夢の中の ” 場所 ” が意味すること|実在するか、架空の場所か

夢解釈をする上で大きな鍵となる要素が、夢の舞台となる ” 場所 ” です。

自宅のリビングなのか、職場なのか、見知らぬ場所なのか、それによって夢の大枠、全体的なテーマを知る手掛かりになる。

例えば、舞台が自宅ならば、少なくとも仕事に関する夢である可能性は低い。無論、例外もありますが。

では、学生時代の校舎が舞台となった場合、学生時代に関する夢なのでしょうか?

もし、飛行機に乗っている夢ならば、出張か、旅行に関する夢なのでしょうか?

また、実在する場所以外に、架空の場所が舞台となるケースもあります。その場合も、なぜ、その場所を舞台に選んだのかを、よく考えてみる必要があります。

潜在意識が、全く無作為に舞台設定をすることはありません。そこには、何かしらの意図が隠されている。

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実在の場所を解釈する

まずは、実在する場所が舞台となったケースについて見ていきましょう。次は、とある女性が見た夢の一例です。

実家の裏庭にある小さな菜園。
私は鍬で土を耕している。

彼女は上京してから、仕事の都合上、実家に帰ることがほとんどありませんでした。最近になって、とある男性と出会い、交際に発展するかもしれないという時期に、この夢を見た。

彼女自身は、菜園から ” 収穫 ” というキーワードを見出し、結婚に関する夢ではないかと分析します。

彼女いわく、実際に、実家の裏庭には小さな菜園があり、父親が手入れを欠かすことなく、野菜を育てているということでした。

この経緯からも、彼女が ” 菜園と父の間に深い繋がりがある ” という認識を持っていることが伺えます。

さて、内容の詳細を見ていきましょう。

彼女は、夢の中で菜園の畑を耕している。ここには二つの意味が込められているように思います。

一つは、実家に帰っていないという彼女の罪悪感から、畑仕事を手伝うことで父親に孝行をしておきたい、という気持ちの表れ。

もう一つは ” 土を柔らかくする ” つまり、収穫するための下準備として、父親の態度を前もって軟化しておきたいという心理です。

つまり、彼女にとっての ” 収穫 ” とは、滞りなく結婚に至ること。具体的には、父親から結婚の承諾を得ることになります。

夢を見たタイミングが男性と交際に発展するかどうか、という微妙な時期であることからも、この夢は彼女の分析どおり結婚に関するものでしょう。

ただ、この場合、まだ、男性との交際が始まっていない状況なので、結婚の話は、少々気が早いようにも思えます。

つまり、結婚そのものというよりは、男性との出会いによって大きくなった彼女の中の結婚願望が夢になった、と考えた方がよいかもしれません。

彼女のはやる気持ちが、結婚に向けて、前もって父親に根回しをしておきたいという思いとなり、ストーリーを作っています。

このように実在する場所が舞台となる場合、その場所が、夢を見た本人にとって特別な意味を持つことがあります。

上記の夢では ” 裏庭の菜園 ” とは、父を象徴する場所であり、彼女にとって、そこは ” 父の許しが必要な領域 ” を意味します。

だから、男性は登場せず、彼女だけがその場所に入って畑仕事をしている。

因みに、もし、あなたの実家に菜園があり、あなたの夢にその場所が登場したからといって、無論、同じ意味になるわけではありません。

あくまで、彼女にとっての認識、あなたにとっての認識に基づいてそれぞれの夢を解釈します。

こうした個人的イメージに結びついた場所がある一方、多くの人が共通するイメージを持つ場所もあります。

例えば、病院であれば病気を治療する場所、という認識は誰もが持っているでしょう。だから、夢の中で病院が舞台となった場合、一般的には ” 治療すべき何らかの懸案がある ” と解釈されたりします。

故に、夢に登場した舞台には、一般的なイメージ、あなたが自身が持っている個人的イメージのいずれか、もしくは、その両方が含まれている場合がある。

そのため、最初は両方の側面を踏まえた上で、その意味を探るという作業が必要になるかもしれません。

次は、筆者が見た夢の一例。

物置の中を整理している。

物置を整理しているという日常的な夢。実在する自宅の物置が夢の舞台となっています。

” 倉庫 ” の一般的なイメージは ” 何かを保管しておく場所 ” だと思います。夢占いでは ” 記憶 ” と解釈されることもある。

多分、一般的な夢解釈としては、記憶、もしくは、自身のスキルを一旦整理した上で、何か新しいことを始めようとしている、といった感じになるでしょうか。

ただ、この時期の筆者に取り立てて、新しく何かを始めようという意思はありませんでした。

まず、自宅の物置をどのように活用しているのか、という点を考えてみます。

物置には、スタッドレスタイヤ、スコップ、バケツやホースなど、頻繁には使わないが、たまに使うものを格納しているといった一般家庭と同じ使い方だと思います。

ただ、筆者の物置には一つ問題がありまして、豪雨があると隙間から浸水してしまうため、濡れてもよいものだけを置く、もしくは、防水シートを被せるといった対策が必要なのです。

夢の中では、雨漏りする物置を整理しているという状況なので、ここで考えられる解釈は二通りでしょう。

一つは、今後、豪雨が予想されるという暗示。豪雨が近いとすれば、夢の中で、前もって物置の状態を確認し、備える行為は、一応、辻褄が合っています。

もう一つは、” 私生活 ” を物置として例えている。

つまり、夢の中に登場する物置は ” 私生活 ” の象徴。そこに雨水が入る心配をしているということは、今後、私生活に招かれざる心配事が入ってくる暗示、と解釈することも可能です。

つまり、潜在意識は、私生活を物置に例えることで、問題を小さな範囲に隔離しているわけです。

” これは私生活の話ではなく、物置の問題だから、ちょっと片づければどうにかなるだろう ”

筆者にとって私生活の中心となる自室は、様々な私物に囲まれた ” 拠点 ” ですから、ある意味 ” 何かを保管しておく場所 ” という捉え方もできます。

つまり、解釈には ” 倉庫 ” に対する一般的イメージが含まれている。その上で、” その倉庫は雨漏りする ” という夢を見た本人特有の事情も利用して夢が作られています。

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架空の場所を解釈する

先ほど挙げた2例では、実在の場所が夢の舞台となっていますが、もし、架空の場所が舞台となった場合は、どのように判断していけばよいでしょう?

菜園の夢について振り返ってみましょう。

夢のメッセージを伝えるには、菜園は丁度良い場所でした。つまり、潜在意識は、彼女の記憶にあった実在の場所を夢の材料に利用したわけです。

もし、記憶の中に適切な場所が無かったら、どうするか? 無論、イメージを融合し、都合の良い場所を勝手に作ります。

都会の喧騒に疲れているなら、誰もいない浜辺を再現し、友達や恋人を家に招く予定のある人なら、美しく広い家を再現するでしょう。

こういった場合、まず、その架空の場所を舞台に選ぶことで、どんなメリットがあるのかを考えます。

次は、とある女性が見た夢の一例。

恋人と図書館で読書をしている。
 
恋人が自分に話しかけてくるが、その度に怖い警備員が咳払いをする。

この夢を見た女性は、あえて夢の舞台を架空の図書館に設定しています。

彼女の説明では、夢の中の図書館は、会員制の限られた人しか入れないという特別な場所だった。

現在交際中の男性とは、三カ月ほど前にマッチングサービスを介して知り合いました。それから、実際に付き合い始めて一か月ほどが過ぎた頃、彼の欠点が目に付くようになった。

欠点とは、彼が公共の場で大きな声を出すことが度々あるということ。周りの人が驚いて振り向くぐらい大きな声で笑ったり、不必要に叫んだり。

そして、彼女が特に不満を感じるのは、二人で外食に行った時の店員に対する彼の横柄な態度でした。少しでも待たせると、大声で店員を呼びつけるのです。

彼女が態度についてそれとなく忠告しても、彼はいまいち理解せず、自分の気持ちを察してくれない。

夢の中で架空の図書館を用意した理由。それは、彼のオーバーアクションを封じたかった。

図書館ということろは静かにすべき場所ですから、彼の態度をある程度、抑制することが出来る。彼女の潜在意識が警備員を配置したのは、彼の欠点を間接的にコントロールするためです。

そして、そこは会員規約を守れる人だけが利用出来る ” 会員制 ” という設定。つまり、そこにいる二人は、その図書館の会員ということになります。

ここで、一つの疑問が浮かびます。

彼の態度に我慢出来なければ、そもそも、会員制図書館など用意するまでもなく、夢の中に彼を呼ばなければよいのでは?

確かに、これは彼女の夢ですから、内容はどのようにも変更できる。彼女は言います。

” 彼は、時々、少年のような顔を見せるんです ”

自分が困っていると、頭があまり良くない割りに、一生懸命助けようとしてくれるのだと。

彼女は、彼に対する複雑な気持ちに折り合いをつけるため、彼の欠点だけを封じることが出来る場所を夢の舞台として用意した。

二人が会員であるというのは、彼女が望んでいる彼との関係そのものです。マナーをわきまえた大人の付き合いをしたいという。

方向性を探る

夢を読み解く時に、どこから手をつけてよいのか分からないという場合、まず、夢の舞台がどこなのか、という視点から始めてみるのも一つです。

実在の場所が舞台であれば、その場所に関する思い出や、その場所が持つ特徴を見つけ出していく、という作業になります。

思い出や特徴をある程度絞ることが出来れば、登場人物や行動、ストーリーといった場所以外の部分の解釈の糸口が見つかるかもしれません。

架空の場所が舞台になっている場合も、基本的に同じです。

場所が持つ特徴を拾い出していくことで、夢が何を伝えようとしているのか、メッセージの大まかな方向性を探ることができるでしょう。

例えば、夢の中で架空の場所に訪れ、今までそこに来たことが一度も無いと感じたのなら、それは、あなたにとって経験したことの無い出来事を暗示しているのかもしれません。

もしくは、あなたがこれまで持ったことの無い新しい価値観を得る、という意味なのかもしれない。

例えば、古い空き家を改装してそこに住むという夢ならば、あなたが過去の経験から大切なものを再発見して、それを生かそうとしているという解釈もできます。

もし、夢に見た場所が架空の場所であるにも関わらず、なぜか前にも来たことがあるような気がする、といった場合は、あなたはそこに既に訪れているのでしょう。夢の中ではなく、現実世界で。

夢の中であなたは寂れた薄暗い裏通りに迷い込んでしまった。そこは前にも来たことがあるような気がする。

それは ” 裏通り ” ではありません。

あなたがマジョリティから離脱して、マイノリティとして人生を送っているなら、メインストリートに対する裏通りは、あなたの人生を表している。

前にも来たことがあるという感覚は、マイノリティとして生きることの息苦しさを前にも感じたことがあり、その既視感がシチュエーションを置き換えて再現されているのです。

夢の舞台が ” 病院 ” や ” 裏通り ” といった明確な場所ではない場合もあります。

室内と野外の境界が曖昧な設定だったり、騙し絵のような奇妙な建物、何もない無機質な広い空間など、そういった夢を舞台視点から解釈するのは難しいかもしれません。

それら現実には存在しない幻想的空間が作られるのは、私たちの意識が、現実世界のように明確に定義できるものではなく ” 曖昧さ ” の中に存在するからです。

二階から階段を降りれば、必ず一階に到着するとは限りません。なぜなら、そこは現実世界に似せて作られた仮想空間でしかないから。

故に、階段を降りた先に、三階を用意することも容易い。

夢の舞台が実在するものであれ、架空のものであれ、騙し絵であれ、目で見ることができる表層としての景色に囚われず、抽象的な視点でその意味を考えていくことが大切です。

また、その景色が潜在意識によって選択され、意図的に作り出されたものであることを念頭に置きましょう。

無論、意図とは、あなたの意図です。

 

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