夢の中の ” 喧嘩 “|ストレスと心のゆとり

誰かと言い合いになったり、
つかみ合って殴り合ったり、
喧嘩をしている夢。

現実では暴力など振るったことも
無い人であっても、夢の中では、
なぜか暴力的な人柄に豹変するのです。

それは、単にその人の本性が
現れたと考えるべきなのでしょうか?

また、そういった他人を攻撃する夢は、
日頃、蓄積されたストレスが爆発した結果
だと解釈することが一般的ですが、

暴力的な夢の全てが、
ストレスが理由なのでしょうか?

ここでは別の側面から暴力的な夢について、
見ていきたいと思います。

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ストリートファイト

次は、とある男性が見た
夢の一例です。

見知らぬ公園にいると、
数人の若者に取り囲まれる。
 
若者の一人に殴りかかる。
 
誰かがバットを振り回してきたので
宙返りでかわす。
 
大乱闘。

まるで、格闘技漫画のような世界が、
繰り広げられたと言います。

彼は生まれてから喧嘩など
一度もしたことが無く、また、
格闘技マンガが好きなわけでも無い
ということで、
なぜ、このような夢を見たのか、
彼自身も不思議がっていました。

*

筆者は、彼に喧嘩の具体的な状況を
尋ねました。

自分を取り囲んだ若者は3、4人ほどで
逃げようと思えば逃げることも出来た。

もし、これが現実のシチュエーションならば、
絶対に逃げる方を選択した。

しかし、彼は、夢の中で、なぜか、
この人数なら戦えると思ったと言います。

もし、彼が日頃からストレスを抱えて
日常を送っているというなら、
それが今回の夢を作ったと
解釈することも出来たでしょう。

ただ、彼が言うにはストレスは以前に比べて、
ずっと減っていると言うのです。

舞台劇

まず、この夢を作っているのは、
彼自身であるという点から考えてみましょう。

彼は、自分を取り囲む若者たちの人数を
10人にすることも2人にすることも出来るのです。

無論、3,4人という人数に設定しているのは、
彼自身です。

即ち、若者たちが彼を取り囲んでいる
のではなく、彼が自身の周りに若者たちを
配置しているのです。

このシチュエーションは、
彼が望んだものであって、元々、
逃げることを想定して作られていない。

言わば、夢の中の架空の公園は
演劇の舞台のようなものです。

例えば、舞台劇で
主人公と宿敵の決闘シーンがあったとして
追い詰められた宿敵が舞台から降りて
逃げ出したリはしません。

それでは劇がぶち壊しになってしまう。

その宿敵には、最後、戦いに敗れ、
息絶えてもらわなければならない。

主人公と宿敵は、筋書に従って、
いい決闘シーンを作るために協力し合っている
” 仲間 ” のようなものです。

丁度、この夢に置ける彼と若者たちも
同じ関係にあります。

若者たちは、全員、彼の作った
劇団に所属する ” 役者 ” なのです。

*

筆者は、夢の詳細を聞きながら、
この夢が単なるストレス発散ではなく、
何かポジティブなものを
描いているように感じました。

それから、先ほど彼が言った
” 以前に比べてストレスはずっと減っている ”
という言葉が気になりました。

” 以前は、ストレスが
かかっていたということですか? ”

筆者の質問に
彼は次のように説明しました。

以前は、仕事一筋といった感じで
思い通りの成果が出せないことに、
常にイライラしていたと言います。

” 自分では、一生懸命
やっているつもりなのですが、
空回りしてしまうんです・・ ”

そして、イライラしながらも、
この精神的に不安定な状態が
成果を出せない原因になっている
ことにも彼自身気づいていた。

それで、彼は、
” 諦めることにした ” と言います。

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殻を破ったという自信

100%の完成度を80%にして、
20%を諦めた。

これまでは100%を目標にしたせいで
達成出来ない時のモチベーションが
低すぎて60%の仕上がりだった。

最初に20%を諦めれば、結果、
マイナスを半分に減らせるのではないかと、
考え方を変えてみたと言うのです。

その後、仕事に対する考え方を変えてから、
マイナスが実際に半分になったかは
定かではないが、
確かに以前に比べてゆとりを持って
仕事が出来るようになったと言います。

以前は、問題が起こる度に
頭を抱えていたが、今は冷静に
対処することが出来るようになったと。

*

この経緯を聞く限り、現在の彼は、
仕事に充実感を感じているようにも見えます。

筆者は、次のように尋ねました。

” この夢を不快だと感じましたか? ”

彼は答えます。

” むしろ、気分は良かった。
もう一度、見てみたいぐらいだ ”

この夢は、彼の中の充実した気力が
描かれています。

以前と比べて、ゆとりを持って
仕事に取り組むことが出来るようになった。

彼を取り囲む若者たちは ” 障害 ” を表し、
彼は、それを拳で蹴散らそうとしています。

今の自分なら、ちょっとやそっとのことで
動じることはないという彼の中の自信が
ファイティングポーズを取っているのです。

喧嘩など一度もしたことがない彼にとって、
公園でのストリートファイトは、
殻を破った自分を表現するのにピッタリと
はまったシチュエーションだったのでしょう。

立ちふさがる障壁

さて、今回は、暴力的な夢が必ずしも、
ストレスの爆発だけを描いているわけではない
というケースを紹介しました。

と言っても、ストレスが原因で
夢の中の言動が粗暴になるということは、
確かに傾向としてはあるのです。

なので、そういった夢を見た場合は、まず、
自分の中にストレスを溜め込んでいないか、
チェックするというのは極めて妥当な
アプローチです。

そこで、ストレスに思い当たることが
あるならば、それを減らすための
工夫をすればよいのです。

*

今回の夢を見た男性は、
仕事の向き合い方を少しだけ変えて、
生まれてしまったストレスに対処するではなく、
原因である仕事の成果を改善することで
ストレスを生まない環境作りを
しようとしています。

無論、全て、
このように解決出来るわけではない。

ジムに行って汗を流したリ、
旅行で気晴らしをするというのは、
問題の原因を潰すわけではありませんが、
それでも問題解決に向けて取り組む
モチベーションを維持するためには
必要なのです。

夢は、現実世界の問題を解決するわけではない。

また、問題解決の方法を
教えてくれるわけでもない。

単に、ありのままの現状を映像化するだけです。

ただ、あなたが自分の置かれている現状を
しっかりと受け止めきれていなかったとしたら、
夢はそれを教えてくれるのでしょう。

そこで、何に気づくのかは、
結局、夢を見た本人次第なのです。

*

高い障壁が行く手に立ちふさがっている。

心にゆとりの無い人は、
障壁を越えるための梯子を探すのです。

そして、足元に落ちている鍵を見逃す。

鍵があるなら、それを開くドアがあるのです。

彼は、それを踏みつけて梯子だけが
唯一の方法だと思い込む。

潜在意識が ” 足元を確認せよ ”
とメッセージを送り続けているというのに。

 

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