予定は無いが、最近、
旅行に行きたいというような気持ちに
なったことは? ”

” うーん。無いですね。
そもそも高所恐怖症なので、
ずっと飛行機を避けてきたんです ”

” あ、そうなんですね・・ ”

いくつかの質問の回答から察するに、
彼は飛行機や空港とは、あまり
縁の無い人生を送ってきたようです。

一見、この夢は現実世界とは全く
無関係に思えますが、ストーリーを
読み解いていくと、彼が今置かれている
状況とリンクしていることが分かります。

まず、潜在意識は夢の舞台として、なぜか
彼の私生活とはあまり馴染みの無い ” 空港 ”
を選んでいる。

自宅でも会社でもなく、通勤に使っている
駅でもなく、あえて ” 空港 ” という選択。
そして、その空港は架空の場所。

夢の舞台が架空の場所であった場合、
夢を見た人のその場所に対するイメージが
重要になってきます。

では、彼にとって ” 空港 ” という場所は、
どんなイメージだったのか?
その疑問に答える前に、もう少し夢の内容
を掘り下げてみましょう。

夢の中で彼は飛行機を待っています。
筆者は次のように尋ねました。

” 一体、どこに
行こうとしていたんですか? ”

” 目的地は・・覚えていません。
どういうわけか飛行機に乗るという
設定でした・・
ただ、何となく焦っていた気がします。
落ち着きが無いというか、浮足立って
いるというか・・”

仕事なのか、プライベートの旅行なのか、
それもはっきりしなかった。

彼はどこに行くのかも分からずに、
ただ飛行機に乗るために空港のロビーで
待っている。

一見、奇妙にも思える曖昧な設定ですが、
こういった曖昧な認識は夢の世界では
よくあることです。

単なる記憶力の問題のようにも思えますが、
この夢の場合、潜在意識は目的地をあえて
設定せず ” 目的が不明確である ” という
状態を描いているのです。

別の言い方をするなら、夢の中で彼に
人生初の体験をさせることが目的であって、
目的地は必要ない。

馴染みの無い場所

彼にとって、あまり馴染みのない ” 空港 ”
という場所を夢の舞台にしたのは、まさに、
そこが ” 馴染みが無い場所 ” だからです。

彼は昇進しようとしている。新しい役職、
新しい部下、責任、働く場所も変わるかも
しれません。

今までの自分には縁の無かった環境が
馴染みのない場所として ” 空港 ” に
置き換えられている。

しかし、馴染みのない場所なら、
空港でなくとも他にもありそうなものです。
空港が選ばれた理由は、彼が飛行機に一度も
乗ったことが無く、高所が苦手という背景
からです。

要するに潜在意識は、
” 自分は地表から離れて、人生初の空の旅を
する直前だから浮足立っているのだ ” と、
彼に思わせようとしている。

しかし、実際は、今週末の面談を控え、
新しい環境で働くことに動揺している彼の
心理が描かれている。

また、” より高みへ行く” という意味では、
昇進と空の旅は彼の中でイメージ的繋がり
があったのかもしれません。

しかし、なぜ、彼の潜在意識は、昇進の件を
空港で飛行機を待つという全く無関係に
見える設定に置き換えたのでしょう?

直接、会社を舞台にした夢ならば、もっと
分かりやすいのに。

潜在意識は夢を作る時、都合に合わせて
直接描写を避けることがあります。

この夢は彼が感じているプレッシャーを
別の状況にすり替えて精神的負担を減らす
ことが目的。

昇進すれば会社で認められるという喜びは
ありますが、環境は変わるでしょうし、
責任も重くなる。そういった先々の不安が
彼の心を締めつける。だから会社の出来事
としての直接描写を避けた。

飛行機ならば、到着するまでどうにか
耐えていれば、いつか終わる話です。
心の負荷は永続的なものではなくなる。

では、チケットを紛失する場面は、
どう解釈すべきでしょう?

夢の中で紛失したチケットがエコノミー
ではなく、ビジネスクラスであるという点は
” 1ランク上の ” という意味で、どことなく
” 昇進 ” を示唆しているようにも見えます。

彼は、紛失したチケットを探し回るが
一向に見つからない。

この夢の作り手は彼自身ですから、チケット
を紛失させているのも彼による演出。

チケットを紛失したことにして、
乗りたくない飛行機に乗らずに済む口実を
作ろうとしている。

一方で、飛行機に乗りたくないのならば、
空港から退場すれば済む話ですが、彼は
必至にチケットを探しています。

昇進したいという期待感がある反面、
新しいステージへ進むことに対する不安も
抱えている。彼の心の葛藤がこの場面に
現れています。

もし、彼が昇進の話を受けるなら、一度、
決断してしまうと、後から降りることは
出来ないでしょう。飛行機も搭乗して
しまえば途中で降りることは出来ない。

彼は認識しています。今回の決断が
後戻り出来ないものであることを。

飛行機の出発時刻が近づいている。

これは、週末、上司との面談を控えている
状況を表している。決断すべき時が数日後
に迫っている。

接点を見つける

夢は、必ず現実とリンクしています。

現実とリンクしていない夢など、
存在しないのです。それが、どんなに
支離滅裂なストーリーであったとしても。

ただし、現在、もしくは過去にリンク
しているとは限りません。それが、
未来の出来事に関する夢ならば、現時点
ではリンクしていないように見える。

今回の夢では、彼の現在の心境が
描かれている。

しかし、実際は上司との面談当日の心境を
描いていると読むことも可能です。
一、二日、誤差があったところで心境が
変わらないというだけで。

もし、あなたが夢を見たとして、それが、
現実世界と全く無関係に見えたとしても、
必ず何かしらの接点はあるのです。

それを見つけ出すためには、夢の内容
だけに目を向けるべきではありません。

自分の置かれている状況、どんな悩みを
抱えているのか、どんな願望を持って
いるのか、そういった自己観察の視点が
必要になってくる。

そして、潜在意識が、なぜ、その設定を
選んだのかを考えてみてください。
そもそも、選んだのはあなたです。

あなたは、すでにメッセージを
受け取っている。それが、
メッセージだと気づいていないだけで。

 

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