夢日記を始めるなら|記録するときの注意点

夢とは ” 心の鏡 ” のようなものです。

ゆえに自己観察という意味では、
優れた分析ツールと言えるのでは
ないでしょうか。

日記を書くことがストレス緩和になるとか、
客観的視点で心を整理すると言った
メンタルに良い影響を与えるという効果は
様々なところで語られています。

夢を観察する行為もベースとしては、
同じものだと考えます。

日記と違っている点と言えば、
潜在意識、つまり、心の奥底まで
メスを入れるという部分。

*

潜在意識は、思った以上にあなたの
メンタルを忠実に夢に再現します。

時には、素晴らしい気づきを
与えてくれることもあれば、
あなたがまだ認識していないことを
前もって察知し、教えてくれたりもする。

ただ、夢は読み解かなければ
そこにある事実を知ることが出来ない。

支離滅裂なストーリーから
必ず有益なメッセージが得られる
という保証もありません。

また、毎日夢を見るわけではなく、
目覚めた後に忘れてしまうかもしれない。

そういった意味では、
出来事や思ったことを書くだけの
一般的な日記に比べて、夢日記は、
少々難易度が高いかもしれません。

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夢日記を始める前に

夢日記を書くにあたって
一つアドバイスがあります。

それは、毎日書かないことです。

今から始めようとしている人には、
あまり良いアドバイスには聞こえない
と思いますが・・

別の言い方をするなら、
毎日、書くことが出来ないです。
もしくは、毎日書けるとしたら、
それ自体があまり意味の無い行為です。

単なる記録として書くならば、
毎日続けることは可能でしょう。

しかし、見た夢の内容をそのまま
記録したとしても、その意味を
読み解くというプロセスがなければ、
単なる創作小説を書いているようなものです。

エンターティメントとして
楽しむ分にはよいですが、
自己分析ツールの役割は果たせない。

また、日常の記録としても
あまり意味をなさない。

*

夢を分析していくという作業は
とても時間がかかる。

と言っても書斎に籠って、
何時間も分厚い本とにらめっこをする
わけではありません。

私生活のふとした場面で夢を思い出して、
” あれは、もしかしたら、
そういうことなのかもしれない・・ ”
という気づきを得る。

人が何かを理解する過程は
雷に打たれたかのような衝撃として
やってくるわけではありません。

名探偵が逆転の発想で事件を
解決に導くようなドラマティックな
展開が待っているわけでもない。

大抵は小さな気づきを積み重ねて、
ゆっくりと季節が変わっていくように
” 何となく ” 理解していくのです。

そして、そういった
小さな気づきが何の音沙汰も無く
ふとした時に訪れる。

ゆえに、時間がかかる。

夢を読み解くという作業は、
気合を入れて頑張るという
性質のものではありません。

どちらかと言えば、芸術家が
作品のインスピレーションを得る時
のような感性に基づいた仕事なのです。

あまり肩の力を入れないこと。

*

もう一つのアドバイスは、
記録の対象は夢の内容だけに
留まらないということです。

夢は現実世界とリンクしている。
現実世界があってこそ夢が作られる。

なので、夢を読み解く上では
実生活のリアルタイムな情報を
把握しておかなければならない。

自分の置かれた状況や、
今、何について悩んでいるか、
どんな願望を持っているか、
その日あった出来事に何を感じたか、

そういった私生活に関係した事柄、
その時の自身の感情と照らし合わせながら、
夢分析していくことになります。

もし、私生活の情報が全く無く、
夢の内容だけを記録するとしたら、
それは、体調の悪い人に対して
医師が検査も診察も行わず、
インターネット掲示板のコメント
だけで診断をするようなものです。

なので、もし、記録として残すなら、
夢の内容だけを記すのではなく、
普通の日記にそれを書き加える
という形がよいかもしれません。

記録方法について

さて、実際に夢を記録するとなると
とある問題に直面します。

夢とは潜在意識とあなたの間で
交わされるコミュニケーション
のようなものです。

そこに言葉は必要ない。

当たり前ですが潜在意識とはあなたです。
そして、あなたが潜在意識です。

同一人物の中で意思や感情を
伝えるための言葉は必要ありません。

それらは直接伝わる。

夢を文章で記録するとしたら、
言葉が必要の無い世界を
言語表現へと変換しなければならない。

それは、外国語の翻訳作業にも似て、
とても大変です。

目覚めてまだ頭がぼんやりしている時に
見たものを忘れてしまう前に
それを書き留める。

深夜とか早朝に。

変換作業で脳の活動が活発になり、
記録した後に再び眠ろうとしても
眠れなくなってしまう。

記録作業で睡眠が阻害されるのは
健康面から言っても良くない。

筆者の場合は文書ではなく、
ボイスレコーダーで夢を記録します。

寝起きですぐに対応できるという点では
文章を書くよりも幾分か楽です。

ただ、テキストデータではないので
検索には向いていませんが。

記録方法については、
最善と言えるものはありません。

自分にあった方法を見つけてください。

*

ねむた過ぎて、
夢を記録出来ないときもあります。

そういった時は、
記録せずに寝てください。

それがあなたにとって
重要なメッセージならば、
潜在意識はシチュエーションを
変えながら何度も同じテーマで
夢を作ります。

あなたがメッセージを受け取ったか、
もしくは、状況が変わって
メッセージの必要性が無くなった
というのでもない限り。

だから、基本、重要なメッセージを
見落とすということは起こらない。

潜在意識はあなた自身ですから、
自分を見捨てることはありえないのです。

*

どこまで深入りするかという
問題もあります。

夢の内容をどこまで細かく記録すべきか、
また、分析はどこまでやるか、

ここで言えることは、
100%は求めないということです。

” 最近、仕事の夢ばかりを見ているな ”

” 悪夢が続いているから何か振り返るべき
ことがあるのかも・・ ”

” 夢を見て心が軽くなった気がする ”

という感覚的な理解だけでも
ある程度の傾向や方向性を知ることが出来る。

夢はあなたの置かれた状況に応じて
常に更新されていきます。

一つの夢だけを深く掘り下げるという
アプローチもありますが、
いくつかの夢を相対的に観察していく
ことで発見できることもあるのです。

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どの夢が重要なのか?

全ての夢を記録しないのであれば、
どの夢を記録すべきか?
ということについて
少し説明しておきましょう。

普通ならば、多分、
インパクトの強い夢を記録
するべきだと思うかもしれません。

とても怖かった悪夢や
リアル過ぎる夢、神秘的な夢。

確かにインパクトが強い夢は、
それだけに何か重要なメッセージを
伝えているようにも思える。

しかし、実際は、日常的な夢にも
重要なメッセージが含まれている
ことがあります。

不都合なメッセージを隠すために
日常風景をカモフラージュとして
利用している場合があるからです。

こういったタイプの夢は、
一見、何でも無い日常を描いて
いるように見えますが、どことなく
” 違和感 ” を残すのが特徴です。

例えば、何についても悲観的な人が
第三次世界大戦が勃発し
人類が滅亡する夢を見たとしましょう。

心の中の葛藤を大げさに捉えて、
” 戦争 ” というシチュエーションを
選択しているのです。

しかし、同じ人が別の日に
帰宅時に玄関扉が開きっぱなし
という夢を見る。

” ああ、何だ。
さっきから心がソワソワしていたのは、
戸締りを忘れたからだ ”

いいえ、違います。

彼には受け止めきれない事柄を
” 戸締り忘れ ” という些細な失敗に
すり替えて誤魔化そうとしている。

つまり、この夢は彼のキャパを
越える出来事を描いている。

夢の与えるインパクトの大きさが、
実際の出来事と比例しているとは
限らないのです。

予知的要素

未来を知りたいという理由で
夢を記録する人もいるでしょう。

一応、このことについて
少し触れておきましょう。

夢が作られる過程で潜在意識が
どの時点にフォーカスしているのか?
それが現在や過去とは限りません。

そして、夢は、
” 主観 ” でしか描かれない。

つまり、潜在意識はどこかの
時点を見て、それに対する
個人的感想を夢に描かくわけです。

例えば、明日、
中規模の地震があるとします。

前日に地震そのものではなく、
玄関先にミネラルウォーターが入った
ダンボール箱が置いてある夢になる。

潜在意識が地震に備えて
水を備蓄しようとしているわけです。

また、幼児を持つ母親ならば、
幼稚園のバスが来ないという
ような夢になるかもしれません。

近々地震があるので、
我が子をそばに置いておきたい
という心理が夢になる。

普通なら幼稚園のバスの夢が
後に起こる地震と関係しているとは
思わないでしょう。

多くの場合、こうした間接的な
表現を見逃し ” 単なる夢 ”
として片づけられている。

*

夢を分析し続けていると、
潜在意識が現実世界の出来事を
私たちよりも先に認識している痕跡を
見つけることがあります。

ただ、それは単なる
” こじつけ ” のようにも見える。

ここで心に留めておきたいのは、
夢を正確に記録したとしても、
予知の確証は永久には
得られないということです。

それは、常に証明することのできない
霧の中に存在し、

” そうなのかもしれないし、
そうじゃないかもしれない ”

という認識で終わる。

もし、そういった類の夢を見たとしても
他人には話さないことです。

誰にも見られることのない日記に
密やかに記し、それを時折
読み返してはあれこれ推察をする。

それだけで十分でしょう。

習慣にする

気になった夢があれば記録する。

そして、記録した後に思い返して
考えるという習慣をつける。

核心にたどりつくことが出来なかった
としても夢について考えている途中、
何らかの ” 気づき ” を得ることがあります。

それは、自己の再認識。

重要なのは、核心をつかむことよりも、
その過程で自分について省察する
という行為そのものです。

日記に書き込まれた文章ではなく、
日記を書いている時に考える姿勢が
あなたを導く。

だから、極論、自己分析を行う習慣が
すでに身についているというなら、
日記を書かなくてもいい。

筆者の場合、夢を見たら忘れる前に
ボイスレコーダーに記録し、
大抵は頭の中であれこれ分析をして
凡その理解を得ます。

もし、読み解くことが出来なければ、
後日、夢を思い返してもう一度考えてみる。

*

余談ですが、
数日前に月の夢を見たました。

月だと思っていたものが、
実際は空に映し出された
ホログラムだったという・・

そして、今日もこの記事を書きながら、
それについて考えている。

太古から存在する不変的存在。

それが、もし、大気中に
映し出された形無き幻想だったら・・

信じて疑わなかったものが、
もし、虚構だったら・・

果たしてあの月は何だったのか? 

まだ、その答えは出ていません。

 

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